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タイプライター

日本を代表するトラック・メイカーと呼んでも過言ではないであろうタイプライター。だが、彼の原点はあくまでもMC。そんな事実を再認識させてくれる初のソロ・アルバム「0」がリリースされた。ラップからビートまで、全てに本人が関わった相当濃密なアルバムに仕上がっているぞ!

インタビュー:吉橋和宏

今回は最初から好きなことをやりたかったんですよね。
いろいろ気にするのが嫌で、とりあえず自分がカッコ良いと
思うことだけやってみたくて。
俺が思う「純粋なHIP HOP」をやるべきかなって思ったんですよ

 国内の幅広いアーティストにハイグレードなビートを提供してきたトラック・メイカーとしての実力とセンスを遺憾なく発揮した、タイプライターの1stソロ・アルバム「0」。ある意思を込めて全曲をサンプリングで構成した本作では、そのビートと同様、ラップにも重きを置いた。独自のノリを持った野性的なラップが、元々ラッパーとしてシーンに登場した彼の出自を再認識させる。「『原点に戻って、一からスタートします』っていうことで」と語るアルバム・タイトルは、まさにその表われだ。

■今回のアルバム、最近のタイプさんの音とはまた違った感じですよね。
「やっぱりそこが俺のスタートだし、俺にとって一番HIP HOPだから、1stアルバムではそれを絶対出すべきだなって思ってたんで。実はシンセを使った曲でリリックも上がってるのもいっぱいあるんですけど、今回それは全部入れずに、あえてサンプリングに集中したんですよ。俺が初めて買った機材を使って、全曲サンプリングっていうのは最初から決めてた。DJ PREMIERとかDA BEATMINERZが全盛のときに流行った、AKAI S-900とROLAND MC-50だけで作ろうって。だから俺的には、元に戻ったっていう感覚なんですよね」

■どちらかと言えば、シンセよりもサンプリングでビートを作る方が好きなんですか?
「うん、そうですね。このアルバムを作ってた流れで、逆にシンセをいじらなくなっちゃいましたもん(笑)。今回は最初から好きなことをやりたかったんですよね。いろいろ気にするのが嫌で、とりあえず自分がカッコ良いと思うことだけやってみたくて。だから今回歌モノは一切フィーチャーしてないんですよ。俺が思う『純粋なHIP HOP』をやるべきかなって思ったんですよ」

■その方向性は、今のシーンに対するタイプさんの意思表示も含んでいる?
「そうですね。特に今は純粋なHIP HOPをやんなきゃいけないのかな〜って。クラブ・シーンも若い人たちが多くなってきたし、多分その人たちはシンセ使いのHIP HOPから入ってると思うんですよ。例えばサウスとかそういうサウンドが、今の若い人たちのスタンダードなんですよね。でも、俺らのときは違うじゃないですか? それを残していくのは、絶対に必要だと俺は思っていて。俺が今そういう位置にいるのかなって思ったから、今回こういうアルバムを作ったっていうか。守るべきモノと攻めるモノがあるけど、今回はどっちかっていうと『良いものを守る』っていう意味ですね」

■一方、“ふざけんな”のリリックでも「最初からラップしてるぜ」って言っている通り、今回はラッパーとしてのタイプさんもしっかりと出ていますね。
「俺のことをラッパーじゃないって思ってる人が多くて、『ラップもするんですね?』っていまだに言われるんですよ(笑)。『いや、俺最初ラッパーとして出て来てるんですけど……』みたいな。昔はクラブでフリースタイル・バトルしたこともあったし、それで名前売ってたから。それがちょっと最近気になってることのひとつ。とりあえず『ラップもすげえ!』って言わしてやろうかなって。俺的には自信があるから、そっちの方にも今回は力を入れてるっすね。音と対等か、もしくは超えたい。俺にとっては、音もラップも(そのバランスは)全然同じくらい。別にフリースタイル・バトルに出るとかじゃないですけどね(笑)」

■では、ラップをするときに意識していることは?
「曲によって違うけど、逆に言うとそれを意識してるかな。トラックによって変えるっていうか。リリックは、『こういう風に言ったらこのトラックにハマる』とか、そういうことを意識してますね。フロウもすげぇ気にしてるかな。やっぱり音を作ってる分、フロウをメロディで捉えてるところがあって。『この音にはこういうフロウでいったら、さらに勢いが出て聴かせられるんじゃないか』とかそういう感じ。それは今回のアルバムを聴いてもらえれば分かると思いますね」

■“フロウをメロディで捉える”っていうのが、“おかしな奴ら”でBACH LOGIC(以下BL)をフィーチャーするっていう珍しい人選にも繋がってくるんですね。
「そうですね(笑)。お互いある程度トラック・メイカーとしての名前があるし、それがラップで絡んだら面白いんじゃねぇかなって思ったんですよね。アイツがラップするのは前から知ってたし、結構好きだったから。しかもBLは、自分でリリックを書かないんで。人に書いてもらったリリックを自分でフロウするっていうのが、マジハンパないなって思って。俺が言う前から、BLは俺のやりたいことが分かってたみたいで、逆にアイツから『変なラップしましょうよ』って言ってきたんですよ。『いや、もうそれ言おうと思ってたくらいだから全然やろうよ』みたいな。音作って提供してる者同士、やっぱり音だけを聴いてわかるんだなって思いましたね」

■その曲のトラックにBL氏は関わってないんですよね?
「そこには関わってないですね。そっちの方が面白いと思って。『俺のソロ・アルバム作るときは絶対“ラップ”で頼むから、よろしくね』って前から言ってたし」

■サンプリング云々という話に戻っちゃいますけど、今回のアルバムを聴いて、ネタの使い方が独特だなって思ったんですが。
「あ、ホントっすか?最近よく言われるんですよ。単純にループしてビートに乗っけたときに、自分の思ってる雰囲気になるかならないかっていう判断なんで完全に感覚だし、特に何も意識はしてないんですけど。だから逆に、俺が持っててもスルーしてたネタが誰かのシングルになってることもあって、『あー。そうやるか』とか思ったりもしますよ。実は最近、俺だけ全然違うものを作ってるんじゃないかってやたら気になってるんですよね。『俺これで大丈夫なのかな?全然違うんだけど!』って(笑)」

■同じくラップも、言い回しやノリが全然違う気がするんですよ。黒さが表に出てるっていうか。そういう独特な感覚に影響を及ぼしている要因はなんだと思いますか?
「う〜ん……。ちょくちょくブルックリンに遊びに行ってた時期があって、毎回スペイン人の家に泊まってたんですよ。『泊まってもいいけど、他に友達いないの?』って心配されるくらい(笑)。その家の周りがゲットーだったから、黒人たちとビート聴かせあったりしてて。そういう黒人が持ってる良い部分っていうのは、結構影響してるかもしれないですね。勉強したっていうか、染み着いたっていうか。M.O.Pの楽屋に乗り込んだり、SMOOTHE DA HUSTLERのレコーディングとかに遊びに行ったりもしてたから、黒人の反応する部分とかもなんかすげぇ分かるんですよね」

■改めて、完成したアルバムを振り返っていかがですか?
「もう次に行きたいですね。その当時の俺にしては、出来は良かったと思うけど。何ヶ月か前の俺にしては、ね(笑)。俺自身、もう2ndアルバムにモードが行っちゃってるんで、『良いんじゃない?』って感じです(笑)。次のステップに繋がるものは確実に残したし、そこから良いものは次へ持って行くよ、みたいな」
 
 
 
 

Pickup Disc

TITLE : 0 (ZERO)
ARTIST : タイプライター
LABEL : SPEEDEX/POCE-17007
PRICE : 2,000円
RELEASE DATE : NOW ON SALE