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GOCCI
THE CHAMP IS HERE PART 1

2007年ULTIMATE MC BATTLEのチャンプに輝いたGOCCIの独占インタビューに成功した。彼程のキャリア/知名度/プロップのあるMCがMCバトルにこだわり続ける理由とは? 男気溢れる素晴らしい発言の数々は全ヘッズ必読だ。

インタビュー:浦田 威

過去の音源は俺にとってはバトルに出る上で重要な事じゃねえ。
大事なのはその先を見ながら、今何が出来るかなんだよ

 誰にも文句の付けようのない完璧な形での優勝、歴史的な盛り上がりを見せた第3回UMBの王座に輝いたのは水戸代表、「永遠のB-BOY」だった。輝かしいEL-DORADO期の栄光から一転、度重なる苦悩と挫折、それら全てを乗り越えて極上の“HIP HOP”を体現、ゴールデン・マイクを手にした「その男」の名はGOCCI。本邦初、収録2日間にも渡ったロングラン・インタビューだ。
 
 
 
 
■まずは前回大会での2回戦敗退から今回の大会に至る経緯を聞かせてください。
 
「前回はライムやフロウじゃない所で、俺の何かが足りなくて負けたと思ってるんだけど、後でたまたま何かの本で『蓄積なき者に結果なし』って言葉を見つけてさ、『勝てねえのは俺に蓄積がねえって事かよ』って本気で悩んだりもしてた。けどその結果、『俺という人間に蓄積はある、これまで培ってきた事で俺はぜってえ勝てるんだ』って意識にはなれたね。それは、過去によりかかってる状態ではなくて、積み重ねた上での今の自分を再認識するだけで、塗り替えた未来は描けるし、違うようになれるんだよ。今回、俺のスキルが伸びたって意見もあったんだけど、実は負ける前よりも、ここ1年フリースタイルしてる時間は少なかった位だし、俺の認識では第1回『BBOY PARK』のバトルに出た頃からスキルの面での違いはないんだよね。じゃあどこが違うかって言ったら、肝の据え方/メンタルだけだね。今回は闘う準備が出来てたって事。固い話になるけど、ラップに限らず日常生活でも敵は自分の中に、ってのは昔から変わらないと思うよ」
 

■昨日、たまたまDABOさんに会ったんですけど、GOCCIさんの優勝を凄く喜んでて。今回の優勝で同世代やヴェテラン勢に勇気を与えられたとは思いますか?
 
「長くやってる奴が自分の事のように喜んでくれてるってのは本当に、凄く嬉しいことだよね。逆に前回負けた時、周りの連中の本当に落胆した……心底ガッカリした表情を見てさ、こんなにも俺の事を気にかけてくれてる奴がいるんだって気付いたし、こいつらの為にも無様な姿はぜってえ見せられねえって思ったね」
 
 
■キャリアのあるMCがバトルに出て敗れる「リスク」というのは考えませんでしたか?
 
「そこは全く考えない、なりふり構ってる場合じゃなかったしね。『天秤録音』ってコンピに入ってる“衝動無限”って曲でも言ってるんだけど、腐ってるくらいなら一から行けばいいってことだし、キャリアを売りにしてお涙頂戴ってのでは何の意味もねえと思うし、浪花節や悲壮感だけで勝つ以外の方法を探したい。そこで負けようが、俺は失うものなんか全くねえと思ってる。過去の音源は俺にとってはバトルに出る上で重要な事じゃねえ。大事なのはその先を見ながら、今何が出来るかなんだよ。けど、優勝の喜びも一瞬だね。注目が集まったとしても、自分で変えてくつもりじゃねえと結局は一緒だよ。あとはレコードなりCDなり、音源を出してくことが絶対に必要だね」
 
 
■音源ではなく、「フリースタイルでこそ伝えたい」事とは?
 
「それは……凄い質問だね、フリースタイルってその場のシチュエーションを拾って、その場に来てる奴が今必要としてる事、更には自分に伝えたい事があるんだったらそれを上手くライムとフロウに乗せながらやるってのが理想なんだけど、バイオリズムみたいなものもあって、正直言うと『今日は俺、何も考えてねえな』ってケースもあったりしてさ(笑)。
でも、その幅を埋めるって言うか、例えば客の盛り上がってねえイヴェント行って、アカペラで喋ってるだけでもロック出来るってのが理想ではあるよね、それは本当は『バトル』って事ではないんだけど。バトルやってるとすげえ意地悪になる自分ってのがいてさ、揚げ足取りの癖が付いてどんどん嫌な奴になってくんだよ(笑)。決勝が近づいてきたりすると、俺の周りの友達とかにも迷惑かけてたかもしんねえと思うよ、『最近のゴッちゃん、なんかおかしくねえ?』ってさ(爆笑)。けど、最終的にはそこじゃなくて、皆と共有って言うかさ、分かち合えるものが欲しいんだよね」
 
 
■GOCCIさんのフリースタイルには、「言ってから考えてる感」もありますよね。水戸予選の決勝を見たんですけど、“証言”のビートに乗せて「証言GOCCI、オレGOCCIから送ろう」て切り込みとか。
 
「(笑)あそこで韻とか踏めたらもっと格好良かったんだろうけど、まあ……“GOCCI”って2回言っちゃってるからね(笑)。けど、そこは関係ねえっていうか、単に俺の脳内の回転が状況に追いついてなかったって事だよ。けどさ、前に(MAD)SKILLZが色んなラッパーのパンチラインを繋げる曲ってあったよね、俺はああいうのもアリだと思うんだよね」
 
 
■それは……後付けですよね。
 
「(爆笑)いや、そりゃそうなんだけどさ。まあね、あんま格好いいもんじゃねえんだよ。
フリースタイルなんて『恥のかき捨て」みたいな部分はあると思うしさ。混沌を通り抜けて即興で掴むものだし、100パーセントのフリースタイルなんて俺はないと思ってる、毎回それに近づけようとはするんだけど。浦田にも、『GOCCIさん、BESとの決勝“オマエが下克上ならオレは屁こくぞ”てライン、オレ的にアレは違うと思ったんですよね』とか言われたりさ(爆笑)」
 
 
■けど、逆に「あれが良かった」て奴もいたりして、結局は頭の中に疑問符が出ても、最終的には「ああ、これでいいんだ」て納得させる凄さがあの日のGOCCIさんにはあったと思うんですよ。
 
「そうだね、俺はダセえとこも隠さず、そのまま出すしね」
 
 
■フリースタイルをする上で、参考にしたMCはいますか?
 
「ラッパーとして凄いなってのはFREESTYLE FELLOWSHIPとか一杯いるんだけど、『影響を受けた』って事ではないかな。けど、JIN(元RUFF RYDERS)のバトルをテレビでやってて、核心を突いたパンチラインで客の心を掴んで勝ち上がってくのは、見ててヤラれたね。ライムとフロウ、『もう一つなにか』って言ったら、客とどれだけ繋がれるかって事だと思うしね」
 
 
■LUNCH TIME SPEAXのライヴでよくやってた、GOCCIさんの長い語りとも繋がってますよね。
 
「(笑)確かにそうかもしんないね。ライヴの中で普通に喋ってる時でもライムが閃けば踏んでいったり、自然といい感じになればラップに切り替わったりするし、喋りとラップの境界線も判らないくらいの状態ではあるよね」