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HIDADDY

昨年末はDVD『ヒダディーひとり旅』が大きな話題を呼んだ韻踏合組合/HEAD BANGERZのHIDADDYが、1stソロ・アルバム「火種」をリリース。HIDADDYの美学が濃密に押し出された本作を聴いて、改めて彼の魅力にヤラれている人も多いだろう。そんな彼の魅力/ラップにかける熱い想いはこのインタビューからも伝わるはず!

インタビュー:浦田 威

昔は誰かに「シーンをどうにかしてくれ」って意識があったんですけど、
今は自分がどうにかしようって思うっすね。
僕も昔、活動しながら上の人を見てたから、
今は自分が見られてるって意識はあります。
大きく言うと、背負ってるって気持ちで、
自分の活動が大阪シーンのための活動だと信じてやってますね

 韻踏合組合、HEAD BANGERZ所属、これまで残してきた幾多のクラシック作品と世界中を見渡しても類を見ないフリースタイラーとしての活躍、キャリア/実力共に申し分のない最高のマスター・オブ・セレモニー。大阪のMCと言えば、彼の名を真っ先に思い浮かべるヘッズも多いはずだ。HIDADDY、渾身の1stソロ・アルバム「火種」は、そんな彼の飾らない人柄、高いスキル、ヴァイブスが充満する、ストイックでありながらも“愛”に満ち溢れた作品に仕上がっている。

■まずタイトルについて。
「10年以上前からソロで“火種”って曲があって、当時CHIEF ROKKAの前でライヴしたら『いけてるやん』てなって、そこからCHIEF ROKKAと一緒に行動することになったんですよね。そこからずっと温めてきたけど、当時もソロやったし、今回初のソロ・アルバムってことでこのタイトルでいきました」

■偶然かもしれませんが、今年はソロMCのメッセージ性が強い作品が多かったように思います。で、HIDA君の今回の作品もメッセージが凄く伝わりました。けど、相変わらずしっかりと韻は踏んでる。
「僕らは『韻を踏む』ということに関しては絶対なんで、踏みながらきっちり伝えるってのは意識しましたね」

■HIDA君は、周りから見ると作品もコンスタントに出してるし、誰もやってなかったようなDVDもリリースして、若いMCから見ると憧れの存在だと思うんですが、今回は謙虚な曲が多いですよね。
「そこは等身大で。僕もピカピカに着飾ることはあるけど、自転車で後ろに子供乗せて幼稚園まで送り迎えもするってことですよ。自分が若かった頃とか、忘れたらアカン部分を歌ってる曲が多いですね」

■『ヒダディーひとり旅』の経験で今回のアルバムに活かされたものとは?
「人との繋がりですね」

■例えば、『ひとり旅』で産まれた繋がりで日本中から豪華な客演、トラックメイカーを集めたソロ・アルバムを作ることも可能だったと思うんですよ。けど、今回のアルバムには客演も少なくて。それは出会いを通じて自身の内面を磨いたということですか?
「まさにそれですね。皆とは改めてラップしたいとは思うんですけど、今回は初のソロなんで、韻踏とはどうしても一曲やりたかったんですけど、なるべく一人でやりたかったんですよね。YOUTHとの曲は最初、トラックメイカーとして頼んでたら、上がってきた音にサビの声ネタのスクラッチが入ってなくて、どうしよか……てなって、ほな今からYOUTHがサビ歌ってくれやってなったんで、彼にトラックを頼むとサビまでトラックの一部として付いてくるってことですね」

■目新しいところではFOCUS興業のNAO THE LAIZA、VAXIM氏もトラック製作してましたが。
「韻踏としては新鮮に見えるかもやけど、元々僕は絡みがあるんですよ。今年FOCUS主催の『THE CARNIVAL』ってイヴェントがあったんですけど、そこでDJ GEORGEにスケボー勧めたら複雑骨折してもて、僕は責任感じてちょくちょく病院までお見舞い行ってたんです。そこでGEORGEが『せっかくの縁なんでナンか一緒に作りましょ』って言うてくれたから、それと息子の幼稚園がFOCUSの事務所と近いからってのもあるんですけど、音決めに行ったらすぐに良いトラックあったし、クオリティも高かったですね。ALI-KICKのトラックは韻踏の事務所のPCに入ってて、プリプロしてから電話入れて、他はAKIO BEATS、EVIS BEATSとか普段から関係の近い人に頼みましたね」

■今回は初のソロということで、HIDA君の考える、ソロ・マイカーにとって必要な要素を3つ教えてください。
「スキル/ヴァイブス/運。その3つがあればどこでもイケると思いますね」

■営業的な要素は必要ない?
「営業上手なMCってのは、街でフライヤーに名前が載るくらいのトコまではすぐ行くんですけど、そっから伸びないんですよ。そういう奴がKREVAやジブさんみたいになってるか?て言うとそうじゃない。スキルとヴァイブスがない奴はいくら地元で有名でも、東京では誰も知らないとかあるし、ラッパーはストイックでいいと思いますね」

■ではHIDA君にとっての、ソロMCのアイドルは?
「ジブさんですね。やっぱり長年、ポジションをキープしてるのが凄い。客演とか含めて単純に作品の数も違うし、ポップな曲があっても中にはしっかりドープやったり韻の堅い曲もあるし、やっぱホンモノかなって思いますね。一番好きな曲は“PARTY CHECKER”。PVもカッコ良くて、当時は歌ったりしてましたね。武道館の日はちょうど『ULTIMATE MC BATLE』(以下UMB)大阪予選やったんですけど、そら行きたかったですよ……」

■今年のUMB大阪予選を観てたんですが僕の感想として、今回のHIDA君はたとえヘイターからの視点で観たとしても、明らかに勝ってたとは思いました。
「正直、今年は優勝できると思ってなかったんですよ。若い奴が行ってくれると思ってたから。僕は去年と同じだけ練習してきて、バトルは時の運とか色々あるんですけど、そこで僕のベストを上回る若手が出てきたら世代交代やし、大阪を任せてもいいかなって思ってたんですけど、まだいなかったってことは、結局まだまだ大阪の若いMCはショボいやんってことですよ。優勝の瞬間は『皆ありがとう!』て半面、『ああ、勝ってしまった……』って気分でしたね」

■では、地元の若手MCに関してはどう思われますか?
「レコーディングしたことないMCにはスタジオを紹介したりはしてますね、あと、若手でデモ作って『まだ配るだけで売ってません』て奴も多いんですけど、1stアルバムって特別やないですか、初めての作品はヴァイブスが詰まってて良い物が多いのに、売らへんのはもったいないと思うんですよね。売り場に並べたら『一二三屋』のホームページでタイトル見て、遠くに住んでる奴が試しに買ってみよかな、とかもありえるから、やっぱりエントリーはしとかないと。滅茶苦茶配ってる奴も、それってホンマに聴きたい人には届いてんのかな?と思うんですよ。例えばCDを浦田君に渡すんやったらまだしも、浦田君のお父さんやお母さんに配ってもしゃあないやないですか。その辺のビッチに聴かせて『イェー』ってなりたいだけの奴はそうしたらいいと思うし、タダで配るのも全然悪いことやないけど、関係者にだけ配って売る用は分けたらええのにって思いますね」

■HIDA君から見た現状の大阪シーンは?
「昔は誰かに『シーンをどうにかしてくれ』って意識があったんですけど、今は自分がどうにかしようって思うっすね。僕も昔、活動しながら上の人を見てたから、今は自分が見られてるって意識はあります。大きく言うと、背負ってるって気持ちで、自分の活動が大阪シーンのための活動だと信じてやってますね。大阪のパーティに関しては、『夜のクラブ活動』ってありますけど、所詮そこに遊びだけ求めてるお客さんの大半は僕のアルバムを買わないし、『僕の求めてるものはそこにはない』って結論が出てしまったんですよ。たまに行くと確かに楽しいですけど、そこは真剣に力を入れてやる場所ではないと思いますね。けど、僕はMCに客が付いてないようなパーティでも呼ばれたら盛り上げてますよ。普段ライヴで盛り上がらないのはそこにハコの客しかいなくて、ラッパーが自分の客を持ってないってことなんですよ。僕らのライヴはどんなハコでも、僕らのことが大好きって奴が必ず来てくれてるから絶対に盛り上がるんですよ」

■HIDA君はライヴでも作品でも、常に固定概念を覆えそうとしてきたMCだと思うんですが、僕はUSで古くから言われてる『フリースタイラーはアルバムが出せない』みたいな概念って、既に日本人が覆したかもって思うんですよ。
「SUPERNATURALが作品ではどうか?て話ですよね。それはフリースタイルで名を上げた般若君、漢君が良いアルバム出して、既に覆してると思うし、覆せるものなんですよ。けど、フリースタイラーにはそれをやらない人が多くて、カルデラビスタはアルバム出して、次のUMB王者のFORKはせっかく僕が優勝譲ってあげたのに……コレ絶対に書いてくださいね。僕がせっかく優勝譲ってあげたのに、すぐFORK名義で作品出さないってのは本当にもったいなかった。ICE BAHNは超仲良いし、マイメンやと思ってるからこんなこと言うんですけど、グループの絆ってのは確かに絶対やけど、その前提でリスナーの期待に応えるって意味でもFORKには作品を出してほしかったんです。ソロ活動を経てクルーに還元するってのも僕は必要だと思うんですよ、だから韻踏も各自がソロを出して、ここからまた勝負ですね」

■今後の目標、展望は?
「まず、『一二三屋』の確定申告で住宅ローンの審査を通ってくれたら嬉しい。リリース予定ではまず『HIDA地獄2』、今度は僕のヴァースだけじゃなくて地方で録音した曲とか、世に出てない音源を入れたい。それとHIGH GRADE PROJECTのツアーDVDを編集中なんで、同時期に出せればいいかな。その後、『HIDADDY三十路の旅路』ですね」

■最後に一言。
「ライヴでも言うてるんですけど、『CDは焼くな』。昔、KREVA君が店に来てくれた時、CD渡そうとしたら『いいよ、俺は絶対に買うんだ』って言われて、RHYMESTERにもCD渡したら『コレ出る前のヤツ?ジャケットないよね?出たら買うよ』とか言ってくれて嬉しかったんですけど、焼いて音だけ聴くんじゃなくてジャケット/中身/リリックも載せてるし、アートワークとか全て含めて、色んな僕を見てほしい。ありのまま、等身大の僕を伝えていきたいです。年末12月27日のUMB決勝はなんばHATCHを皆で埋め尽くしましょう!!」
 
 
 
 

Pickup Disc

TITLE : 火種
ARTIST : HIDADDY
LABEL : IFK RECORDS/IFKCD-008
PRICE : 2,625円
RELEASE DATE : NOW ON SALE