INTERVIEW[インタビュー] RSS

ICE BAHN

数々のMCバトルを制しまくっていたICE BAHNが、アルバムとしては実に4年振りとなる2nd「OVER VIEW」を完成させた。幅広く、且つ独特なビートに対する嗅覚や、彼らの大きな強みであるライミングへの徹底的なこだわりまで、新作にかける思いを訊いた。

インタビュー:一ノ木裕之

俺たちはそんなビックリするような思想も持ってないし、
胸張って威張れるような生き方もしてない。
そういう人たちと並ぶようなICE BAHNの武器はなんだって言った時に、
ライミングってのが大きかった——玉露

 『ULTIMATE MC BATTLE』で一昨年、FORKが全国のフリースタイラーの頂点に立ったのをはじめ、チームとしても『3 ON 3』バトルの初代グランド・チャンピオンを獲得。DJ BOLZOIは日本語オンリー・イヴェント『蝕』のレギュラーを務めるなど、現場でのトピックが続いたICE BAHN。EPを挟み実に5年振りとなるセカンド・フル作『OVER VIEW』は、そうした活動で培ったスキルを提示する。彼ららしいライミングへの強いこだわりとスキルの高さは、客演陣の好演とともに、昨今の日本語ラップの大きな流れにあって独特さを増す。

■まずは出来上がった感触はどうですか?
KIT(以下K)「まあ、今の全部は出せたかなって感じですかね。もちろん仕上がりに自信あるし、今まで以上のものに挑戦してるし、新しいものも入れたと思います」
FORK(以下F)「とりあえず、曲数も結構多くなったから、いろんな方向の曲がありつつ、いろんな面が入っていい感じかなと」
DJ BOLZOI(以下B)「『STARTREC』(前作)の時は流れのまま、勢いのままやった感じがあるんですけど、今回は時間かけた分、内容もしっかりしてるかなと。アルバムとして5年振りだから、待たせた形にはなってますけど、期待を裏切らない曲数は入れられたと思います」

■アルバム・タイトルについて聞きたいんですけど。
玉露(以下G)「これは……(他のメンバーに)どういう意味?(一同笑)」
G「辞書引くと“概要”とかそういう……って書いてあったね(笑)? それよりまず曲が最初に出来て」
F「いつも基本、タイトルは後なんですよ。そこをがっつり突っこまれると……意外と浅いよっていう」
 
■あー、個々の曲のタイトルもそんな感じが(笑)。
F「まあ、そこはそれぞれに想像してくれれば」
G「レッテルは俺、何でもいいんですよね。結局、大事なのは聴いてどうかだと思うから、ジャケもプロの人に任せて、題名もこだわらないっていう(笑)」
 
■ともあれ、グループのライミングへのこだわりは一貫して変わらないなあと。今、日本語ラップでは実人生を重ねた歌が増えていく流れが大きくありますよね。もちろんICE BAHNの曲にもそういう曲が全くないとは言わないけど、常にライミングをしっかり聴かせていくっていうのがまず最初にあると思うんですよ。
G「俺たちはそんなビックリするような思想も持ってないし、胸張って威張れるような生き方もしてない。そういう人たちと並ぶようなICE BAHNの武器はなんだって言った時に、ライミングってのが大きかった」
F「前のアルバムから今に至るまで、いろいろなことを経験して感じたところで俺たちも自然に変わってきてると思うんですけど、作るっていう作業に関しては大筋としてはいつも通りの作り方でやってるし、よくも悪くも流されてないと思うんですね、そういう流れに対して」
 
■ましてやライミングが前のようには重視されなくなってますよね、日本語ラップの中では。だからこそ余計オリジナルに見えるっていう。
G「そういうのが寂しいっていうか、えーって思う反面、『OK、それなら余計目立てる』っていうのもありつつ。でもライミングって要素はすごく大切だと思うから」
F「いろんな人がカッコいいとされていくじゃないですか、時代の流れで。昔と今とでカッコいいって言われてるものってやっぱ違うと思うし。そういう中でいろいろ見てきたけど、今回作ってみて、流されてないところにいると思うし、そういう確認をしたっていうところもあると思う。外人フロウみたいなノリなものでも全然ないと思うし、こういう方向、一つの色として提案するっていうか……『OVER VIEW』ですよ」
 
■はは。そこはしっかりアルバムとして見えますよ。
G「あとは、俺がクラブとかで英語のHIP HOPでお決まりのフレーズ叫んでたりとかいうのが意外と好きで(笑)、そういうふうに言えるような笑えるフレーズをライミングとは別に入れるっていうことをやりたかった」
K「それと気持ち良さですね。ライミングにこだわればこだわるほど、やっぱりライミングを強調するフロウがないとっていうのは自然の流れ」
 
■曲の内容面でメンバー同士相談したことはあります?
G「今まではテーマがあってないようなものっていうか、特定のことを歌うっていうのがそんなになかったんですけど、一通りテーマをハッキリさせたいっていうのは話しましたね」
K「それぞれが歌う内容違っても、一つのキーワードで内容を引き継いでるっていうことですね。それをさらにもう一段深くっていう」
 
■実際の作業はどんな感じでしたか?
B「もうそこは和気藹々って感じで」
 
■お互いぶつかったりはしないんだ。
K「トラック選びとかでは若干言われたり」
F「やっぱやり始めるまで、方向を決めるまでは結構色々話したりはあるけど、それが定まっちゃえばぶつかることはないですね」
 
■ICE BAHNは選ぶトラックも独特なもんが多いじゃないですか、毎回。いわゆるHIP HOP的なオーソドックスなビートじゃないものも少なくないっていう。そこらは誰のセンスなんですか?
B「玉(露)さんでしょ(一同笑)」
G「もちろん、シンプルなトラックにラップ乗っけた良さもあるけど、トラックだけ聴いてグッと引きこまれないと俺はあんまやりたくないですよね」
F「カッコ良くて王道なのよりも、ダサくてもいいからぶっ飛んだのみたいな」
G「そうそう。ダサくていい」
 
■(笑)ダサくていいんだ。
G「それをカッコ良く真顔でやりたいんですよ」
 
■他の3人はそれでウーンって思ったりしないんですか?
F「そこでウーンって思ったものが却下になってるんですよね」
 
■つまり、そこの幅がわりと広いんだ。
K「もちろん(笑)。だから結構面白いもんで、やっぱり自分の中でどうラップを乗せたらいいかをイメージできないわけじゃないですか、選ばないトラックって。それが、誰かがOKすることによって一つドアが開くんですよね、そのトラックに対して。踏みこめるっていうか。そういうところもよかったりして、『そこまで言うならやってみようか』みたいな。実際それですごくいいのが出来たとかあるし」
G「やっぱクルーでやる音楽ってそうだと思う。俺たちはソロの曲とか入れないし、4人がここっていうのを集めた感じ。それだから時間がかかっちゃうんですよ」
K「だから逆に自分の世界観も小さくならないし、新しいところもチャレンジして行ける。ベストのライミングをしていこうっていう熱意が強ければ強いほど、どんどん新しい展開が生まれてくるってなると思うんですよね」
 
■そう思うと、ラップに対する気持ちのは全然変わってないんだなあ。続けていくとそこは冷めたりすることも往々にしてあるんだろうけど。
K「あんま変わってないのかもしれないですね、ぶっちゃけ」
G「やっぱり(ラップが)好きなんだなっていう。30歳までずっとやる側でいられるっていうことに最近才能を感じてるっていうか(笑)。周りではやめてく人が多いけど、やめてくのが信じらんない。『えっ、なんで?』って。俺たちはやめようなんて思考回路が一切ないから」
 
 
 
 

Pickup Disc

TITLE : OVER VIEW
ARTIST : ICE BAHN
LABEL : BBP RECORDS/BBPM-001
PRICE : 2,100円
RELEASE DATE : NOW ON SALE