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STERUSS

インタビュー:高木“JET”晋一郎

「やっぱり、ラッパーってカッコ良いから。というか、ラッパーがカッコ良いって言うよりも、俺にとって“カッコ良いモノ”が“ラッパー”だった。それを見てラッパーになったし、自分たちもそうありたいって思う」--BELAMA2

 BELAMA2/CRIME6/DJ KAZZ-Kのトリオ編成に、ZZ PRODUCTIONよりビート武士が加入し、カルテットとして新たに動き出したSTERUSS。新作「THE RAP MESSENGERS」は、これまで抽象的なタイトルが多かった彼らからすると、具体性を感じる名付けになっているだろう。そして、そのタイトルは、非常にSTERUSSに相応しい。「メッセージを紡ぎたい」「メッセンジャーでありたい」、そういった“思い”は、これまでよりもより平明に描かれるリリックから、強く伝わってくる。その明確さは、DJ KAZZ-K/ビート武士のプロデュースの他にも、多くの外部プロデューサーを導入したことによる客観性からも表われたモノだろう。STERUSSのメッセージよ、届け。
 
 
■ライヴでは既に4人体制での動きをしていましたが、今作は新体制でのSTERUSSの初作品になるわけで、武士くんの加入はSTERUSSにとってどういった影響がありましたか?
BELAMA2「KAZZ-Kももちろん上手いけど、武士はホントにスクラッチが上手いから、そういった部分でもライヴで見せ場の作り方が増えたなって」
CRIME6「ZZのメンバーでもあるし、俺らのライヴも何度も観てるから、どういうグループかをちゃんと分かってくれたんでスムーズでしたね」
BELAMA2「あと、俺らも無茶するときはホントに無茶苦茶だから、それが分かってるのも重要だなって(笑)」
CRIME6「でも付き合いは長いけど、加入としては最近だから、お互いに歩み寄るために色んな挑戦をしたっていうのはあるかも。それは2MCのラップもそうだし、ライヴDJとしてのビート武士って部分においても。2MCとDJ KAZZ-Kっていう安定した形だったのを、いま自ら壊して、4人として再構築しているって感じですね」

■武士くんはどうですか?
ビート武士「STERUSSはHIP HOP的にブランドになってると思うし、近くにはいたけど、外から見てて好きなアーティストであり先輩っていう関係だから、最初は『俺でいいのかな』って。KAZZ-Kさんの替わりって考えても、歳も音楽的にも先輩だから大丈夫かなとも思いましたね。でも、気を遣ってたら後々ダメになるな、萎縮したらダメだなって」

■付いてくんじゃなくて、ちゃんと“メンバー”として自覚するというか。
ビート武士「そうですね。やるからには自分を出しながらも、出しゃばってSTERUSS像が壊わさないようにってバランスは考えてます」

■今夏には『FUJI ROCK FESTIVAL '12』の『ROOKIE A GO-GO』ステージにも出場しましたが、その経緯は?
BELAMA2「俺達はHIP HOPのど真ん中じゃないと思ってるんですよ。でも、だからこそ自分たちの音楽は色んな人に聴いてもらえる可能性があると思うんですよね。加えてアルバムも出来たんで、その上で外にも出て行きたいと思ったときに、出るべきはフジロックかなって」
DJ KAZZ-K「それで普通に『ROOKIE A GO-GO』に応募して(笑)」
BELAMA2「CRIME6が資料取り寄せたりしてくれたんだけど、アンケート用紙みたいなのに、『歌詞を書いて下さい』って欄があって。でも、ロックの人用に作られてるから枠がそんなに大きくなくて、歌詞がはみ出そうになっちゃって、すっごい細かい字で書いたり(笑)。でも、奇跡的に通ったよね」

■出るのがフジロックだったのがSTERUSSらしいなって。さっき「真ん中じゃない」って発言があったけど、もしかしたらSTERUSSを受容する層は、そういう所謂ロック・リスナーにも多いんじゃないかなって。
BELAMA2「例えば『ONE』(渋谷FAMILYでSTERUSSがレギュラー出演していたイヴェント)にてとか、自分たちの活動のベースは夜のクラブだったのは間違いない。もちろんそういうところに来るリスナーにもアピールしたいし、それと同じように、HIP HOPを聴かない層にもアピールしたかった。4大フェスと呼ばれるイヴェントの中では、一番フジロックが魅力的に感じたし、出るんだったらあそこに出たかった。サ上とロ吉が先に出たっていうのもあったし」
CRIME6「でも、あっという間だったね。制限時間が30分だったんだけど、そこへの意識はすごく強かった」
DJ KAZZ-K「『なんかあってもノリで押し切ろう』みたいなのじゃなくて、30分でSTERUSSをどう見せるかっていう構成を考えて、それをちゃんと練習してって。でも、武士がメインのDJで、俺はMPCとスクラッチっていう構成でのライヴは、現場レヴェルでは試したことがなかったから、フジロックで初本番だったんだよね」
BELAMA2「30分が持ち時間っていうだけが、出演者全部に共通するルールで。だから途中の喋りも練習していって。それでぴっちり30分でSTERUSSを見せるって言うのは考えて。でも、実際他のバンド観たらちょっと超えたりしてて、そこはちょっと悔しかったり(笑)」
DJ KAZZ-K「でも、ロックの出演者ばっかりっていう、他人の土俵で相撲とるようなもんだし、フジロックではHIP HOP代表って気持ちだった。『ROOKIE A GO-GO』で、HIP HOPというアプローチで出るのは俺たちだけだったから、その環境の中でどうHIP HOPを見せるかは考えた。『HIP HOPでロックするぜ!』っていうのは宣言したし」

■なるほど。話は変わって新作ですが、4年半振りのアルバムになりますね。
BELAMA2「でも、2010年にはZZのアルバムがあったし、止まってるってつもりはなかったですね」
DJ KAZZ-K「だから、二年おきにリリースするっていうSTERUSSのペースで考えると、ZZのアルバムもカウントに入れるとそれは出来てるなって」

■確かにライヴは常にやってたし、“いつかわらいばなしのone day”なんかはライヴでもよく見てたから、制作はコンスタントに進めてはいるんだなって。
BELAMA2「そうっすね。STERUSSの曲作りは続けてて」
CRIME6「STERUSSは制作に期限を決めてないし、アルバムにコンセプトも立ててない。そういう作り方だし、満足して納得して、自分たちでもずっと先まで聴ける作品を作るっていうのが根本にあるから、常に自分たちのペースでっていうのは考えてますね」
BELAMA2「制作的には基本的にリリックが先だよね。まずリリックを作ってから、トラックに当てはめるって言うか。今回はほぼそうだよね」

■これは悪く聞えたら申し訳ないんだけど、前作「円鋭」は「求められるSTERUSS像」を形にしたのかなって雰囲気を、このアルバムを聴いてから思って。それは迎合したって言うんじゃなくて、求められてるモノと自分たちの打ち出しを共有したって言うか。でも、もっとこのアルバムは落ち着いてるし、前作をそう感じるぐらい、このアルバムは地に足が付いてるなって。でも、それにKAZZ-Kやビート武士以外にも、タケウチカズタケや色んな『外部の』ビート・メイカーが参加しているっていうのが、すごく興味深いことではあるんだけど。
BELAMA2「作り方としては今までと同じなんだけど、KAZZ-Kが仕事の関係で動けなくなってトラックが作れなくなったから、トラックがまったくない状況が一瞬あったんですよ。そうすると、どうしてもリリックも止まっちゃって。それで、今までは外部プロデューサーを入れなかったんだけど、武士やカズタケさんはじめ、室涼保存やNAGMATICって新しいプロデューサーを迎えて、そこからまた作り出すって感じで。だから音が変わったのは必然だったし、それによって今までのSTERUSS像は確実に崩れるのが分かったから、逆に、メチャクチャ変わっていっても良いんじゃないかなって」

■そのぽっかり空いたタイミングについて、STERUSSに不安はなかった?
DJ KAZZ-K「俺に関して言えば、メンバーには申し訳なかったけど、自分の身の回りのことで精一杯だったし、STERUSSのことを考えてる暇もないくらい、忙しい状況になってしまっていて。でも、STERUSSはどっかのスタジオで会って結成したわけじゃないから、時期が来れば絶対また動けると思ったし、途絶えるとは全然思ってなかった。だから、『STERUSSは大丈夫かな』って思えたときは、俺がちょっと余裕が出てきたときだったね。でも、そう思ったときには、もうBELAMA2とCRIME6がアルバムについて動き出してくれてて。これまでは結構、俺が主体で動く方だったけど、今回は俺が動けない分、二人がカバーしてくれてて、更に武士の加入でライヴも出来るようになってたから、全然大丈夫じゃんって」
BELAMA2「今までは本当にKAZZ-Kに乗っかってたから。でも、今回に関しても、俺らが作って、それをKAZZ-Kに聴いてもらって進めるって感じだったね。で、RECの部分に関してはカズタケさんのスタジオで録って、そこで色々ディレクションしてもらったり」
CRIME6「だからやっぱりゼロからのスタートだったのかな。『円鋭』だったら『白い三日月』からの延長であり、その流れを考える義務感みたいなモノをどっかしら感じてたけど、今回はそれを壊して好きにやればいいんだなって」

■今回のレコーディング・エンジニアにタケウチカズタケさんを起用したのは?
CRIME6「近い存在だったし、一番相談できる人だなって」
BELAMA2「今までKAZZ-Kのウチで宅録で録ってたから、それと同じように出来るのはって考えたら、SUIKAの“SKYFISH with STERUSS”に参加させてもらったときに、あれはカズタケさんのホーム・スタジオで録ったなって。ホントに最初は相談って感じだったけど、色々状況を話したら、『じゃあウチで録れば』って」
DJ KAZZ-K「でも、ウチで録るときは無限に時間を使えるけど、カズタケさんのトコじゃそうもいかなかったでしょ?」
BELAMA2「まあね。ボランティアじゃないからお金の問題もあるし(笑)。でも、その中でも録り方も含め色んなことを教えてくれたし、それがあったからこの作品が出来たんじゃないかなって」
DJ KAZZ-K「だから、録りやすそうだったよね。俺もRECを見に行ったら、謎みっちゃんが酒呑んでたりして、ZZのレコーディングと同じ環境作りをしてて(笑)」

■そこで雰囲気作りを(笑)。
DJ KAZZ-K「環境整備としてね。でも、俺らがRECしてる間、みっちゃんはリビングで酒呑んでて、カズタケさんの奥さんにおつまみ出してもらったりしてて(笑)。DEEP SAWERも床で寝てたし」

■ブレないな〜(笑)。話は変わって、今作に「THE RAP MESSENGER」というタイトルをつけたのは?
BELAMA2「タイトルはアルバムが出来てからの完全に後付けなんだけど、今回は「RAP」って言葉を入れたかった。俺らは「ど真ん中じゃない」って言われがちだし、そう思う部分もあるけど、俺は自分のことを絶対に“ラッパー”だと思ってるし、自分のやり方でラップしている。それに加えて、俺は“RAP”っていう言葉が、字体とか内容っていう全ても含めて、カッコ良いってことを提示したかった。そう考えてたときに、“尖”に参加して頂いた鈴木勲さんが、アメリカで『JAZZ MESSENGERS』の一員だったことを思い出して。勲さんって黒人でもないし、ハルク・ホーガンみたいな髭はやしてるけど(笑)、黒いんですよね。しかも、いかにも黒人的っていうよりも、日本人のもつ独特の黒さを持ってるっていうか。俺もそういった意味での黒さをラップとして表現したかった。アメリカの文化を借りながら、それを日本人の自分の武器として使うって、勲さんはジャズを通して実践したんです。俺もラップを通してそうありたいって思ったし、このアルバムも、『ラップのアルバムだ』っていうのを打ち出したかった。それは、色んなジャンルのリスナーに向けてもそうだし、『ラップでのメッセンジャーだ」って言いたかったというか。だから『THE JAZZ MESSENGERS』を借りて、『THE RAP MESSENNGERS』って」
CRIME6「このタイトルはリスナーがいろんな意味で受け取るだろうし、そういう勘ぐらせるタイトルだっていうものいいなって」

■武士君以外の3人とは僕も同じ昭和53年組だから思うのかもしれないけど、30も半ばの「いい歳」になっても、なんで「ラッパーでありたい」って強く思えるんだろうってのは思ったんですよね。
BELAMA2「やっぱり、ラッパーってカッコ良いから。というか、ラッパーがカッコ良いって言うよりも、俺にとって“カッコ良いモノ”が“ラッパー”だった。それを見てラッパーになったし、自分たちもそうありたいって思う。そういう気持ちを持ってないと、バンドとかと対峙したときに戦えないなって。自分たちの武器はラップで、俺たちはラッパーなんだって改めて思いたかった」
CRIME6「社会人やりながらラップやってると、どうしてもラッパーって『YO!YO!でしょ?』みたいにバカにされたり、フラストレーションの溜まることも多い。でも、そこはホントに崩したいし、ラッパーとして動くんなら自分のラップで、ラップはカッコ良いってことを証明したいなって。歳を重ねれば重ねる程、それは思うようになって」
DJ KAZZ-K「そういう経験がリリックに活かされてるよね。『白い三日月』のときはとにかくみんなに聴いてもらいたくって気持ちで作ってたけど、今はある程度の人には聴いてもらえるようにはなって。だけど、もっと聴いてほしいんだよね。それはHIP HOPリスナー以外にも。そこでBELAMA2も言ったように、ラップでありHIP HOPでありたいって。そういう気持ちはリリックからよく出てるなって。それも含めて、新しい段階のアルバムに出来たなって思うね」
ビート武士「『円鋭』よりも伝わりやすいって感じたんですけど、二人のリリックも一周してすごく分かりやすい表現になってるなって勝手に思ってるんですよね。だから色々経た上でのリリックなんじゃないかなって」
BELAMA2「(無言でビート武士を見る)」

■なんでそんな後輩を萎縮させるような行動を(笑)。
BELAMA2「いやいや、良いこと言ってくれるなって(笑)」

■じゃあよかった(笑)。
BELAMA2「あ、さっきの言葉を補足すると、ラッパーでありたいっていうのはラップ・シーンのど真ん中に行きたいとかじゃなくて、自分たちが聴いてほしい対象がジャンル関係ないからこそ、ラッパーでありたいって思うんですよね」
CRIME6「その意味でも、自分たちの作りたいモノは普遍性をもったモノなんだなって、改めて思いましたね」

■確かに、今回のリリックはすごく普遍性が高いと思うんだけど、その切り口はどれもポジティヴだと思うんですね。そういった表現になったのは?
CRIME6「俺個人で言うと、酒呑んで迷惑をかけることもあるんですね。そうやってずっこけてしまう自分に対して、どんなことが書けるのかなって言うのは、リリックを書く上では思うんですね。それから、俺と同じようなタイプの人間にはどんなことが言えるかなって。そういう経験の結果なのかなって。この言葉は」
BELAMA2「俺としては、ポジティヴなモノこそ、普遍性を帯びるんじゃないかなって。ネガティヴを変えたいから、みんな何か行動するんだろうし、自分たちもそう。だから、ポジティヴなことをあえて書こうって言うよりは、そのネガティヴの先のことを書いて、普遍的なことを書こうとすると、自然にこうなるのかなって。自分たちもそういう言葉を聴きたいし」
DJ KAZZ-K「50歳になってもラップできる曲を作りたいしね。そういうアーティストでありたい」
 
 

Pickup Disc

TITLE : THE RAP MESSENGERS
ARTIST : STERUSS
LABEL : ZZ PRODUCTION/ZPCD-007
PRICE : 2,625円
RELEASE DATE : 9月5日