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#RAPSTREAM CO-SIGN VOL.7 feat. YURIKA

文:高木“JET”晋一郎

 
 RAPSTREAM CO-SIGN、初のフィメール・アーティストとして登場となるYURIKA。昨年リリースのソロ・アルバム「THE ORDINARIES OF LIFE」のリリースや、活発なライヴ活動、そしてKEN THE 390のレーベル:DREAM BOYから登場したユニット:DREAM BOYSに参加することでも、その名前を知っている読者も多いだろう。また、昨年末のRAPSTREAMでも、男性MC陣に混じってフリースタイルで登場した女性ラッパーといえば、思い出す方もいるかもしれない。そんな彼女のキャリアを改めて振り返ってみよう。
 
 「昔から洋楽が好きで、BACKSTREET BOYSとかNSYNC、BRITNEY SPEARSなんかを聴いてましたね。そこから高校ぐらいにになるとポップスよりブラック・ミュージックが好きになっていって、LIL' KIMとかJA RULE、EVEとかを聴きはじめて。日本だとキングギドラとか。普通のポップ的なラヴ・ソングもひとりの女の子として好きなんだけど、ラップの歯に衣着せない感じが刺激的だったし、自分もそれがやりたいなって(笑)。それからHeartsdales。日本でもこういう英語が出来て、英語的なフロウが出来る女性がいるんだっていうのが衝撃で、カラオケでよく真似してましたね。そういう影響を受けて、高校の頃はひとりでリリックを書いたりはしてたけど、オリジナルを人前でやったりはしなかったですね。『私はこうだ!』みたいな自己主張系のラップを書いたりしてて、内容も憶えてるんだけど、流石に今は恥ずかしくて出せないです(笑)」
 
 
 彼女を取り巻く環境的にも、ラップをするには難しい状況だったと話す。
 「中高と私立の女子校だったんですけど、ちょっとスカート短かったりしたらすごい怒られるような女子校だったんですよ。眉毛書いたら『消してこい!』って言われたり、彼氏がいたら問題になるような。だから、学校でもHIP HOPを聴く友達はいなくて。でも、コーン・ロウを編みながら、それがなんとかバレないような髪型にして登校したり(笑)。そういう学校だったからこそ、言いたいことがいっぱいあって、ラップをやりたいって思ったのかもしれない」
 
 
 しかし、大学に入ると状況は一変し、HIP HOPを聴く友達が出来、自身もHIP HOPにのめり込んでいく。
 「横浜の大学に入ったら、ICE BAHNが先輩にいたり、同い歳にもDJやラッパーがいて、そこからちゃんとラップを始めた感じですね。それでクラブにも出始めて、本格的に活動をスタートさせて。クラブに出て、ノルマ地獄に苦しんだりもしつつ(笑)」
 
 
 三宿生まれの三宿育ちという、生粋の東京の人間でありながら、ラッパーやDJなど、現場の繋がりに神奈川の人間が多かったのは、そういった活動によるモノが大きいそうだ。
 「TAKUMA THE GREAT、万寿、ZZ PRODUCTION、ICE BAHN……って、やっぱりスキルフルな人たちが多かったんで、私もスキルを磨かなきゃなっていうのは、横浜での活動ですごく思わされましたね。自分でも、今はforteに所属してるGRACEとユニットを組んでたり。そこで目標にしたのは、時期的にも『DAY BEFORE BLUE』や『JUNK BEAT TOKYO』の頃のCOMA-CHIさんでしたね。女性でこんなにカッコ良いラップすることが出来るんだって思わされて。でも、『COMA-CHIみたいだね』って言われたんですよね。それは光栄な反面、すごく嫌でもあって。そこで『まだYURIKAにはなれてないんだな』って思わされたし、ちょっとCOMA-CHIさんの音源や日本語ラップを聴かないようにして、洋楽を中心に学んだ時期もありました」
 
 
 では、自分のオリジナルを見つけられたのはどのタイミングだったんだろうか。
 「COMA-CHIさんみたいに、ドープな雰囲気は出せないし、それじゃない武器が欲しいと思ってたときに、都内でHIRORON君と出会って。彼との意見交換も含めて、もっと違うフロウ、もっと感情を込められるラップってことを模索したら、どんどん自分のオリジナルな部分が出てきて、当然なんだけど、やってる内に私はCOMA-CHIさんと違うなって改めて思ったんですよね。そこからそういった部分を伸ばしていこうって。それにはNICKI MINAJの影響も大きかったですね。すごくラップが上手いのにキャッチーって部分だったり、歌にもラップにも偏らずに両方出来る部分で、そこを自分もやりたいなって。そして、『フィメール・ラッパー』って部分でも、ポストはまだ空いてるから、そこをちゃんと狙おうって」
 
 その意味でも、彼女は自分が「女性であること」に対して、しっかりと意識し、その上での表現という部分に意志を持っていると話す。
 「やっぱり、女性ラッパーという部分で損をする部分もあるとは思うんだけど、それよりも『女性というオリジナリティ』って部分は、日本語ラップにおいてはメリットが沢山あると思うんですよね。しかも、そこでビッチ系だったり、より女の子っぽいっていうんじゃなくて、正統派な『ラップをする女の子』って部分はまだスポットライトが当たってないし、そこに行けるのは自分だぞって思って。女性ラッパーとして伝えられることだったり、与えられる影響は、男性のラッパーでは出せないモノが必ずあると思うんで、それは考えてますね。男のラッパーと同じようにカッコ良いこともやりたいけど、女性にしか出来ないこと、私にしかできないことは伝えていきたいなって思いますね。そして、男女関係なく響いてもらえるようにっていうのは考えてます」
 
 
 そして、前述のHIRORONを全体のプロデュースに迎え、アルバム「THE ORDINARIES OF LIFE」の制作に取り掛かる。
「とにかく毎晩ライヴはしてたんですけど、作品を作りたかったし、やっぱり名刺が欲しかったんですよね。パッケージとして自分を形に出来る名刺が欲しくて。それでHIRORONと一緒に作り始めたんですけど、作品的には自分の持ってる部分を全部詰め込もうっていうのがひとつのテーマでしたね。自分の持ってるモノ、自分の持ってる全部のカラーを入れちゃおうって。だから、カラーや雰囲気はバラバラなんだけど、それでもいいなって。サウンド的にも90年代的な曲も、ベース的な曲も、キャッチーな歌もってみんな入れて、そうやっていろんな表情を形にしたかったんですよね。それによって、90年代ゴリゴリのラッパーってイメージから、メロディを入れたり、キャッチーにしたりっていう動きを加えることによって、自分のカラフルさをもっと見せたかった」
 
 その意味では、YouTubeにもアップされた LIL'諭吉プロデュースの“I Like It”のような、最新型が形になったモノから、”HELL NO feat.万寿, TAKUMA THE GREAT”のようなサンプリングが基調となった曲、“BE NATURAL (ALBUM VERSION)”のようなポップなラヴ・ソングまで、幅広い展開が印象的な作品だ。
「一枚目だったんで、YURIKAってラッパーを、聴いてくれた人が認識してくれたのが大きかったですね。それがDREAM BOYS入りをはじめとする、いろんなキッカケになったなって。“I LIKE IT”をYouTubeにアップしたんで、あの曲の印象が強かったと思うんですが、あの曲は男の子からの評判が良かったですね。ラップのフロウも割と表情つけたりしたんで、そこで驚いてもらえたり。とにかく狂った方がいいなと思って、ああいう内容になったんですよね。女の子からの評判が良かったのは“BE NATURAL”。あの曲を聴いて、別れそうだったカップルがヨリを戻したって話を聞いて(笑)。それで、自分の曲で少しでも誰かに影響を与えることが出来たんだなって思えたし、自分のやってることは間違ってないんだなって。人の人生に、何か響かせることが出来たっていうのが、励みになってますね」
「(「THE ORDINARIES OF LIFE」を)出してから、ライヴに呼んでもらえるようになったし、そこからライヴがどんどん良くなってきて。一撃で広がったって言うより、じわっと広がって言ったんで、それが良かったなって。制作的な部分でいっても、ちゃんとステップアップできてるなって言うのは感じましたね。今後もちゃんと楽しみにできるというか(HIRORON)」
 
 声質的には強い部分があるので、男勝りのように感じられるが、そういった部分よりも、彼女のそのままの姿が作品に落とし込まれてる部分も興味深い。
「『普通の女の子』というか、恋愛して仕事して……ってことだったり、『それあるよね』って共感できるようなことが形に出来ればなって。イメージ的にはイケイケだったり強そうって思われるんだけど、そうじゃなくて、ナイーヴな部分や、女の子の部分もあるんだよって。でも、DREAM BOYSのアルバムでは強い部分もガンガン出してるんで、そうやって、色んな表情を見せていければなって思いますね。次のソロも既に計画に入ってて、最近は最新の音楽に傾倒してるんで、そこで受けた影響や新しい感覚をアルバムに入れられればなって考えてます。自分の今の感覚を信じて、作品を作れればなって。それから、やっぱりライヴですね。アルバムを出してからの一年でもずいぶんライヴをやって来たんで、そのスキル・アップをちゃんと込められればって思ってます」
 
 
 KEN THE 390も認めるライヴ巧者ぶりを、ぜひRAPSTREAM本編で目撃して頂きたい。
 
 
YURIKAは5月26日(日)放送の『RAPSTREAM』内コーナー『RAPSTREAM CO-SIGN』に出演予定!21:00頃登場の予定です。お観逃しなく!
 


 

 

 
 

Pickup Disc

TITLE : THE ORDINARIES OF LIFE
ARTIST : YURIKA
LABEL : TOP BILLIN'/TBLCD-001
PRICE : 1,500円
RELEASE DATE : 2012年5月2日

TITLE : 5DAYS AT THE GAMECENTER
ARTIST : DREAM BOYS
LABEL : DREAM BOY/DBMS-0005
PRICE : 2,500円
RELEASE DATE : 6月5日