SEEDA |
DATE : 2008/02/27 |
シーンに貢献したい事なんて殆どないですけど、
唯一あるとしたら老若男女問わず、幅広い層にHIP HOPの世界があってほしい。
サグ=HIP HOPじゃなくて、50代、60代にも聴けるHIP HOP、そういうのに貢献したい
■当時「GREEN」を聴いた時、スキル的な部分で物凄いものを感じたんだよね。逆に言うと、このまま人に理解されないでも良いや、位の感じでいるのかな?って思った。そこまで行く所まで行ってた感じがあって。でも、SEEDA君的にはそこは葛藤があったという事だね?
「そうですね。現行で一番のスキルを手に入れる事より、気持ちを伝える事の方が100倍難しいと思うんですよ。一番のスキルはいつでも取れるって自分で思ってて、例えば僕が今から半年位CDを出さないでその間世の中のものを全部聴いて、『あー、じゃあコレじゃないフロウになれば良いや』っていうのは出来るんですけど、結局それは小手先でしかない、10年後とかを見ると。下手でも、多少フロウが落ちても良いから言いたい事を伝える事に集中してる感じですね」
■SEEDA君の言った「小手先」という言葉を借りるのなら、「花と雨」収録曲で言うと“ADRENALIN”とか“SAI BAI MAN”がそういう曲に当たると思うんだよね。“ADRENALIN”は正にHIP HOP的にど真ん中なトピックだし、“SAI BAI MAN”のメタファーの多用振りも物凄くHIP HOP的。多分、こういうHIP HOP的に手堅いトピックは簡単に作れちゃうんだろうな、と思って、そういう意味で「小手先」だったのかな、って。今回の「HEAVEN」には、言ってしまえばHIP HOPヘッズにしか分からないような曲が殆どなくなってるよね。
「まあ、まだまだなんですけどね。減らそうとは思ってて」
■それは、HIP HOPを聴く層以外にも自分の音楽を理解してもらいたいから?
「そうですね。枠を越えたいんですよね。例えば、今HIP HOPのコアなファンが2万人だとしたら、その2万人の中に僕が15〜16歳の頃からツルんでたメンツは入ってないし、あの頃聴いてた人達は多分半分も入ってない。今の2万人っていうのは今の2万人でしかない……。中島みゆきの曲を聴いて『ああ、良いなぁ』って僕が思うように、みんなに思ってもらえるような曲が作りたいんです。『HIP HOPだよ! だけど何処(のフィールド)でもやるぜ』って感じでいきたいんですよね」
■それって昔からそうだったの? それこそセカンドの「ILL VIBE」の頃から。
「いや、違うっすね(笑)。『ILL VIBE』の頃は『俺、ラップ出来るぜ!』位でした(笑)」
■刺々しいまでのHIP HOPメンタリティだよね、あの頃は。
「そうですね……生活が(当時と今は)違うんで。あの頃もお金には困ってなかったんですけど」
■今の自分の生活っていうのはどういう状態なの? 具体的にどうこうという意味でなく、単純に良い状態? 悪い状態?
「良いと思いますよ。俺もボンボンだけど、東京のボンボンがしてる遊びは出来ないけど、全然毎日生活できて、2ヶ月後も困ってないし。幸せですよ。音楽で食ってけて」
■音楽で食えてるか否か、っていうのは大きいよね。
「そうですね。自分が書いてる歌詞が好きな事だけで、それで生きて行けるっていうのは20何年間生きてきて初めてですよ」
■やっぱり、ハスリングをしていた頃っていうのは、USのHIP HOP的なメンタリティが一番しっくり来たのかな?
「いや、僕が何でもうハスリングの事を歌いたくないかっていうのは、僕はもう違うわけだし、そういう話は今でもそういう生活をしている人が歌えばいい。僕は今自分がいる生活を歌う事が、アイツらへのラヴだと思ってるんですよ。ストリートをリアルなまま僕は生かしたいし」
■確かに、今作でもハスリングについて語っている箇所はいくつかあるけど、今までより客観視している書き方だよね。
「そうですね。その客観的な立場を保ちたいんですよ。自分が現役というフレーヴァーが出ないように書きたい」
■今作ではトラック・メイカーがI-DeAとBACH LOGIC(以下BL)という、「GREEN」の時と近い布陣になってるよね。
「『街風』を作ってる時に俺と同じ気持ちを持ったのがこの2人だったんですよ。『SEEDA、このままだとマズイぞ』って」
■彼らはリリックとか曲のコンセプトまで関与してるの?
「しますね。僕がトップ・ダウンするみたいな感じでI-DeA部門、BL部門って分かれて、全ての曲は僕とI-DeA、僕とBLの間の子みたいな。例えば“I TRY”とかは、『良い歌詞を持ってきてくれ』って言われたから自分の中で良いと思ったラインをたくさんノートに書き溜めたものを持って行って繋げて。だから、結構関与してますね」
■I-DeAとBLの違い、または共通点はどういう所にあると思う?
「BLは超クールで、I-DeAはあったかい人間ですね。だから、BL君の録りの時はなるべくテンションを落として、感情をそこまで入れないっていうのが基本で、I-DeAの場合は、“光”みたいに声を変えるような、多少実験的な事でも『やっちゃえば?』って言ってくる」
■「街風」から僅か3ヶ月というハイペースで「HEAVEN」をリリースした理由は?
「SEEDAっていうのがこういうラッパーだっていうのを提示したかった。『街風』のイメージを拭いたかった。払拭できるものじゃないと思うんですけど、売れなくても良いから一応軌跡として残したかった。『アイツあんなに不満ばっか言ってて何がしたかったんだよ?』じゃなくて、『その不満を形に変えてる最中だから不満を言ってるんだ』っていうのもありましたし。正直、これを出さずに今年の暮れ位に渾身のアルバムを出しても微妙だな、って思ったんですよね。……シーンに貢献したい事なんて殆どないですけど、唯一あるとしたら老若男女問わず、幅広い層にHIP HOPの世界があってほしい。サグ=HIP HOPじゃなくて、50代、60代にも聴けるHIP HOP、そういうのに貢献したい。『街風』だとそういう部分で貢献できてなかった」
■「花と雨」を出した直後に話した時、「あと2〜3枚出した消えようと思ってる」位の事言ってて、「街風」と「HEAVEN」をこのスパンでポンポン出しちゃったら、本当にすぐいなくなっちゃうんじゃないか、って心配があったんだけど、今日話を訊いた感じだと今後に対しても前向きだよね。
「(次作は)1年、2年かかるか分からないですけど、自分が今理想としてる形があるんで、それをやったら散ろうかな、みたいな(笑)。いや、分からないですけどね」
■その先があるかどうかはともかく、次作は相当勝負をかけるって事だね。
「かけますね。ALICIA KEYSのアルバムに勇気付けられて。僕はああいったスピリチュアルで感情のこもっているものが好きなんですよ。ああいうものを出せばRIP SLYMEやケツメイシとかに(商業的に)勝てると思ってる」
■じゃあ、「街風」の一連のトラブルがあってもまだメジャーで活動する事にメリットは感じ続けてるの?
「正直ないですね。いや、僕は今の会社とやるんですよ、ガッツリやりたいんですけど、この先出て来るラッパーに関して言うと、やるメリットはないですね。お金的に。メジャーのタイトルって凄いお金かけるじゃないですか。で、5万枚売れようが赤字のタイトルなんて腐る程ある。でも僕は、自主で作ったアルバムで赤字のものはないですからね。商売にならないのにメジャーで人に頼る位なら自分の頭使って金使った方が絶対この先良いと思ってますよ。でも、僕が次も今の会社でやるのは、渾身の作品を会社の渾身の力でプロモーションしてもらってオリコン1位を狙いに行きたいんです」
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