Amebreak AWARDS 2011(1/8) INTRO |
DATE : 2011/12/31 |

東日本大震災など、決して明るいとは言えない厳しい一年となった2011年ですが、それにも関わらず、日本のHIP HOPアーティストたちはたくましく数々の名作/名曲を生み出してくれました。そんな中で「Amebreakが考える2011年のベストとは?」という視点で、例年通り作品/楽曲/アーティストをピックさせて頂きました。様々な見方/意見が成立する多様化した現在のシーンではありますが、その中でのひとつの見方として本チャートをチェックして頂ければと思います!
選:高木“JET”晋一郎/伊藤雄介(Amebreak)
文:高木“JET”晋一郎/吉橋和宏/伊藤雄介(Amebreak)
談:高木“JET”晋一郎/伊藤雄介(Amebreak)
アート・ディレクション&デザイン:シーバス・エタミトラ
2011年日本語ラップ雑感
伊藤「今年はどんな年だったと思う?」
高木「高値安定って印象かな。どの作品もクオリティや構成力が高くて、だからこそ一歩抜け出るのはスゴく難しいのかなってリスナーとして感じた」
伊藤「いきなりブレイクスルーするアーティストが出てこないことを考えると、難しいってことになるよね。フリー・ダウンロードだって行って数千ダウンロード……それでも平均的な日本語ラップのCDの売り上げに比べると全然多いと思うんだけど……だから。そういう市場的な閉塞感は昔よりも強くなってる。それでも商業的な意味でリリースをする人たちっていうのは、そういう状況を前提にどうアイディアをひねり出して、リスナーに辿り着かせるかってことをひたすら考えてる人たちだから、そこにスゴく意地を感じるんだよね。ただ、なんとなく悶々としたムードには包まれてた感じがするし、だからこそ、小林勝行やSIMI LABみたいな独特な作品が光ったとも言えるね」
高木「加えてERAみたいに、価値紊乱するようなアーティストが突出して見えた」
伊藤「全体的に言うと、去年より豊作の年だったと思う。だけど、全体的な盛り上がりは弱かったのかな。それはやっぱり東日本大震災が大きな影を落としてるのかもしれない。例えばROMANCREWのアルバムのリリースはモロ震災にぶつかってしまったし、震災の前に出たアルバムはどうしても記憶に残りにくくなってしまったよね。そんな中でも印象に残った作品がこのアワードに選ばれた作品なんじゃないかなって、選者としては思う」
高木「盛り上がりという意味では、去年の『24 HOUR KARATE SCHOOL JAPAN』やRHYMESTER『マニフェスト』のような、お祭り感のある作品が少なかったかなって。それは震災の影響なのか、それともそういうサイクルだったのかは分からないけど」
伊藤「BEST SONGS部門のところでも語ってるけど、アンセム感は少なかったかな。そういう曲があればいいってことでもないんだけど、その意味では個々に独立した作品が多い年だったのかな」
高木「去年の方が、繋がり感というか、シーンへの目線が強かったように感じるよね」
伊藤「そうだね。且つ、その中にあった個人主義的な動きが今年形に表れたとも言えるだろうね。でも、ANARCHYは個人的な立ち位置からもっと広がりを持たせた作品作りにシフトしてるし、そういったムードはまた来年どういう動きになるか注目したいね」
高木「あと、ヴェテランっていう枠がまたちょっと変わったかなって。決してガッと若くはなってないと思うけど、それでも20台後半から30前半ぐらいまでのアーティストが良い作品を出して、シーンの中心になってきたってことが顕著になったかなって思うな」
伊藤「逆に言うと、もっと若い人たちが出て来てもいいと思うんだけどね。ベスト・ニューカマーだけじゃなく、ベスト・アーティスト/ベスト・アルバムにいきなり食い込んじゃうようなスゴい若いアーティストが出てきてもいいんじゃないかなって。でも、2010年から今年ぐらいにフリー・ダウンロード/ミックステープで注目されたアーティストが来年ぐらいには流通盤を作ることになると、またひとつ新しい波が産まれるかもしれないなって思うんだよね」
高木「個人的には、“言葉の年”になったって感じた。それはみんなラップが上手くなってるからってこともあると思うんだけど、そこから一歩抜け出た作品は、計算尽くでも天然であっても、単純だけど言ってることが面白かったし、特にベスト・アルバムに選ばれた作品は言葉の強さが際立ってた。でも、そのせいか『こんなフロウあるの!?』とか『こんなトラックあるの!?』っていうサウンドにぶっ飛ばされるような作品は、自分がチェックできた限りではそんなに多くなかったかな」
伊藤「王道がなくなった分、面白い音が出やすい環境にはあると思うんだけどね」
高木「そういったアーティストは独自だけど通好み/音楽リスナー好みって部分もあったと思うんだ。そういう部分に加えて、もっとポップだけど刺激的な音作りが出来るアーティストが出てくると面白いと思うんだよね。それが来年のSALUになるのかはちょっと分からないけど」
伊藤「あと、昨年以上にTwitterをはじめとするネットへの依存度が高まってるよね。発信する側もfirestrageみたいなファイル転送サービスだけじゃなくて、BANDCAMPやSOUNDCLOUDって、自分の表現したい方向に相応しいシステムを選択するようになってるし。でも、ネットの自主的な選択制や双方向性も素晴らしいんだけど、それ故に何を注目すればいいかの判断や選択が本当に難しくなってるんじゃないかなって。『RAPSTREAM』で新譜ミックスをやってるのも、時には双方向じゃなく、一方的に情報を流す状況も必要だと思うからなんだよね。自分があまり聴かないようなタイプの楽曲でも勝手に耳に入ってくる状況を作るのは大事なんじゃないかなって、逆に今のような選び放題な状況だと感じる」
高木「でも、いよいよ共通の流れだったり全体的なムード、傾向を見つけるのは難しくなってるね。そうなるとサイトとしてベストを選出するっていうのは……」
伊藤「毎年言ってるけど、もう意味があるのか分かんなくなってるし、正直順位つけるのなんてやりたくない! 言い訳じみててイヤなんだけど(笑)。でも、ベスト・アルバムに関しては順位うんぬんはあるだろうけど、妥当な選択だと思うんだけどね」
高木「ではそのベスト・アルバムから見て貰いましょう」
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