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INTERVIEW[インタビュー] RSS

YOUNG DAIS

インタビュー:吉橋和宏

「YOUNG DAISは120%ヴァラエティな男でありたいんですよ。ひとつのことしか出来ない男じゃなくて、たとえ60〜70点だとしてもいろんなことが出来る男でありたい。だからこのアルバムを聴いた人には、12曲中の1曲でも自分のシチュエーションに合う曲を見つけてもらえれば十分だと思ってるんですよね。逆に言えば、そういうところがこのアルバムを普遍的にしてるのかなとも思いますね」

 制作に都合3年を費やしたというデビュー・アルバム「PLAYLIST」は、決して短くはないYOUNG DAISのキャリアを考えれば随分と待たされたように思う。無論、内容はその時間を帳消しにするほど熱の籠もったものだった。そして、今回リリースを迎えた2ndアルバム「Accent」は、その前作を凌ぐ確かな進化を感じさせる渾身の一枚となった。約9ヵ月という短いスパンで届けられたにも関わらず、だ。なるほど、やはりこれがYOUNG DAISが持つ真のポテンシャルなのだろう。N.C.B.B.ファミリーであるJUN THA FINEST、E-BUKI、LIL' J、そしてJIGGのように過去にも絡みのあった面々のみならず、TAKATERU HAMADA、StarBowyWorks、dee.c、@djtomoko、Lil' 諭吉といった新たな制作陣とも融合し、さらなるチャレンジを自らに課した「北の才能」は、いい意味で「N.C.B.B.の」という枕詞すら必要ないほどに成長した姿をこの作品で見せつける。
 
 
■1stアルバム「PLAYLIST」をリリースした後、ツアーで全国を回ってみてどうでしたか?
「あれをリリースしてから、今度は作品を全国へ広めるためのライヴを積極的にやってた感覚っていうか。作ったものを俺のイメージとか主観ありきでみんなに伝える作業を現場でやってた感じでしたね。今回は、今まで行ったことがなかった土地に行く機会もあったし、それぞれの土地の風土に合ったHIP HOPとの寄り添い方が垣間見られた地方もあって。それが今回のアルバムにはインフルエンスしてるんで、本当に貴重な経験ができました」
 
■全国19都市を回ったようですが、これまでソロでライヴ行脚する機会は少なかったんですか?
「YOUNG DAIS名義の作品がない頃から行ってた街は本当に限られてますね。逆に言うと、その頃からYOUNG DAISに注目してパーティに呼んでくれてた地方のオーガナイザーとかその地元の子たちに対しては、自分名義のアルバムを出してライヴしに行けることで俺なりに感慨深いところがありました。やっとちゃんとした形でみんなにお披露目できるから」
 
■では前作のリリース以降、実感として自分の立ち位置が変化したと思うことはありましたか?
「『北海道も盛り上がってるよ!』っていう地域シーンの活性化みたいなものには一役買ってるかなっていう感触は少なからずありますね。全国のシーンに対しては、どうだろうなぁ……。まあ、今回のツアーで知り合ったいろんな地方のヤツらと次もまた会えたらいいなと思うし、今回そうやって俺の作品に反応してくれた人たちに『お、いいじゃん!』ってまた言ってもらいたいっていう思いはありますね」
 
■「PLAYLIST」をリリースしたのが去年の9月で、今回の「Accent」までは約9ヵ月しか経っていませんよね。このハイペースを実現させたのは、DAIS君にどんな考えがあったからなのでしょう?
「1stが出来上がってからリリースされるまでの間に、2ndを作るポテンシャルはもう自分の中にあったと思うし、そのときに全国ツアーをやらせてもらったことで2ndに入れるべきトピックとかそういうものを探すことが出来たんですよね。ツアーでは本当にいろんな街のシーンを見ることが出来たし、その街の景観とかそういう些細なことも含めて初めて見るものや初めて訊く話にインフルエンスされたから、それがたぶん制作を加速させたというか。制作意欲がすごく刺激されたんですよね」
 
■結果として9ヵ月というスパンになったけれど、特別急いで作ろうと思っていたワケではないということですか?
「いやー、でもやっぱり急いでた部分もあるかもしれないですね。時間との闘いはもちろんあったけど、そこで苦しい思いはせずに作れたかなって。言い方は悪いけど、いまの情報ってSNSのタイムラインのように次から次へと流れていくし、その流れも速くなってるじゃないですか?だから、自分のアクションが止まってないことをみんなに知ってもらうために、このアルバムの前にも3曲くらい配信したりして。自分の存在とか活動内容が薄れていかないように、すごく気にしてはいましたね」
 
■1stアルバムまではちょっと時間がかかったけれど、逆に2ndはかなり短時間でリリースされるっていうある意味トリッキーな動き方はやっぱりすごく気になっちゃいましたね。
「そうそう、俺もそう思うんですよね(笑)。前作は作りたい曲を自分が一緒に作りたい人と作って、それを『12曲入りのCD』っていうフォーマットに乗せてコンパイルしたものっていう感じで。今回は本当にアルバムを作るぞっていう気持ちで作ったんで、もう最初に頭の中で構成してたんですよ。『こういう曲があれば、ああいう曲はいらないな』とか。でも全体像を前作よりも考えながら作ったのは今回楽しめた部分だし、そこが制作上の大きな違いでもあったかなって思いますね」
 
■そういえば、前作のインタビューでは「制作期間は3年」って言ってましたもんね(笑)。
「そうそうそう(笑)。今回はこの9ヵ月間で過ごしてきた日々とか北海道にずっといたら得られなかったであろう価値観とか、そういうものを含めて『冒険帰りで経験値貯まってます!』みたいな自分がいたんですよ。その経験値を1ヵ月の制作期間でパックするっていう作業でしたね」
 
■一時期、DAIS君が川崎周辺に住んでいるという情報もありましたけど、もし差し支えなければその理由を教えてもらえますか?
「実はそうなんですよ。あんまり公にはしてなかったんですけど、3ヵ月くらい住んでました。ツアーをやるにあたって冬が間に入っちゃうんで、ブッキングして頂いた日に飛行機が飛ばないなんてことがあっちゃいけないっていうのが理由だったんですけど……」
 
■じゃあ今回の制作が目的という感じではなかったんですね。
「まあ、場所が川崎だったんで、週に一度、BIG BLAZE(WILDERS)のスタジオで何かしらのデモ録りはしてましたけどね。パッと思いついたジャスト・アイディアを『いま録らせて!』っていう感じで録ることは出来なかったから、それまでに書き溜めたリリックを集めたビートでなんとなく録ってみたりとか、そうやって宿題をやってた感じです(笑)。生活も本当に地味でしたよ、クラブに遊びに行くことも全然なかったし。週末はツアーに行って、平日はリリックを書いたりプロモーション活動をしたりしながら普通の生活を送ってました。今回のアルバムもラッパーらしいトピックスというよりは、誰の日常にも起きうる事柄が多く練り込まれてるんで、そういう意味でも川崎にいたときの私生活で得たアイディアはいっぱいありましたね」
 
■割と客演が多めだった前作と比べると、今回はひとりで完結させている曲も多いですよね?
「今回はなるべくソロの曲を多くしたいなっていう考えがあったんですよね。YOUNG DAISっていうアーティストをもっと知ってもらうためにも、コンプレックスを感じてる部分だったりっていうのをもっと表に出した方がいいかなって思ったときに、その感覚はなかなか他人と共有できるものでもないし。具現化するためには必然的にひとりで作り上げなきゃいけないなって」
 
■逆に制作陣には今回が初顔合わせとなるプロデューサーが何組かいたり、多彩ですよね。なかでもStarBowyWorksはやはり川崎にいたことが影響してるのかな、と。
「そうですね。宿題をしに行ってたスタジオでデモ・トラックを聴かせてもらったらすごく良くて。偶然であり必然というか。成るべくして成った感じですね。前作には(札幌のレゲエ・アーティスト)MAD KOHとやった“レインドロップ”っていう曲があったけど、実は俺ってレゲエとクロスオーヴァーした曲を必ず作品に入れたいっていう気持ちがずっと継続的にあるんですよ」
 
■そう。前作もそうだったし、DAIS君はレゲエに対してそういう気持ちがあるのかなと思って。その理由を聞かせてもらえますか?
「NASとDAMIAN(MARLEY)のアルバムとか、曲で言えば(THE)GAMEとJUNIOR REIDの“IT'S OK (ONE BLOOD)”とか、そういうコラボにゾクッとする自分がいつもいて。ジャンルをクロスオーヴァーした曲があんなにボスるのはまさに狙いが成功してるからだし、どちらかの形にもう一方がすごく上手くハマってるからだと思うんですよ。『誰とどう面白くやるか』っていうアイディアはすごく重要だと思ってて。そういう部分に面白味があるし、音楽をやってるからこその楽しさを改めて感じられることも多いんですよね。プライヴェートでもレゲエのアーティストとメシとか飲みに行ったりクラブに遊びに行ったりするけど、音楽的な関わりは少なかったなって自分の中で思ってたから、全国に自分と同じように面白がってくれる人がいるならその遊びの規模を拡大してどんどんやっていきたいなって」
 
■サウンド的には今回どういった部分に重点を置いたのでしょう?前作とはちょっと変わったなっていう印象もありましたけど。
「周りにいる仲間たちとみんなで酒を飲みながら音楽を聴いて、アホになったりすることがあるんですけど(笑)。……その中で、たとえリリックが何を言ってるか分かんなかったとしても、今風の倍速っぽい“刻み”のビートに乗っていられる曲っていうのがすごく気持ち良かったんですよ。だから、俺もそういう感じのテイストをこのアルバムに反映したくて。ライヴでもそうだけど、リリックを聞き流してもリズムにはなんとなく乗ってもらえたらいいなっていう思いがあって。アメリカのラッパーみたいに俺もライヴで踊らせたいし、そういう意味ではダンス・ミュージック的な要素を多めに取り入れないと難しいのかなって。それはこの間のツアーで体感したことでもあって、その経験を活かしてて。だから、音的なイメージが1stとガラッと変わったなっていうのは個人的にも感じてますね」
 
■全体的なクオリティも今回ぐっとアップしていますが、その裏側で特別に意識したことはありましたか?
「とりあえずスタジオで踊りまくってましたね〜(笑)。まあアホな話ですけど、録った音源を聴きながらひたすら踊りまくって。川崎から北海道に戻ってすぐレコーディングに入ったんですけど、そのタイミングで韓国人の友達が遊びに来てたんですよ。スタジオを押さえてた1ヵ月のうち2週間はそいつと一緒にスタジオと家を往復して、なぜか一緒にひたすら踊りまくるっていう(笑)。俺も手探りで新しいことにチャレンジしてたんで、普段からスタジオにいるファミリーのみんなが聴いてしっくり来なければ『う〜ん、これどうなんだろう?』っていう気持ちになったんです。でも、その韓国人の友達が『これやべーじゃん!』みたいになってくれると、『国籍も言葉も超えて踊らせられるなら、この曲はイケてるんだな』っていう判断のバロメーターにもなるんですよね。さっき言ったような踊れるライヴっていうのにも影響してくると思うんで。自分の不安要素を彼が払拭してくれた部分がありましたね」
 

■今回のアルバムには「Accent」というタイトルが付けられていますけど、そこへの思いについても聞かせてもらえますか?
「さっき、今回は『最初に頭の中で構成した』って言いましたけど、作ってる中で『Accent』というテーマがあったかって言われるとそうでもなくて。でも、今回は一般的な生活を送っている人たちと俺らみたいな生活をしてる人たちの両方に起こるようなトピックをHIP HOPっていうフォーマットに乗っけるっていうことを考えてたんで、例えばクラブに行かないような人にも『その気持ち、分かるよ』って言ってもらえるようなトピックが必ずあると思うし、そういう意味でもみんなの生活のアクセントになるような刺激を与えたいっていう思いがまずあって。それに川崎での生活から得たインフルエンスがものすごく多い中で出来た曲が今回はいっぱいあるから、自分自身にとってあの3ヵ月間はアクセントになったなって思うし。あとは、俺自身がシーンの良いアクセントになれればなっていう思いもあるんで。そういうところからこのタイトルを付けさせてもらった感じですね」
 
■じゃあ、ある意味で軸としてあったテーマは“普遍性“っていうところなんですね?
「そうですね。とある人にも『ものすごく普遍的なアルバムだね』って言われたんですけど、それこそまさに俺のイメージ通りだなって。前回のインタビューでも言ったと思うんですけど、YOUNG DAISは120%ヴァラエティな男でありたいんですよ。ひとつのことしか出来ない男じゃなくて、たとえ60〜70点だとしてもいろんなことが出来る男でありたい。だからこのアルバムを聴いた人には、12曲中の1曲でも自分のシチュエーションに合う曲を見つけてもらえれば十分だと思ってるんですよね。逆に言えば、そういうところがこのアルバムを普遍的にしてるのかなとも思いますね」
 
■完成したアルバムを振り返ってみて、自分自身ではさらなる成長を実感していますか?
「うん、成長というよりも変化と自分は捉えてるんですけどね。自分から変わっていったのはチャレンジした部分だけど、周りに影響を受けて自分が変わったところに関しては完全に変化だから。前作よりもセールスが上回ったとか、前回よりもツアーで回れる都市が増えたとか、前よりも人前に露出させてもらえる機会が増えたとか……そういうものがないと、もしかしたら自分では感じられないかな。CDっていうものは作品だけど、あくまでも商品だし、商品である以上は見合った価値っていうものがあると思うんで。時代背景に沿って自分が定義していることや代弁していること、メッセージの濃さでその商品にどれだけ付加価値をプラスできるか。実際に世の中に出してみて『YOUNG DAIS、成長したね』っていう反響がないと、それは自分の中だけの成長でしかないと思うんですよね。そういう意味でもまだちょっと複雑な感じというか、今の段階ではまだ『変化した』っていうくらいの感覚ですね。その変化が、『成長した』っていう実感に繋がれば嬉しいですね」
 
■前回のインタビューで「次にやりたいと思ってることはすでに頭の中に貯まってる」と話していた言葉を具現化したのが今回のアルバムだとしたら、この後はどんなヴィジョンを持って動いていきたいですか?
「それがまだあるんですよね(笑)。今回のアルバムにはちょっと入れられなかったんですけどね。だから、次のアルバムにはどういうことを詰め込むかとか、ジャケットの感じとかももう考えてあるんですよ。こういうことをやりたいけどまだ実現できてないっていうアイディアはまだしこたまある。ただ、それをどういう風に形にするかっていうところで、また経験値を貯めていかないと具現化には繋がらないと思うんですよね。だから、それを具現化するための冒険をこの後にしていきたいなと思ってますね」
 
 

Pickup Disc

TITLE : ACCENT
ARTIST : YOUNG DAIS
LABEL : DIG DA GOOD IMC, Cabron Music/PECF-3046
PRICE : 2,300円
RELEASE DATE : 5月22日