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SEEDA(前編)

お待たせしました!引退宣言後もシーンの話題を独占している感のあるSEEDAのロング・インタビューをついに公開!引退宣言直前に敢行された取材だが、引退宣言の裏に隠れる彼の本音(?)を垣間みることの出来る興味深い内容になっている。前後編ともに必読です。

インタビュー:伊藤雄介(Amebreak)

「僕的には、少数精鋭で小回りが利く展開じゃないと時代に付いていけないと思ってて、(メジャーでは)そういった自分のやりたい形では中々出来ないんですよね。自分は曲を録ってから出来るだけ短い時間で出したいんですけど、大きい会社になるとそれが無理なんですよ。そういうことを考えると自主で出すのが一番時代に対応できるかな、って」

 

 SEEDAが自身のブログで引退を発表したとき、筆者は一般のリスナーとはまた違う意味で驚いた。と、言うのも、実は以下のインタビューは引退を発表するほんの数日前に収録されたものであり、インタビュー時にはブログで告知されているように、SMITH CN(ESSENTIAL)、4WDのアルバム制作に関わる時期はラップから遠ざかるという発言こそあったものの、引退という2文字は一切出て来なかった(もちろん、直接の関係者以外誰にも伝えていなかったからだが)。それどころか、インタビューでは彼が今現在ラップにかける意欲の強さや前向きな姿勢が発言の随所に表われていたし、何より発言を訊くまでもなくそれは今作「SEEDA」の挑戦的に新たなスタイルに取り組んでいる姿勢からも強く感じ取ることが出来たからだ。果たしてSEEDAが筆者に語った発言、そしてその際の熱い語り口はウソだったのか……?筆者にはとてもそうは信じられないのだが、真実はSEEDAしか知らないことだ。

 あくまでこちらの諸事情で本インタビューの公開が遅れてしまったのだが、逆にリリース直後の引退宣言や、GUINNESSとのビーフなどの騒動が落ち着いたこのタイミングでこのインタビューを読むと、彼の引退宣言に対する各リスナーの解釈もまた違ってきて、それはそれで面白いかな、と思い、敢えて追加質問はSEEDAに訊かないで、元のインタビュー発言のままお送りしようと思う。(インタビュー収録時期は5月後半なので、当然GUINNESSとのビーフにも触れていないので悪しからず。まあ、彼のアンサー曲やブログでのコメントが全てを語っているとも思うので)

■先日ブログで公開していた曲“SEEDA”は何用の曲なの?
「恐らくCDなんですけど、6月にマキシ・シングルを出す予定です。オリジナル・ヴァージョンとリミックスの計3曲入りで、リミックスにはフィーチャリングで歌詞に力とソウルを持ってるラッパーとシンガーにひとりずつ参加してもらおうと思ってます(注:現時点でこのシングルのリリース日は未定になったとのこと)」

■アルバムをリリースした直後に未収録曲のシングルをリリースするというのは一般的には異例なことだと思うけど、どういう意図が?
「このシングルの歌詞は、アルバムからは漏れたんだけど、自分でどうしても使いたかった歌詞で、どうしても出したかったんですよね。(内容的にアルバムに合わなかった曲のリリックの)端々を集めてきてるって感じですね」

■この曲に限らず、今回のアルバムが出るまでに“DEAR JAPAN”や“GOD BLESS YOU KID”をリークしてたけど、アメリカやヨーロッパでは一般的でも日本ではまだそうでもないこのようなやり方を通してSEEDA君が得たかった効果とはどんなものだったの?
「より多くの人により早く伝えられるっていう、至ってシンプルなことで。それ以上は望んでないです。真面目な意見で言えばポッドキャストみたいなものってもう時代遅れだと思うんですよ。今はその日に思ったことやその日の情報がその日の内にチェックできるっていう時代にどんどんなってきてると思うんで、そのニーズに合わせるならこの方法しかない。みんなは音楽がタダになってメシが食えなくって怖いと思ってるかもしれないけど、僕は10年ぐらい(音楽で)食えずにやってたわけで、そういう意味では食えなくても音楽やってきたから怖くないっていうのがあるのかもしれない」

■じゃあ、プロモーション的な意図はそんなにはなかった?
「いや、ニーズに応えるということがプロモーションになると思ってましたね。逆にニーズから外れてるのに過剰に展開するのは違うな、とも思ってました。“TERIYAKI BEEF”にしても、最初は"SERIOUS JAPANESE"を聴いてカチンと来たんだけど、その次の瞬間には『あ、オイシイ、コレ』みたいな(笑)。全部そういう感じですね、時の流れを感じて形に変えるというか」

■前作「HEAVEN」時のインタビューでは、次作は「街風」と同じようなリリース体制で臨むといったような発言をしていたと思うんだけど、結果的には「HEAVEN」と同じ、自主リリースだよね。「HEAVEN」からの1年間でこの部分に関してどのような心境の変化があった?
「単純に音楽業界の流れが変わってCDが売れなくなって、皆がやるべきことが明確になってない時期だと思うんですよ。僕的には、少数精鋭で小回りが利く展開じゃないと時代に付いていけないと思ってて、そういった自分のやりたい形では中々出来ないんですよね。自分は曲を録ってから出来るだけ短い時間で出したいんですけど、大きい会社になるとそれが無理なんですよ。そういうことを考えると自主で出すのが一番時代に対応できるかな、って」

■SEEDA君にふたつ目指す目標があるとするなら、ひとつは自分の活動の自由さということと、もうひとつはそれこそオリコン1位を狙いたいというようなことも以前インタビューで言ってて。でも、後者に関してはインディでやることによって若干遠のいてしまうのは否めないと思うんだけど。
「あー、まあ、悔しいけどしょうがないですね。多分、僕が30億円持ってたら(1位)取れるっすね(笑)。それよりもFUCK JASRACですよ。違法ダウンロード取り締まれないくせに200〜300万はとられましたよ。腐った中間職が多すぎる」

■「作った曲をなるべく早く出したい」という発言はすごく納得が出来て、今作のリリース体制の話からも象徴されるように、SEEDA君の考えは短期間で結構大きく変わっていくよね?心変わりが早いという言い方もあるかもしれないけど、それは一方では短いスパンで学んで成長していくということでもあると思う。でも、だからこそSEEDA君みたいに1年に1枚ペースでアルバムを作っていくことに意味があると思うんだ。「その時々の自分の思考の記録」みたいなものを自分のアルバムに刻み込んでおきたいという思いはある?
「それは120%そんな感じっぽいです。ずっとそうっぽいですね。最初の頃は表現力がまだ乏しかったと思うんですけど、そういう気持ちはずっとありますね。今生きてる時代を曲に閉じ込めるというのが自分の歌詞の一番のポイントだと思いますね」

■この点はSEEDA君の音楽を考える上ですごく重要だと思うんだ。考え方が一貫してて変わらない人がSEEDA君のペースでアルバム出しても、聴き手側からすると絶対つまんないと思うんだよね。SEEDA君のアルバムは毎作賛否を呼んでいるような気がするけど、一枚毎に変わっていくからこその面白さをなんで否定的な人は分からないんだろう?っていつも思ってて。
「……大丈夫っす。ゴッホも死んでから評価されたし」

■なんでそんなに悲観的になるのよ(笑)。
「いや、音楽に対しては最初の10年間食えてなかったし、どう転んだって自分は自分の音楽に自信があるし、楽しいし、それ以上のものは別にそんなに望まない」

■なるようになれ、というか。
「コレで食えていけなくなったら音楽は趣味でやるけど、すぐ別の仕事やると思いますよ」

■今回のアルバムに限らず、アルバム一枚作る際、作っていくうちに方向性が生まれるのか、最初から方向性が明確なのか、どっちなのかな?
「作っていくうちに、ですね。いつも最初にヴィジョンはあるんですけど、最終的にそのヴィジョン通りになったことは一度もないですね」

■じゃあ、今作に関しては最初はどういう内容にしようと思ってたの?
「……あ、でも今作に関しては最初からこういうアルバムにしようと思ってたかもしれないですね。『HEAVEN』の制作が終わった後にBACHLOGIC(以下BL)君とした会話がひたすら影響してると思いますね。会話はただの音楽に関する世間話とかで」

■そういった会話を通してBL君と共感できた要素が今作に反映されてるということ?
「共感したものがあったとしたら、2008年までの流れを変えるものを作ろうと思いましたね。とりあえずニュー・スタイルを出すということを心がけましたね」

■こないだあるアルバムを聴いてたら出て来るラッパーがことごとくSEEDA君のラップにそっくりになってて思わず笑っちゃったんだけど、自分のスタイルが他のラッパーに相当模倣されてるということに関してはどう思う?
「そういう人の話しはしたくないッス。まだ練習中なんじゃないでしょうか?CDが誰でも出せることにも問題があるのかもしれないッスね。評価対象外ですね。SCARSは同じスタイルの人はひとりもいないし、昔からの人で言うと雷の人たちだってみんな違うじゃないですか」

■ただ、SEEDAフォロワーが出るというのはアメリカでターニング・ポイントとなる人が登場した後フォロワーが大量に出て来るのと同じなのかな、と思ったりもするけどね。
「それはそうだと思うんですけど、(トレンドが)一カ所に行き過ぎだと思うんですよね。キャラクターだけで言ったら『さんピンCAMP』の頃が一番みんな分かれてましたよね。今の日本のラップはラップの種類が減りましたね」

■アメリカもマネしてる人は多いけど、スタイルの種類自体は日本語ラップよりはるかに多いもんね。
「一番大事なのは、EGUOのラップを引用すると『影響されても左右はされない』ってヤツじゃないですか。みんな決まったことだけ意識しないことなんじゃないですかね。僕はぶっちゃけ特定の誰かになりたいって意識したことなんてないし。ham-Rとか、S.L.A.C.K.とか、SKY BEATZ、MoNDoHとか20台前半の子は結構気付いてると思うんですよね」


 
 
 
 

Pickup Disc

TITLE : SEEDA
ARTIST : SEEDA
LABEL : KSR/KSR/SDA-003
PRICE : 2,800円
RELEASE DATE : 5月20日