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GOCCI
THE CHAMP IS HERE PART 2

世間には若い頃の才能や勢いを抑えつけようとする力ってあるじゃん。
そのプレッシャーってある意味では大事なんだけど、情熱に対するナメた態度や偏見ってのが俺は一番許せなくてさ、
その情熱がなければ大きな木には育たないワケじゃん?
そういう純粋な情熱が、MCバトルにはまだ存在してると思うんだよ

■優勝後の観客との握手を見て、「GOCCIさん久々にいい顔してんなあ」て思ったんですよ。
 
「そういう時は俺以上に客がいい顔してるんだよ。『聴きに来てくれる奴あってこその自分』ってのは俺にとって絶対だし、そこはブレさせちゃいけねえんだ。中にはそうじゃねえMCもいるかもしんねえけど、俺に言わせたらそんなのとんでもねえ、テメエ何様だよって話だね。今みたいにHIP HOPのバブルが弾けて環境が悪ければ、逆に何が大事かってのはよく見えるからさ、それで大金が入って生活が楽になるワケでもねえけど、だからこそ大事な事だと思うしさ。真面目になっちゃうけどそこに尽きるよ」
 
 
■かつてBLAST誌でのインタビューで、「自分達よりも明らかに劣っているものがもてはやされるんだったら、それは当然、不当だと思う」って言ってたのが印象に残ってるんですが、そうした逆境での「反骨精神」みたいなものは、LUNCHでの活動当初から根底にありますよね。

「全く変わらずだね、そこはHIP HOPの中でも一番重要な部分だと思うしね。リスナーのせいじゃなくて、自分がやるべき事をやってこっちに目を向けさせて、それでシーンが変えられるんだったら最高だと思うよ」
 
 
■キックボクシングや空手、他の音楽も聴いたりする中でHIP HOPを表現方法に選んだのは何故でしょうか?
 
「最終的には、『HIP HOPが俺を選んだ』ってトコまで来てる、B-BOYとしてはそういうつもりで生きていきたいね。他のジャンルよりも自分の考え方や感覚と一致したってとこはあったかな」
 
 
■改めて今回のUMBを振り返ってみて、漢と般若がライブをしたり、DJ WATARIのクラブ・プレイがあったりと、バトルだけでない「HIP HOP」を強く感じさせる内容でしたが。
 
「そうだね。(主催者の)LIBRAはこれまでシーンが築いてきた歴史に対して敬意を払って大事にしてくれてるしさ、そこは本当にリスペクトだよ」
 
 
■バトル本戦は1回戦、BESとHIDADDYの対戦に注目が集まりましたけど、実はGOCCIさんの方も相当な激戦区だったように思いますが。

「そう言ってくれると嬉しいね、やっぱり決勝まで勝ち抜いてきてるような奴らは皆、僅差って言うかさ、相手が隙を見せたら揚げ足は取るんだけど、そう簡単に尻尾出す奴が決勝まで来れないよね。けどまあ、相手のミスを拾えればって目線は誰しもが持ってると思うよ。例えばPEDAL戦で俺が噛んでさ、『チャンス』みたいな顔されたときに先手取って防御したりとか」
 

■アレは今後流行るかもしれないですよ。そんな中でも特別意識したMCはいましたか?
 
「決勝で当たったってのもあるけど、以前からBESとは戦うような予感があったんだよね。最初の方の闘い見ててもBESのフロウと勢いは脅威だったし。決勝はジャンケンに勝って先攻取ったんだけど、それは先に仕掛けてこっちに引っ張り込んだ方が早いかなってのもあったし、BESには延長とか潜り抜けてきた苦しさってのが絶対あったと思うんだ。それに比べてGOCCIは狡いってのを払拭したいっていうかさ、とにかく正々堂々と闘って、誰にも恥じない形で優勝したかったんだよね」
 
 
■例年、優勝者には「チャンピオン・ライム」みたいなものがあると思うんですが、今回GOCCIさんにとって最大のパンチラインは
 
「言いたいことが言えたのって、実は優勝決まった後の話だったりするかもしんない。勝った後に話したけど、地元で仲間が亡くなったりして、落ち込んでた時期もあったりしてさ。『GOCCIさん、俺ぜってえ行きますよ』って、常に俺を慕って後押ししてくれてた奴らだったし、あいつらの中で描いてくれてた俺の絵ってのが確実にあるワケよ、けど『GOCCIをいつか超えてやろう』って思ってた奴が、ある日それが叶わなくなるわけじゃん、自分の命が尽きてさ。長く生きるとそういうのには直面するよ、色んな事情で進めなくなっちゃう奴もいるわけじゃん。だから俺は背負わなくて前に進むってのがいつの間にか出来なくなってる。けど、そいつらの期待があったから今の自分はここにいるって考えると、そいつらには恥じないようにしたい、その気持ちは今回のフリースタイルにも反映してたと思うね」
 
 
■地元、水戸に居続ける意味とは?

「産まれた場所だし、『HIP HOPで食ってやろう』って思う前からさーーその頃は絵を書いて俺の才能を知らしめてやろうとか思ってた時期なんだけどーー場所なんか関係ねえって思ってたね。水戸には何もなかったし、聞く人によってはバカバカしいかもしんねえけど、俺が水戸にいて『LUNCHがいる事が誇りだ』って言ってくれる人間がいたりするのってさ、そうそう人間の人生の中ではない事だよね。結婚式のスピーチで『LUNCHがいる水戸に産まれたことは俺の誇りです』って知らない奴が言ってたって話も聞いたりさ、自分の仲間でも俺が全く知らねえ奴でも、『水戸で俺達の音源を棺桶に入れてった奴は何人いるんだよ?』ってのはあるわけだよ、本当に」
 
 
■CISCOの閉店やBLAST休刊もあったりして……正直、僕は今がバブル期だったらGOCCIさんは優勝してない気がするんですよね。皆、境遇は違えどGOCCIさんに共感してたっていうか。
 
「それはあるかもしんないね、気持ちがリンクした奴が多かったのかなって気持ちは確かにしたよ。始まったものには絶対に終わりがくるのも理だしさ、けど、生きててそれに抗うのがHIP HOPだよ。話は全く変わるんだけど、マサチューセッツ工科大学に日本人の研究者がいて、インタビューで『自分を動かしてきた原動力は屈辱だ』て言ってて、その台詞に俺は共感しちゃってさ。屈辱を受けるってことはそいつが高い所を見てるって事、それがない奴は高さを見てないって事にも繋がると思うんだ。屈辱や逆境が今の自分を作るって信じてるから、浮き上がれねえかそのまま沈んでるかは自分が決める。結局、やるのかやらねえのかってことだよね」
 
 
■今年はリリースも多く、実りある1年になりそうですよね。

「そうなるといいよね、自分のソロ・アルバムにD.L.とのアルバムの話もあるし、GO FORCEMENはとりあえずGORIKI待ちなんだけど、こないだGOと話して、俺達が勝手に進めちゃえばGORIKIもやらざるをえない空気になるだろって(爆笑)。年内には実現させたいね」
 
 
■D.Lとの作品は、EL-DORADOの夢の続きといったところでしょうか?

「それはあるかもしんない、その頃からのリスナーには喜んでもらえると思うし、逆に知らない世代にも刺さるものを作りたいよね。けどまあ、あのタイミングでなくなってるあたりが、『目に見えないけど確かに存在した黄金郷』って感じで、本当にエルドラドだよね(笑)」
 
 
■僕もEL-DORADOがなければこの仕事はしてないと思うんですよ。
 
「そんなお前にいつだったか大分前に『俺、GOCCIさんみたいな大人になりたいんです』って言われたのは嬉しかったし、今でも俺の誇りだよ。あの頃は未成熟な青臭い部分もあったけど、実験も含めてやれることはやったと思ってる。あの時でしか言えない言葉や情熱ってのは確かにそこにあったんだ。けどさ、世間には若い頃の才能や勢いを抑えつけようとする力ってあるじゃん。そのプレッシャーってある意味では大事なんだけど、情熱に対するナメた態度や偏見ってのが俺は一番許せなくてさ、その情熱がなければ大きな木には育たないワケじゃん? そういう純粋な情熱が、MCバトルにはまだ存在してると思うんだよ」
 
 
■あの頃“トマッテタマッカ”って言ってたのに、いまGOCCIさんが止まってたらリスナーに怒られますよね。
 
「本当そうだよね、自分で吐いた言葉だからこそ、そこには忠実でいたいよね」