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[新連載] BEAT SCIENTISTS 〜HIP HOPのおとづくり〜 VOL.1 feat. PUNPEE

インタビュー:高木“JET”晋一郎

 今回からスタートする、トラック・メイカー/プロデューサーにスポットを当てたインタビュー企画:『BEAT SCIENTISTS〜HIP HOPのおとづくり〜』。現行で活躍するトラック・メイカー/プロデューサー/エンジニアといった「音の作り手」たちは、いかに音楽を生みだし、いかに音楽をコントロールし、いかにマジックをかけるのか、この企画を通してそれを一端でも明らかにしていきたい。
 
 第一回目に登場して頂くのは、S.l.a.c.k.(5lack)/GAPPERとのユニット:PSGや作品集「MOVIE ON THE SUNDAY」のリリース、RAU DEF「ESCALATE」のトータル・プロデュース、そして様々なMCへの楽曲提供やリミックス・ワークで八面六臂の活躍を見せるPUNPEE。決して多作家ではないが、発表する楽曲毎に実験精神とポップが込められたトラック/プロデュース・ワークは、彼と近しい池袋を中心とした東京アンダーグラウンドだけではなく、般若やNORIKIYOなどのハードコア勢、ポチョムキンといったベテランまで幅広く需要され、現行のHIP HOPにおいて最も「求められている」トラック・メイカー/プロデューサーのひとりであることは間違いないだろう。曲毎にまったく違ったアプローチと展開を見せるのも彼の大きな特徴でもあるが、。彼の変幻自在なトラック・メイクはどのように生みだされるのか、彼の口から語ってもらった。
 
 
■まず、PUNPEEくんの元々の音楽遍歴を教えて下さい。
「もともとバンドをやってたんですよ。で、自分でも8トラックのMTRを買って、ギターとドラム・マシンとベースって感じで曲を作ってたりもしてて。内容的には今はあんまり言いたくないようなひどい感じだったけど(笑)。でも、サンプラーを楽器として使い始めてたから、ループに楽器を加えてっていう方法になったぐらいから、曲制作の手応えが出来てきたかもしれない。その方法はBEASTIE BOYSの伝記本(『A HISTORY OF THE BEASTIE BOYS—RHYMING & STEALING』)から知ったんですけど」
 
■サンプラーを買ったのは?
「キッカケはスペースシャワーTVの番組かなんかーー多分『メガロマニアックス』かなーーで、DJ KRUSHさんがサンプラー内蔵のミキサーを使って、リアルタイムでサンプリングとエフェクトかけながらDJしてたんですよ。それを見て、俺もDJセットを買うときに、『DJにもサンプラーは必要なんだよな』って、ZOOMのサンプラーを買ったんですよね。だから、サンプラーも最初は曲を作る機材っていうより、音を出す道具って感じで手に入れて」
 
■バンドはいつからいつまでやってたの?
「中学ぐらいから高2ぐらいまで。大学でも友達のバンドのサポートとかではやってたんだけど、全然やりたくない、ビジュアル系のバンドのベースとか弾いてましたよ」
 
■見たかったな(笑)。
「……期待してるみたいに化粧とかはしてなかったすけど(笑)。あとJUDY AND MARYみたいなバンドのサポートとか、色々やりましたよ。オーディションの日に寝坊してクビになったけど(笑)」
 
■楽器を始めたのは、音楽ファンであるPUNPEE君の父親の影響?
「そうっすね。それで楽器も始めて。歌謡曲も全然聴いてましたよ。DA PAMPとかミスチルとか。で、中3ぐらいからHIP HOPを聴きはじめて」
 
■じゃあ、基本的にジャンルは関係なく聴いてたんだ。
「自分でもいろんなものを聴いてたし、親父も色んな音楽をライブラリしてたんで、そこの影響も大きいです」
 
■ただ、満遍なく聴くと言っても、ある程度の好みの指針というか、音楽に対してピンと来るポイントがあると思うんだけど、それは言葉にするとどういうモノになる?
「それも時期によって変わりますね。DJ PREMIERを掘ってたときは、ビートの太い感じとか、チョップの仕方の面白いモノを探してたし、ジャジーなものを掘ってたときはメロディ先行だったり。ミクスチャーも聴いてたし、BECKみたいな、HIP HOPを通過したロックは影響を受ける部分もありましたね。そういう周期が1年ぐらいであるんですよね」
 
■今の話だと、PUNPEE君が中高生だった90年代後半〜00年ぐらいの、音楽が細分化され切らないでグチャグチャ混ざってた状況にも影響を受けたのかなって思うんだけど。
「そうっすね。たぶん、海外だとジャンル分けされてたんだろうけど、日本に入るときに“ストリート系”って分け方で一緒になっちゃったりしてたから、その流れで何でも聴いたり」
 
■“渋谷系”で一括りにされたり。
「そうそう(笑)。そういう雑な箱に入れられちゃって、ロックもHIP HOPも一緒に括られてたけど、そういういろんな音楽を雑多に、リアルタイムで見てたのが結構、自分の音楽観に影響してるかなって」
 
■その意味では、PUNPEE君は「HIP HOPを作ってる」って感覚はある?それとも、もっと視点は広いのかなって。
「もともとがそういう感じだったから、HIP HOPだけを聴いてHIP HOPを始めた人たちとトラックを一緒に作ったときに、作り方が全然違ったんです。結構みんな『4拍目で音を抜いて』とかロジカルな感じで。逆に俺は楽器も使うし、すごく感覚で作ってたんですよね。だから、そういうHIP HOPの理論での作り方は逆にフレッシュに感じて。俺は結構、曲に展開をつけちゃうんだけど、ワン・ループだけでどれだけいけるかみたいな、そういうHIP HOPの作り方に結構驚いて。だから、後からHIP HOP的手法に影響を受けたかもしれないっすね、ラフな感じも含めて」
 
■実弟である5lack君のトラックは感覚っていうのがすごく分かるんだけど、PUNPEE君の作品は構築性が高いから、感覚で作ってたっていうのは意外だな。
「でも、そういう(構築的な)方向に今は行っちゃてるって感じもありますね。昔から整ったものは好きなんだけど、そっちに針が振れすぎてるかなって。だから、5lackの曲を聴くと、なんで兄弟でここまで違うんだろうって思いますね」
 
■リスナーだけじゃなくて、当事者でも思ってるんだね(笑)。
「昔からクセなんですよね。俺はビートに意図しないズレがあったりしたら、それが直るまで組み立て直したりするし、MPCで音階をつけても、ヘッドフォンで聴こえる音像だけじゃなくて、スピーカーに差し替えて、そこでもちゃんと正しい音階になるかを確かめたりしちゃう。だけど、弟は頭から最後まで一発録りでビート作っちゃったり。だから、性格なんでしょうね」
 
■確かに、環ROYとの“GOD ONLY KNOWS”では、Aメロ/Bメロ/サビみたいな、すごく王道の展開を作ってたよね。
「あれは展開でいろいろ実験した曲ですね。ROYくんからもそういう要望があって。難しいけど展開つけるの好きです」
 
■でも、一方でISSUGIの“Mr. RAMPAGE feat Mr.PUG (MONJU)”だと、モロにワン・ループだったり。
「もう、ホントに日によってですね(笑)」
 
■だから、この連載第一回目に登場してもらったのが、一番何でも出来る人で、同時に、一番作家性が見えづらい人だったなって(笑)。
「ハハハ。でも、自分でもそう思います。俺の作家性は裏声で『P』って入れるぐらい(笑)。朝起きたら作りたいモノが変わるし、(方法論的に)色々出来るようになったから、オーダーをくれる側からも『こういうのを作れる?』って最近言ってもらえるんですよ。で、それに合わせて作ったり。そういう流れで、ドンドン手が広がっていった感じがありますね。そういうオーダーに合わせて曲を作っていくのも挑戦できるし楽しいし
 
■トラックを作るときはどこから取り掛かる?
「7割ぐらいサンプリングですね。サンプリングからインスピレーションを受けて、それをそのまま使ったり、チョップしたり、コードだけ抜き出して他の楽器で弾き直したり、って取り掛かる感じです。たまにドラムから浮かんだりもしますね。『MOVIE ON THE SUNDAY』に収録したTWIGYさんの“七日間”のリミックスはドラムからですね」
 
■あの音頭調のドラムね(笑)。じゃあ、リミックスはストックをはめてじゃなく……。
「ほとんどゼロから作りますね。リリックとラップから受けた印象を基に」
 
■制作機材は?
「メインはAKAIのMPC2000XLで組んで、それをProToolsに流し込んで、PCで楽器やソフト・シンセを加えたり展開をつけてって感じです。だから、すごくオーソドックスです。サンプラーってやっぱり叩くって言う楽しさもあるから、MPCがメイン機材になってますね」
 
■作る時間帯は?
「朝が捗るっすね。色んな時間に作るけど、普通のサラリーマンみたいに、9時〜5時とかで作ります。アイディアとかは夜に浮かぶことが多いけど、作業は昼間ですね」
 
■ネタの堀りはどのように?
「結構掘るけど、インターネットで見つけたネタの“旋律”だけ、弾き直して使っちゃうっていうのもあります。ソフトシンセいじれば古っぽい音も作れるし。もちろんアナログからサンプリングするのが一番音が良いのは分かるんだけど……って感じで。割と弾き直しは多いですね。RAU DEFをプロデュースした最近の曲とかもかなり弾き直してます」
 
■サンプリングについてはやっぱり取り巻く状況は現状かなりシビアだと思うんだけど、それはどう考えてる?
「難しいっすよね。弾き直したりバラしたりって言うのもクリエイティヴだと思うし、一方で素材をそのまま使うも本当に魅力がある。でも、後者はKANYE WESTぐらい稼がないと出来ないし……。だから永遠にグレー・ゾーンなところかもしれないですね。自分としても葛藤があります」
 
■ちなみに、トラックをサンプリングせずに作ることは?
「“GOD ONLY KNOWS”はそうでしたね。“M.O.S.I”(PSG)も“Mr. RAMPAGE”も。TEI TOWAさんの“THE BURNING PLANE PUNPEE REMIX”もゼロだったし、般若さんの“ポイ”も。サンプリングみたいだけど、実は自分が唄ったのにエフェクトかけて、サンプリングっぽく聴かせてるのもあったりするんで」
 
■弾きとサンプリングはどんな差がある?
「弾きの方が時間はかかりますね。やっぱり、インスパイアなしでゼロからはちょっと手間取る感じもあって。サンプリングが“楽”なんてことは全然ないけど、サンプルの組み合わせでしか起こりえない化学反応もあるし、その逆もあるって思うんですけど、自分にとってはサンプルを組み合わせて化学反応を起こす方が得意というか、手軽ではありますね、やっぱり。変な化学反応が起きることも多いし」
 
■作る幅の広さはあるけど、ポップ・センスみたいな部分はどの作品にも共通してるなって感じるんだけど。
「無意識にそうなる部分と、意識的な部分と両方ありますね。“かみさま”とか“寝れない”(PSG)のフックなんかは、完全に無意識に浮かんだ部分だったり。でも、RAU DEFのアルバムをプロデュースしたときは、今までにない風の感じをRAU君とやりたいなって。例えば“DREAM SKY”は、感覚で作るんじゃなくて、流行ってるモノとポップさを理屈で取り込んで」
 
■確かに、“DREAM SKY”は現行性の強い曲だったけど、それは意図の元だったんだね。
「“かみさま”とかは子供でも喜ぶようなキャッチーさだけど、“DREAM SKY”はもっとカッコ良いキャッチーさを(構造的に)作ろうって。だから、“かみさま”タイプの曲はパッと浮かぶけど、“DREAM SKY”タイプのはちょっと考えるっすね」
 
■ポップさという意味でも、自分の世界だったり、「閉じた」部分は少ないと思うんだけど。
「『自分の世界で100%、外部を気にしないで作る』っていうのはスゲェカッコ良いと思うんだけど、自分がするのはちょっと違うかなって。それよりももっと客観的なバランスを取った、聴いてくれる人との公約数をもったトラックを作るのが好きですね」
 
■では、100%自分の世界で作らないのは?
「映画の影響なのかな。監督が自分の世界で好き勝手にやってる映画より、ぶっちゃけハリウッド映画の方が好きだし、自分がそういった映画を好むように、リスナーもそういう望み方をしてるのかなって。タランティーノも題材や見せ方がマニアックだったりするけど、それでもエンターテイメントじゃないですか。自分もそういう方向に行ってしまうクセがあるというか」
 
■あと、音も敷き詰めてるよね。
「それもクセですね。作っててそうなっちゃうっていうか」
 
■隙間恐怖みたいな感じ? 波形で見て隙間あると怖い的な。
「PSGの『DAVID』のときとか、もっとそういう感じがあったんだけど、ここ最近は……そういうモードということで(笑)。でも、抜きや間の多いBuda(munk)君の曲とかには、自分にないカッコ良さをすごく感じるのでうらやましいです」
 
■影響を受けたトラック・メイカーは?
「いっぱいいるけど、ひとりにCHAKLIKI君という人ですかね。BLYYってグループのメンバーだったんですけど、Ishihara Satoshiっていう人のアルバムを昔、全曲プロデュースしててそれがとてもカッコ良いです。ずっと好きなのはBACHLOGIC君ですね。今後、HIP HOP周りでこういう人は出て来ないんじゃないかなって。プロデュースもトラックもエンジニアリングも出来てっていうマルチな存在としても。人間的にもすごい人だし」
 
■では、自分の中で転機になった曲は?
「RAUとの曲もそうだけど……、やっぱりカトマイラのアルバム『三十路の投げKISS』かなあ。最初は手売りだったけど(後に流通リリース)、作品全部をプロデュースしたって意味でも。それから、流通物としては、一番最初に参加させてもらったCAMEL BACK“My spice Of life (Spice "P" REMIX)”がやっぱり転機ですね。ラップでは『CONCRETE GREEN』に入った“お隣さんより凡人”は一番最初に、ソロのラップ作品で初めて流通にのったから記憶に残ってます。あと、casual villainってルイジアナのラッパーの“Otaku (totally Awesome Remix)”って曲に乗った8小節はダーマス(SUMMITレーベルA&R増田氏)がスゲェ感動してくれましたね」
 
■PUNPEE君にとって“プロデュース”と、“トラック・メイク”はどんな違いがある?
「トラック・メイクはホントにトラック投げて終わりだったり、投げて声が入ってそれを手直しして終わりだったりするけど、それにラップや内容に関してディレクションしたらプロデュースっていう些細な違いかな。でも、トラック・メイクでも勝手に声入れて返しちゃったりするからな……(笑)。般若さんの“ポイ”とか、ラップが入ったヴァージョンが返って来たときに、トラック部分に自分の声も入れたんですよ。『民族音楽っぽいサンプルを足しました』っていって。しっかりバレましたけどね(笑)。でも、トラックを作ってるときに、メロディがもう浮かんでたら、勝手にフックに入れて送ったりとか、(指示する部分を込みで)してますね。どっちが好きかっていったら、やっぱりプロデュースですね。でも、トータルで全部やるとなると、すごく濃くなると思うんですよね。単純にカッコ良いって言うんじゃなくて、俺がプロデュースすると、ウチの母親の声とか入っちゃうし(笑)。だから、俺の部分が強くなり過ぎちゃうかなって。RAU DEFのときは上手くコントロール出来てたのかもしれないけど、今やるとそうなりかねない(笑)。WATTERのアルバムでも、俺の曲だけ異質だなーって感じだったし(笑)」
 
■PUNPEE君の曲は毎回実験してるし、“PUNPEE節”がないのはそういう部分があるからなのかもね。
「そうなのかも。毎回実験はやりたいし、普通に作ったトラックが2Dだとしたら、そこに実験を加えて3Dにするっていうのが自分のトラック・メイクのイメージで。ラッパーでも、単発で俺と一緒に実験したいっていうのがあれば、一緒にやりたいですね。自分も相手もお互いに実験できるっていうかのが理想かな」
 
■自分で考える、自分のトラック・メイカー/プロデューサーとしての特色ってどんなところだと自覚してる?
「う〜ん……パッと浮かぶとすると、『楽しい』より『愉快』って感じかな。そこに若干のボンクラ感もありつつ。でも、『ニクい』って思ってもらえると嬉しいっすね。NORIKIYO君の“待ちぼうけ 〜Baby Baby〜 feat. PUNPEE”でも、内容ひっけかけて、COMMONの“I USED TO LOVE H.E.R”のフレーズを使ったり、そういうのが好きですね」
 
■そういう粋さというか。
「うん。粋とかニクいって思ってもらえるのが嬉しいかも」
 
■例えば、BPMが140近いようなビートとかはほとんどやらないよね。これだけ幅広く出来る人なら、エレクトロとかも出来るかと思うんだけど。
「ないっすね。なんか、速い曲を作ると、自分の中で追いつけない感覚があって。だから限界120BPMぐらい」
 
■「追いつけなさそう」っていうのは、ラップを想定するとってこと?
「潜在的にはそういうのがあるかもしれないけど、単純に140ぐらいのテクノとかをそんなに知らないからかも。半分でビートをとるとかは全然ありなんだけど、オンで高速ビートはやらないですね。自分の体感の中に、もしかしたらそういうビートはないかもしれない。JUKEやFOOTWORKみたいに高速でも半分でも取れるビートは作ったりしますけど」
 
■トラック・メイクとラップってどっちが自分にとって重要な要素?
「トラックっすね。でも、全部を含めて楽曲制作だからどちらも取り除けないし、共存している要素なんだけど、トラックの方が自分っぽいっていうか、素に近いですね。だから、ひとりで家でやってるのが好きみたい(笑)」
 
■最後に、トラック・メイカーとしての今後は?
「トラック・メイカーっていう存在から、若干、個性(派)っぽくなってるから、……でも、続けます(笑)。これからも楽しんで出来ればなって。楽しんで出来る範囲も広がってきたし、トラック・メイクってこと自体、自分の中のアイディアやイメージを吐き出してるモノだから、この行動は永遠に止まらなそうですね。あと、こういうトラック・メイカー/プロデューサーを取り上げる企画が生まれて本当に嬉しいっすね。最近こういうの、あんまり読む機会がなかったから。続いて欲しいです」
 
 
 
PUNPEE's INFLUENCES
“GRINDIN'”/CLIPSE
「JERU THE DAMAJAの“COME CLEAN”はリアルタイムで聴いていないけど、この曲をはじめて聴いたとき『あ、それのアップデートなのかもこれは!』と興奮した記憶があるす。(機材の)プリセットをあんまいじんないで作った的な噂を訊いたことがあるんですけど、この頃ぐらいからプリセットっていう物を意識した気がします。THE PACKとか、ミニマルなHIP HOPってこのあと増えた気もします』

“I WANNA GET HIGH”/CYPRESS HILL
「一番最初にHIP HOPを聴き出したとき、ミクスチャーの流れかもなんですけど、FUNKDOOBIESTとかWHOOLIGANZとか、SOUL ASSASINSのざらざらした音には結構ヤラれました。B-REALもカッコ良いですけど、初期のDJ MUGGSの音はDJ MUGGS節あったっすよね。噂だと若いときのALCHEMISTが名前出さないで(出せないで)やってたという話もあるけど」

KANYE WEST “ALL FALLS DOWN feat. SYLEENA JOHNSON”
「カニエが出てきたときは『何これサンプルに声入っちゃってるじゃん!!』って結構驚いた気がします。TWISTA feat. KANYE WEST & JAMIE FOXX“SLOW JAMZ”とか。それまで部分的には入ってたけど」

JURASSIC 5 “SWING SET”
「J5っていうかCUT CHEMISTなんですけど、DJ SHADOWとか、今より運動神経より知識先行だった時代に自分も結構ブレイク・ビーツを今より掘ったりしていた気がします。「DJ SHADOWはブレイクをハイ・ハット単位でチョップしてそれを一個づつミックスかけてるらしい!うわーキラキラ」みたいな。夢見る少年。またブレイク・ビーツもの流行らないかな……」

JUSTIN TIMBERLAKE “SEXY BACK feat.TIMBALAND”
「結構、展開つけ始めた頃のTIMBALANDもよく聴きました。TIMBALANDはゲップの音入れたり、女の人の金切り声とかでループ作ったり、創作ってなに取入れても、カッコ良くなればいーんだなーと、面白がって聴いてます」
 
『A HISTORY OF THE BEASTIE BOYS―RHYMING & STEALING」(伝記本/ブルースインターアクションズ刊』/BESTIE BOYS
「ってかビースティ全般なんですけど、あの伝記を読んだあとに聴いた1st『LICENSED TO ILL』はかなりヤラれていた気がします。一番好きなのは『PAUL'S BOUTIQUE』ですけど。(ビースティの使ってた)G-SON STUDIOは庭にバスケット・コートがあって、チルしたらいつでもマリオ(・カルダートJr.)がいて録音待機状態。ノリで弾いてみた曲で良いリフが出来て『じゃぁサンプルしてみよう』っていって、8chぐらいのレコーダーに重ねていって……夢の様な生活。今も憧れている生活」
 
 
 
PUNPEEプロフィール
 ラッパー/トラック・メイカー/プロデューサー/DJなど、多岐にわたる活動を見せるPUNPEE。MCとして2006年のUMBにて東京代表として勝ち抜いたことを皮切りに、PSGでの活動やソロ、そして様々な客演を通して、その注目を集める。トラック・メイカー/プロデューサーとしては、PSG「DAVID」のトータル・プロデュースや、RAU DEF諸作のトータル・プロデュース、般若、鬼、環ROY、NORIKIYO、SEEDAなど様々なアーティストの楽曲を手がける。リミキサーとしてはtofubeats feat. オノマトペ大臣「水星 EP」収録の“水星 (Roller Skate Disco REMIX)”や、「AVALANCHE Bonus CD-R」収録の曽我部恵一 feat. PSGでの“Late Summer Symphony (P's Mush Up MIX)”等の他、エンジニアとしてもISSUGI「Thursday」「The JOINT LP 」を手がけるなど、その活動は幅広い。最近作に「MOVIE ON THE SUNDAY」。