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KOHH

インタビュー:伊藤雄介(Amebreak)

「ラップを始めた理由が『日本人のラッパー、ダセェ』って思ったからなんです。最初に聴き出して『作りたい』って思ったときは『(日本語ラップ)カッコ良いな』って思ってたんですけど、ある時期から『俺の方がカッコ良いんじゃねえか?』って思い出して、作り出したときにはその気持ちだったんです。その気持ちが今に至るまで続いてるから、『カッコ良いHIP HOPを広めたい』というのが目標でした。その気持ちは今も変わってないですね」

 2012年に最初のミックステープ「YELLOW T△PE」をリリースして以降、異例のスピードで日本国内の主要なラッパーのひとりに成り上がってきたKOHHは、特にUS HIP HOPのような成功モデルを夢見る人にとっては、理想に近い形で成功を手にしつつある男と言えるだろう。高田純次に喩えて自らを「適当な男」と表現するKOHHは、決して“適当”とは括れない勤勉さで楽曲を大量生産し、自らの表現を加速度的に上げていっている。
 
 そんなKOHHの加速度的に上がっていってる表現力を、今リスナーが体感するには、間違いなく初のオフィシャル・アルバム「MONOCHROME」を聴くのが一番だ。これまでは享楽的な側面を8割、シリアスな側面を2割程のバランスで出してきていたとすれば、今作ではほぼ10割をシリアスなラップで固め、これまで築いてきたイメージを自ら軌道修正してきている。
 
 そして、個人的に今作を聴いて最もヤラれた部分は、彼のラップを用いた表現の深化だ。例えばUS HIP HOPで言うと、DRAKE以降のジメ―っとしたヴォーカル表現--インタビュー本編では“ウェット”な表現と書かせて頂いている--を日本語ラップでここまで上手く消化できている作品を、筆者は他に知らない。ヴォーカルの絶妙なキー設定や余韻を残すデリヴァリー……やろうと思うのは簡単だろうが、ここまでしっくり来る形に仕上げられているのは、才能というより“素質”の賜物だと筆者は思うし、2014年の国産HIP HOP最大の成果のひとつだ。
 
 
■「YELLOW T△PE」リリース以降、すぐに「YELLOW T△PE 2」が出たり、“JUNJI TAKADA”がヒットしたり、客演に呼ばれまくったりと、ここ1~2年のKOHH君の活躍振りは凄いモノがあるけど、自分で振り返ってみてどう?
「自分が思ってたより良い感じになりましたね。とりあえず、クラブ行ったり街を歩いてたりしてると写真撮られるようになったっていうのと、音楽だけで食えるようになったっていうのもそうだし。今でもそこまで『知名度が上がった』っていう自覚はないんですけど、『でも、なんか前より声かけられるな』っていうのを後から気づいたというか」
 
■オフィシャルのアルバムが出る前の段階から「音楽だけでメシを食う」ということを実現したというのは、今の日本の多くのラッパーの状況を見ると、かなり恵まれていると思うけど、何でKOHH君にはそれが出来たんだと思う?
「自分みたいなラッパーが、今まではいなかったからなんですかね。それか、みんなが『音楽で食うのは大変』って決めつけてるからだと思います。最初から大変という体でやってるから。俺は、『食えないのおかしいでしょ。なんでみんな食えないの?』っていう風に思ってるし、逆にみんなは『食えない』と思ってるから食えないだけだと思います」
 
■他のラッパーとは違う、特別なことをしてるっていう意識は別にないでしょ?
「全然ないです。ただ、みんなと同じように曲を作って、良い想像をしてるだけですね(笑)。そういう気の持ちようって大事だと思います。良いことを考えてたら、周りに良い人たちが集まってきて、良い人たちで良いことをどんどんやっていけて、みんな良い感じになれると思うんですよね」
 
■さっき「自分みたいなラッパーが今まではいなかった」って言ってたけど、KOHH君は「他の人と違うことをやろう」って考えながら音楽を作ってるのか、結果的にそうなってるのか、どっちだと思う?
「『他の人と違うことをやろう』っていうのから始まって、他の人と違うことをやり出して、でも他の人と違うだけじゃ結局(他の人と)同じだ、って思って。だから、他の人と違うことじゃなくて『自分らしいこと』や『俺しか出来ないこと』--例えば、タトゥーのことを歌うんだったら、(KOHHの腕に彫られている)“ふたつの薔薇”とかは、俺しか歌えないこと。自分が普段使わないような言葉は使わないで、自分らしい言葉を使う、っていうことも突き詰められていきましたね」
 
■ここ1~2年を振り返って、KOHH君的に一番の出来事/事件ってある?
「たくさんありますね。ZeebraさんやANARCHY君、般若さんの曲にフィーチャリングできたり」
 
■そのラインナップ、相当凄いよね(笑)。この1年でその3人に客演で呼ばれるっていうのは、恐ろしいことだ。
「自分が昔から聴いてて、好きな人たちばっかりと演れてて……それがスゲェ良かったっす」
 
■何故、自分が今「求められている」のだと思う?
「やっぱり、自分みたいなラッパーがいないからですかね(笑)。ただ単にそういう理由な気がします。俺“系”の人はいっぱいいると思うんですけど……」
 
■俺“系”っていうのは、要するに「世間は俺のことをこういう風に見てるんだろうなー」っていうイメージと重なると思うけど、KOHH君の中で「KOHH系」ってどんなイメージなの?
「まず見た目だと刺青が入ってて、歌の内容はチャラくて中身がない(笑)。そういう人はたくさんいると思うんですよ。以前は逆にそういう人はいなかったかもしれないけど、そういう人が増えたきっかけが自分なのかな、って思います」
 
■今作「MONOCHROME」は、オフィシャル・アルバムとしては初の作品としてリリースされるけど、実際は2ndアルバムという位置付けなんだよね?
「“JUNJI TAKADA”を作ってたぐらいの時期に、一緒にアルバムも作ってたんです。それが1stアルバムなんですけど、色々曲が出来てきて、ラヴ・ソングとかチャラい系、“JUNJI TAKADA”系というか、『YELLOW T△PE』でやっていたような曲が増えてて、『このままコレを出すんじゃ今までと同じだし、なんか違うな』って思ったんです。自分的にもそういう曲を作るのに飽きてたし、もっと昔の自分が持ってた深い部分やイヤなことを先に出してから1stアルバムを出そうって思ったんです。最初は暗い内容やネガティヴ系の曲を集めてEPとして出す予定だったんですけど、それを作ってる内に曲数がたくさん出て来たんで、『じゃあアルバムにしちゃおう』ってなって、先にこのアルバムを出すことになりました」
 
■“JUNJI TAKADA”のような曲を経て、「MONOCHROME」で進化を遂げた、と僕は思ってたんだけど、KOHH君の中では原点に戻ってるという意識が強いんだね。
「そうですね。昔っぽいっていうか、昔の自分がやっていたような真面目なラップというか」
 
■それは、「YELLOW T△PE」より前だよね?
「はい。その頃とか、『YELLOW T△PE』でチョロっとだけ出してた部分ですね。そういった真面目な部分をデカく出したというか」
 
■ということは、「1stアルバム」ももう出来てる?
「100%ではないですけど、ほぼ出来てますね」
 
■そのアルバムは、最終的にリリースするの?
「出します。今年かは分からないですけど」
 
■「YELLOW T△PE」シリーズは、ミックステープという特性を活かしたヴァラエティに富んだ内容だっただけに、「MONOCHROME」の統一したムードが新鮮だったんだけど、全体像で表現したいモノは明確にあった?
「うーん、特に『こういうことを表現したい』というのはなかったんですけど、“外見”より“中身”の話みたいのをイメージして作りましたね」
 
■KOHH君は、他のラッパーの制作サイクルと比べると、やはり多作家の方に位置付けられると思うんだけど、普段はどんなサイクルで曲を作っていってる?
「家でダラダラひとりでいるときとか、友達と音楽を聴いてるときに『じゃあ曲作ろう』ってなるから、ほぼ毎日曲は作ってますね。一日1曲、よくて2曲ぐらい作る感じです。昨日も今日も作りましたね」
 
■そう考えると、1年あたり300曲ぐらいは作れちゃいそうな勢いだね。
「そうですね、ずっとやってれば。だけど、『毎日絶対曲を作るぞ!』というよりは“遊び”みたいな感じです」
 
■ラップがお金になってる現在でも“遊び”という意識なんだ?
「そうですね。遊びがお金になってる、みたいな(笑)。『仕事だ』っていう意識は全然ないですね。フィーチャリングとかも『この人とどういう風に遊ぼうか』みたいな」
 
■でも、今作のリリックは結構シリアスだけど、シリアスな内容の曲でも「遊んでる」っていう意識なの?
「そんな感じです。だから、病みますけどね。超病むけど、遊び方を変える、みたいな。真っ暗な部屋で曲を作る遊び、みたいな(笑)。自分をネガティヴに追い込んで作る遊び」
 
■ネガティヴに追い込むって、どういう風に追い込むの?
「スゲェ、嫌なことや他人の嫌なトコとか気にしちゃいながら、みたいな」
 
■そんなことやってると、ダークサイドに引きずり込まれちゃいそうな気もするけど、KOHH君はそういうことはない?
「いや、どうなんですかね。ダークサイドに行きかけたときは『……はっ!危ねぇ……』みたいになることは全然あります。『MONOCHROME』を作った後に出来た曲も、結構ネガティヴなのが多かったですね」
 
■そうすると、毎日のように曲を作っていても、時期によって作っている曲の傾向は違うんだね。
「もう、全ッ然違います。『MONOCHROME』のときは内容重視で、フロウは多少意識してた感じですけど、最近は、フロウとかで日本人が絶対やってないようなやり方でやってて、超自信があります。だから、『MONOCHROME』の曲は俺の中ではもう古い(笑)」
 

■318とはどんな話をしていきながらアルバムを作っていったの?
「まず、最初にコンセプトの話から始まって、そこからトラックをバーッと送ってもらって、俺がその中から選んで作って、318に送って『コレはアルバムに入れよう』『コレは微妙だ』っていうやり取りを繰り返して出来ていった感じです。今回は、レーベルから『こういうアルバムを作ってほしい』というリクエストがあった上で作ったんです。チャラい自分にも飽きていたから、新しいハードルが出来てちょうどよかったですね」
 
■どういったところでハードルを感じた?
「なんか、チャラいことがどうしても浮かんじゃったりして(笑)。そのチャラさを押し殺して、真面目なことに目を向けてました」
 
■やっぱり“JUNJI TAKADA”ノリの曲を作る方が簡単?
「簡単、メッチャ簡単です。何も考えないでいいんで」
 
■確かに、ああいう曲は「内容がないのが内容」みたいなモンだもんね。でも、今作は全部しっかりと内容が伴ってる。これまでの動きで付いたイメージに納得がいってないというのはあった?
「あー、まあ、その内みんな分かるからいっか、みたいな。勝手に言わせとけばいいや、って感じでしたけど、その(みんなが分かる)タイミングが今来たのかな、って」
 
■今作では“JUNJI TAKADA”のような分かりやすいフロア・チューンは皆無だよね。音楽的にはどんなモノを目指した?
「クラブとかのことは1ミリも考えなかったですね。とにかく『聴かせる』アルバムにしたかったんですけど、トラックに関してはその日の気分で選んだんで、分からないです」
 
■今作のKOHH君の「ウェットなラップ表現」は、これまでの日本語ラップでは成し遂げられていない領域のモノで、そういう意味で今作は凄いと思ったんだけど、ラップの書き方/録り方で意識したことはある?
「特に意識してないっす」
 
■でも、俺が言いたいことは分かるでしょ?そういうムードのラップが好きだったりはするんじゃないの?
「分かります。そういうラップは確かによく聴いてたから、勝手に影響されてたっていうのはあるかもしれないです。去年の秋ぐらいに作っていたんですけど、DRAKEは食らったし、FABOLOUSの『SOUL TAPE 3』とか聴いてて、あまりうるさい感じのは聴かなくなってましたね。クラブ系より、ラップが上手いヤツの暗い曲を聴いてました。でも、向こうの流行りに合わせたとかは、俺の中ではまったくないです」
 
■今作ではOMSB、Flammable、I-DeAといった有名ドコロのトラックもあるけど、大部分はアップカミングな人たちのトラックなので、その人たちの説明をお願いします。まずは理貴。
「理貴君は、俺が人生で初めてラップをレコーディングしたときのエンジニアだったんです。俺の友達の先輩がラッパーで、そのラッパーの相方だったんですよね。そこから理貴君の家でよくレコーディングしたり曲を作るようになったんです。18歳ぐらいの話なんですけど、超曲作りまくってて、一日に7曲とか作ってました。で、ある日彼と連絡が取れなくなっちゃって、彼が音楽を離れていた時期があったんですよね。それでレコーディングする場所がなくなったから318のスタジオに行くようになったんです。その後、『YELLOW T△PE』が出たぐらいの時期にFacebookでまた理貴君と繋がって、Facebook上で自分のトラックを上げてたから聴いてみたら超カッコ良くなってて。で、久し振りに会って曲を作るようになって、“JUNJI TAKADA”とかいろいろ作って、今作のような感じになりました。彼のトラックは、リリック書きたくなるんですよね。理由は分からないんですけど、理貴君のトラックはなんか書きやすい。波長が合うみたいですね」
 
■MALLY THE MARTIANは?彼はANARCHY「NEW YANKEE」でもトラックやってたけど。
「318が知り合いのアメリカ人で、FABOLOUSのクルーの一員です。彼のトラックは『冷たい』感じがします。だから、今作に合った」
 
■“FUCK SWAG”も手がけている夢幻SQUADは?
「俺が初めて大阪でライヴしたときに声かけてきた人たち。ビートを送ってもらってカッコ良かったんで、使いました。兄妹のユニットみたいなんですけど、よく分かんないっすね。彼らのトラックは、壮大な気がします」
 
■確かに“FUCK SWAG”は壮大だ(笑)。例えばもっと有名なトラック・メイカーを起用したり、もっと分かりやすいアンセム的な曲を入れたりすることも出来ただろうけど、今作はまったく“売り”に走ってないよね。不安とかはない?(笑)
「全然、自信しかないっす(笑)」
 
■“ぶっちゃけ”のアウトロで言っているような、「右へ倣え」的な世の風潮に対して思うことがあってこういう作品になったのかな、と思ったんだけど。
「右へ倣えな人は、別にそれでもいいんですけど、『右へ倣え』よりもっと良い方法があるということに気づいてほしいですね。誰かのマネするよりもっと良い方法があるのに、って」
 
■その「良い方法」をKOHH君は掴めてると思う?
「思います。洋服でも音楽でも何でもそうなんですけど、自分に合うモノってあると思うんです。だから、『あの人カッコ良い。だからあの人と同じことすれば俺もカッコ良くなれる』っていうのは違うんだよ、って」
 
■身の丈に合った表現というか。そういった部分、KOHH君は最初から一貫してるよね。ファッションとかも、自分が買える範囲のモノを着てて、ラップにしてる気がする。
「自分が口に出したことないブランドとかはラップで言ってないですね(笑)」
 
■ラップを書く上で、自分が普段使ってる言葉しか使わないというのは意識してる?
「そうですね。意識してるというか、自分が言ったことない言葉を無理に言おうとすると、なんか気持ち悪くて」
 
■でも、ヴァリエーションを考えるとヴォキャブラリーはあるに越したことないだろうし、話し言葉の範囲でラップを書いていくと、そういった部分で限界が出てくるモノだと思うんだ。
「普段喋ってる言葉と一緒なら、音楽が一緒になっても別にいいと思います」
 
■じゃあ、例えば韻が被ってもアリ、と。
「全然いいと思います。同じ韻でも違うように言えばいいんじゃないですかね」
 
■今作や、般若やANARCHYの客演で感じたのは、発声のヴァリエーションが増えたな、って。
「そうですね、声の出し方で遊べるようになりました。いつの間にかそういうことをやってたんですよね。初期の頃も、淡々としたラップに拘ってたってワケじゃなくて、単純に他のやり方に気づいてなかっただけだと思うんです。でも、今はもっと色々やっていい、面白いんだ、って気づいて。向こうのラッパーでも、歌みたいなラップが増えたからですかね。それを聴いている内に自分もそうなったのかもしれない」
 

■“FUCK SWAG”はMVも公開されて話題を呼んでるけど、KOHH君も“SWAG”系に見られがちだったと思うけど、そのイメージからの脱却/否定を試みてるよね。
「なんか……SWAGってなんだろう、って思ったんですよね。今までは外見のことばっか歌って、『自分の外見紹介』みたいな感じだったんですけど、外見紹介=SWAGみたいな感じになってると思ったんです。俺は外見紹介をSWAGだと思ってやってたワケじゃないし、そういった見方をする人たちにファック、って言ってるんです」
 
■じゃあ、KOHH君が思うSWAGの定義は?少なくともファッション・アピールではない、と。
「そうですね、ファッションだけではない。でも、正直俺もよく分かんないです」
 
■こういったテーマは、漠然と思い続けていた考えが形になるのか、それとも閃きなのか、どっち?
「閃き、ですね。閃きじゃないのかもしれないですけど、ちょくちょく日常生活の中で思ってたことが、トラックを聴いて浮かんでくるんです」
 
■テーマとかストックはしてるの?
「あ、メモったりはしますね。ふと思ったワードとかはiPhoneにメモして」
 
■一番最近メモしたのは?
「何だろうな……(iPhoneをいじり出す)『おっぱいにサイン』でした」
 
■(爆笑)チャラいじゃねぇか!おっぱいにサインしたの?
「しました。で、それがなんか、いいな、って(笑)。自分の中で衝撃的というか、嬉しかった出来事のひとつだったんです。だから、『おっぱいにサイン』ってワードは最近のリリックで使いまくってて」
 
■“タトゥー入れたい”という曲があるから訊くんだけど、KOHH君がタトゥーを入れまくるのは、オシャレ的な意味以外にどういった理由があるの?
「何なんですかね……」
 
■だって、俺みたいに一切入れてない人からすると、すごい執着心というか、拘りがあるんだろうな、って思うよ。ANARCHYとかもそうだけど、和彫りみたいにデカイ絵を入れるんじゃなくて、小さい絵をどんどん付け足していくじゃん?
「生きてると入れたいモノが増えます。衝撃を受けたモノとか、思い入れの強いモノを入れてるんですけど」
 
■最近入れたのは?
「『打ち出の小槌』です。手に入れたんですけど、『俺の手が打ち出の小槌になる』っていう」
 
■なるほど。左手に入ってる人の顔は誰?
「これは、ニコラ・テスラですね」
 
■なんでテスラ(笑)?
「この人、スゲェと思って(笑)。ぶっ飛んでる。この人のドキュメンタリーみたいのをたまたま観て『ヤバっ!』ってなってググってたら『この人サイコー。入れちゃお』って思いました(笑)。タトゥーは、ひとつひとつ何なのか訊けば、俺のことが分かると思います(笑)」
 
■確かに、そういうインタビュー企画も面白そうだ(笑)。話は変わって、自分の音楽に影響していると思うラッパーは?
「日本語を分かりやすく伝える、という意味ではKダブシャインさんから影響を受けてますね。今ではそんなに意識してないですけど、『Kダブさんから影響を受けている』と分かるような、通じる“何か”は今でもあると思います。最近だと、NYのハーレムに先月行ってて、そこでJ $TASHっていうアメリカ人のラッパーが同居人だったんですけど、彼はRELAX GANGっていうクルーに入ってて彼らに食らいました。フロウが新しい。今までの人が『1,2,3,4/1,2,3,4』みたいに載せてきてたのを『1,2,3/1,2,3/1,2,3,4/1,2,3/1,2,3』みたいな。凄いんですよ、グチャグチャだけどちゃんとしてるというか」
 
■KOHH君は、作品を出した後の世間の声は気になる?
「全然気にならないです。褒められてもけなされても、『ありがとうございます』みたいな」
 
■ドライというか、フラットだなー。心電図の針が触れまくるような感情の昂ぶりとか、あるの(笑)?どんなにワヤな現場にいても見事なまでにクールさを保ってるな、っていつも思うんだよね。
「あると思いますよ(笑)。でも、確かにあんまりないかも」
 
■今の自分は恵まれてると思うでしょ?
「ハイ、めちゃくちゃ恵まれてると思います」
 
■故に、幸せも感じていると思うんだけど、それでも「ネガティヴな曲を書こう」ってなったんでしょ?なんで、幸せな曲を書こうと思わなかった?
「幸せな曲ばっかだと、中身がなくなっちゃうというか。“陰”があるから“陽”が際立つ。今までは“陰”の方はあまり出さないで『ポジティヴなことばっか考えよー。イエ―!』みたいな感じだったんですけど。でも、もし『MONOCHROME』を作ろう、って話にならなかったら、今でもポジティヴなことばっか歌ってるかもしれないですね」
 
■ラップを始めたときのKOHH君の目標/夢って何だった?
「ラップを始めた理由が『日本人のラッパー、ダセェ』って思ったからなんです。最初に聴き出して『作りたい』って思ったときは『(日本語ラップ)カッコ良いな』って思ってたんですけど、ある時期から『俺の方がカッコ良いんじゃねえか?』って思い出して、作り出したときにはその気持ちだったんです。その気持ちが今に至るまで続いてるから、『カッコ良いHIP HOPを広めたい』というのが目標でした。その気持ちは今も変わってないですね。『HIP HOPがモテる』みたいな感じにしたいですね。夢は、もう、叶いまくってますね。ANARCHY君とやるのも、Zeebraさんとやるのも、始めたときだったら考えられないし、みんなと曲を演れるなんて『やりてぇ』とさえ思えないぐらい、夢のまた夢だったんですよ。でも、いつの間にか叶ってた」
 
■今の段階で叶ってないことは?
「まだクルマも買えてないですしね。マスタングが欲しいです。最終的にはベントレーとかも欲しいんですけど、一台目はスポーツカーが欲しい。でも、近い内に叶えられると思ってます。あと、紅白歌合戦に出たいっす。日本で一番権威ある音楽番組と言えば紅白じゃないですか。良い曲を作りさえすれば、いつか出れると思ってるんです」
 
 

Pickup Disc

TITLE : MONOCHROME
ARTIST : KOHH
LABEL : GUNSMITH PRODUCTION
PRICE : 2,700円
RELEASE DATE : 7月30日