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INTERVIEW[インタビュー] RSS

熊井吾郎 & KREVA

先日催されたライヴ・ツアー『意味深2』で先行発売されて以降、KREVAのファンを中心に大きな話題となっていた「くレーベルコンピ」の最新盤2作が、ついに全国リリース!ミックスCD仕様の「【其の四】」、KREVA+フィーチャリング勢のコンピ仕様の「【其の五】」共に制作面で大活躍のDJ/トラック・メイカー:熊井吾郎と、レーベル主宰者KREVAを招いてのロング・インタビューを敢行!

インタビュー:伊藤雄介(Amebreak)
写真:細谷 聡(ConDollPhoto)

「(くレーベルの作品を通して)自分がメジャーで出すアルバムの精度を上げたいっていうのが一番デカいよね。いっぱい録ればいいって話かもしれないけど、それと作品としてリリースするものとのテンションって違うと思うから、(メジャー・リリースに向けての)実戦練習というか、サッカーで言う『KIRIN CUP』みたいな、そういうのって大事だと思うんだよね」——KREVA

 久し振りのリリースとなる「くレーベルコンピ」シリーズ最新作は、既報の通り過去にリリースされた「くレーベルコンピ」の楽曲(のKREVAの声とヴァース)をミックスした「【其の四】くLabel is Dead?」と、KREVA/SONOMI/千晴といったくレーベルのアーティストと若手のMCをフィーチャーした「【其の五】その後は吾郎の五曲」という2本同時リリースとなった。両作とも、KREVAらしいヒネリとポップ・センスが随所に表われた好盤だが、特に「【其の五】」に顕著なのが、「ひとりで作り上げる」密室性の強い普段のKREVAのソロ音源とはまた違う、アンダーグラウンドノリなフットワークの軽さだろう。

 そして、そんな『アンダーグラウンド・サイド』のKREVAを今回サポートするべく招集されたのが、これまでもKREVAの楽曲はもちろん、KREVAのライヴ時のサポート・メンバーとしても活躍してきた熊井吾郎。KREVAファンには最早お馴染みの存在ではあるが、今回のリリースで初めて彼の存在が表舞台に出て来たとも言えるわけで、この機会にまだ相当にレアな彼のロング・インタビューをお送りしようと思う。もちろん、ボスのKREVAも同席!

■熊井君は先日の『くレーベル祭り』ではオープニングDJを務めてましたけど、やっぱりトラック制作より先にDJを始めたんですか?
熊井吾郎(以下KG「)「中3の頃にDJを初めて、高3にMPCを買いましたね。その頃は青森に住んでいて、高校卒業してから東京に出て来ました。スケボーやってて、先輩に見せてもらったスケボーのヴィデオにHIP HOPの曲がよく入っていて、それの影響が大きくてDJを始めました」

■クレさんに出会う前にSONOMIちゃんと出会ってるわけだけど、彼女とはどうやって知り合ったんですか?
KG「SONOMIさんは、僕が高校生のとき初めて遊びに行ったイヴェントでライヴをしてたんですよ。『スゲェなー』って思って『SONOMIさんですか。カッコ良かったです』って声かけて」
KREVA(以下KR)「あ、そうなんだ(笑)」
KG「当時SONOMIさんはもう東京に出て来てたんですけど、月イチで青森にイヴェント出るために帰って来てて。その後SONOMIさんとSONOMIさんの周りのクルーの人たちと仲良くなって僕もイヴェントに出させてもらうようになったんですよ。で、その後にDMCの青森予選でクレさんが司会で初めて青森に来て、その後も何回かKICK THE CAN CREWとして青森に来て、そのときにクレさんには会ってるんですけど、その頃はまだ挨拶程度で」
KR「お前、いた?」
KG「僕、いたんですよ。本当に存在が薄かったんですけど(笑)。その後東京に出て来たタイミングでSONOMIさんのライヴDJは始めてましたね。その後SONOMIさんが“一人じゃないのよ”でデビューしてからはクレさんに会う機会も増えましたね」
KR「(最初に会ったときの印象は)SONOMIのDJで、ダメなヤツっていう(笑)。ホンットに(スキル的に)ダメだったんだけど、いつの間にかビートの話になって。でも、最初にビートを聴いたときはあまり印象に残らなかったんだよなぁ。今みたいに野太い感じじゃなかったような気がするね。フュージョンっぽいというか」

■最初に世に出たトラックって何になるんですか?
KG「SONOMIさんの“晴天”ってシングルのカップリング曲の“雨天”が最初ですね」

■最初にクレさんに提供したトラックは?
KG「“THE SHOW”のリミックスですね」
KR「そのときには結構良いビートを作り出してた。その頃にはもうMPCで俺の(ライヴの)バックに付くか、って話になってたんだよね。“THE SHOW”のリミックスをさせてみたら面白いんじゃないか、って直感で思って、やらせてみたらバッチリだったって感じ」

 

■熊井君はこれまでクレさんの仕事を相当間近で見てきたわけだけど、それが自分のトラック・メイカーとしての成長に繋がったと思いますか?
KG「もう、ほぼ全部ですね。クレさんのトラック・メイクの手法は僕の今の作り方の8割ぐらいを占めてると思います。やっぱりMPC4000を買うきっかけになったのもクレさんが作ってるのを見てですし。レコードを掘るとき、基本ジャケで選ぶんですけど、クレさんの使ってる元ネタのジャケを見せてもらうと、『あ、こういうの買うんだ』って思わされて、気付いたら僕も同じようなの買ってたりとか。この前も“TECHNIC”(SEEDA feat. KREVA)の元ネタを偶然買っちゃったりして。だから、トラック作り以前の段階で影響受けてますね」

■今回リリースされた「くレーベルコンピ【其の四】くLabel is Dead?」はシリーズ初のミックスCD仕様ですが。
KR「『其の四』が『その死』=『くレーベル IS DEAD』、『其の五』が『その後』っていうのはCUEZEROと二人で考えたコンセプトで、それをやろうっていうのは元々あったんだ。でも『その死』でCD出すのって難しいじゃん?GRAVEDIGGAZか『おくりびと』みたいな(笑)。『どうしたらいいかな?』って思ったんだけど、(「【其の三】」からの)リリース期間が空いてたから、いったんまとめて出すのが面白いってところからミックスCDにしようと思ったんだ」

■このミックスの聴きどころは?
KG「クレさんが提示してくれた、クレさんの声とヴァースだけ使ってやるっていうのがコンセプトで。全曲BPMも違うから大変だったんですけど、イントロの声ネタを集めてスクラッチでハメていくところだったりは、『この声どの曲のリリックだっけ?』みたいなところで気にしてみてほしいですね」

■そもそもなんでクレさんのラップだけでミックスという制約を設けたんですか?
KR「なんかで縛らないと選べないって話になったんだよね。で、俺的にもアルバムを出す前にミックスCD的なものを出したいって考えてたんだけど、普通のストリート仕様のミックスCDを出すぐらいなら撒いた方がいいなぐらいに思ってたから、作品として出せるものとしてはこの切り口が一番面白いのかなと」

■「【其の五】 その後は吾郎の五曲」は構成的には「【其の二】」に一番近いと思うんですが、フィーチャリングの人選はどうやって決めていったんですか?
KG「トラックを選ぶ段階から『このトラックはこの人かな?』みたいな話はしてましたね。で、実際の人選はほとんどクレさんが直接連絡を取ってくれて、コンセプトだったりレコーディングの仕方の相談とか進めてくれて。言っちゃえば僕はトラック用意しただけなんじゃないか、ってなっちゃいますけど(笑)」
KR「どの作品用とか関係なくいつもトラックはもらってたから、その中でアルバムに使おうと思ってたようなトラックを使ったりもしたり、今回用にもらったトラックから選んだり。結局30曲ぐらいからこの5曲を選んだ感じかな」

■熊井君はトラック・メイカーとしてのキャリアはまだ短いということを考えると、クレさんと一緒に曲を作れるというだけでも相当恵まれてるのに、「【其の五】」でクレさん以外の日本最高峰のMCたちと一気に仕事が出来るっていうのは、普通にジェラるトラック・メイカーもいそうだけど、熊井君的にはどういう気持ちですか?
KG「元々好きだったラッパーの人たちばっかりだったし、クレさんのフィルターを通していろんな人と一気に近くなれたから、この出会いは大事にしたいな、って思いますね。今回も熊井吾郎名義でやらせてもらいましたけど、『熊井吾郎プロデュース』でまた一緒にやらせてもらいたいですよね」


“good boy, bad boy feat. SEEDA, KREVA”

 

■クレさん的に今回の人選のポイントは?
KR「ポイントは、まず連絡が直接取れる人。無理して手を広げない感じ。且つ、トラックとテーマに合っている人を選んだらこうなった」

■07年に放送されたスペースシャワーTVの特番で対談をさせてもらったときにクレさんから挙がった注目のMCの多くが参加してますよね。
KR「ブレてないよね。その頃から演ってみたい人と今回初めて演れたって感じだよね」

■今回コンピに参加してない人——「連絡がまだ直接取れない」範囲の人で今後共演してみたい人は?
KR「あるまとpunpeeかな。あるまはBEAT奉行と作った『HIGHWAY DISCO』が面白かったしね。punpeeは『CONCRETE GREEN』に入ってた曲が狂っててヤバいと思ったね」
KG「僕もその二人は最近現場でも会うんですけど、あるま君はライヴが本当にカッコ良いし、punpee君は話すと本当に良い人です。あとはWATT(a.k.a.ヨッテルブッテル)君とかトラックのネタ選びのセンスが良いですよね」
KR「あ、あとSTICKY (SCARS)!俺、前からSTICKY好きだから一緒に演りたいんだよねー。声とかも安定してるじゃん?内容のやさぐれ感もすごい好きだし(笑)、ソロ・アルバムも楽しみだね。連絡くれればトラックあげるよ(笑)」

■「【其の五】」のトラックのヴァリエーションの多さを聴くと、以前とはまたトラックの作り方が変わってるのかな?と思ったんですけど。
KG「MPC4000を買ってから聴く音楽も変わってきて。クレさんが使う、ラテンのネタとかが4000から出て来るのを聴いたりして、掘りに行ったときにソウル系以外のレコードを買うようになって。それの影響が“無くない!無くない”とかに出てると思いますね」
KR「前から熊井のトラックは(曲調に)幅があったんだよね。その時々で影響を受けているジャンルのテイストが出てるトラックが面白くて『そういうのをどんどんやってくれればいいな』って俺は思ってる。そうして作ったトラックといつもの通りのスタイルのトラックの中から、いつも通りのスタイルのをピックして自分の作品に使ってる。そうやっていろんなタイプのトラックを作りながらの方が、いつも通りのスタイルのトラックの精度も上がるんだよね」

■もっとミックスCDノリのラフな曲が多いかと思ったら、コンセプトから曲の構成までしっかり作られた5曲が収録されてますよね。
KR「(フィーチャリング勢は)みんなスキル——ラップが上手いってだけじゃなくて曲を形にする力がみんなあったって感じかな。俺が切り口を見せたら、みんなそれなりに自分たちでモノ作ってる人たちだから、良い切り口で返してくれたっていうのもあるし、メールとかでやり取りをこまめにちゃんとやってたのもよかったかもしれないね」


Amebreak EXCLUSIVE FREESTYLE

■今回のレコーディングで特に印象に残ったセッションは?
KG「僕はSEEDAさんですね。もちろん作品は今まで聴いてたんですけど、レコーディングでの感情移入がすごいな、って。スキルももちろんすごいんですけど、なんか訴えかけられる感じというか。レコーディングがちょっとライヴっぽくって、それが印象に残ってますね」
KR「俺は自分に一番ビックリしたね(笑)。歌詞を書くスピードが尋常じゃなく早くなってて。他人と一緒に演ると分かるじゃん?今までも、誰よりも早く歌詞を書いて録るみたいな気持ちはあったけど、それはフリースタイル的なもので、今は思ってること/言いたいことがスルッと早く出て来るようになったね」

■熊井君の思うクレさんのトラックの魅力/クレさんの思う熊井君のトラックの魅力をそれぞれ教えてもらえますか?
KG「スッキリしてるというか、一個一個の音がミックスする前のデモの段階で聴いても各音の主張がちゃんとある。あと、ノリがやっぱりすごいですね、音がデカいというか。0.○秒の音の差し引きが上手くて、自分がラッパーだったらそういう部分は意識するのかもしれないですけど。『【其の四】』でインスト曲を毎日聴いてたから『なるほどなー』って思って」
KR「熊はMPCヘッズって感じだよね、本当に。そこが好きだね。俺の作ってるところを見てるからかもしれないけど、俺好みの音を作るし、ネタのチョイスもいいし、ドラムも太いし、MPC(におけるトラック作り)に求めてるものを持ってるから、そこが良いところだよね」

■今のクレさんにとって、くレーベルという自分のレーベルを主宰することにどういう意義があると思いますか?
KR「自分がメジャーで出すアルバムの精度を上げたいっていうのが一番デカいよね。いっぱい録ればいいって話かもしれないけど、それと作品としてリリースするものとのテンションって違うと思うから、(メジャー・リリースに向けての)実戦練習というか、サッカーで言う『KIRIN CUP』みたいな、そういうのって大事だと思うんだよね」

■所属アーティスト/フィーチャリングの外部アーティストを、クレさんのフィルターを通して紹介したい、という意識はないですか?
KR「もちろんあるよ。でも、それ以上に自分が一回組み手みたいにお手合わせ願いたいという気持ちが強いかな」

■先日の『意味深2』でトーク中に「【其の五】」参加アーティストでクレさんが絡んでる楽曲を紹介してたとき、観客のリアクションがかなり小さくて、まだクレさんのファンでもこの人たちの音楽は浸透しきっていないという現実を痛感したんですよね。
KR「全然だよ。それはみんながもっとタマを打っとかないとムリだよね。こっちのリリース・タイミングに合わせるとか、作戦を使って。そこまで俺は一個一個紹介することも出来ないから、もっとみんな頑張ってほしいね」

■クレさんの願望としては、クレさんのファンの人たちに「自分の作品以外のところに目を向ければもっと見える世界も違うよ」という風に思ったりはしますか?
KR「いや、俺は俺のファンが俺の作品だけ聴いて楽しんでくれても別にいいと思ってる。『いろんな世界があるんだよ』って言うつもりはないんだけど、語弊があるかもしれないけど、LIQUIDROOMぐらいの大きさのハコを余裕で満員に出来るようなアーティストがあと何組かいないと俺的につまんない」

■張り合いというか、コンペティションの相手が欲しいということですよね。
KR「でもいないし、いたとしてもジャンルが変わってきちゃうからさ、同じような流れで出来てる人がいればいいのにな、って思うよね」

■それぞれ今後の予定/展望は?
KG「『其の四』『其の五』を作って、リアクションもあるし、最近いろんな出会いもあるから、この勢いを落とさないように『トラック・メイカー:熊井吾郎』としていろんな人にトラックを渡しつつ、熊井吾郎名義の作品もちょっとずつ進めて、どういう形なのかは分からないですけど、今年はもう一押ししたいですね」
KR「コレ聴いて9月に出る予定のアルバムを待っててくれれば。アルバムではコレの3つぐらいレヴェルが上がってると思うから(笑)」
 
 
 
 

Pickup Disc

TITLE : くレーベルコンピ【其の四】くLabel Is Dead?
ARTIST : V.A.
LABEL : くレーベル/XQEG-1007
PRICE : 1,500円
RELEASE DATE : NOW ON SALE
TITLE : くレーベルコンピ【其の五】その後は吾郎の五曲
ARTIST : V.A.
LABEL : くレーベル/XQEG-1008
PRICE : 1,500円
RELEASE DATE : NOW ON SALE