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INTERVIEW[インタビュー] RSS

KOOL KEITH & KUTMASTA KURT

80〜90年代のUS HIP HOPを愛する者なら、コトの重大さを十分理解して頂けるだろう……あのレジェンド:KOOL KEITHがなんと来日してしまった!今回は、デビュー後20数年にして初の来日ツアーまで敢行してしまったKOOL KEITHと、今回のツアーでは彼のライヴDJを務めるウェストコースト・アンダーグラウンド・シーンを代表トラック・メイカー:KUTMASTA KURTのインタビューをお送りしよう!レジェンドたちの貴重なお言葉多数!

インタビュー:ダースレイダー
文:伊藤雄介(Amebreak)
写真:細谷 聡(ConDoll Photo)(2枚目のみ)

「みんな、俺のことをアブストラクトとか宇宙的とか言うけど、俺のそういった要素に固執してるヤツらが多すぎるよな。俺がいろんなスタイルでラップするのは、常に他のヤツらのスタイルと俺のスタイルを比較させるためなんだ」——KOOL KEITH

 US HIP HOPシーンにおいて、奇人/変人と呼ばれている人は数多いが、その中に必ずエントリーしてしまうであろう人物がKOOL KEITHだ。ULTRAMAGNETIC MC'Sの一員としてリリースした数多くの名曲はもちろん、ソロ・デビュー後のマイペースながらかなり多作且つオリジナルな活動も、インディで活動するHIP HOPアーティストのひとつの理想形を示していると思う。また、そのオリジナル振りが功を奏して、結果として80年代から現在に至るまでその名前をシーンに残し続けている極めてレアなアーティストである事実も興味深い。

 そんなKOOL KEITHは、これまでも様々なアーティストとのコラボを実現させてきたが、今回はなんと日本のロック・バンド:54-71とコラボ・アルバムを制作してしまったという!日本人との共作がロック・バンドとのアルバムというのも彼らしいが、その内容は、54-71のKOOL KEITH愛が伝わる、非常に分かってらっしゃるアブストラクトな作りでなかなかの好盤だった。

 そして、このリリースに合わせて5月末に初来日、6月末〜7月頭には待望の初来日ツアーと、いきなり日本との距離が近くなってきた感のある彼。本インタビューは5月の来日時に敢行されたものだ。実際のKEITHは先述したような奇人/変人といった感じではまったくなく、かなり優しい人だった(でも、やっぱり発言はところどころオカシイ)。KEITHの盟友とも言えるKUTMASTA KURTも同席してくれたこのインタビュー、日本語ラップ界屈指のKOOL KEITH狂としても知られる(?)ダースレイダーをインタビュアーに起用してみたが、ちょっとマニアックな内容になりすぎちゃったかも……。だが、彼の人柄、オリジナルさ、そして偉大さは十分感じ取ってもらえるはずだ。マニアは当然、必読です!

■今回は初めての来日ですよね。来日の目的は?
KOOL KEITH(以下K)「ルイ・ヴィトンのパーティでライヴをやるんだ。あとは今回54-71という日本のロック・バンドとアルバムを作ったから、それのプロモーションだな」

■東京の印象は如何ですか?
K「東京は好きな街だよ。俺は都市が好きなんだ。LA、NY……いろんな場所に住んだことがあるが、どれも大都市ばかりだ……大都市の忙しない感じが好きなんだ」

■54-71とのアルバムはどのようにして作られたんですか?
K「いつも通りのことさ。彼らがトラックを送ってきて、俺がその上にラップを乗せる。今回は彼らがNYに来たから彼らと一緒に作業もしたよ。レコーディングはほとんど1日で終わらせたな。今回の制作は良かったよ。彼らは俺の好きにやらせてくれたしね。他のアーティストと共作をするとき、大概は共作相手のリクエスト——どんなスタイルでラップしてほしいか——に応じて仕事をするけど、個人的にはそういうのより自分で好き勝手やらせてくれる方がいいんだ。みんな、俺のことをアブストラクトとか宇宙的とか言うけど、俺のそういった要素に固執してるヤツらが多すぎるよな。俺がなんでDR. OCTAGONをやったかっていうと、当時アブストラクトなスタイルがそこらに溢れてて、俺はULTRAMAGNETIC MC'Sの初期以降そういったスタイルからは離れていたけど、他のヤツらがやっているスタイルなんていつでも余裕で出来るっていうことを証明するために作ったようなモンなんだ。俺がいろんなスタイルでラップするのは、常に他のヤツらのスタイルと俺のスタイルを比較させるためなんだ」

■アブストラクトなリリックもそうですが、あなたのリリックには動物やポルノに関する描写も多いですよね。
K「それは、他のマザファッカーたちが銃についてラップするのと同じで、俺のシグネチャーなスタイルだってだけだ」

■シグネチャーなスタイルを持つことは重要だと考えているのですか?
K「他のヤツらと比べて際立っていることを表わすためにな」

■ポルノ的な描写に関しては?
K「リリックだけでなくて、ポルノ映画からサンプリングもしてるぜ。ポルノは俺にとってトランペット……楽器のようなモノだ」

■楽器……ですか?
K「そうさ。オンナはみんな違う声を出すし、違う動きをするだろ。俺はそれにいろんなエフェクトをかけたりいろんな細工をして音楽にしてるだけだ」

■なるほど……では、そもそもの音楽的な影響元はどういったものだったんでしょうか?
K「JAMES BROWNはよく聴いてたな。あとはDELFONICSとかSLAVEとか……そんなモンだな。ラップに関して言うと、ラップは聴くけど直接影響を受けたとかはないな。唯一影響を受けたと言えばCOLD CRUSH BROTHERSだ。COLD CRUSHのメンバーとは同じ学校に行ってたから友達だったんだ。ラップを始めたときに彼らのような存在が身近にいたのは大きかった」

■何故MCのキャリアに進もうと思ったんですか?
K「元々MCになんかなりたくなかったんだ。俺は元々ブレイク・ダンサーだったからな。だから、公園でマイクを握ったりレコーディングなんてしたこともなかった。だけど、リリックだけは書いていた。ライムもしてないようなヤツさ。自分だけのために書いていたんだ。『CRITICAL BEATDOWN』が出る前に、既に何冊もリリック帳があったよ。その頃TREACHEROUS THREEが出て来たんだ。で、彼らは難しい単語を多用していて、俺も自分でも読めないような難しい単語を使ったリリックを書いていた」

■そういった単語はどこから学んだものなんですか?
K「デカイ辞書を持ってたのさ」

■(笑)辞書からそういった単語を抜き出したんですね。
K「その頃はJUST ICEやLL COOL Jとか、いろんなヤツらが複雑な単語を使ったスタイルで出て来た時期だったんだ。で、俺とCED GEEは同じ学校に通っていたんだけど、ある日ヤツとグループを組もうって話になって、そこでULTRAMAGNETIC MC'Sが生まれた。そのときに『俺も複雑な単語を使わなきゃ』と思って、昔から書き溜めてたリリック帳を引っ張り出してみた。それまで誰にも自分のラップを聴かせたことがなかったからみんなに驚かれたよ。『お前がULTRAの一員なのか?』ってね。それまで俺は人前でラップしたこともなければデモを配ったりもしてなかったからな。俺のラップが何故オリジナルだったかは、俺が最初どうやってラップを書き始めたかを知ればよく分かる。俺はラジオに流れているラップの曲に合わせてリリックを書いていたけど、他のラッパーのように韻先行で書いてなかったから、韻を踏んでないけど踏んでいるように聴こえるラップが生まれたのさ。結果的にそれが俺のアドヴァンテージとなった。当時は既にRAKIMやBIG DADDY KANEといった韻を踏みまくるラッパーが出て来ていたけど、俺はほとんど韻を踏んでなかった。俺の韻は7小節後とかに着地するような感じだったな」

L to R: DARTHREIDER/KOOL KEITH/KUTMASTA KURT

■KURTは最初にULTRAMAGNETIC MC'Sを聴いたときのことを覚えてますか?
KUTMASTA KURT(以下KM)「正確にいつだったかは覚えてないんだけど、多分DJ RED ALERTのラジオ番組だね。その頃はしょっちゅうNYに遊びに行っていたんだ(KURTはカリフォルニア出身)。多分87年にNYに行ったときに“EGO TRIPPIN'”を聴いたんだろうね。初めて聴いたときは『何だコレ!?クレージーだ』って感じだったよ。『コレは明らかにネクスト・レヴェルのHIP HOPだ』って思った。KEITHが言ったように当時は既にRAKIMやKANEが出て来ていて、彼らは自分たちのアイデンティティは確立していたけどある種のフォーマットに沿ったスタイルだった。KEITHのラップはそのフォーマットを打ち破ったんだ。KEITHが言っていたような、韻を踏んでいるようで踏んでいないスタイルは、その後DE LA SOULなんかも大きな影響を受けているよね」

■お二人が初めて会ったのはいつなんですか?
KM「92年かな?正確には最初に会ったのは87年の『NEW MUSIC SEMINAR』で、確かそのときKEITHはMCバトルに出てたんだ。そこで挨拶はしたことがあるんだけど、ちゃんと話したのはULTRAがベイエリアに来たときだね。ちょうど“POPPA LARGE”が出た頃だよ。(後に『RETURN OF THE DJS』などの名コンピをリリースする)BOMB HIP HOPは当時雑誌をやっていて、僕はそこのライターだったんだけど、彼らのインタビューをさせてもらって、結果彼らとつるむことが出来た。当時、まだ全国ネットワークになる前の『THE WAKE UP SHOW』がベイエリアで始まったばかりで、彼らを番組に紹介したりしたよ。でも、その際教えてもらった連絡先が間違っていたか文字が読めなかっただかで早速音信不通になって(笑)」
K「俺は文字を書くのが早かったのさ、医者のようにね」
KM「結果的に彼の近所に手紙が届いたとかでまた連絡が取れるようになって、93年頃に自分が関わっていたグループのデモをLOUD RECORDSにプレゼンするためにNYに行ったんだ。当時ULTRAはWILD PITCHに在籍していてKEITHもそこからソロ・アルバムを出そうとしていたから、持って来ていた自分のビートを使って1曲レコーディングをしたのが彼との初の共演だったんだ。その後、CAPITOL RECORDSでKEITHのソロ・アルバムを作れるかもという話になって僕とKEITHは会社のあるLAに引っ越したんだけど、結局その話はなくなって。DR. OCTAGONは元々僕とKEITH、SIR MENELEKが当時遊びで作った曲のタイトルなんだ。BOBBITOやいろんなDJに送っている内にDAN THE AUTOMATORが聴いてくれて後にDR. OCTAGONというプロジェクトが生まれたんだ……」
K「(96年にリリースされた)『SEX STYLE』は元々CAPITOLから出そうとしてた曲を自主で出したものだな」

■僕はあのアルバムが大好きですね。“KEEP IT REAL... REPRESENT”とか。当時は『KEEP IT REAL』というフレーズがムーヴメントみたいになってましたよね。
KM「当時はどの曲も“キープ・イット・リアル”とか“レペゼン!レペゼン!”みたいな感じだったよね(笑)。こういう部分をいち早く題材に出来るところがKEITHのユニークなところなんだよ」

■当時KEITHのレコードをリリースしていたFUNKY ASS RECORDSはどんなレーベルだったんですか?
KM「FUNKY ASS RECORDSは僕とKEITHと、当時レコードの流通業者で働いていたPEANUT BUTTER WOLF(以下PBW)で作ったレーベルなんだ。最初に出たのが“KEEP IT REAL... REPRESENT”で、1,000枚しかプレスしなかったんだけど、あのリリースでPBWもノッちゃって『もっと出そう!』ってなって。KEITHがポルノ雑誌から切り抜いた写真をレコードのレーベルに貼ってあのロゴが生まれたんだ。確か『キンコース』で作ったな(笑)」

■KEITHは今後どういう活動をしていく予定ですか?
K「ラップはしばらく休んでファッション方面に行くかもな。だけど、ビートを作りたいとは思ってるからコンピレーションを出そうと思っているんだ。そろそろ裏方に回ろうと思ってるんだ」
KM「ファッション方面って?」
K「普通に服……水着とか」
KM「水着(笑)」
K「新人も育てたいと思ってるんだ」

■これまでに新人を育てたことってありましたっけ?
KMSIR MENELIKとか?」
K「まあ、MENELIKとかH-BOMBとか……少しはやってるかもな。MENELIKにRAWKUSのディールを持って来たのは俺なんだ。アレがきっかけでRAWKUSはいろんなラッパーとサインするようになったんだ」

■MENELIKとは今でも交流はありますか?
K「うん、ときどき話すけど元気そうだよ。ヤツはSCARAMANGAって別名でも活動してるよな」

GODFATHER DONとかは?
K「DONは今ロック・バンドでギターを弾いてるよ。ヤツは俺と似てて、リリカルな才能がありすぎる余り、現状に退屈になってしまってラップから離れてしまったんだ」

■KUTMASTA KURTとのコンビでは最近何かやったんですか?
KM「一番最近のリリースは去年出したDR. DOOOMのアルバムだね。その前に一緒に仕事をしたのが04年に出したDIESEL TRUCKERSのアルバムだから久し振りだよね。実は僕とKEITHは仕事に対する取り組み方が真逆で、彼が多作家なのに対して僕はじっくりひとつのプロジェクトを整理して進めたいタイプなんだ」

■今回初の来日ツアーということで、日本人はほとんどKEITHのライヴを観たことがないわけですが、あなたのライヴに対する考えは?
K「そのライヴの状況によって変わるけど、例えばドレス・アップしたり」

■ドレス・アップですか(笑)。
K「グラサンかけたり、ヘンなコスチューム着たり」
KM「僕はヒゲ付けたり(笑)」
K「ライヴは毎晩違うものだから、それに対応しなければいけない。実際に会場を見てからどんなライヴにするか決めるんだ」

TOUR INFO
KOOL KEITH Japan tour 2009
with KUTMASTA KURT

日時:7月4日(土)23:00開場
場所:代官山LOOP
料金:前売り 3,500円/当日 4,000円(各ドリンク代別)
出演:DR. DOOOM VS. DR. OCTAGON/MOTION MAN/MSC/サイプレス上野とロベルト吉野/younGSounds/SHINGO☆西成他
(問)LOOP:03-6277-5032/http://www.live-loop.com

日時:7月6日(月)18:00開場/19:00開演
場所:渋谷O-WEST
料金:前売り 4,500円/当日 5,000円(各ドリンク代別)
出演:KOOL KEITH/MOTION MAN/KUTMASTA KURT/ILLMATIC BUDDHA M.C.'S (CQ, D.L) & DJ SOUTHPAW-CHOP/JUSWANNA/LUNCH TIME SPEAX
(問)O-WEST:03-5784-7088/http://shibuya-o.com/category/west

 
 
 
 

Pickup Disc

TITLE : IDEA OF A MASTER PIECE
ARTIST : 54-71 & KOOL KEITH
LABEL : CONTRAREDE/CTRD-020
PRICE : 2,500円
RELEASE DATE : NOW ON SALE