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THUG FAMILY

日本で最も危険なラップ・グループ:THUG FAMILYが遂にAmebreakにも登場だ。過激な彼らの音楽は既にネット界隈でも大きな波紋を呼んでいるが、実際のところ、彼らはどのような考えの下、自分たちの音楽を追求してるのか?彼らの決意の確かさが伺える発言が満載のインタビューだ。

インタビュー:伊藤雄介(Amebreak)

いくら金を手に入れたって本当の心の豊かさがなければ
人間は一生満足できないってことを、俺は金を掴んだことで知った。
だから、金を手に入れてももっと欲深くなるヤツとか、
仲間のことや世の中のことを考えられないヤツ、
あと、業界でニセモノが磨かれて輝いているような状態を野放しにしてきたけど、
これからは黙ってられねぇ、動くしかねぇ、って思ったんだ——TOP

 ここ1〜2年の間にデビューした日本語ラップのアーティストの中で、恐らく最も物議を醸しているグループがTHUG FAMILYだろう。確かに彼らが「100% THUG」で歌うストーリーの数々は、ストリートで彼らが過ごしてきたクライム・ライフそのものだし、フロウやデリヴァリーといった技術的な側面から言うと日本でトップ・クラスのスキルを持つグループではないかもしれない。だが、それでも彼らが特に同業者から高い評価を得ているのは何故だろうか?ひとつには、彼らの音楽が持つ不思議なまでの説得力が挙げられると思う。近年増えてきたと言われる、所謂ハスラー・ラップの多くが発する、時に無責任なリリックの数々と表面上は同じように見えてしまうかもしれないが、その裏から読み取れるメッセージや彼らの理想は、実は驚く程ブレがないし筋が通っている。また、技巧的に未熟でも自らが最もロマンを感じる表現に果敢に挑む姿勢も、多くの同業者から共感を得ている部分なのではないだろうか?

 彼らのような過激なスタンスのグループは叩かれるのが宿命のようなところもあるが、何故彼らがストリート・ライフに完全に溺れてしまう寸前で思いとどまり、ラップ・ライフを選んだのか——そんなところに注目して聴いてみると、彼らのようなグループの存在意義をもっと見出すことが出来るのではないかと思う。

■THUG FAMILYが結成されたのはいつ頃?
TOP(以下T)「4年前。最初は3人ぐらいしかメンバーがいなかった。なんで今のメンバーをピックアップしたかというと、音楽じゃなくてストリートの関係。信念が同じで本物だと見込んだヤツを選んだから。俺たちが持ってる志をどう世の中に伝えて、どう世の中を変えられるかっていうと、俺に出来るのはラップしかなかったから。みんな年齢もラップのスタイルもバラバラだけど、志/信念が同じだから一緒に活動してる。だから、今後もそういう本物志向のヤツがいたら入れたいと思うけど、誰でも俺たちの仲間に入れるかっていうとまったくそんなことはなくて、仲間のために戦えるかとか、パクられても仲間を売らないとか、根本的な部分がしっかりしていないといけない。ラップのスキルよりハートを重視してる」
SCARDOPE(以下S)「俺は16〜7ぐらいから遊びでリリックを書いてはいたけど、マイクは握ってなかった。不良だったから全然人前でラップするような感じじゃなかったけど、TOPに熱く説得されて始めた」
T「ラップやってなかったら俺たちもただのストリートのゴロツキ(笑)。どうしようもないヤツらだけど、俺たちがそういう風になっちまったのにも、勿論背景があるわけで。SCARDOPEもスゲェ気持ちが熱いし仲間を裏切らない気持ちがメチャメチャ強いから、『お前のその信念を世の中に伝えてほしい』って言って誘った」
D-ICE(以下D)「俺はラップ以前はDJから入って。地方から横浜に出て来てTHUG FAMILYに出会った。初めて聴いた時に『こういうラップが日本にもあるんだ』って思ってリリックを書き始めた」
CRACK(以下C)「俺も16〜7ぐらいからTOPの影響でラップを始めた。最初はソロでやってて、黒人のイヴェントばっかでライヴをやってて、そこでラップは鍛えられた」
T「あっちの(USA)ラッパーのフロウがコイツにはある。黒人っぽいっていうか。俺はどっちかっていうと我流でメッセージを重視してるスタイル」

■TOP君はラップのキャリアも長いみたいだけど、ラップを始める前に好きだったアーティストは?
T「思いっきり2PACだね。今も昔もそれは変わらない。2PACは悪いことも言うけど、その中には信念があるし、黒人の解放や差別撤廃、黒人の地位の確立のために闘っていたアーティストだと思う。俺が小学生の頃からMACCHOとか家に入り浸ってたりしてて仲良かったりはしたけど、日本語ラップはまったく聴いてなかった。参考にしてたのは2PAC。日本のラッパーが伝えたいことよりも、アメリカのラッパーが伝えたいことの方が俺にはマッチしてたから、向こうのラップに惹かれたんだと思う。俺がしたいのは高級車を乗り回すことより、児童養護施設への支援や配給活動だから」

■横浜を中心に活動するTHUG FAMILYがDEN氏と565氏率いるLEGENDARY INC.からアルバムを出すに至った経緯は?
T「さかのぼると10年前になるんだけど、MACCHOに565を紹介してもらったのが最初。世田谷に当時『妄マンション』っていうのがあって、そこに妄走族や、雷の人たちとか、色んな人がいて、俺もそこに入り浸るようになった。当時、俺はA-THUGとグループを組んでた。俺はまったく日本のラップは聴いてなかったから、そこにいた人たちもみんなギャングスターだって思ってたぐらいで(笑)。A-THUGと作ったデモを聴かせたら565が気に入ってくれたんだけど、俺もA-THUGも捕まったりしてる内に話がなくなって……。たまたまLEGENDARYのA&Rとも昔の知り合いだった関係で、『A+:TOKYO SHIT』に全員スーツで出て金ばら撒いたりした(笑)。そしたらDEN君が気に入ってくれて『A+』のコンピに参加させてくれて、今回のアルバムを出すことになった。だから、ここまで辿り着くまで長かったけど、さっきも言ったように俺たちはラップのスキルやファッションを伝えたいワケじゃないから、今思うとこれで良かったかな、って。でも、昔からMACCHOや妄走族、SCARS、ICE DYNASTY、LUCK-ENDが俺たちをプッシュしてくれてたのは感謝してる」

■ただでさえCDのセールスが激減してる中、音楽で食っていくのは難しいし、ぶっちゃけストリートで金を稼ぐ方が実入りは良いワケじゃないですか?そんな中においてTHUG FAMILYがラップする目的とは?
T「ストリートの復興/真実の代弁/HIP HOPの革命。ストリートで這いつくばって悲しみや苦しみを抱えてるヤツらのために常にメッセージを送っていきたい。金儲けしたいんだったら確かにストリートでハスッてた方がいいけど、そこに本当の安らぎがないということは、俺はずっとそういう仕事をやってきたから分かっている。いくら金を手に入れたって本当の心の豊かさがなければ人間は一生満足できないってことを、俺は金を掴んだことで知った。一度は贅沢な暮らしもしたけど、俺はそんなのを望んでたんじゃなかったってことを、自分の体験で知ったんだ。だから、金を手に入れてももっと欲深くなるヤツとか、仲間のことや世の中のことを考えられないヤツ、あと、業界でニセモノが磨かれて輝いているような状態を野放しにしてきたけど、これからは黙ってられねぇ、動くしかねぇ、って思ったんだ」


“SURVIVAL”

■「ストリートから抜け出す」って、THUG FAMILYの作品でも歌われているし、他のストリート色の強いラップでもよく言ってることだけど、直接的にCDの売り上げで抜け出すというよりは、もっと広い視野での話なんですよね。
T「やっぱり仕事がないからみんなハスリングとかに手を染めちゃうんだと思うし、俺はそういう状況を作り出した世の中の方が悪いと思っている。資本主義には良いところもあるけど、悪いところもあるし、金という接着剤がなくなったらみんなバラバラっていう世の中がお前ら本当にいいのか?っていう。だから、俺たちはずっと真実を語っていきたい。あと、ここで言っておきたいのは、俺たちの曲を聴いて浅はかに犯罪に手を染めるようなことはしてほしくない。アルバムでも言ってるし、聴いてもらえば絶対理解してもらえると思うけど、俺たちはここから抜け出したいし、そのためにラップをやってる。ラップ/音楽が俺を家に引きこもらせてトラブルから避けさせてくれたとも思うんだ」

■THUG FAMILYのリリックは、現在の日本語ラップの基準から考えると相当に過激だと思うし、そういった部分に嫌悪感を示す人も多いと思うんです。そういった「THUG FAMILYヘイター」に対してはどういった言葉をかけますか?
C「アメリカでオバマが奇跡を起こしたみたいに、俺たちが革命を起こして前に進むんだ。別にポップな曲やラヴ・ソングがあってもいい。だけど、苦しみや悲しみはみんな持っているんだ。だから、俺たちの言っていることが分かってもらえるように世の中を変えていきたい」
T「俺たちのラップを聴いてもらえば分かると思うけど、俺たちは他人を名指しでヘイトは一切してない」
C「妬みはただ時間を無駄にしてるだけだ」
T「ラップが下手だとかダサイとか本当に悪いのか?とか、そんなことでディスっても業界や世の中は何も変わらない。スタイルは十人十色で当たり前だと思う。そこまで分からないでヘイトだけしてるヤツはidiot(間抜け)だと思う。だから、ヘイトしてるんだったら仕事して金稼ぐか勉強しろ。それか、ラップでも金儲けでもどんな方法や手段でもいいから、自分のスタイルで世の中に対して信念を貫け!俺たちはただ俺たちのスタイルを貫いて真実を伝えてるだけだ。ただ、ヘイターがヘイトしてるのも、俺らに注目してるからだと思うし、ヘイトしてるヤツらのためにも、世の中を俺たちなりに良くしようと思ってる。だからそいつらの意見も素直に受け入れるよ。ラップに関しては王様気取りにならないでピュアでい続けたいし、正直テクニックももっと磨きたい。今回はTHUG FAMILYの作品ということで色を固めたけど、色んな曲を作りたいとも思ってる。ピカソやゴッホも、いつも明るいタッチの作品じゃないのと同じだよ。『CONCRETE GREEN』で俺が提供した曲とかは、心の悩みとか下ネタとか、色んな曲を歌ってるから、是非チェックしてほしい」

■HIP HOPにおいて、"THUG"という言葉を2PACがポピュラーにして以降、色んなアーティストが色んな解釈でその言葉を使ってきましたが、THUG FAMILYの考える「THUGであること」とは?
T「信念を貫き通す、ホンモノの男、ソルジャー。今の社会に対して不満を持ってて、見てるだけじゃなくて行動に移せる人間」

■最近の日本のHIP HOPシーンについて思うことは?
T「全部カネ、カネ、カネで動きすぎなヤツが多すぎな気がする。だから、金になる売れ線が多いと思う。腰抜けどもがMONEY MUSIC作りすぎで飽きる曲ばっかでつまんねえ。もっと言いたこと言えって感じ。SMOKEとかPOLICEにPUSSY(笑)!薬物とかもすぐに金になるけど、若者たちに影響があると思うから、ケミカルとかを薦めるようなラップはしたくない」
C「多分、みんな騙されたり裏切られたりしすぎて勘ぐってる方が楽だっていうのがあるかもしれない。けど、そういう病んだ世界に生きすぎるといつかは監獄行きになるのは間違いない」
T「抜け出せなくなることを知ってるからこそ、そういうことはちゃんと言っていきたい。だから、そういうところでA-THUGとかICE DYNASTYのKNZとかはファックだし、ワックだと思う。これはヘイトじゃなくアイツらへの期待があるから言う。俺も含めアイツらがストリートの痛みや苦しみを代弁して行くのがベストだと思うから。ケミカルやあんなラップを若者たちに薦めてたらマジ世の中腐っちまうと思う。何故かは解らないけど、クラブや業界どころかストリートがおかしくなってきてると思う。HIP HOPは今、病にかかってる」

■今後THUG FAMILYが音楽を通して訴えていきたいことや目標は?
T「分かりやすく言うと『俺たちの住みやすい世界をどんどん作っていこうぜ』ってことかな」
C「バカな大人が大金賭けて偽者をメジャーで売り出す子供だましにはもうこりごりだってこと」
T「ニセ者が磨かれて輝いてるような状況を見てるのはもうやめようぜ。俺たちはストリートをサヴァイヴして生き抜いてきてここに至ってる。本当にお前たちが住んでる街から出て来たヤツらだ、って言いたいね。だから、みんなの苦しみや悲しみを代弁するのは俺たちがベストじゃないか?」
S「このアルバムを聴いて、苦しんでるのは自分たちだけじゃないっていうのを分かってほしい。で、それと闘っていくことが必要だっていうことも分かってほしい。そこでくじけちゃあ人生はそれで終わりだろ?」
D「このアルバムを聴いて、俺たちは必死に生きてるってことがみんなに伝わればいいね」
ALLURE「誰がフェイクで何がリアル、そういうことを言わなくても聴いてるヘッズたちが感じ取ってくれるようになってほしい」
 
 
 
 

Pickup Disc

TITLE : 100% THUG
ARTIST : THUG FAMILY
LABEL : LEGENDARY INC./LEGY-0003
PRICE : 2,500円
RELEASE DATE : NOW ON SALE