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BIGZAM

NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDの一員として華々しくデビューしたときはまだ若かったBIGZAMも、今や子を持つ大人。キャリア的にもヴェテランの位置に足を踏み入れたと言ってもいいだろう。そんな彼が、近年名乗っていたBIG ZからBIGZAMに再び改め、「LIFE IS PUZZLE」なるEPをドロップ!ZEEBRAとの和解→共演というトピックもあり注目されている作品だが、何よりいちラッパーとしての彼の成長を感じ取れる作品で、近日発売というアルバムの期待も煽らせてくれるだろう。

インタビュー:吉橋和宏

「ガキの頃とか、どんなに金がなくても、他の仕事をしてても『これが好きだから』って理由だけでラップしてたりするじゃないですか。嫌なことがあってもHIP HOPが好きだからやれてるし、このシーンにみんな存在できると思うから。パイセンたちも含めて、やり続けてる人にはすごく聴いてほしい作品なんだよね。みんなもあてはまると思うんですよ」

 NITRO MICROPHONE UNDERGROUND(以下ニトロ)の一員として、大きな節目となる一年を終えたばかりのBIGZAMが、その勢いを保ったままリリースしたのが今回のEP「LIFE IS PUZZLE」。ステージ・ネームをBIGZAMに戻した事実が心機一転した彼の気持ちを代弁するが、一方で本作は前作「WESTSIDE FAR EASTSIDE」から実に5年の時を費やしたその成果を詰め込んでいる。様々な経験を経たソロ・ラッパーとしての個性を確立すべく、その間に大きく変化した考えを表現した本作は、夏に控えるという2ndフル・アルバムへと繋がっていく。


■ソロとしては今作から名前を元に戻されてますけど、どういった経緯なんですか?
「めちゃめちゃ柔術強い、ある整体師の先生がいて。その人に『ビグちゃ〜ん!名前変えたら俺ら男たちとしてはつまんねぇよ』って言われたんだよね。『俺らはがっかりしたよ、5年前』って。揉まれながら(笑)。考えたら俺はやっぱりBIGZAMでデビューしてるじゃないですか。アメリカにいたときは、あっちのヤツも覚えやすいからって理由でBIG Zにした。でも、日本帰ってきて街歩いててもBIG Zって呼ばれないんですよね。『ビグザムさん』とか『ビグザム君』とか……ガキに『ビグザム!』って呼び捨てにされることもあるけど(笑)。原点って言うほどでもないけど、やっぱり自分のやってきたことはそうだなって思ったからBIGZAMに戻したんですよ」

■ある意味で気持ちを切り替えたんですね。今作を聴いたとき、今までよりもメッセージにこだわっているという印象を受けました。そういうところでもやっぱり違いは出ていて。
「やっぱり歳とってガキも二人いて、メッセージもない大人だとヤバいでしょ〜(笑)。自分の主張ももちろんいいと思うけど、そういう曲は10数曲ある中の何曲でいいと思う。自分の言いたいことだけを言っててもただのオナニーになっちゃうじゃないですか。ラップって何かなって考えたときに、言いたいこと言えればいいっていうのは確かにそうだしカッコ良いんだけど、特に日本語はメッセージがあるとすげぇグサッと来るんだよね。日本語ってすげぇ難しいじゃん。だからこそもっと日本語ラップにはメッセージがないとダメなのかなって思った。だからそうやって『メッセージがありますね』って言われて、俺はすげぇ嬉しくて。少なくとも俺の言葉が響いて納得してくれてるってことだと思うから」

■逆に日本語だからこそ微妙なニュアンスも伝わるっていうのもありますよね。
「いや、そうだと思いますよ。日本語にはいろんな言い回しあるけど、英語ってそれしかないから。逆に難しいとは思うけど……。日本語っていろんな言い回しもできるし、でも変な風に伝わったら余計難しいし……。だから、今回は言葉をちゃんと選びましたね。例えば名指しで誰かを攻撃したって、そこにメッセージがなかったら何にもならないワケだし。意味のあるものじゃないと、コンセプトがないとやっぱりみんな聴いてくれないじゃないですか。だからそこはホントに重視した」

■じゃあ、そんな今作のコンセプトのもとになったのはどんなアイディアですか?
「『LIFE IS PUZZLE』ってタイトルもすごいカッコつけてるっぽいんだけど、やっぱり俺は『一人で全部やってきたぜ!』なんて絶対に言えないアーティストだと思うんですよ。北海道から出てきて、2年くらいでニトロのヤツと会って。1年後にはねぇ……、1stでDEF JAM JAPANでしょ?これって良いポジションだよねぇ(笑)。みんなパイセンなのに、ひたすらワガママ言ってひたすら生意気言ってきた俺が、ここまで全部自分だけでやってきたのかって言われたらそうじゃないですよね。みんなにホント温かく見守られてるし、みんなが俺のパズルに『はい、ハメてやるよ』って一個ずつピースをハメてくれてBIGZAMっていうラッパーは完成してるのかなと(笑)。波瀾万丈いろいろあるし、ディスったりディスられたりした経験もあるけど、それがBIGZAMだからさ」

■そういう経験ありきでここまで来てる、と。
「もちろん。それがないとラッパーじゃないしHIP HOPも感じないよね。いろんなクラブ行って酒飲んでると、やっぱりムカつくヤツとかもいるワケよ(笑)。けど、それがあってこんなことをやれてるワケだしさ。逆にすげぇハッピーなこともあるし、そういうのもいろいろひっくるめて『LIFE IS PUZZLE』。最近はメシ奢ってもらったときも、『あ〜、LIFE IS PUZZLEだな』って思うしね(笑)。あと、みんなのことも歌ってるんだよね。ガキの頃とか、どんなに金がなくても、他の仕事をしてても『これが好きだから』って理由だけでラップしてたりするじゃないですか。嫌なことがあってもHIP HOPが好きだからやれてるし、このシーンにみんな存在できると思うから。パイセンたちも含めて、やり続けてる人にはすごく聴いてほしい作品なんだよね。みんなもあてはまると思うんですよ」

■過去にBIGZAMさんから攻撃したジブさん(ZEEBRA)との競演を実現させたのも、そういったコンセプトの一環と言えそうですね(注:過去にBIGZAMはニトロの“毒々”でZEEBRAをディスしている)。
「(DJ)YUTAKAさんに、『お前、最近ヒデ(ZEEBRA)とどうなった?』って言われたんすよ。最近YUTAKAさんのスタジオに俺が出入りしてるのをジブさんが気になってたみたいで。『BIGZAM元気っすか?あれ以来ずっと喋ってない』って。それでYUTAKAさんに『お前、ちょっとヒデと話せよ』って言われたけど、俺は『いや、いいよ別に……』って言ってたんですよ。でも、俺がYUTAKAさんとやった曲をジブさんに聴かせたら『BIGZAMと話してみたい』って言ってくれたらしいんだよね」

■それで和解して、競演するという話に繋がったんですか?
「いや、それで実際に会って話してみた。ジブさんって必要以上にシーン全体のことを考える人だし、そういうことを二人で語ってたときに、『ああ、この人ホントやべぇな』ってホントに思ったワケよ。今まではCDとかクラブで会うだけだったけど、YUTAKAさんのおかげでちゃんと接してみたら『このパイセン、マジかっけぇな』って思ったんだよね。自分は年下で、あの人の方がキャリアも上なのに俺から攻撃してたけど、あの人は見えないところで俺にメッセージを送ってた。ジブさんがニトロの曲を聴いたときも、『ボロクソ言ってないし、愛を感じた。そこにHIP HOPを感じた』って思ってくれたみたいなんだけど、まさしく俺もそういう風にリリックを書いたんですよ。実際、俺から仕掛けたのにジブさんと曲やったらファンはどう思うかなとかも思ったけど、自分がこうやって歩んできて、ちゃんとした話の中で和解してやってるワケだから。煮詰めてやればちゃんと届くかなって思った。東京で避けて通れる人じゃないし、ちゃんと生き残ってるパイセンに俺らも10年経って噛み付いてらんないでしょ。『じゃあお前は何が出来んの?』って言われて、噛み付くことしかできなかったらダセぇじゃないですか。いろいろあったけど賛否両論あるのもいいと思いますね」

■今作でやっていることは、絶対的な自信を持っているということですね。
「そうっすね。今は日本語ラップも全体的にすごくいい作品が出てるし、ちゃんとしたシーンもあるんで。いろんなもんがあるけど、まず自分がHIP HOP好きっていうことを忘れないでほしい。俺もその精神でずっとやっていくし」
 
 
 
 

Pickup Disc

TITLE : LIFE IS PUZZLE
ARTIST : BIGZAM
LABEL : BIG BANG/BBINC-1
PRICE : 1,800円
RELEASE DATE : 1月18日