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#RAPSTREAM CO-SIGN VOL.8 feat. 三島 a.k.a. 潮フェッショナル

文:伊藤雄介(Amebreak)

 
「俺の動きが凄すぎてさ 3Pしてると思ったらしい/俺の裸の姿見てさ 3本足だと思ったらしい/うつ伏せでエロ本見てたらさ 勃起して体浮いてたらしい」(“すぐいる?”)
 
 ……クラブで知り合い、それ以前からフライヤーなどで度々その名を目にしていたMC:三島 a.k.a. 潮フェッショナルを、筆者がライヴで初めて観たときに、彼が演っていたのがこの曲だった……。そのときの正直な感想は、良くも悪くも「ああ、やっぱり……(笑)」という感じだったのだが、7月にリリースされる1stアルバム「ナリモノイリ」を聴いて、下ネタだけではない、彼の奥深さを思い知らされた。そんな彼のこれまでの道程を少し掘り下げてみよう。
 
 
「小学校の頃はサッカー少年でしたね。サッカー・ボールと女のケツばっか追いかけてました。“Dr. PUSSY”って曲で『4歳でエロ本万引きしてる』って歌ってるんですけど、アレはリアルで、近所の本屋で万引きして見つかって、親と謝りに行ましたね。田舎の本屋で街に一個しかなかったから、親も本屋さんと知り合いで、幼稚園の先生も苦笑い、みたいな。多分俺、日本でエロ本万引きしたヤツの最年少なんじゃないかなー」
 
 ……やっぱりエロじゃねえか!といった感じの幼少期を過ごした三島は、昭和55年生まれ。皮肉にも、今や福島県で最も有名な街のひとつとなってしまった南相馬市出身だ。
「(地元は)何もないところでしたね。娯楽もなくて、カラオケもなければバーもなくて。田舎モンでも都会でサヴァイヴしていこう、っていう何クソ根性みたいのは南相馬に住んでて育まれたかもしれないです。でも、この街にいても何も出来ないんだろうなあ、っていうのは思ってて、東京に出て来て。まあ、最初東京に来た理由は、当時付き合ってた彼女が東京に住み始めたからそこにゴロニャンしただけなんですけど」
 
 そんな三島とHIP HOPとの出会いは中学生の頃だったという。 
「俺らの世代はみんなそうだと思うんですけど、スチャダラパーから入って。田舎だったからタイムラグはありましたけど、高校に入ってギドラとかBUDDHA BRANDとかを聴いてヤラれちゃって、自分でラップをやろうとまでは思ってなかったけど、そこからずっとヘッズですね。特にヤラれたのはブッダかな。『大怪我!』とか、そんな他愛もない言葉でこんなカッコ良い言い方できるんだ!って思って。この人たちはどんな下らないこと言ってもカッコ良いんだろうなあ、って、そこが自分の性に合ってた」
 
 そして、彼がラッパーを志すようになったのは、上京した後の19歳の頃だ。
「東京に来てから、18歳ぐらいの頃にDJ始めようと思って。モテるかな、と思って。当時は『家にターンテーブルあるよ』って言ったら女の子が食い付く、みたいのがあったんですよ。それでターンテーブル買ってみたんだけど、レコード買うのにカネがかかるじゃないですか。DJも上手くなんないし、俺、大丈夫かな?とか思ってたとき、とあるカウントダウン・ライヴでZeebraさんを観に行く機会があって。俺、中卒なんですけど、ジブさんも中卒じゃないですか。そんな人がこんな大人数を沸かせることが出来て、良い歳こいても落ち着かないでいることが出来るなんて、この職業いいな!って思ってラッパーになろうと思いました」
 
 ラップ歴10数年で1stアルバムをリリースということは、かなり遅咲きなルーキーだが、三島は都内のクラブを中心に地道に活動を続けてきた。当初は“三島”という名字だけのMCネームだったようだが、ふとしたきっかけでこのインパクト大なa.k.a.が生まれる。
「“三島”って名前だけでネットでエゴサーチしても全然出て来ないわけですよ。俺、ソロだからグループ名も無いし、自分で造語でも作らない限り(検索しても)俺に辿り着かないな、って思って。自分の身の丈に合った別名を考えたとき、コレしかなかった(笑)。……俺、本当に得意なんですよ、潮を吹かせるのが。それで、自分の頭の中で“潮フェッショナル”ってつぶやいてみたら、『あ、なんかしっくりくるな!』って思って(笑)。この別名にこだわりがあるってわけじゃないんですけど、まあ、印象付けるためですね」
「とにかくエロにまつわることが好きなんですよね。ヤるのも自分でするのも、文化も含めて。頭から離れることがないし、エロを絡めて上手いことを言いたい、って常に思ってて脳味噌が起動してますね。今日は『AV女優も真っ青な竿』ってフレーズを思いつきました(笑)。思ったんですけど、エロな話を曲の一部で歌うとかパンチラインとかは結構あっても、一曲丸々エロのことについて歌ってる曲って、実は意外と少ないな、って思うんですよね」
  
 やはり、三島というMCを語る上で“エロ”は欠かすことのできない要素なようだが、その道を極めた者だけが描くことが出来る表現というのもあるわけで、そういう意味で彼の1stアルバム「ナリモノイリ」はその片鱗を感じることのできる、充実した内容となっている。
 
 単純に「自分がしっくり来るトラックがずっとなかった」ために、リリースがこのタイミングになったという「ナリモノイリ」は、前述の“すぐいる?”も収録されているが、目立って下ネタを強調した曲はこの曲ぐらいだ。“すぐいる?”から、ONE-LAWの「MISTY」にオリジナル・ヴァージョンが収録されていて、同作中最もエモーショナルな曲だった“提灯”(「ナリモノイリ」にはリミックス・ヴァージョンが収録)まで、下らない曲からシリアスな曲まで、ヴァラエティ豊かなトピックが並ぶ「ナリモノイリ」は、筆者の当初の予想以上に聴き応えのあるアルバムに仕上がっていた。そして、そんなアルバムの制作における彼のヴィジョンの確かさは、以下の発言にもよく表われ ている。
「俺は俺なりに王道なHIP HOPだと思ってるんですよ。USだとLUDACRISとか、スゲェとんでもないバカな曲も歌えば“RUNAWAY LOVE”みたいにマジな曲もあって、それぐらい振り幅があるのが好きなんです。日本って『エロ=色モノ』って思われすぎちゃってるのかな、って。でも、USだとメインストリームの連中もみんなそんなことばっか言ってるし」
「北野武がテレビで“振り子理論”の話をしてて、『すごいバカなことを出来るヤツはマジメなことも出来る』って言ってて、それに対して『こうあるべきだ』って思ったというよりは『コレ、俺の考えと一緒だな』って思ったんですよね。“すぐいる?”とか“Dr.PUSSY”とか、内容はバカじゃないですか。でも、そこまで行った後に聴く“提灯”とか“銀舎利”を聴けば、そのギャップでもっと入り込みやすくなるかな、って思うんですよね。今後、2nd~3rdとか出すことになっても常にその振り幅は大事にしたいですね」
 
 だが、南相馬出身である三島の「ナリモノイリ」は、「震災/原発以降」の視点が反映された曲がほとんどなく、その点は少々意外にさえ感じたのだが、それに対する彼の回答は以下だ。
「実家は原発から20キロ圏内だから、今は住めないですね。正直、(震災に関する)曲は書いたんですよ。でも、フックが思いつかなくてずっと悩んでて日が経っていくと、どんどん地元の状況が変わってきたから言いたいことも変わってきて。自分は、当事者と言えば当事者じゃないですか。だからこそ分からなくなってきたところがあって。何が正しくてどうすべきなのかとか、どう歌って地元の人に伝えるべきなのか、混乱してしまって書けなくなっちゃったんですよね。でも、故郷に対する想いは昔より出て来たかもしれないです。盆暮れ正月に帰ってたぐらいで、地元を捨ててきたぐらいの気持ちで東京に出て来たから、地元に戻りたいって一回も思ったことなかったんですけど、いざ20キロ圏内になって立入禁止になって、ダメって言われたら逆に恋しくなってきて」
 
 福島出身のMCで、故郷を歌った曲と言えば鬼の“小名浜”が思い浮かぶが、三島も今後の作品でそういった曲が聴けるかもしれないし、個人的には期待したい。三島自身も、今作を皮切りに更に制作を加速しようと企んでいるようなので、今後の動きが楽しみだが、まずは7月26日に発売される「ナリモノイリ」と、『RAPSTREAM』でのライヴをチェックして彼の真価を確かめてみてほしい。
「来年頭にEPぐらいは出したいですね。今作はフィーチャリング曲が少なかったんで、今までやりたくて出来なかったフィーチャリング曲多めで出してみたいですね。あと、DIAMOND LISTとかKING104と一緒に何かやろうって話はしてますね。(将来的には)ラッパーとしてだけじゃない部分でもっと世の中に出たいですね。Vシネ俳優とか。AV男優は流石に母ちゃん泣いちゃうからキツイかなー(笑)」
 
三島 a.k.a. 潮フェッショナルは6月23日(日)放送の『RAPSTREAM』内コーナー『RAPSTREAM CO-SIGN』に出演予定!20:30頃登場の予定です。お観逃しなく!


 

 
 

Pickup Disc

TITLE : ナリモノイリ
ARTIST : 三島 a.k.a. 潮フェッショナル
LABEL : TaG MARCY ENTERTAINMENT/TMECD-001
PRICE : 2,310円
RELEASE DATE : 7月26日