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INTERVIEW[インタビュー] RSS

マボロシ
MABOROSHI'S LAW

HIP HOP/ブラック・ミュージックを軸にした幅広い音楽性で邦楽シーンに確かな足跡を残しつつあるマボロシ。セカンド・アルバム「ラブシック」で更に成熟した感ある彼らの世界観/音楽性は一体どのようなプロセスで生み出されたものなのか? そんな疑問がこのインタビューで少し解決するかもよ。

インタビュー:高木晋一郎

ヒップホップのようでヒップホップじゃなくて、
かといってロックかというと……「ロ、ロック!?」みたいな(笑)。
「ファ、ファンク!?」ってのもそうだと思うし、型にはめたくはないんだよね。
未知数にしておきたい。どう変わっていくのか自分達でも楽しみだしね――竹内朋康

 RHYMESTER:MUMMY-D a.k.a. 坂間大介& SUPER BUTTER DOG:竹内朋康のユニットのマボロシが、前作「ワルダクミ」以来3年ぶりとなるニュー・アルバム「ラブシック」をリリースした。坂間大介の言わずもがなのトラック・メイキング・センスと、竹内朋康の奏でるセクシーなギターの絡み合いから生まれるファンクネスは今作でも大健在であり、そのポップでありながらも玄人も思わずニヤリとさせる特異な存在感は唯一無比であるが……、同時に「ラブシック」というタイトルからも受け取れるように、男の女々しい恋歌(フラレ率相当高し)の、なんとも胸をざわつかせる存在感も唯一無比! 女性は「男って弱いのねぇ」と、男は恋愛過去恥部を思い出しながら頭から布団かぶって身悶えましょう? そんな切なさもマボロシだったらいいのにね……。
 

■まず、マボロシでのセカンドという事で、このユニットはパーマネントなモノと考えて、もう差し支えないでしょうか。
坂間大介(以下D)「どうなのかねえ?。確かにファーストは単発っぽい雰囲気を出そうとしてたから、そういう質問が出るのかもね。ただ、タケもそうだと思うけど、アウト・プットとして常にマボロシを持ってないと自分のバランスが保てないんだよね。だから常に次の事は考えてるね」
竹内朋康(以下T)「アルバムを作り終わった後も、既に他アーティストのリミックス仕事なんかはしてるしね」
 
■その流れで訊きたいんですが、マボロシって「こういう音/イメージのグループ」ってカッチリ枠にはめにくいじゃないですか。その意味で、リミックスのオファーを受ける際に、相手方からどういう指示なりイメージ付けを受けるんですか?
D「まず……こっちが訊くね、『どういうのが欲しいの』って(笑)。すっごいオーソドックスな曲もヘッズが反応する曲も作るし、BPMも曲調もバラバラだから、まず訊くしかないよね。まあ、どっちかっていうとハードな曲調が欲しい時にオファーされるかな」
 
■その考え方って、ある種職人的なイメージも受けるんですが。
T「職人……まあ、ギターは手に職だね(笑)。でも、そんなに器用でもないし。黒い音なら任せろ!って感じだけど、スタジオ・ミュージシャンみたいにどんなタイプのギターでも弾けるって訳でもないし、そういう意味では職人っぽくはないかな。それより俺とDで遊ぶって感覚の方が大事にしてるね。それで2人してワケ分かんなくなる時もあるけど」
 
■では今回のアルバムですが、制作初期段階で全体のイメージ作りはされましたか?
D「今回は(イメージ作りを)激しくしなかったね」
T「気分的には『ワルダクミ』第二弾というか、あの延長で行こうって感じかな」
D「今回はホントにスルッと」
 
■前回はテンションの高さであったり新しい制作欲求みたいな部分が強い作品だと思ったんですね。だけど、今回はそれよりも角が丸くなってるイメージを受けました。変わらず情報量は過剰なんだけどコントロールがなされてるというか。
D「そうかもね。一枚目は自分達が何を作ってるか自分達も分からなかったから(笑)。そういう模索してる部分の面白さもあったと思うんだけど、今回は『マボロシ』としての打ち出しを考える時期に来てたと思うんだよね」
 
■では、その「マボロシとしての打ち出し」を、ご自分達で言葉にするとどのようなモノになりますか?
T「ヒップホップのようでヒップホップじゃなくて、かといってロックかというと……『ロ、ロック!?』みたいな(笑)。『ファ、ファンク!?』ってのもそうだと思うし、型にはめたくはないんだよね。未知数にしておきたい。どう変わっていくのか自分達でも楽しみだしね。でも、聴き手に伝わり辛いようなものにはしたくない。色んな人が聴けるようにしたいし、自分達が流行を先導できるようにしたいと思ってる」
D「その意味では、そういうモティヴェーションに自分がなっていたっていうのもあるけど、今回のリリックは専門知識だったり予備知識を必要としない歌詞にしようとは思った。だから、今回は大体色恋に結びつけていったんだけど、それが今回のポップさに繋がっているのかも知れないね」
 
■その色恋の歌詞ですが、全体を通して切ないというか、ナイーヴな方向に針が振れてますよね。それはなぜですか?
D「なんでだろうねえ」
 
■アッパーなラヴソングは皆無じゃないですか。
D「アッパーな!? ハハハ、なんだよそれ。『大好き!大好き!大好き!』みたいな(笑)?」
T「『やりたい!やりたい!やりたい!』とか?(笑)」
D「アッパーなラヴはねえ……ちょっと格好いいね(笑)」
T「すぐ終わりそうだけど(笑)」
D「今度そういう曲作ろうな。リフがスゲー派手な(笑)」
 
■えー、まあそんな感じです(笑)。いわゆる中高生が聴くような恋愛ソングって事なんですが。
D「まあ、俺という所に問題があると思うんだけど(笑)、照れもあるし、『こういう事を言っていたい』って部分もあると思う。でもさ、恋愛の歌って意外と上手くいってない曲が多いし、ブルースを感じるーーそれはマボロシの音にも通じるんだけどーーものが好きなんだ。ファンク/ソウルは当然として、ブルース入ってるロックだったりが好きなんだよね。ハッピーな部分だけじゃないっていうのが書きやすいし、マボロシのサウンドにもはまるんだ」
 

アメリカに限らず、ヒップホップがガシッとあって、
それに影響を受けた周辺音楽が存在するでしょ。
そこまでも俺がやらなきゃいけないかなっていう、俺なりの責任感も感じるんだよね。
周りにも火をつけて回るっていう動きもやるべきなんじゃないかなって――坂間大介

■竹内さんとしてもそういった歌詞の方がいいですか?
T「最近つくづく思うんだけど、やっぱり日本人なんでワビサビが欲しいし、Dの出すワビサビが、トラックのブルージーな部分と調和すると思うね」
D「そう、サウンドに命令される部分もあるんだよ。タケはどメジャーなコードは書かないし、7thとか、ちょっと寂しくなるような曲を書くからそうなるのかな」
 
■その恋愛の切なさなんですが、フラれた男を男同士で慰めてるというか……。
D「「フハハハハ!」
 
■男同士の薄暗?い酒飲み感がありますよね。女性不在な。
D「「それはねー、一枚目の時に作られちゃったんだよ。あの時2人とも彼女いなくてさ」
T「ぞうきん時代だね(笑)。しょっちゅうお互いの家に遊びに行ってたもんね」
D「もうヒドくて。タケが俺の家に来たときも、インターホン出たら『デリヘルでーす』とか言ってさ(笑)。そんで入って来たら勝手に冷蔵庫開けてウーロンハイ作り出して。で、リフ弾いてもらってそれをサンプリングして打ち込んで……って作業を俺がしてて、パって振り向いたら、テレビで俺のエロビデオいきなり見ててさ(笑)。しかも音の作業してるのに音出しながらAV観てんだもん!」

■すごい光景だなあ(笑)。
D「一枚目はそうやって作られた。まあ、今回もそういうどうしようもない男達が作った感が出てたら……嬉しいのか嬉しくないのか分かんないけど(笑)」
T「ハハハ」
D「「まあ、そういうコンセプトだよ」
 
■でも、こういう男の女々しさとか弱さって、ラップではあえて出されない部分ではあると思うんですよ。
D「ソウルでは定番なんだけどね」
 
■確かに。
D「どっちも根っこは一緒なんだと思うよ。ラッパーの虚勢張り感とソウルの女々しさって」
 
■“キッチンくん”は途中で悲しくて泣きそうになるんですよね。
D「違うよ! 俺は明るく書こうと思ったのに、途中からコードが切なく変わるから『困ったなー』と思って。それでああなったんだよ。だから初めは明るいじゃん」
 
■物語が起承転結の「転」で相当変わるじゃないですか。だからファースト・ヴァースは「こう変わるんだ!」って驚くんだけど、その分セカンド・ヴァースの明るい部分がどんどん悲しく聴こえて……。
D「フハハハハ! なるほどねー。別れるのが分かってるドラマの明るい部分を見るような」
 
■まさにそうです!
D「『あ?、でもダメになっちゃうんだよな?』って(笑)」
 
■それが「ラヴシック」たるゆえんかなとも。一枚目の時は“SLOW DOWN”とか“ファンキーグラマラス PT.2”みたいなモテ曲があったじゃないですか。そのモテすぎの反動で切ない曲が多くなったのかなとも思ったんですが。
D「ただね、まだタイトルは決まってなかったけど、ラブシック的な曲が多かったから、他のサブジェクトは次に回して、今回はそういう方向にリリックに纏めようとはした。あと、タケが作る曲がメロウなのが多かったんだよね」
T「そう、激しいの作るとメロウなのが作りたくなるから、今回は“超ジェラス”を先に作っちゃったから、その反動でメロウなのが多くなったのかも知れない」
 
■前作と今回で制作の方法論が変わったようなトコはありますか?
D「お互いに彼女が出来……お互いの家に遊びに行かなくなった、気を遣って(笑)」
 
■傷を舐め合わなくなったと。
T「そうだね(笑)」
D「で、データのやりとり……と言うと格好いいけど、MD!」
 
■ハハハ。データだけどデータじゃないっすね。
D「『音じゃん』っていうさ(笑)。MDはもう最後にしたいとこだよ。真面目な話をすると、もうお互いに任せちゃうっていうのがあるかな。絶対に格好良くしてくれるってお互いに信頼があるから。そういう分業制が増えたかな。ただ、作り終えて思うと、2人でぎっちり組み合わなけりゃ生まれない曲もあったなって」
T「自分はそんなに良いと思わなかった音が、相手に投げてみたら凄くはまるーー前作だと“泥棒”がそうなんだけどーーもあるから」
D「そういうのは一緒に遊んでないとダメだなって」
 
■3枚目はその折衷になりそうだと。では、気は早いですが、3枚目も含めて、マボロシのこれからはどのようにイメージされてますか?
T「2人でやってる事に凄く意味があるし、刺激的な音を届けるユニットではありたいと思うね」
D「俺はRHYMESTERって本妻がいるし、タケもSUPER BUTTER DOGがある。その意味ではマボロシは2人にとって不倫なわけね」
 
■なるほど。
D「そして、不倫で倦怠期を迎えても全く意味がないわけよ。だから、新しい音を出さないと意味がない。あと、アメリカに限らず、ヒップホップがガシッとあって、それに影響を受けた周辺音楽が存在するでしょ。そこまでも俺がやらなきゃいけないかなっていう、俺なりの責任感も感じるんだよね。周りにも火をつけて回るっていう動きもやるべきなんじゃないかなって。2007年は何かが終わって何かが始まった年だと思うのね。その中でヒップホップの限界みたいな事も考えたし、その流れで、日本でヒップホップが20年後もし力を持つためには、やっぱりその周辺も面白くしていかなきゃいけないって思ったんだ。だから、黒い音楽をやってる人間とか、その辺とぐっちゃぐちゃになって日本独自の面白い音楽を作って、どメジャーな音楽と戦っていくというか。その為にマボロシを媒介にして、面白くしていきたいって目標があるね。例えばDABOの『B.M.W. VOL.1』でタケがギターで参加して繋がりができたように、そうやって面白くしていくのが自分の使命だと思うんだ」
 
■ヒップホップ局所でなく周りも同時に上げていくというか。
D「そう。ファンキーな音楽全般でさ」
 
■例えば、60〜70年代って歌謡曲の中にもファンキーで黒い歌謡曲が存在し得てましたよね。ただ、その流れは現在断絶している。それを復権させるというわけではないですが、そういう文脈があっても良いとリスナーに思わせる情況にしたいというですか?
D「う〜ん、そういう歌謡シーンを意識してるわけじゃなくて、ミュージシャンシップとBボーイ・イズムの結びつきって事かな。日本のヒップホップがバンドやミュージシャンと結託して、『また面白い事になってるよ』って風になれば良いかなって。もちろん、どヒップホップも存在しながら、別の角度での可能性もあっても良いと思う」
 
■で、今回のジャケは天使ですが……これはラブシックとどういう関係が……。
D「全然分かんない(笑)。俺らのアートワークは完全に遊ばれてるよね。まあ、嘘くさけりゃOKでしょ」



マボロシTOUR INFO
「ラップ&ギター Vol.1-マボロシ TOUR 2008」

 
2008/01/10:名古屋CLUB QUATTRO
 
2008/01/11:大阪BIG CAT
 
2008/01/13:広島Cave-Be
 
2008/01/14:福岡DRUM Be-1
 
2008/01/19:札幌BESSIE HALL
 
2008/01/27:LIQUID ROOM ebisu
 
詳細はhttp://www.maboroshi-no-site.com/まで!
 
 
 
 

Pickup Disc

TITLE : ラブシック
ARTIST : マボロシ
LABEL : NEOSITE DISCS/KSCL-1180
PRICE : ¥3,059