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READ THE "LABELS"! VOL.4: DLIP RECORDS (feat. DUSTY HUSKY/RHYME BOYA/MILES WORD)

インタビュー:高木“JET”晋一郎

 神奈川県・藤沢、通称MOSS VILLAGEを中心に活動するDINARY DELTA FORCEとBLAHRMYを中心に立ち上げられたレーベル:DLIP RECORDS。サンプリングを基調とした、90's HIP HOPを想起させるサウンド性と、ライヴで見せるタフな振る舞い/パフォーマンスは、一言で言えばドープ。そういった空気感を纏いながら、上記2グループに加え、レーベル内ユニット:SEGA FRONT GIANTSの結成や、サウンド面の要とも言えるNAGMATICのオリジナル・アルバム、そしてDJ陣のミックスCDなど、数多くの作品をリリースしてきた。
 
 しかし、今年に入りリリースされたRHYME BOYA「FLOWMOTION」、そしてDUSTY HUSKY「DhUuSsTkYy」など、これまでのDLIPのカラーとは異なった彩りを持つ作品がリリースされ、レーベルとしての広がりを感じさせる展開を見せている。
 
 本質の部分は墨守しながら、その上で進化と変化を続けるDLIP RECORDSについて、本稿ではDINARY DELTA FORCEよりRHYME BOYA、DUSTY HUSKY、BLAHRMYよりMILES WORDの三人に、そのイズムを伺った。 
 

DUSTY HUSKY

■DINARY DELTA FORCEをはじめとするMOSS VILLAGE周辺の成り立ちについては、Amebreakでの過去インタビューや様々なメディアで触れられているので、今回はレーベルとしてのDLIPについて中心に伺おうと思うんだけど、まず、DLIPとしての一番最初のリリース物は何になるの?
DUSTY HUSKY「『SOUNDTRACK TO THE BED TOWN』(2010年)のアナログ2LPですね。その1ヶ月後ぐらいにCDでもリリースになるんで、その二枚がDLIPの初めての作品になるんですけど、厳密に言うとアナログ盤が最初のリリースですね」
 
■その前にDINARY DELTA FORCE「FUJISAWA TIMES JPN TO NYC」や、BLACK LIST POSSE(DINARY DELTA FORCE & BLAHRMY)の「FLIPPIN' DA STAGE & PAGE」の制作とリリースがあるけど、それはDLIPのリリースではないんだ。
DUSTY HUSKY「『FUJISAWA TIMES JPN TO NYC』はNYでプロモーションで撒いた盤だし、『FLIPPIN' DA STAGE & PAGE』もキッチリした売り物ってワケでもなかったんで。BLAHRMYの『DUCK'S MOSS VILLAGE』(2010年)ってEPも、MOSS DUCK RECORDSっていうBLACK LIST POSSEから派生したレーベルから出してたりするんですけど、ちゃんとレーベルを立てて、流通に乗せるというのは『SOUNDTRACK TO THE BED TOWN』が最初です」
 
■「SOUNDTRACK TO THE BED TOWN」をどこかのレーベルから出すんじゃなくて、自分たちでレーベルを立ち上げてリリースした理由は?
DUSTY HUSKY「本当は出してもらえるはずだったレーベルがあったんです。だけど、そこからのリリースが諸事情で出来なくなっちゃって。しかも、それが判明したのがリリース予定日の1ヶ月ぐらい前で、プレス代や制作費も全部ケアしてくれる筈だったのが、全部ダメになっちゃったんですよね。それで、DINARYの4人で制作費を集めてアナログのプレス代を作って、ULTRA VYBEに流通をお願いしたんです。そのタイミングでDLIP RECORDSを立ち上げました」
 
■はっきり言えば、最初は止むに止まれずだったんだ。
RHYME BOYA「良く言えばキッカケでしたね。『SOUNDTRACK TO THE BED TOWN』の音源もほぼ出来ていて、自分ら的にもまた別のレーベルが見つかるまでリリースを待つっていうのは、ちょっと出来ないなと思ってて」
DUSTY HUSKY「いずれは自分たちでレーベル運営をするヴィジョンはあったから、このタイミングだなって」
 
■自分たちでレーベルを持つっていうイメージはあったんだ。
DUSTY HUSKY「そうですね。レーベルとしてのイズムみたいなものは、イヴェント『BLACK LIST』や、BLACK LIST POSSEで培ったものが引き継がれてますね」
 
■『BLACK LIST』とBLACK LIST POSSEはどのように成り立っていったの?
DUSTY HUSKY「地元:藤沢のDJ WATAKIっていうDJと、厚木のDJ CANG-ONEっていうふたりのDJが、俺らの“黒さ”の師匠だったりもするんですけど、そのDJ WATAKIと俺らで始めたイヴェントが『BLACK LIST』だったんです。そこに集ったメンバーがBLACK LIST POSSE。ヴァイナル・オンリーをメインとしたイヴェントでしたね」
RHYME BOYA「みんな、共通してヴァイナルの良さを認識してたと思います。そういう連中が集まってました」
DUSTY HUSKY「DLIPっていうレーベル名も“レコード”っていう文脈から派生してるんですよね。DLIPは『DISH LABEL IN POSSHI』の頭文字を取ってるんだけど、『DISH』は皿=レコードのこと。『LABEL』はそれぞれオリジナルの顔を持つこと。『POSSHI』は地元のスケーターが使うスラングで、スケートでボードを縦と横に360度回す技なんですけど、横の回転はレコードの回転、縦の回転はA面とB面の交換っていうことに繋がってて。だから、SERATOや再発じゃないオリジナルのレコードを聴くという意味が、DLIPっていう言葉には込められているんです。でも、その前からSHEEF(BLAHRMY)が、『良い方に持っていく』って意味で『DLIP』っていうワードをスラングとして使い始めてたんです。それで、DLIPって言葉は俺らの中にも広がってて」
 
■かなり色んな意味の込められたワードなんだね。
DUSTY HUSKY「遊んでるときの会話やリリックで出てきたスラングを、基本大切にしてますね」
 
■BLAHRMYの成り立ちも教えてくれる?
MILES WORD「SHEEF THE THIRDは(年齢的には)DINARY世代で、俺は彼らの2歳下なんです。元々、俺もSHEEFも別々のグループをやってたんですけど、SHEEFのグループが解散して、あいつがソロでやってたタイミングで『一緒にやった方がいいよ』って、周り -- 特にDUSTY HUSKYに煽られて、一緒に組みましたね」
RHYME BOYA「『あのふたりが組めば最高だね』ってみんなで話してて。だから、『ついに組んだか』って感じでしたね」
MILES WORD「レーベル内の役割で言うと、俺らは“特攻隊”っていうか、とにかく突っ込む役って感じですね。その後ろでDINARYがどしっと構えてくれてるから、俺らは突っ走れるっていうか」
DUSTY HUSKY「俺らにとってもBLAHRMYは超キーマンですね。ふたりがいなかったらDLIPは成り立ってない」
 

RHYME BOYA

■では、話はまた「SOUNDTRACK TO THE BED TOWN」リリース時のタイミングに戻るけど、初動はどんな感じだったの?
RHYME BOYA「2LPのリリースが先でしたけど、その後に出したCDの初版が一週間で完売したのはビックリしましたね。思ってた以上の反響がありました」
DUSTY HUSKY「最初は、現場に来る人間に届けたかったからLPの300枚だけでいいかな、とも思ってたからね。だから、CDが売れたのは予想外の出来事で」
 
■じゃあ、CDを作る意欲はそこまで強くなかったんだ。
DUSTY HUSKY「そうですね。その頃『ONE』(渋谷FAMILYでSTERUSS/サイプレス上野とロベルト吉野らが開催していたイヴェント)に出してもらってたんで、先輩たちに『絶対CDも出したほうがいい』ってアドヴァイスをもらって。LPの『300枚』って枚数も、『それしか予算がなかった』っていうのが理由ですから(笑)」
RHYME BOYA「最初は、LP刷って現場で売って、予算が回収できれば、ぐらいに思ってたから。発想がまったく商業的じゃなくて(笑)」
DUSTY HUSKY「しかも、一番最初にアナログを現場に持って行ったのが、西麻布ELEVEN(元YELLOW)だったんですけど、そのときは一枚も売れなくて(笑)」
 
■そうだったんだ。
RHYME BOYA「LPが売れたのも、CDのリリースをしてから『2LPもあるらしい』って話が広がってからでしたね。レア盤になるなんて全然想像してなかった。でも、アルバムの反響によって、神奈川や関東を飛び出して、全国のいろんな場所でライヴが出来るようになったのは大きかったと思いますね」
DUSTY HUSKY「地方に呼ばれるようになったのは1st以降だよね」
 
■なるほど。では、今のDLIPの所属メンバーは?
RHYME BOYA「DINARY DELTA FORCEとBLAHRMYのメンバーに、NAGMATIC、DJ FARMY THE DIESEL、DJ URUMA、DJ R-MAN、DJ BUNTA、DJ LEX a.k.a. LAUREN Xですね」
 
■レーベルの運営やヴィジョンについて、メンバー間で話したりするの?
DUSTY HUSKY「結構しますね。特にDINARYとBLAHRMYは。元々この6人でよく遊んでるんで、その中でいろいろアイディアが生まれたり」
 
■例えば、今はどんなヴィジョンで動いてるの?
DUSTY HUSKY「今で言えば、自分らの中では『二年戦争』っていうヴィジョンの元に動いてます。今年から2016年のケツまでは、一連の流れを既に組み立てていて、その先の2017年からは、また新しい、全然違う動きをしようっていうイメージで動いてます。だから、この二年はシーンにガッチリ食い込む二年間にしたいと思ってて。特にBOYAの『FLOWMOTION』、俺の『DhUuSsTkYy』は、そのヴィジョンの元にリリースされてますね」
 
■その意味では、短期的なサイクルじゃなくて、中期的なヴィジョンを持ってリリースを展開してるんだ。
DUSTY HUSKY「でも、それは今年からって感じですね。2010年〜2014年までは、ホントに行き当たりばったりのリリースで。その方が無理なくリリースできたし、俺らも楽しくやれるっていうのがあったんで」
 
■その時期は、どういう風にリリース計画を立ててたの?
RHYME BOYA「そのときの制作の進行具合ですね」
 
■ホントに行き当たりばったりだ(笑)。
RHYME BOYA「誰かが指示を出してっていう感じじゃなく、グループ/ソロ/DJ毎にそれぞれが作って、それが出来たらリリース時期が被らない程度には考えて、リリースするっていう」
MILES WORD「だから、BOYAさんの1stソロ『MIND VOOK』(12年)のときも、『BOYAがソロ作ってるらしいよ』って、俺も噂で聞くって感じで(笑)」
RHYME BOYA「俺の1stソロのリリースに関して言うと、BLAHRMYの『A REPORT OF THE BIRDSTRIKE』(12年)が出て、SEGA FRONT GIANTSの『SAVE THE SEGA FRONT』(12年)が出て、じゃあ次は俺のソロ……っていう感じじゃなくて、俺のソロが完成したタイミングが、単にそこだったっていう(笑)」
MILES WORD「でも、あの年は良いリリース・ペースだったよね。良い感じに分散してたし、バランスも良かった」
DUSTY HUSKY「その流れでDINARYの『THE 9』(13年)が続くんだけど、2013年は、それとBLAHRMYの12インチ・シングル『CHAINSAW / A REPORT OF THE JAHRNEY 2012』が出たくらいで。2014年はNAGMATICの『1on1-DLIPPIN'DA KNOCKOUT STAGE-』、BLAHRMY『DMV2 -TOOLS OF THE TRADE-』、MILES WORD & NAGMATICの『INPOSSHIBLE』を出しましたね」
 
■そう考えると、2013〜14年はそんなにリリースが多くないよね。
MILES WORD「浮かれちゃったんだよね(笑)」
 
■でも、そうやって思えるぐらい、2012年は調子良かったんだ。
MILES WORD「かなり良かったっすね。正直」
RHYME BOYA「DINARYの1stを出したときを除くと、2012年がレーベルとしてDLIPの名前が大きく出た年だと思いますね」
DUSTY HUSKY「好きに作りたいときに作品を作って、それが注目されて、それがライヴにも繋がってっていう。それは、すごく理想的な形ではありましたね」
 

MILES WORD

■DLIPとしてリリースする作品のOK/NGの判断だったり、レーベルとしての意思決定は、どう決めるの? それとも、単純に出来たらOKっていう感じ?
DUSTY HUSKY「メンバーの作品は、そいつが自信のあるモノを作ってるっていう信頼があるんで、そこに『NO』とかはないですね。否定する理由もないし。だから、ひとりひとり、グループの中で判断してる感じです。特に、最近はそういう方向性にしてます。MILESのアルバムもBOYAのアルバムも、完成するまで誰も聴いてないと思うし、全貌は完成してからみんな分かって。でも、そういうのが刺激的なんですよね。それぞれでカマしあって、競い合って、それがレーベルの活性化に繋がるといい。良い意味でのライヴァル感というか、そういう環境にしてますね」
 
■DLIPはアーティストに加えて、レーベル・マネージャーの和賀さんがいますが、和賀さんはそういうレーベルの動きについてどう思いますか?
和賀「マネージャーとして、自分の中の良し悪しの判断は、一応させてもらいますね。だから、客観的な立場で発言はさせてもらってます」
DUSTY HUSKY「彼は、DLIPへの合流時期が一番最近なんで、自分たちと違う部分が見えてると思うんですよね。そこから、良い影響をもらえてます」
MILES WORD「裏の仕事はメチャメチャ大変だと思いますよ。『あれなんだっけ?』『これどうするんだっけ?』とか、ガンガン確認の電話がかかってくるし」
DUSTY HUSKY「この面子なんで、ホントに大変だと思う。パンクしてるっしょ?」
和賀「(微笑)」
DUSTY HUSKY「察した(笑)。WEBショップの管理なんかも大変だと思うし。今のDLIPには欠かせない存在っすね」
 
■ちなみに、DLIPがお手本にしたレーベルはあった?
DUSTY HUSKY「明確なお手本は特にないけど、日本にしろ海外にしろ『いいな』って思うレーベルはあります。例えば日本だったら、THA BLUE HERB RECORDINGSとか。でも、直接的に誰かにアドヴァイスを受けたりはないですね」
RHYME BOYA「『一回自分たちの考えでやってみたい』っていうのはありますね。ありがたい話もあるんですけど、まず一回自分たちの考えでやってみようって」
 
■DLIPとして新人の発掘とかは考えてる?
DUSTY HUSKY「発掘とかじゃないけど、才能ある人間がたくさん出てくる方が面白いですよね。土地柄もあると思うんだけど、自分もSHEEFもMILESも海外の血が混ざってるし、今だとニュージーランド、ロシアのハーフとか色んなヤツがいますね。13歳でコンゴ共和国とのハーフもいるんですど、そいつはヤサでひたすらラップさせてますね。自分とSHEEFでかなり入れ知恵してるんだけど、『育ててる』っていうより一緒に遊んでます。モスビル(藤沢)〜湘南エリアは、ラッパーだけじゃなくて、かなりボムを抱えてるヤツがいっぱいいますよ。普通の仕事が出来なさそうなヤツが(笑)。ラッパーもスケーターも声をかけてくれるから、そこから広がったり繋がったりする。そういう環境が藤沢に出来たのは大きいですね」
 
■その意味では、DLIPは“地元密着型”レーベルという意識?
DUSTY HUSKY「特にそう決めてないけど、自然にそうなってます」
 
■例えば、地方に行ったときに「DLIPから出したい」とか、そういう話はされない?
RHYME BOYA「藤沢近辺以外で『入りたい』って言われたことある?」
MILES WORD「いや、ないよね」
DUSTY HUSKY「言われたことないと思うな」
MILES WORD「言えないんじゃないの?基本的に閉鎖的だから、俺ら」
 
■(全員笑)
MILES WORD「街からあんまり出ないし、遊んでるヤツらも毎回同じ面子っていうか。近場で済ませたいんですよね、基本」
RHYME BOYA「そのマインドね」
MILES WORD「だから、もしDLIPに入るんだったら、藤沢とか近場に住んでもらわないと(笑)」
DUSTY HUSKY「『出したい』って言ってくれたら嬉しいけど、俺らが別の地域のアーティストまで引き抜くのはちょっと違うかなって。そのローカルやアーティスト毎にやるべきことがあると思うから。DLIPはそういう動きをしてきたから、余計そう思いますね。でも、募集してみようかな、なんなら。良い出会いがあればって思ってるから、拒んでは全然ないってことは言っておきたいっすね」
 
■さっき、話の中に“ヤサ”ってワードが出てきたけど、DLIPにもそういう場所があるんだね。
DUSTY HUSKY「藤沢に作りました。ホントにたまり場で、プリプロが出来て、あとはCDの在庫が積んであるって感じですね」
RHYME BOYA「2016年に出そうと思ってる、DLIP名義のアルバムを作るにあたって、集まりやすい場所がなきゃなってことで、ようやくヤサを借りて」
MILES WORD「週に最低一回、基本何度かは集まってますね」
 

■なるほど。改めてリリースの流れの話に戻るけど、去年末にNAGMATIC & MILES WORD「INPOSSHIBLE」(14年)のリリースがあったけど、このアルバムの制作に入った理由は?
MILES WORD「元々は、2013年に出そうと思って作ってたアルバムだったんですよね。だけど、BLAHRMYで『DMV2』を作ることになって、そっちにまずは集中しなくちゃってことで、一回止まったんです。それで『DMV2』が出て、落ち着いてからもう一回始まった感じですね。このアルバムは、今のところDLIPの『出来たから出す』っていう流れの最後の作品ですね」
 
■ソロMCとしてアルバムを作ったのは?
MILES WORD「BOYAさんが1stソロを出したときに、その後のライヴだったりソロでの動きも含めて、こういう方向性もアリなんだなって思ったのがひとつ。それから、『BLAHRMYの人ですよね』って言われるのが、なんかスゲェ嫌で」
 
■でも、BLAHRMYの人だよね(笑)。
MILES WORD「『BLAHRMYのMILES WORDですよね』とか、『MILESですよね』って言われるのは嬉しいんですけど、どっちがどっちか分からないまま『BLAHRMYの人ですよね?』って言われるのは、なんかストレスで。だったら、ひとりで作品を形にして存在を高めたいなって思ったんです」
 
■そのアルバムを作るにあたって、NAGMATICとタッグを組んだのは?
MILES WORD「アイツのビートは完全に信頼してるんで、制作しやすいし、間違いないモノを作るなら、NAGMATICだなって。でも、制作の間はひとりになる時間が多いから、誰かと制作の辛さを分かち合えるような感じはなくて。だから、『もうやめてえな』ってときもありましたね」
 
■ソロを作る際、SHEEF君に相談は?
MILES WORD「一切しなかったっす(笑)。一応『出そうかな』ぐらいは話したけど、内容に関しては全然しなかったですね。BLAHRMYとしてもアルバムを作りたいけど、ソロとしてももう一枚ぐらい、早い内に作りたいっすね。あと、最近は『BLAHRMYの人ですよね』とは言われなくなったっす(笑)」
 

■BOYA君の「FLOWMOTION」は、二枚目のソロ・アルバムになるね。
RHYME BOYA「『THE 9』を出して、ツアーだったり、ひと通りの流れが終わったぐらいで作り始めましたね」
 
■1stソロ「MIND VOOK」は、DLIPメンバー初のソロ作品だったけど、そのキッカケは?
RHYME BOYA「DINARYっていう集団はもちろんなんですけど、ひとりひとりに個性があって、そこから『オールスター/町の選抜としてのDINARY』っていうのを、結成時から目指してますね。ソロとしての色を確立できたら、4人集まったときの強みは凄いなと思ってて。その意識が根底にあったから、ソロとしても積極的に出していきたいと思うようになりましたね」
 
■「MIND VOOK」はDLIP的な打ち出しをしつつ、そこにもう一味違うBOYA君の独特な部分を加えた作品だったと思うんだけど、新作の「FLOWMOTION」はガラッとDLIP的なカラーとは違う部分を出してるよね。カラフルさやポップさのような部分も強くて、それは本当に驚いた。
RHYME BOYA「『MIND VOOK』はMASTA PIPPEN(DUSTY HUSKY)のビートやNAGMATICのビートがメインになってたんで、自分としてもDINARYの延長/DLIP的な作風になってたと思います。だけど、そういうアルバムは一回作ったんで、今回はまた違うものを作りたいってイメージがあって、そのアイディアを基に進めていった感じですね」
 
■この変化は、周りから驚かれなかった?
RHYME BOYA「あの空気感のALBUMが、DLIPからリリースされたのは意外だったって言ってた人もいましたね」
 
■「DLIPなのにオート・チューン使ってる!」って感じだもんね(笑)。
MILES WORD「最初に、BLAHRMYの客演曲(“WHITE T/FRESH KICKS/and NEW BARS”)のビートを聴いたとき、マジで一瞬目が泳ぎましたね(笑)。超言葉探したもん」
RHYME BOYA「凄い空気になったよね(笑)。でも俺は最初から確信があって。BLAHRMY単体だったらあのビートは選ばないかもしれないけど、3人でやることでBLAHRMYの新たな側面も一緒に引き出せるんじゃないかと思ってて。結果、良い化学反応が起こりましたね」
 
■「DLIPの音」と言えば、NAGMATICの音に代表されるような、サンプリングを基調とした構成やビートの空気感が、レーベル・アイデンティティのひとつとしてあったと思うけど、そのイメージを壊すような部分を出すことへの悩みや不安はなかった?
RHYME BOYA「そういうのはなかったですね。むしろ、1stよりも2ndの方が自分のカラーを素直に出せたかなとも思っています。『ドープなことをやる』っていうアプローチを考えたら、DUSTY HUSKYやMILESの方が上手いし、自分だったらDINARYでそれを形にした方が、良いモノが出来ると思うんです。だから、そういう部分だけじゃなくて、フレッシュさだったり、『ドープだけではない方向性』で勝負したいってことは、今回のソロでは意識してました」
 


 
■そして、この3人の中ではDUSTY HUSKY君の「DhUuSsTkYy」が、一番最近のリリースになるね。
DUSTY HUSKY「グループで書けないことを表現したり、グループでは選ばないようなビート選びだったりが出来たと思います。ラップはもちろん、ビート・メイクも自分の独特の部分を形に出来たと思います」
 
■これまでの「DLIP感」とも違うし、BOYA君の方向性とも違うし、また新しい切り口っていう感じを受けて。
DUSTY HUSKY「アルバムの方向性としては、『ブームバップを進化させる』というのがメインのイメージでした。だから、ビートでは今までと違う方向を目指しながらも、一気には変えないように、繋がりながらも変化させるっていうか。俺は、ビートもいじったりするし、そういう部分でも新しい開拓をしたいと思ったんですけど、そのチャレンジが出来たかなって。コレ以上にもっとブームバップを進化させることは出来ると思うし、もう作り始めてる2ndアルバムは、もっとその方向性を押し出せると思います」
 
■具体的にはいつ頃から作り始めたの?
「俺もBOYAと同じで、DINARYの『THE 9』が出来上がったぐらいからですね。だけど、ソロとしてのリリックがあんまり書けなくて、NYに行ったり地方で書いたりしました。ただ、一番最初に書けるようになったキッカケは、SHEEFに子供が出来たことでした。その出来事に驚きすぎて、リリックが書けるようになって(笑)」
 
■それがテーマになった“A Little Gem”はすごく良い曲だし、それだけふたりは親しいんだな、とも思えて。
DUSTY HUSKY「DLIPは、とにかく距離感が近いんですよ。家族ですよね、近くにいるのが当たり前っていう関係なんで」
MILES WORD「会わないことのほうが難しいもんね。会いたくないけど会っちゃうってときもあるし(笑)」
DUSTY HUSKY「ホント、そういう感じ。連絡を取る/取らないじゃなくて、近くにいるのが普通だから、その関係性がデカい。だからこそ、SHEEFに子供が出来たことが、自分に起きたことぐらいの衝撃があって」
MILES WORD「クルーの中でも最初だし、しかもそれがアイツだとは誰も思ってなかった(笑)」
DUSTY HUSKY「曲でも書いてるけど、マジでクソ野郎なんで(笑)」
 
■「INPOSSHIBLE」「FLOWMOTION」「DhUuSsTkYy」の三枚って、非常にDLIPの“今”を表わしてると思ったんだよね。「INPOSSHIBLE」は「ザ・DLIP」って感じだし、「FLOWMOTION」はこれまでのDLIPとはまったく違う方向性、「DhUuSsTkYy」はDLIPらしさもありながら、同時に現行の流れも組み込んだ、もっとプログレッシヴな指向性がある。その意味では、そういった「拡散していく方向」に、今のDLIPは進もうとしてるのかな。
DUSTY HUSKY「自然とそういうアプローチの幅が出せたと思いますね。レーベル設立から5年経った今の気持ちは、DLIPを作ったときとは当然変わってるし、今のリリースの状況が『今のDLIP』っていう感じです。もちろん、基礎の部分は変わらないんだけど。ただ、無理にそういう方向にしているんじゃなくて、自然に変わってるのが大きいと思う」
 
■その意味でも、「DLIPらしさ」みたいな部分に胡座はかかない、と。
DUSTY HUSKY「やっぱり“平均点”を狙っていくのはダサいし、賛否両論が生まれるような音楽じゃないと、作っててもダメだと思うんです。これまでのリリースの流れで、DLIPとして安定しちゃってた部分もあったと思うんですよ。それを応援してくれたり、求めてくれるのはもちろん嬉しいけど、俺たちとしてはそれを壊していかなきゃ進化がない。いろんな実験をしたり、チャレンジが出来ないと、面白くなくなっちゃうから」
 

■その上で、これからのDLIPの動きについては?
DUSTY HUSKY「まずはDLIPレーベル/クルーとしてのアルバムの制作ですね。ずっと考えてきたことだったけど、それが今やっと実現できそうです。その前に、11月頃に祀SPのアルバムを出して、SHEEFのソロも考えてます。calimshot(DINARY DELTA FORCE)も全然カラーの違う作品を作ってますね。もちろん、NAGMATICのアルバムだったり、今はDLIP DJ陣のミックス・シリーズ『DISH LABEL IN POSSHI』が毎月出てて、それに合わせて『A REPORT FROM D.L.I.P.』と言う映像シリーズを公開してます。来年には、DINARY DELTA FORCE/BLAHRMY/SEGA FRONT GIANTSのオリジナル・アルバムも出せればな、と」
 
■活発な動きになりそうだね。
DUSTY HUSKY「やるしかないし、やってるヤツが勝ちだと思うんですよね。だから、やらなきゃいけないし、作ってかなきゃいけない、今後も楽しみにしていてほしいですね」
MILES WORD「ホント、みんなやる気になってて。あんまりないことですよ、これは」
 
■ハハハ、奇跡のタイミングがついに来たと。
MILES WORD「俺ら的にはまたイケイケの時期が来てるっていうか。『時は来た!』って感じですね」
 
 

Pickup Disc

TITLE : INPOSSHIBLE
ARTIST : NAGMATIC & MILES WORD
LABEL : DLIP RECORDS
PRICE : 2,500円
RELEASE DATE : 2014年12月24日

TITLE : FLOWMOTION
ARTIST : RHYME BOYA
LABEL : DLIP RECORDS
PRICE : 2,500円
RELEASE DATE : 3月25日

TITLE : DhUuSsTkYy
ARTIST : DUSTY HUSKY
LABEL : DLIP RECORDS
PRICE : 2,500円
RELEASE DATE : 6月17日