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D.Lとダースレイダーが語る日本語ラップ・コンピ「HARD TO THE CORE」(後編)

先日リリースされたコンピ「HARD TO THE CORE」はもうゲトったか!?そして、AmebreakでアップされたD.Lとダースレイダーによる対談もチェックしたか!?今回は、対談後編として収録曲の全曲解説を掲載!コレを読みながらコンピを聴くのが間違いなくベスト!

対談:D.L/ダースレイダー
文:伊藤雄介(Amebreak)

TITLE:DJ BOBO JAMES a.k.a. D.L. PRESENTS 「HARD TO THE CORE」
ARTIST:V.A.
LABEL:バッドニュース/BACA-023
PRICE:2,300円
RELEASE DATE:NOW ON SALE

01.“OVER THE BORDER”/YOU THE ROCK & DJ BEN(93年)
D.L(以下DL)「この曲はコンピを作ろうと思ったきっかけの曲なんだよね。93年にこのネタ使いは早いし、HIP HOP IQが高すぎて、この頃のヤミ鍋みたいな、『この曲からアレ、あの曲からコレ』っていう……俺も“ILL SON”とか“FUNKY METHODIST”の頃はそういう手法でやってたからさ、その一番良い時期の、誰もが好きな良いネタ使ってるから、HIP HOPの良さを感じてもらえて分かりやすいと思ったんだよね。ベンちゃんは当時からすごい良い耳を持っていたと思うんだ。この曲は『音楽に国境がない』っていう主張が入ってるユウの一番カッコ良い部分が出てると思うんだ」


02.“SOUL BROTHER”/KAMINARI-KAZOKU. feat. D.L & DEN(05年)
ダースレイダー(以下DA)「D.Lさんの雷関係のプロデュース曲の中ではかなり気に入ってる曲だって、以前から言ってましたよね」
DL「(雷関係の曲は)あんまりやってないけど、この曲はすごい好きだな。この曲と“哀愁 '97”は、(雷関係の曲の中で)誰でも聴けるようなすごく窓口の広い曲だと思うんだ。コレでKAMINARI-KAZOKU.の魅力を知ってもらってアルバム『330 more answer no question』を聴いてもらったり、各メンバーのソロを買ってもらったりする入り口になればいいな、と思ったんだ」
DA「すごい長尺の曲ですよね。ずっと聴いてられるのがループ・ミュージックの条件だと思うんですけど、こういう長い曲も最近はあんまないな、って思って」
DL「俺は曲を売ろうって気がなくて音楽的に納得いけばいいや、って感じだから。“ブッダの休日”も8分ぐらいあるじゃん。そういうの多いんだ。良い曲だから勝手に広がって売れると思っている」


03.“DON'T TEST DA MASTER”/BUDDHA BRAND feat. NIPPS, LUNCH TIME SPEAX(00年)
DL「BUDDHA BRANDだとみんな“人間発電所”とか“大怪我”入れるって思うんだろうけど、違うな、と思って。この曲はイノヴェイティヴっていうか、最初(マニピュレーターの)D.O.I.君のところに持って行って『こういう風になればいいな』って思ってたのとは全然違うネタの使い方になっちゃったんだけど」
DA「(ネタを)粉々にしたって前言ってましたよね」
DL「そうそう。この曲以降、こういうネタ使いの曲があまりない気がして」
DA「ないですね。いびつなループだけど気持ちいいんですよね」
DL「あと、この曲はGOCCIが優勝だね」
DA「GOCCIさんは自分のライヴで今でも必ず演りますよね。調子良いとNIPPSさんのヴァースまで歌っちゃうっていう(笑)」


04.“ナゼナラ”/キエるマキュウ(00年)
DL「ずっとこのネタ良いな〜、って思ってたらこの曲で使われちゃったから悔しいんだけど、普遍的な音だな、って。まあ、内容はマキュウ・ワールドで狂ってるんだけど(笑)、絶対普通の人は選ばないだろうから入れて聴かせたいな、って思って。KICK THE CAN CREWとか童子-Tとか、ちゃんと枚数売れてるアーティストを聴いてるような人たちにこそ聴いてビックリしてもらいたい曲だね」
DA「『HIP HOPか否か』という線引きにおいて、『コレをHIP HOPと呼ばずして何と呼ぶ』という意味ではマキュウは最たる存在ですよね。ドラムの感じからラップの乗っけ方まで、他のジャンルにないですよね」


05.“GROUND ZERO”/LUNCH TIME SPEAX(98年)
DL「日本のHIP HOPのトップ5に入る名曲だと思うんだよね。音も内容もバランスも」
DA「メロウでドープって感じですよね」
DL「普遍的だと思うし、簡単には作れない曲だと思う。DJ DENKAが『コレでやろうと思ってるんですよ!』って最初にテープで持って来た時点で『あー、もう優勝したな』って思って超嬉しくなったな。コレでランチが最初に持つベルトの曲になるな、って思って『待ってろよ世の中』って思ったのを覚えてるね。エルドラド・クラシック!!」


06.“RAPPERZ ARE DANGER”/MICROPHONE PAGER(95年)
DL「この曲も使いたいと思ってたネタを先に使われちゃって、最初聴いたとき溜め息が出ちゃったね、『カッコ良いな〜』って。神々しいけど、ちゃんとゲットーなフィーリングもあるし」
DA「当時の東京の危ない街の裏側のムードがすごく上手く表現されてますよね」
DL「3人のラッパーも、こんなにBPM遅い曲なのにみんな流れるようにラップしてて、そこがすごいな、って思ってさ」
DA「MCが入れ替わるタイミングとかも完璧ですよね」
DL「最後のフックが『超えろ、超えろ』って言ってて『going on, going on』と聴こえが混ざってるんだよね。日本語を英語みたいに聴かすカッコ良さにこだわってやっていたように当時感じて、可能性を感じた曲なんだよね。まだNYに住んでいたとき、MUROが服の買い付けでNYに来てて12インチを持って来てくれて、『やられた〜』って思ってすごい悔しかったのを覚えている。『コレはペイジャー超えないとブッダはダメだな』って思わされた」


07.“FREE WAY”/DJ BEAT feat. SOUL SCREAM(95年)
DL「日本に帰国した当時、いろんなところでSOUL SCREAMとライヴ会場が重なって。繰り返しこっちのヴァージョンの“FREE WAY”を聴かされてて『良いループだなー。このネタ使いたかったなー』ってこの曲も思ってたんだ。その後ダメ押しでLARGE PROFESSORが“I JUSWANNA CHILL”で同じネタ使って『やっぱり良いネタだったなー』って思った。でも、それ以上にEGG MANが冷血な殺人者を演じてて、深いんだよね。このヴァージョンはSOUL SCREAMのアルバムにも入ってないからみんなに聴かせたかったんだ」


08.“末期症状”/MAKI & TAIKI feat. ZEEBRA, MUMMY-D(96年)
DL「もう、クラシックだね。この後もZEEBRAとMUMMY-Dのコラボレーションは何曲も出てるけど、この曲が一番タイトだと思った。あと、この曲で初めて日本人のラッパーが日本語ラップの曲を引用してるのを聴いたんだよね。『ウ、アー、感染ったー/ファンキー・ファンキー・ウイルスが感染った』ってトコ」
DA「ペイジャーの“RAPPERZ ARE DANGER”ですよね」
DL「そういうトコでも頭に残ってた曲なんだよね」


09.“暴言”/KAN, PRIMAL, 02, 太華, SHINGO☆西成, MEGA-G, メシアTHEフライ, SATUSSY, ERONE, HIDADDY, 志人(06年)
DL「(“暴言”のビートを“証言”に差し替えるっていうアイディアは)本当は2006年ぐらいからやりたいな、って思ってたことなんだ。もし“証言”のビートで“暴言”で演ってる人たちが歌っているヴァージョンが出たら、“証言”と混ぜてZEEBRAの次に漢が来るとか、G.K. MARYANの後にPRIMALが来るとか、そういう面白い遊びが出来るのかな、って思ったんだよね」


10.“CHECKMATES”/MURO feat. D.L.(02年)
DA「二人だけで演った曲はこの曲が初めてですよね」
DL「この曲は音がとにかく良いんだよね。サンプリングに聴こえるけど、実はD.O.I.君がピアノとか弾き直してるんだよね」
DA「あ、そうなんですか。二人のラップもこの時点での『良い時代に戻そう』的なテーマですよね」
DL「そうだね。MUROの“STREET LIFE”で歌われてるフレース(“普通じゃない刺激求め、お先見える保証がないスリル満点の人生、HIP HOP人生”)をフックに使おうってアイディアから産まれた曲なんだよね。そういえば今THA BLUE HERBがゲータレードのCMやってるけど、“STREET LIFE”は15年以上前に資生堂(UNO)のCMで当時使われたって考えると、MUROは早かったよね。どんどんこんな感じでいろいろなアーティストがCMに出て来たら良いと思う」


11.“GOD BIRD”/NIPPS feat. KB, XBS, GORE-TEX, DEV MOB X(02年)
DL「SOUTHPOW CHOP(DJ HISA)の最高傑作と言われる一曲だね」
DA「すごいいびつにシーケンスが展開しますよね」
DL「この曲のネタのサントラ盤を発見したとき、『アメリカのネタじゃなかったんだ』って分かってすごくビックリして、だから“GOD MOUTH (GOD BIRD PT.2)”を作ろうと思わされたんだ。アルバムの中の一曲だけをネタに使ってると思うかもしれないけど、実はアルバムの○曲目のこの音、□曲目のこの音って感じに、すごい細かい作業で作られてるんだよね。だから、ネタ見つけたときに作り手の裏側が見えて難易度の高いことやってるって分かってヤラれちゃった曲なんだ。マイク・リレーもみんな素晴らしいんだけど、やっぱりK-BOMBの一人勝ちかな」


12.“FIVE DEADLY MICS”/UZI feat. KENTA5RAS, DEV LARGE, 秋田犬どぶ六, MACCHO(04年)
DL「個人的にこの曲に参加してる人がみんな好きなんだよね。特にどぶ六の歌の能力がすごいな、って。MACCHOもやっぱりカッコ良い。KENTA5RASも良い。いや、みんな優勝だね」

■そういえば今回、異常にマイク・リレー物が多いですよね。
DL「うん、そういうところでお得感を出したかったっていうのもあるんだよね」
DA「マイク・リレーってHIP HOP独特なものだから、こういう曲があるのもHIP HOPならではの楽しみ方ですよね」


13.“COMBO”/GO FORCEMEN(03年)
DL「コレもマキュウと同じ立ち位置で、光の当たらないような一番地下でデッカイ音で鳴ってるようなHIP HOPを、普段聴かない人に無理矢理聴かせてやろう、って感じかな」
DA「マキュウもそうだったけど、この曲が出た当時、宇田川町界隈ですごく話題になった記憶があって。ちょっと音知ってるような人はみんな好きでしたよね」
DL「俺にとってはマキュウもGO FORCEMENもみんな身近な人たちなんだけど、彼らはいびつな異母兄弟って感じだよね」
DA「どっちともサンプリング美学にこだわり抜いてて、音の鳴らし方も含めてファンクですよね」
DL「何故ならどっちにもILLICIT TSUBOI君が絡んでるからなんだ。つまり『TSUBOI君=いびつなサンプラー』ってことで(笑)」


14.“サタDEFナイツ”/餓鬼レンジャー(00年)
DL「これはポチョムキンがやってたコンピの方(『RAP WARZ DONPACHI』)のヴァージョンなんだよね。こっちの方が音がワルい感じがして」
DA「そうですね。確かアルバム・ヴァージョンはバンドで演奏し直してますし」
DL「“BIG BEAT”の使い方がカッコ良いな、って。最初ラップが何言ってるか分からなかったけど、面白いな、って思って。ラップの乗せ方が上手すぎるって当時思ったんだ。やっぱりポチョムキン/EGG MAN/TWIGY/ハンガーは異常ににラップの乗せ方が上手い。この4人で一曲聴いてみたいね」


15.“口から出まかせ”/RHYMESTER feat. KING GIDDRA & SOUL SCREAM(95年)
DL「まあ、みんなよく知ってる曲なんだけどね。この曲を選んだ理由は、名曲だっていうのはもちろんあるんだけど、このコンピにヴァラエティ性を持たせたかったんだ。派閥って言い方ではないけど、『FGから誰、雷周りからは誰』とかいろいろ考えた中で、いろんな人の入ってるバランスの取れてる曲が“口から出まかせ”だったんだよね。あと、MUMMY-Dのトラックがラッパー毎に違うトラックに変わってくるのとか、ネタ使いも良かったし。あとこの曲、上ネタが変わるだけじゃなくてドラムも変わってるんだ。それでも変に聴こえないのがすごいなと思って。トラック・メイカー的な視点でものすごくクオリティの高い曲だと思う」
DA「サンプリングならではの発想ですよね。生演奏だと逆に絶対産まれない」


16.“夕陽のタンガンマン”/RINO(96年)
DL「フックがなくてもここまで聴き込めちゃう曲もないと」
DA「3分以上ずっとラップしてますからね」

■原曲を知らなくても『さんピンCAMP』のライヴ映像で観てる人とか相当多そうですよね。
DL「絶対そうだね。TEENA MARIEの“OOH LA LA LA”をもじってるんだろうけど『ウーマラマー』としか聴こえなくて(笑)」
DA「確かにそう聴こえますよね(笑)。RINOさんは独自の単語みたいのも多くて、今でも分からない言葉とか結構ありますよね。この曲はラッパーが聴くと即ラッパー・モードに火を着けちゃう曲で、聴き終わるとラップせずにはいられなくなるんですよね(笑)」
DL「この頃のRINOは神がかってたよね」
DA「しかもトラックがほぼドラムとベースだけで」
DL「削ぎ落としてコレだけしか残らないってトコまでやってる。YASマジック!!この頃のYASの仕事はLAMP EYEといい、神がかってた」