INTERVIEW[インタビュー] RSS

L-VOKAL

L-VOKALの2008年以来となるニュー・アルバム「LOVIN'」は、自身のMATENRO RECORDSからのリリース。ストレートな表現からサブリミナル表現、そして時には皮肉っぽさも交え、正に“L-VOKAL節”といった感じのラップが詰まった好盤だ。タイトルからストレートに愛を歌った曲中心のアルバムを想像してるようじゃ甘すぎるぞ!

インタビュー:伊藤雄介(Amebreak)

「コレはあまりにも大きすぎるトピックで、“LOVE”の形も100万通り以上あると思うし、俺が“LOVIN'”って言って何かを想像してる時点で絶対違うんですよ。俺の思ってる“LOVE”と他の人が思ってる“LOVE”は違うかもしれないし。俺が思ってる“LOVE”がこの10数曲って感じですかね」

 

 2008年にメジャーからリリースされた2ndアルバム「FREE」以降、DAG FORCE/DJ SHU-Gとの「BARS & VIBES」など、印象的な動きを続けてきたL-VOKALだが、心機一転1stと同じインディ(ただし今回は完全に自主レーベル)体制でニュー・アルバム「LOVIN'」をリリース。1st「LAUGHIN'」同様にストレートなタイトルではあるが、このテーマから分岐して成り立っている各収録曲は、彼の視点のユニークさと鋭さが遺憾なく発揮されていて、彼のフロウの心地よさもあってか、個人的にはついつい何度も聴き返してしまうアルバムになっている。今年はミックステープ「麻天楼」シリーズの最新盤リリースなど、まだまだ面白いことを企んでるようだぞ!


■「LOVIN'」を聴くと、前作「FREE」を経て、という過程がL君にとって重要だったのかな、って気がしてて。今振り返ると、あのアルバムはL君にとってどういう位置づけのアルバムとなりましたか?
「あのアルバムは結構“音”にこだわったんですよ。フロウとか、聴きやすさとか……音の耳の入り具合にこだわったって感じですかね。だけど、今回は真逆かもしれない。リリックに重点を置きましたね」

■元々L君のリリックはメッセージ性が強い方だったと思うんですけど、「FREE」でそういうアプローチを試みた理由は?
「『FREE』は、ホントにタイトル通り、自由にやってみよう、って。メジャーから出したっていうのもあって、好き勝手やりたくて、HIP HOPってこだわらないで何でも取り入れてみよう、って思ってやってみたから、コンセプトも特になかったんですよ。で、『LOVIN'』はどっちかと言うと(1stの)『LAUGHIN'』に近いのかな?ひとつのコンセプトに沿ってストーリーを作ろう、って感じでしたね。今回は『LAUGHIN'』に戻すっていう意図もありましたね」

■「FREE」がそういうコンセプトになったのって、やっぱりメジャーで出すにあたってリリックの内容的に「LAUGHIN'」程の毒気は出せなかったから、ある種割り切って違う方向性に振り切ったというのはあるんですか?
「それはあったかも。リード・シングルの“万歳”の段階で結構使えないリリックがあって、今出てるヤツは滅茶苦茶マイルドというか、当初あったリリックと全然違うんですよ。そこでまず衝突したっていうのはあったかもしれない。『なら何が出来るのかな』って模索してる内にあんな感じに自由になったっていうのはあるかも。だから、メジャーを経て今があるっていうのはその通りで、今何をやりたいかな、ってなったときにもう一回『LAUGHIN'』みたいなことをやりたいな、って思って」

■でも、SEEDA君が「街風」出した後に「HEAVEN」出したときみたいに、メジャーで不満があったから「LOVIN'」がこういう内容になった、というわけではないですよね。
「それは違いますね。今後『FREE 2』を出すかもしれないし。俺は別に(メジャーに対して)不満とかはないですね。やりたいことをやっていくだけで、何事も経験だしね。メジャーにはメジャーの良さがあるっすよ」

■“PRIMARY COLORS”を聴くと前のレーベルとの関係は今も良好だというのが分かりますしね。
「そうっすね。それを見せたかったっていうのはある。インディで出すっていうことは『(メジャーで)なんかあったの?』って思われるかもしれないし」

■「LAUGHIN'」もインディだったけど、完全に自主で制作したのは今作が初ですよね?
「いやー、大変でしたね。いろんな人に協力してもらって、それがなかったら出来なかったです」

■それこそフィーチャリングも多いし(笑)。
「増えちゃいましたね」

■所謂芸能界的な事務所に所属している人もいるだろうし。本人がOKでも事務所的にはNGってこととかもありそうだし。
「そうそう。まあ、経験っすね、全て。けど、自分で出さなかったら意味ないかな、って……ビジネス的に」

■「LOVIN'」というタイトルにはどんな意味が込められてますか?
「まあ一言、“LOVE”ですよ……それ以上ないっす(笑)。コレはあまりにも大きすぎるトピックで、“LOVE”の形も100万通り以上あると思うし、俺が“LOVIN'”って言って何かを想像してる時点で絶対違うんですよ。俺の思ってる“LOVE”と他の人が思ってる“LOVE”は違うかもしれないし。俺が思ってる“LOVE”がこの10数曲って感じですかね。例えば“PEKOCHANG”だったら『自分に対する“LOVE”』ってことなのかもしれないですね。なんでペコペコするかって言ったら、自分が可愛いから/守りたいからっていう“LOVE”の表現になるかもしれないし。まあ、イントロのラモス(瑠偉)さんじゃないけど『愛がなかったら負け』って感じですよ。何をするにしても愛がなかったら負け。『LAUGHIN'』も一緒で、“笑い”がライフになかったら終わりだと思ってる」

■じゃあ、“笑い”にしても“愛”にしても、L君にとっては最後の砦というか。
「というより、中軸なのかもしれない。コレの周りを俺は廻ってるって感じかもしれない。今後もそういう軸が出て来るかもしれないけど、今のところ二つ出て来たかな、って」

■フィーチャリングの幅広さが今回際立ってると思って。それこそKREVAからKダブシャインまで入ってるっていう。中にはL君とは関係ないところでディスったりディスられたりの対象となる人が多かったりしますよね。そういった人たちを全員L君のアルバムで共存してるっていうのもまたL君なりの“LOVE”の表わし方なのかな、って。
「あー、それもあるっすね。俺はみんなそれぞれ好きなんですよ。VERBALとSEEDAに関しては二人の間でビーフがあったりしたけど、俺は両方とも上手いラッパーだと思うし、両方とも友達なんですよ。だから、どっちとだけリンクするっていうのもおかしな話だし、俺はみんなリスペクトしてるから。その代わりリスペクトしてない人は絶対に入れないですけどね。『何でもいいじゃん』というか、ホント狭いっすよ、HIP HOPとか。HIP HOP自体が狭いのにもっと狭くなる。萎縮してる時代でもないし、もっと出来んじゃないかな、って意味もあるし。ただ、ここまで増えるとは思ってなかったですけどね(笑)」

■フィーチャリングの人選に関する部分からも分かるけど、L君の良さってそういう物事に対する“軽やかな”考え方に象徴されてるな、って思うんですよ。
「例えばサンプリングとかも(最初に使うときは)何も気にしないじゃないですか、背景なんて。そのネタが良かったら良いって感じだと思うんだけど、なんでそれと同じことがラップでも出来ないんだろう、って。ラップもディグっていくわけで、その上で良いモノがあったら使うわけで、それがHIP HOPだと思うんですよ」

■ラップに限った話ではなく、音楽全体の話だと思うんですけど、それこそCDの売上げが下がってきて、世の中の娯楽の中で音楽の位置づけが変わってきている中、L君がミュージシャンとして音楽を通して表現したいことって変わってきたりしてますか?
「もちろん変わります。時代の流れと共に俺も変わります。毎回壁が出来るじゃないですか、例えば今だとCDのセールスが落ちてるとか。それは作戦を考えて超えようとするし、そしたらまた別の壁——今度は不景気だったり、全然音楽と関係ないプライヴェーとの問題かもしれない——が出て来るかもしれない。壁は常に前にあるわけで、それはガタガタ言ってるんじゃなくて超えるしかないっすよ、っていう。その過程でスタイルも変わるんじゃないですかね。普通にやったら超えられない壁が出て来たらハシゴを使うかもしれないし。俺もドーンって壁にぶつかるときはあるけど、なるべく流れていかないと時間食っちゃうし、もったいないですよ。人生短いんだし」


TOUR INFO
L-VOKAL「2010 LOVIN' TOUR」

3月21日 @横浜LOGOS
4月2日 @福岡VOODOO LOUNGE
4月9日 @群馬CLUB ROC
4月28日 @大阪TRIANGLE
5月14日 @奈良CLUB BRIDGE
5月15日 @京都
5月22日 @福生CLUB JELLY
5月29日 @神戸/加古川clubAnswer
6月12日 @広島CLUB CHINATOWN
7月17日 @沖縄CLUB CLUTCH
7月末 @東京???(TOUR FINAL)

 
 
 
 

Pickup Disc

TITLE : LOVIN'
ARTIST : L-VOKAL
LABEL : MATENRO RECORDS
PRICE : 2,625円
RELEASE DATE : 3月3日