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INTERVIEW[インタビュー] RSS

NORIMITSU & MR. FUKUSAN

韻踏合組合関連の楽曲や、大阪周辺のラッパーたちへのトラック提供で知られる二人のトラック・メイカー:NORIMITSUとMR. FUKUSANが、この度韻踏合組合のレーベル:IFK RECORDSから収録曲の半分ずつを担当したその名も「SPLIT EP VOL.1」をリリース。既に韻踏のサイトや手売りなどで販売はされていたが、今月ついに全国流通でのリリースとなる。ユニークなサンプリング・センスのトラックに乗るMCたちの人選もかなり絶妙で面白いので、この機会に是非聴いてみてほしい一枚だ!

インタビュー:浦田 威

「値段も買いやすいし、手売りもしてるんですけど評判は良いんで、よく言われる『CDが売れにくい不況の時代』みたいなのは感じないですね。買ってくれる人の顔が見えるってのは、繋がりって意味でも大事やし、もう一度言うけど、やっぱり買ってくれる人の顔が見えるってのは、本当に大事なことなんやと再確認しましたね」——NORIMITSU

L to R: MR. FUKUSAN/NORIMITSU

 多くの才能が集う大阪HIP HOPシーン。その中でもリリース量、尖ったクリエイティヴィティで他の追随を許さない西の雄、韻踏合組合が主催するヘッズ御用達レーベル、IFK RECORDSから次なる二人の刺客、大阪の「隠し球」的存在とも噂されるトラック・メイカー、MR. FUKUSANとNORIMITSUが「SPLIT EP VOL.1」をリリース。これまで謎のベールに包まれてきた(?)両者の内側に迫る、媒体初のロング・インタビューだ。

■まず、この「SPLIT EP」を制作することになったきっかけは?
NORIMITSU(以下N)「組合長(SATUSSY)から去年の5月くらいにオファーがあって、作り始めたのはそこからですね」

■二人のトラック・メイカーとしてのキャリアは?
MR. FUKUSAN(以下F)「18歳からなんで、10年くらいです」
N「僕は5?6年くらい」

■当初、目標としていたトラック・メイカーはいましたか?
F「僕はPETE ROCK」
N「好きな人は色々いるんですけど、いるようないないような、やっぱり……特にはいませんね」

■ほう、では二人にとって、いわゆる「オール・タイム・フェイヴァリット」みたいなアルバムはありますか?
F「SMIF N' WESSUN『DAH SHININ'』、DAS EFX『HOLD IT DOWN』、RHYMESTER『エゴトピア』、YOU THE ROCK『SOUND TRACK 95』とか、95年頃の作品が多いですね」
N「僕はTHE NOTORIOUS B.I.G.『READY TO DIE』、BIZ MARKIEの(ベスト盤)『BADDEST BEATS』、こういうのって選ぶと古くなりがちなんで新しいところでは、KANYE WEST『GRADUATION』、SHINGO☆西成『SPROUT』、SATUSSY『THE NOVEL』とか、いっぱいありますね。田我流は曲のテーマもトラックも良いし、もらったんですけど聴いてみて、『コレはお金払うべきかな?』って思ってしまうくらい良かったですね」

■なるほど、ではお互いを見て、長所とはどういった部分でしょうか?
N「FUKUSANはオシャレなサンプリングもできてネタの使い方も上手いし、センスが抜群に良いですね。人間的には頑固なところもあって……まあ、みんなそうですよね。お互いに知り合って時間が経たないと喋らないんです」
F「NORIMITSUは僕がラップをやってる時から知ってるんですけど、繊細な人間ですね」

■今回の作品にはいろんな作風があるんですが、「ヘッズ感」というか、ストレートなHIP HOPを強く感じさせる曲が多かったように思いますが。
N「そこは特に意識はしてないんですけど、今の時代は色んなHIP HOPを好きな人がいると思うんで、変な広がり方はアレやけど、流行ってるような曲もそれはそれでいいとは思いますね」

■今は4つ打ちとHIP HOPの境目も曖昧になってきてて、綺麗事としては「そういうのも全部まとめてHIP HOP」って考え方も確かに分かるんですけど、中には流石に、「コレはジャンルが根本的に違うんじゃないか」ってモノもありませんか?
N「ありますね。それは確かに、そう思います」

■そう考えると、この「SPLIT EP」は流石にショップでも、“HIP HOP”の棚以外には置かれるモノではないと思うんですよ。
N「ああ、確かに。このEPが“エレクトロ”のコーナーにあったら怒られますよね」

■中でも、大胆なネタ使いが印象的だったんですが、やっぱりサンプリングという手法には特別な愛着が?
F「MPC2500しか持ってないんで、サンプリングが好きというか、僕らそれしかできないんですよ」
N「思うんですけど、声ネタとかはやっぱり有名な曲の方がリスナーに伝わると思うんですよね」

■サンプリングネタはどういうところで手に入れてますか?
F「安いレコード。キングコング(大阪を代表する安価な中古レコード店)しか行ってないですね」


“I DON'T BELIEVE feat. エムラスタ, TAKASE (HI-KING)”

■普段はどういった音楽を聴いてるんですか?
N「僕はパーティ・ピープルなんで、よくクラブには行くんですよ。新譜とかそこでチェックして、流行ってるような曲も僕は好きですね」
F「僕は(メインストリームの新譜は)あんまりかなあ……」

■NORIMITSUさんは、よくDJ KAN君(韻踏合組合)の出てるイヴェントでクラブの片隅にいますよね。
N「ハイ、酔うと別人格が現われるんですよ。最近はあんまりフロアで踊ってないですね」

■そもそも、DJ KANくんはじめ、韻踏合組合とはどうやって繋がったんですか?
N「僕は元々RAGING RACINGと知り合いだったんですけど」

■KANYE WESTのフロント・アクトもつとめたMC:BIARD君とかいましたよね?
N「ハイ、彼は本当、良いMCですよね。
FUKUSANは僕よりずっと先に活動してたんですけど、僕はOHYAくん(元韻踏合組合、だるまさん)と一緒に住んでた時期があって、そこから色んな人と知り合いましたね」

■OHYAくんと!それは大変な経験ですね……。
N「いやいや、貴重な経験で。あの人真面目なんですよ、オーヤくんのHIP HOPに対する姿勢とか、色々勉強になりました」

■なるほど、では今回の作品、MCの人選はどういう所を重視しましたか?
N「ありそうでないところ、エムラスタとかも、あり得ない組み合わせでやってほしくて、組み合わせの面白さには特に気を遣いましたね」

■今後、この人と曲を作りたいという、アイドル的なMCはいますか?
F「今回はタイミングが合わなかったんですけど、茂千代くんとか。
N「E.C.ズッチー(元RAGING RACING)ですね」

■……E.C.ズッチーはアイドルというか、今から電話したらすぐ実現するんじゃないですか?
N「彼は今、四国に住んでるんですよ。そういう距離的な問題もあって……」

■では、実現しそうにないMCでは?
F「Q-TIPとかやってみたいなあ」
N「BIZ MARKIEですね」

■二人のトラック・メイカーに共通した好みとして、「SPLIT EP」にはリリックの聴き取りやすいMCが多かったように思うんですが。
N「それはありますね。やっぱり日本人がやってることやから、ナニ言ってるか分かった方が絶対面白いと思うんですよ。昔、歌詞カードが入ってる作品の方が好きやったから、しっかりライナーに歌詞も載せてるし」

■曲を制作する上では、どういったやり方で?苦労した点などはありましたか?
F「一応、トラックを渡してテーマまでは自分たちは考えて、『こういう曲を』ってMCには要望して書いてもらって。SATUSSY君からも、良い意味でトラック・メイカー主導でやってくれとは言われてましたね」
N「MCはみんな、いっぱい曲を作ってる人たちなんで、制作はスムーズでしたよ」

■そして出来上がってみての手応えは?
F「結構、自信作なんですよ」
N「値段も買いやすいし、手売りもしてるんですけど評判は良いんで、よく言われる『CDが売れにくい不況の時代』みたいなのは感じないですね。買ってくれる人の顔が見えるってのは、繋がりって意味でも大事やし、もう一度言うけど、やっぱり買ってくれる人の顔が見えるってのは、本当に大事なことなんやと再確認しましたね」

■どこかで聞いたことあるようなフレーズですが……では今後の課題は?
F「とにかく僕ら社交性が足りないんで、もっと喋れたらいいんですけどね」
N「酒の力を借りないとコミュニケーション能力が低くて……今後はもっと自分にしかできないモノを確立するため、旅に出たいですね」

■二人で営業とか行って、全国の美味しいモノを食べたりってのは、興味ないですか?
N「僕らがいなくてもいけるじゃないですか。僕らはギャラとか要らないんですけど、MCのみんながそれぞれ忙しいんで、日程合わすのも大変で……けど今度、東京の『蝕』には出させてもらうんですけど。前、『蝕』に遊びに行ったときはFUKUSANが飲み過ぎてわやになったり……あと、エムラスタは本当良い人ですよ。東京でもずっと一緒にいてくれて、食事とか行っても『ええで、オレが出すで』とか言ってくれたり」

■……後で見返りに金品を要求されたりは?
N「ないですよ(苦笑)。あと、僕はサイプレス上野よりも歳上なんですけど、あいつはずっと、全然先輩やなくて同い歳を相手するみたいなノリで、エムラスタが『オマエ、なんで先輩やのにそんな態度なん?』って上野にツッコんでくれたり、僕もあえて上野を泳がせてたんですけどね。本当、エムラスタはそういう面でも良い人なんですよ」

■次回の「蝕」は二人のリリース・パーティですが、MCに名前を呼ばれたらDJブースから派手なアクションで応えたりってのも、DJとしては必要ですよね?
N「そうなんですよ、内向的なんでそういう場面になるとホント困りますよね。ステージングも頑張りたいんで、イイ案があれば教えてください」

■例えば、ブログ書いて毎日美味しいお店を紹介して、自分でラップもしたりする、華やかなトラック・メイカーになりたいってのはないですか?
F「いやあ……そういうのって、色々大変ですよね」
N「『やりたくないなあ』ってのが7割と、「ちょっとやってみたい」ってのが3割ですね」

■では、今後の目標は?
N「あの、前から疑問だったんですが、『ストリート・アルバム』ってのは何なんですか?あんまりお金をかけずに作ったアルバムってことですか?」

■最初はミックスCDみたいなフォーマットで、向こうのアーティストが正規のアルバムを出す前に宣伝目的で、ありもののトラックとかにラップを乗せて、サンプリング・クリアランス取らずにインディーズで流通させるって感じで、日本では結構、曖昧な捉えられ方だと思うんですが……それが今後の目標なんですか?
N「いえ、単に今ふと思っただけで、すいません」

■では、最後に一言お願いします。
N「僕らの後にDJ KAN & AKIO BEATSで『SPLIT EP VOL.2』が出ます。全国のB-BOY、B-GIRLども、チェックしな!ブラッ!」

■……ありがとうございました。
 

EVENT INFO
蝕〜梅雨空をぶっとばせスペシャル
 
日時:6月6日(土)23:00開場
場所:渋谷THE GAME
出演:NORIMITSU & MR. FUKUSAN feat. ERONE, HI-KING, KEN THE 390, エムラスタ & MORE/SHIZOO/OJIBAH/DEJI他
料金:2,500円(1D) w/FLYER:2,000円(1D)

 
 
TRACK LIST
01.“I DON'T BELIEVE”/エムラスタ, TAKASE (Pro. NORIMITSU)
02.“DAIKICHI〜daibu kichi guy〜”/MEGA-G, ER-ONE (Pro. MR. FUKUSAN)
03.“大阪パッパッ(O.P.P.)”/HIDADDY, SHINGO☆西成, 悠然 (Pro. NORIMITSU)
04.“テラセ”/KEN THE 390 (Pro. MR. FUKUSAN)
05.“時間厳守”/MAKI THE MAGIC, SATUSSY (Pro. NORIMITSU)
06.“GET CLEAN MONEY”/DJ A-1, HIRO, POCYOMKIN (Pro. MR. FUKUSAN)
07.“あきら君の気楽な話”/AMIDA (Pro. NORIMITSU)
08.“LIFE GOES ON”/勝 (Pro. MR. FUKUSAN)

 
 
 
 

Pickup Disc

TITLE : SPLIT EP VOL.1
ARTIST : NORIMITSU & MR. FUKUSAN
LABEL : IFK RECORDS/IFKCD-009
PRICE : 1,800円
RELEASE DATE : 6月17日