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T.O.P.

インタビュー:伊藤雄介(Amebreak)

「社会の中に存在しているけど隠されているようなことや、みんなが言いたいけど言えないこと、『やっちゃダメ』って言われてるようなことって、本当はみんなが一番やりたいことだと思ってるから、そこを俺がキレイ事を並べてそういうことを言わないんじゃあさ、シーンが腐ってくでしょ。世の中も真実がどんどん見えなくなってくるから、そこを俺がぶち抜いていくのが使命だと思ってる(笑)。時代によって良いことも悪いこともどんどん変わってくる。正義と悪とは何か、自由とは何かとか、そういった部分で物議を醸すモノを作りたい。『良いね』だけで終わる作品なんか作りたくないんだ」

 まず最初に書いておきたいのだが、T.O.P.がR-RATED RECORDSから満を持してリリースした1stアルバム「UNDERWORLD ANATOMY」は、恐らく日本語ラップ史上屈指の「悪ノリが過ぎた」アルバムだ(なんせ、エグゼクティヴ・プロデューサーを務めているのが、歴史に残る悪ノリ日本語ラップ・クラシック:LIL KOHH“YOUNG FOREVER”を仕掛けた318だし)。所謂アンダーグラウンド的な詰め込みラップでもないのにこの情報量、そしてT.O.P.の感情の赴くままに好き勝手に多方面にぶちまける様(だけど、しっかりアルバムとして整理されているので意外とすんなり聴き通せるという)。近年の日本のHIP HOPにおいて、ここまでズル剥けたアルバムもあまりなかっただろう。
 
 だが、今作は決して傍若無人なアルバムというわけではなく、T.O.P.の確固たる哲学や思想が全編に渡って通底していて、インモラルに聴こえるようで実は(T.O.P.なりの)モラルが強く押し出されたアルバムでもある。そういった点を踏まえて、今回は、T.O.P.自身に、彼の考えるサグ・フィロソフィーについて雄弁に語って頂いた!
 
 
■T.O.P.君がR-RATEDと繋がったのはいつ頃?
「6年ぐらい前に横浜でRYUZO君のライヴを観て、そのときに一目惚れした。それで、俺から声かけて。でも、そのときは俺が一方的にライヴ観て良いと思ってただけだった。その後ちょっとツルむようになって、俺のデモをRYUZO君に聴かせたんだ。確か“光が射すまで”とかを聴かせたのかな。そしたら『メッチャエエやん。ウチからやんない?』ってなって」
 
■R-RATEDとのディールが決まる前から、既に318とアルバムを作り始めてたんだよね?
「このアルバムを作ってた。(今作で)何曲かはその頃から作ってたヤツが入ってる。作り始めてからR-RATEDからの誘いがあったから、318とR-RATEDを繋げて、最終的には318にエグゼクティヴ・プロデューサーとして関わってもらうことになったんだ」
 
■THUG FAMILYをやってた頃からソロでやろうっていう意識はあった?
「あった。THUG FAMILYのチームのみんなに、パーティ・チューンとか酒の歌とかナンパな歌もやりたいし、その方が人気出るでしょ?って言ったんだけど、猛反対されちゃって(笑)。じゃあ、そういうのはソロで表現して、ファミリーとやるときは男臭いのをやろうかな、って。これからまたファミリーとやるんだけど、次はもうちょっと派手な感じでやろうと思ってる」
 
■前ほど殺伐とした感じじゃなく。
「アレ(『100% THUG』)は、評価を得るとかじゃなくて、インパクトを一番重要視して作ったアルバム。だから、批判が生まれることがむしろ良いことだったし、注目されることが一番だった。俺も若かったし、思想/哲学もあまりなかったから、とにかく目の前の生活が全てで、それを歌ってたつもりだね」
 
■ここ数年間で、アーティストとしての心境の変化は結構あった?
「ホントあって、作品も『賞賛を得たい』とか『尊敬されたい』とか、そんなんじゃなくて、俺みたいなヤツらのために痛みや悲しみ、苦しみを代弁しつつ、ソイツらが笑って歌える曲とかを提供したり、パーティする場所を提供するために曲を作ろう、っていう心境になったね。今は、悪さしてた頃と比べると生活も苦しいけど、いくら裕福だったとしても昔の生活には戻りたくないし、マトモな生活をしたいね(笑)。音楽でメシ食えれば一番いいと思ってる」
 


 
【T.O.P.とストリート】
■“SAME feat. ZEUS & JAZEE MINOR”とかで地元のことも歌ってるけど、T.O.P.君は横浜の本牧がフッドだよね。
「生まれたのは京都なんだけど、小学校低学年から横浜に来て。俺が育ったところは錦町のチロリン村って言って、京都の向島団地みたいなデカイ団地があって、港で働いてるヤツが格安で借りれるところなんだけど、そこでタコ詰めになってみんなで住んでた。ガスも通ってなかったから水でシャワー浴びてたし、文字通りブタ小屋みたいなところだった。それでもマシなぐらいで、その前の中1~3ぐらいまでは外で寝泊まりしてたね。学校は……中2ぐらいから行ってないな。その頃からストリートで悪さしてる同い歳のヤツらとか歳上とツルんでたね。だから、普通の人よりはオトナになるのは早かったかもな。悪いことは……歳上のギャングの人たちから教わったね……(笑)。俺も最初は面白半分で『この兄ちゃんたち面白ぇな!』と思ったし、毎日がエキサイティングだった。子供だったし、何も知らなかったからね」
 
■T.O.P.君がストリートから離れたのはいつ頃なの?
「超最近だと思う。このアルバムを作り始めた頃かな。R-RATEDとかみんなが俺を推してくれるようになって、音楽だけで生活できるようになってきたから、『この生活は最高だな』って思うようになった。捕まったりしたら音楽活動なんて出来なくなるし、自分が出来ることはコレ(悪いこと)ではねぇな、って思って。自分のためにもそうだし、自分の周りの人間にとっても音楽でメシ食っていった方がいいな、って」
 
■ストリーフ・ライフに疲れてたというのもある?
「それはもちろんある。今でも戻りたくないし。オマワリに毎日追われて逃げ回ったり、ヤクザとケンカしたり、手下が飛んだりとか、トラブルの毎日だった。いくら大金稼いでも休まるときなんかなかったね」
 
■音楽で生活できるようになったことが、文字通りT.O.P.君を救った、と。
「完全にそうだと思う。ストリートが俺にくれた愛は今でもすごい感じるし、だからこそ貢献しようと思ってるけど、ストリートの持ってる悪い部分からは音楽が俺を遠ざけさせてくれた」
 
■ストリートから学んだことや教訓は?
「うわー、それは究極な質問だね……『生きる』ってことかな。毎日を真剣に生きるってことに尽きると思う。ストリートで夢を見ようとしても、ストリートは山あり谷ありだし本当に甘くないから、ハッピー・エンドなんかないと思う。外で寝るのも厳しいし、ヤサを維持するのも大変だよね。維持するためにしたくもないことをしなくちゃいけないこともあるし……(溜め息つきながら)逃げたくなることもいっぱいあるね……そういう人には俺の音楽を聴いてストレス発散してもらって、腐った社会の中でも俺たちなりに楽しくやっていこうぜ!って感じだね(笑)」
 
■T.O.P.君のことを否定的に捉える人は、T.O.P.君のストリート描写や過激な表現を「悪さ自慢」的に受け取ってることがあると思うんだけど。
「今回のアルバムだと“FUCK U MOTHERFUCKER”とかは結構過激な感じかもな。こういう曲に関しては、聴くことで単純にストレス発散をしてほしい。俺と同じような環境/生活のヤツじゃなくても、アクション映画で悪党が退治されまくったり、ムカつく警官がぶっ飛ばされたりするとスッキリするじゃん?それと同じ(笑)。こんなストレス社会の中でみんな生きてるわけだし、『こんな上司、ガンがあったらぶっ放してやりてぇぜ!』って気持ちになること、絶対あると思うんだ。そういうことを表現してみんなのストレス発散になれば、と思ってる。『悪さ自慢』って言われることに関しては、社会の中に存在しているけど隠されているようなことや、みんなが言いたいけど言えないこと、『やっちゃダメ』って言われてるようなことって、本当はみんなが一番やりたいことだと思ってるから、そこを俺がキレイ事を並べてそういうことを言わないんじゃあさ、シーンが腐ってくでしょ。世の中も真実がどんどん見えなくなってくるから、そこを俺がぶち抜いていくのが使命だと思ってる(笑)。悪いってことは百も承知だけど、それは表現しないとダメだと思うし、恐れちゃいけないと思う。評価されるためだけに自分の人生を偽る方がおかしくない?と思うよ。時代によって良いことも悪いこともどんどん変わってくる。正義と悪とは何か、自由とは何かとか、そういった部分で物議を醸すモノを作りたい。『良いね』だけで終わる作品なんか作りたくないんだ。いろんな議論が起こるような作品を作っていきたいと思ってる」
 
 
【T.O.P.とカネ】
■正に“I NEED MONEY”というストレートな曲が収録されてるけど、T.O.P.君はカネに執着は強い?
「もちろん、なかったら死ぬと思うな(笑)。それもストリートで学んだ大事なことだと思うよ。カネに振り回されちゃダメだけど、カネがあればより多くの人を救えると思うね。自分のしたいことや夢も叶うし。正直言うと、カネが憎いときもある。翻弄されてはいけないと思っても翻弄されるときはあるし、カネがないと気持ち自体も苦しくなってくる。こんなに憎いんだけど、カネを手に入れたときは安らぎが与えられるってこともある。ていうかね、本当の貧乏人と本当の金持ちは、カネがメチャクチャ大事ってハッキリ言うと思うね。真ん中でウダウダやってる人ほど『(世の中)カネじゃねぇ』って言うと思うけど、究極言っちゃえば、カネだから!生きるか死ぬかのときも、俺はカネで助かったし。でも、俺たちが財務省なワケじゃないから、俺たちがカネを刷って増やせるワケじゃない。『金は天下の回りもの』とは上手く言ったモンで、俺らが作ってるモンじゃないから人から人へ渡ってくる形でしか回ってこないワケだよ」
 
■縁が円を作る、と。
「そうそう。だから、カネが大事=人との繋がりが大事ってことだと俺は思うよ」
 
■だけど、理想を言うと、カネがなくてもみんな幸せになれる社会の方がいいと思う?
「究極言っちゃえばそうだよね。みんなが道で会うホームレスに百円ずつあげればそのホームレスは飢えないワケじゃん?それを誰もしないからホームレスが生まれてるワケだ。そういう精神の未熟さというか……こんな歌唄ってる俺がそんな偉そうなこと言うのも何なんだけど(笑)。俺も宝石付けたり高級車乗ってたときは、ホームレスのことなんか1ミリも考えてなかったけど、今は違うと思うな。高級車や宝石を見せびらかすのは大いに結構だけど、ホームレスひとりに会ったら百円ぐらい恵んでやれる心の余裕を持ってくれよ、って思うね。俺は常にマイノリティだと思ってるから、将来的には貧乏人に貢献できるような炊き出しや寄付がちょっとでも出来ればいいと思ってるね。“MY TEARS”とかは、そういう気持ちを強調して表現してるんだ」
 
■カネで愛は買えると思う?
「カネで愛は買えないと思うよ。でも、カネがないと愛は生まれないと思う。フハハハハ」
 
■おお、深い……のか(笑)。
「ああ、言い過ぎたかな……(笑)。今のはかなりうるさかったな……」
 
 
【T.O.P.と権力】
■今作でも要所で警察や政府など、権力に対する言及が結構あるけど、権力や体制に対してはどういうスタンス?
「俺は、権力にひれ伏してる庶民が好きじゃない。やっぱり、社会の中でみんなに戦ってほしい。ファックドアップしてヤク捌けとか言ってるワケじゃなくて、この腐った社会の中の厳しい環境でも夢を捨てないで戦ってほしいんだよね。だけど、君主や指導者、革命家が嫌いかって言うとそういうわけじゃなくて、そういう人たちでもちゃんとした人が産まれてほしいと思ってる。だから、国家権力が嫌いってワケじゃなく、正しく導ける人が生まれたらいいと思うんだけど、権力側が間違っていてそれがイヤなのに黙ってたり、ひれ伏したりしてる人があまりに多すぎるのは問題なんじゃないかな、と思う。制圧されて労働という名の奴隷の鎖に繋がれてる人が、その鎖を解くために戦って、その人たちの中から弱者の立場に立った指導者が出て来てほしいと思うよ」
 
■T.O.P.君のツイートや今の話とかを訊くと、やっぱりアナーキスト的思想が強いのかな、と思うんだけど。
「力で無理やり言うことを聞かせる政府や団体は好きじゃないな。『この人に付いて行きたい、あの人を推したい』っていう人がいた上で、それぞれが自由にやりたいことをグループとして出来たりする世の中になってほしい。今は外に出ても『アレやっちゃダメ、コレやっちゃダメ』ばっかりで、全然自由がないから、もっとみんなが自由になれる世界を団結して作ってほしい。でも、弱者を守るばっかりが優先しちゃうと、それはそれでルールが乱立しちゃって、標識ばっかりみたいな世の中になっちゃうと思うけど、弱者が虐げられすぎてると思うから、そこは自由にならなければいけないと思う」
 
■そういったT.O.P.君の思想は、ストリート・ライフでの経験があったからだと思う?
「ストリート育ちとか関係なく、学歴がなくて親が金持ちじゃないようなヤツはみんなそうだと思うんだ。俺から言わせれば貧乏人はみんなストリート育ちだから。貧乏人は、学校を風邪で三日間休んだだけで、方程式とか分からなくなって完全に教育から取り残される。そこで塾や家庭教師があれば話は別だけど、俺たちの環境では教育の格差の影響は大きい。『恵まれなさすぎてヤクを売るようになった』とか言うと『お前は逃げてる』とか『日本だったら頑張れば仕事なんかいくらでもある』って言うヤツがいるけど、そういうヤツに限って自分がどれだけ周りの人間に支えられてるかってことに気づいてないんだよね。俺たちは家庭教師も塾も行けないような環境で育ったけど、日本でも6人にひとりは生活水準的に貧困に陥ってて、経済が破綻してる他の国に近いぐらいなんだ。競争主義で勝ち抜くことだけがステータスになっていくような社会では、貧乏人は完全に取り残されてしまう。学歴や裕福な環境だったら仕事は何でも選べると思うよ。だけど、俺たちはそうじゃないし、選べたとしても残された中からしか選べないから、自由に選ぶことは出来ない。今はそんなことで僻んだりしないけど、ガキの頃はそれで僻んだこともあるよね。そういうところから、社会に対する不満だったりアナーキスト的な気質になってきたんだと思う」
 
 
【T.O.P.とインターネット】
■ストリートの世界では多くを語らない美学というのもあると思うけど、T.O.P.君はTwitterやこのインタビューでもかなり饒舌だよね。
「俺は、ネットで伝えなきゃいけないこととストリートの人たちに伝えなきゃいけないことは違うと思ってるね。普段、パーティとかでウダウダ話したりとか、現場を体感しながら言葉に出来ない大事なことをみんなと共有するけど、それとインターネットは全然違うよね。ネットの世界だと、パソコンの前にしがみついて離れないようなヤツとかいるでしょ?それが俺はスゲェ心配なんだ」
 
■心配してるんだ。
「心配じゃない?そいつらの精神にとっても良くないから、ちょっとでも外に出て人と会ったりとか、外の空気吸ったりとか……」
 
■それを促したいんだね。
「ネットは新しいツールで、すごく便利で素晴らしいと思うんだ。だけど、全てが良いってワケじゃない。ネットにも悪いところはあるから、そこは伝えていかないといけないと思う。俺にたかってくるアリみたいなヘイターいるでしょ?甘い砂糖にたかってくるアリのような連中。そういうヤツらは自ら名乗って社会で戦おうとしないワケよ。そいつらは戦ってるヤツらをけなすことで、戦ってない自分を慰めて憂さ晴らししてるんだよね。注目されたい欲求を満たそうとするのが良くないってワケじゃなくて、ネットの中だけでそれをしてしまうと、匿名で誰かも分からないのにそれがそいつの人生の価値になるか?って言ったらそうじゃないと思うんだ。自分の人生に価値があることやその先を見て活動した方がいいと思うんだよね。批判や中傷して自分の注目を得ようっていう動機に振り回されて、自分の人生を無駄にする必要はないと思うね。それこそ誰得だよ!って話だから。ネット中毒/中傷中毒みたいになってる、精神の成長が遅れてる人たちには、なるべくそこから抜け出してプレイする側--こっちに来いよ!って感じだから」
 
■よくTwitterで「PLAYしない評論家は~」って言ってるけど。
「ラップをしろ!ってことじゃないよ。現場に来て遊んだりさ、友達とスケボーしたりさ」
 
■実践しろってことか。実際の行動に移せ、と。
「そうそう。実際の行動に移して、実際に結果を出して、実際に夢を実現して、実際に幸せになれや!ってことでしょ(笑)」
 
■“HEY HATER”は、正にネット上でそういうバッシングを繰り返す人に向けた曲だよね。
「『もっとPLAYする側になれよ!』っていう風に捉えてくれればいいけど、そこに行くまでにも時間がかかる人もいるらしいので……そういう人たちはまた“おこ”なんじゃないですかねぇ(笑)」
 

 
【T.O.P.と女】
■過去にも“GYAL IS EVERYTHING”や“ラブホなう”での客演があったし、今作でも何曲か女性に向けた曲が入ってるよね。T.O.P.君にとって女性はどういう存在なの?
「女性は……“源”なんじゃないかな。エネルギーの源。女性がいなかったらそれこそ悪さもしてなかったかも(笑)。カネもいらないし、貧乏でいいかもしれないね。女性は本当に生きる糧ですよ」
 
■それは性的な意味で?それとももっと精神的な意味で?
「両方あると思う。カネに近いところはあるね。憎いんだけど、幸せにもしてくれる(笑)。女性とお金は似てますよ……今、“MONEY LIKE A BITCH”って曲作ってるんだけど、カネはまるでビッチ、ビッチはまるでカネですよ(笑)」
 
■T.O.P.君の曲を聴くと、所謂“ビッチ”と言われるような女性に対して手厳しいことを言うときもあれば、ものすごく純粋に愛を語ってる両極端な側面があるよね。
「社会と同じだよ。女性もクソッタレすぎて、だからこそ素晴らしい……」
 
■女性に対するT.O.P.君の扱いについて気になったことは、“MY LIFE IS GOOD”ではすごい純粋な愛を歌ってる一方、“I'M SO HIGH feat. KOHH”では“中出し”を推奨してるという、かなり男性本位な発言も出て来る(笑)。
「それは俺のモットーで、昼間は紳士だけど一度ベッドに入ると野獣になる、そういう話ですよ。デートするときは紳士的にエスコートするけど、一度ベッドに入ったらオンナはアバズレのように扱わないと(笑)」
 
■“MY TEARS”で「女の子達が身体を売らないでいい社会/ならAIDSも蔓延することもない」って歌ってるけど、まずゴムをした方がいいんじゃないかなあ、と……(笑)。
「いや、愛があるセックスをしてれば大丈夫ですよ。愛がなくて、快楽に身を委ねるだけならしっぺ返しは来る。人生は常にそういうモンで、楽であることとか快楽を求めることばかりに時間を費やしてしまうと、人生の価値が下がるし時間も短くなる。だから、俺はいくら苦しんでも本当の愛を見つけるべきだと思うし、大事にするべきだと思うよ」
 
■“LISTEN BABY”とかは、T.O.P.君のそういった愛の対象である特定の女性を想像させるような内容になってるね。
「対象は常にあるね……この曲は、スタートとしては……でも、その、なんていうのかな……」
 
■テレ始めてるじゃねえか。
「恋愛をマジメに語ったことないぞ、みたいな(笑)」
 
■サグの愛について訊いてるんですよ、僕は。
「出会ったときとか、何か出来事が起きて気持ちがマックスに高まったときとかに、その気持ちをバンとぶつけられるような形で書きたいな、とは思ってて。“ラブホなう”とかも、実際にクラブで出会ったときのことを思い出して書いたし。そのときの気持ちを音楽にしてライヴで演ることによって自分の気持ちが完結していく……その恋が芽生えなくてもね!フハハハハ」
 
■T.O.P.君の作るギャル・チューンでいいな、と思うのは、基本T.O.P.君が女性に対して一生懸命なところなんだよね(笑)。
「女性は正直カネより好きだからね!」
 
■でも、一方でビッチもいる、と。
「ビッチも……好き(笑)。俺が大嫌いなのは『思わせぶりビッチ』で、好きでもないヤツとメシ行ったりして振り回すようなヤツ。ちゃんと好きな人としか会わないし、好きな人としかファックしないリアル・ビッチは好き。そうじゃなくて、愛に臆病なだけなのに、男性を振り回してばっかりいるフェイク・アス・ビッチが嫌いなんだよ」
 

 
【T.O.P.とTHUG LIFE】
■“LISTEN BABY”は2PACの“DO FOR LOVE”を彷彿とさせる曲だし、以前のインタビューでも2PACの影響の大きさについて語ってたよね。
「黒人社会特有の差別や貧困の中で、さっき俺が話したような弱者たちを導いたと思うんだ。俺たち側の意見をもっと表現してもいいし、していこうって推奨してくれた人間だと思うんだ。そういうところが2PACに一番影響されたところだと思うね」
 
■T.O.P.君の思想は2PACの“THUG LIFE”思想に通じるものがあるな、と常々思ってて。それは、ストリートやギャング・カルチャーの中から生まれた独自の秩序や倫理観なわけだよね。T.O.P.君は“サグ”をどう定義する?
「友と涙を流せて、仲間と共に戦えるヤツのことだと思うな」
 
■サグ=ワルってことではない、と。
「全然違って、本当の男のこと。だから、俺は不良やヤクザがサグだとは思ってない。仲間を裏切らなかったり仲間のために戦えるヤツがサグだよ」
 
 
【T.O.P.と仲間】
■“STILL REAL”では「オレの住む世界に友達はいない」と歌ってるけど、他の曲では仲間への厚い信頼について歌ってるよね。そこの相反する感情はどういうところに理由がある?
「それは、ストリート・ライフにどっぷり浸かっていたときと、音楽シーンに出て行った後の心境の変化だと思う。“STILL REAL”で言ってることが間違ってるとは思ってないんだけど、俺が今住んでる世界とドラッグ・ディールの世界はまったく違う。俺が今思ってるようなことはあっちの世界では通じない。『蛇の道は蛇』だから、そこでは優しさや愛、友情は通じないよ。そこに関してはウソつきたくなかったし、伝えなきゃいけないことだと思った」
 
■ストリートの世界の方が仲間意識は強い気がしてたんだけど。
「仲間はいるんだけど、友達はって言うと、ね。仲間は共に戦える同士であって、友/親友は共に涙を流せるツレのことだと思ってる」
 
■なるほど、行動を共にするかメンタルを分かち合うかの違いなのか。T.O.P.君にとってR-RATEDファミリーはどういう存在?
「もちろん、仲間であり友に徐々になってきてるね。そういう意味では今はすごく良い心境だね。みんなに頼りになってばかりにはなってられないから、自分で頑張っていかなくちゃいけないんだけど、いざという時に助けてくれて、自分を推してくれる人たちが出来た。地下社会だと利益が全てで、利益にならないと良い関係になったり自分を推してくれるなんてなかったけど、今は音楽をやってて、利益関係なく自分の可能性や考え方、目標に賛同してそれに賭けてくれるような人たちに出会えた」
 
 
【T.O.P.とHIP HOP】
■いろんなスタイルが乱立している中で、T.O.P.君が考えるHIP HOPとはどういうモノだと思う?
「それが痛みや悲しみの代弁だったり、楽しくさせる歌を提供するのでもいいけど、とにかく弱者のためになるべきモノだと思う。でも、俺が理想としてるモノを今回のアルバムで表現してるのかって言われたら、まったく違って、俺はただコレしか出来なかった、ってだけなんだ。もっと素晴らしいことを素晴らしい歌で世の中に伝えてる人もいっぱいいると思うから、みんなに頑張ってもらいたいけど、俺が出来ることはコレだった。この内容だから凄いだろ!ってワケでもないし、絶対だとも思ってない。『コレがHIP HOPだ!』とか厚かましいことを言うつもりもないし」
 
■かつては“FUCK RAP GAME”みたいに、シーンに言及した曲があったけど、T.O.P.君は日本のHIP HOPシーンがどうなっていけばいいと思う?
「もう、どうにでもなっちまえ!と思うね。アレやっちゃダメ、ああなっちゃダメ、みたいな風にならないようになってほしい。多様性をもっと求めてもいいと思うし、みんなが好きなことをするべき。それを、ああだこうだ言うヤツがいること自体、警察/バビロンみたいだし。俺も散々これだけウンチクたれといて何だけど(笑)、音楽ってウンチクとか『俺はこんだけ知ってるんだぞ!』って自慢するようなモンじゃないと思うんだよね。単純に音を楽しむモノだから。だからよく言うんだよ、『考えるな、感じろ』って」
 
■ブルース・リーだね。
「正にそこから来てるんだけど、音楽に通じるモノがあるな、って。だから、『こうなってほしい』っていうのはないんだけど、『こういう風になるな』って思うヤツがいなくなってほしいって思うね」
 
 

Pickup Disc

TITLE : UNDERWORLD ANATOMY
ARTIST : T.O.P.
LABEL : R-RATED RECORDS
PRICE : 2,800円+税
RELEASE DATE : 4月23日