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YOUNG HASTLE

インタビュー:伊藤雄介(Amebreak)

「今まで通りなんだけど、“オレ節”に磨きがかかったから、更にそういう風に聴こえてると思うんですよね。確かに自分でも思いますよ、『オレのことしか言ってねぇな』って。でも、自然にそれが出るってことは『まだこの路線でもいいのかな』って。だけど、次ぐらいからは自分に関係ない、ストーリーテリング的な曲とかも作ってみていいかな、と思ってますね」

 ラップというアートフォームの面白さを表現するためには、大枠のテーマや構造が分かりやすい上で、どれだけそこから奥深いモノを引き出せるか、というのがキーポイントだと思うのだが、所謂ストーリーテリング物と同様に、そういった意味でラッパーの技量が問われるのが“オレ節”な曲だろう。
 
 言ってしまえば「自分がどれだけイケてるか」という自慢話でしかないのだが、カッコ良い自分をそのままカッコ良く表現したところで、それは自己満足の域を出ないし、パッと聴きカッコ良くてもインパクトを与えることは、今となっては難しい。特に、USメインストリームを意識した日本のラッパーが陥りやすい傾向だとも思うのだが、近年はKOHHやY'S、AKLO(彼の新作はそういう観点で聴いても、非常に面白い)のような、パッと聴きのカッコ良さや、サウンド面での“現行感”をクリアした上で、しっかりエスプリの効いたリリックを書けるMCが増えてきていると思う。そして、YOUNG HASTLEもまた、そのラインに名を加えてもいい筈だ。
 
 これまでも“V-NECK T”(自分がこよなく愛する服)、“WORKOUT”(筋トレ)、“BLACK OUT”(日焼け)と、「イケてる自分」を構成する要素について、時にはそのトピックに興味のない人からしたら「知らんがな!」レヴェルの細かさで表現してきたYOUNG HASTLE。彼のニュー・アルバム「RETURN OF THE HASTLE」は、そういった意味で正に彼のリターンを高らかに宣言するに相応しい、良い意味で“自分推し”が過剰な一枚だ。だが、時に過剰とは言え、トピックが重複している曲はないし、その引き出しの多さ……というか、その引き出しの見つけ方には感心せざるを得ない(なんせ今作では、『自分の匂い』という実体のないモノにまで言及しているのだから!)。
 
 で、その“アートフォーム”としてのYOUNG HASTLEの“オレ節”の秘密と、今作の面白さを記事で紹介するには、HASTLE本人に全曲語ってもらうしかないだろう、ということで、今回は「RETURN OF THE HASTLE」全曲解説を敢行!
 


 
01. “Return of the Hastle”(Pro. by JIGG)
■一曲目から、過去2年間の自分の動きに対する懺悔で始まるという、画期的な幕開けでアルバムが始まるけど。
「前作『CAN'T KNOCK THE HASTLE』のときに、『これからは1年に1枚必ず出す』って言っといて、去年は結局出せなかった。それがあったし、待ってくれてるファンも少なからずいたと思うんで、その人たちに対する“エクスキューズ”の曲は絶対必要だと思ったんです」
 
■「言い訳はしない 結果が全てだからそんな事言っていい訳がない/でも仮にもしなんでかって教えて欲しいって言うなら話す少し」って言ってるけど……すげぇ周りくどいけど、結局言い訳するんじゃねえか!っていう。
「それはツッコミ待ちでしたね(笑)」
 
■このライン聴いた瞬間「ああ、このアルバムはだいぶうるさそうだ……」と思ったよ……。でも、「1年に1枚出したい」とは確かに言ってたよね。実際、僕がHASTLEと去年話したときもディールの相談をされたし、それについての言及もこの曲でされてるね。
「自分ひとりで制作しようと思えば出来るんですけど、出来てから売るためのプロモーションは経験したことがないし、やり方も分からないから、専門の人に頼むのがスムーズで理想だな、と感じてたんです」
 
■つまり、去年はディールがどうにかならないかと動いてたけど、結局それは上手くいかず?
「ディールは取れなくて。もう一回自分でインディペンデントでやろうと思えば出来たんだけど、ちょっとパッションが切れちゃった。もう一回自分だけでやるって決意するにはちょっと時間がかかりましたね」
 
■そこの意識が切り替わったのは何故?
「流石に2年以上は待たせられないから。今年は夏ぐらいまでには出さないと、タイミング的にギリギリのラインかな、と思ってたんで、『もう一回自分でやるしかない』と動いた感じですね」
 
■自分の中でも、出し続けないと忘れられるし、いっぱいいろんなMCが出て来てる中での危機感みたいのはあった?
「もちろん。単純に出してないと営業も減ってくるし、生活も出来ないじゃないですか。あと、更に最近は回転も早いと思うし」
 
■そんな思いを抱えた中、今作はどんなアルバムにしようと思った?
「アルバム一枚通してのテーマっていうのは、これまでのアルバムでも考えたことはなくて、1曲目のタイトルをアルバム・タイトルにしてるんですけど、アルバム全体というよりは一曲一曲で考えてるんです。そこに関しては今まで通りで、一曲ずつ溜めていって、っていう感覚でしたね」
 
■例えば、これまでも“V-NECK T”があったり“WORKOUT”があったり、テーマが明確な曲がHASTLEのスタイルなんだと思うけど、そういう曲を作る面白味はどういったところにあると思う?
「俺は、やっぱり分かりやすい曲の方が好きなんですよ。それが根底にあるから、自分が作るとそういう風になるのかな、って」
 
 
02. “Squad”(Pro. by ZOT on the WAVE)
■この曲で連呼されている「スクワーッ」ってフレーズは、SEEDAも「CONCRETE GREEN THE CHICAGO ALLIANCE」で使ってて、日本語ラップ・ヘッズと呼ばれてる人にも馴染みが出て来たフレーズだと思うんだけど。
「まあ、仲間の曲ですね。2010年の夏ぐらいから、DJ TY-KOHや川崎のみんなと毎日のように遊ぶようになって、去年の夏ぐらいかな?CHIEF KEEFとかシカゴの音楽が流行ってきて(シカゴのアーティストがよく使う)“Squad”って結構聞くようになってきたじゃないですか。で、去年の夏ぐらいに、これだけ毎日スクワッド=仲間といるんだからそういう曲を作りたいな、って閃いたんです。で、TY-KOHに話したら『だったら語尾に全部“Squad”って入れた方がいいんじゃない?』ってアドヴァイスをもらって」
 
■TY-KOHもやっぱ発想がうるさいな……(笑)。
「で、いいな、と思って作ってみたら結構良い感じにハマりましたね」
 
■TY-KOHたちとツルむようになったのって、意外と最近なんだね。
「そうですね。“V-MIX”とかに参加してもらって仲良くなった感じですね」
 
■最近ではKOWICHI“BOYFRIEND #2”のリミックスに参加してたけど、実際HASTLEはTY-KOH周りの川崎勢と本当に仲良いよね。
「やっぱり、TY-KOHは超HIP HOPで、それに尽きるんですけど、一緒にいてHIP HOP的視点から適切なアドヴァイスをくれるんですよ。それに、DJプレイもカッコ良いしセンスもある。一緒にいるとそういう意味では得するし、尊敬もしてる。あと、誕生日も一緒だし」
 
■HASTLEはSTEAL THE CASHという自分のレーベルを持ってるけど、「LINEで連絡取る squad グループ若林組 squad もちろん組長はTY-KOH squad」(若林はDJ TY-KOHの苗字)ってラップしてるから、クルーという意味では“若林組”ってことになるのかな?
「まあ、クルーとはまたちょっと違うと思うんです、スクワッドって。クルーは、名前/冠を付けてバチッと絡む感じ--A$AP MOBみたいな--なんですけど、俺の感覚ではひたすら毎日一緒に遊んでる仲の良い仲間=スクワッドっていう感覚です」
 
■「坐和民はオレらの聖地」って……。(溝の口駅前の坐和民では、定期的にスクワッドの誕生日パーティが催されている)
「伊藤君も来たことあるから分かるでしょ?」
 
■全然聖地じゃねえよ!普通の居酒屋じゃねえか!
「俺とかTY-KOHにとってはあそこが聖地なんですよ(笑)。まあ、この曲はほとんど身内ネタですね」
 
■“Return Of The Hastle”で懺悔してるとは言え、一方でフィーチャリングも少なくなかったから決してシーンから消えていたワケではないよね。だから、あの曲聴いたとき「そこまで懺悔することかな」と思った一方、HASTLEのInstagramとか見ると、毎日のように彼らと遊んでる姿が多いから「遊んでないでアルバム作れよ」とファンなら思うのかもな、と思ったりもして。「遊ぶ」ことによってアルバム制作が遅れてしまったのか、それとも「遊ぶ」ことによってよりアルバムが良くなった?
「まあ、結果的には後者ですね。遊んでるんだけど、それがライフスタイルなんですよ。それが俺らのHIP HOPだし、それが曲になってるから必要不可欠なんです」
 
 
03. “Smell Good”(Pro. by ZOT on the WAVE)
■ああ、この曲もだいぶうるさいですね……これまでも“Vネック”“筋トレ”“日焼け”と、自分のキャラクターを反映させたテーマの曲を作ってきたけど、今作では遂に“匂い”という、実体のないモノに手を付けたか、と。
「確かに。みんなの反応を見ると、そういう(シリーズの)流れで捉えてるみたいですね。単純に俺が思ってることですよ」
 
■非常にナルシストな曲でもある……「俺が如何に良い匂いしてるか」っていうのはなかなかのSWAGだと思うよ。
「まあ、それはだって、アーティストだから(笑)。“ヤンハ臭”のくだりを入れたいがために、前からライヴでTシャツあげてたし。(『知ってる子は知ってるはず オレの匂いつまりヤンハ臭/Liveであげたv-neck shirt ギャルはとっとくらしい洗わず』というラインがある)」
 
■じゃあ、匂いに対する意識が高いんだ。
「まあ、前から好きっすね」
 
■ちなみに、香水は何を付けてるの?
「フェラガモですね。自分でも結構『俺に合ってるんじゃないかな?』って。匂い選びもやっぱり“センス”だから」
 
■部屋でお香炊いたりとかはするの?
「部屋の匂いは“無臭”がいいかな。俺が香水付けて部屋も臭かったら、混ざっちゃうじゃないですか。でもお香は、SHINGO★西成さんから札幌営業で一緒になったときにもらったのがあって、それは大事に持ってて『ここぞ』というときに一本ずつ使ってますね」
 
■「I like smell good pussy くさいマンマン無理」なときに使う、と……。
「でも、俺の中ではこの曲が一番みんなから反応されると思ってなかったんですよね」
 
■それこそ“V-NECK T”のときもそんな感じだったって言ってたよね。
「俺の中ではそういう感覚なんで、そんな他の曲と大差ない。でも、その中でこの曲が一番反応されるってことは……やっぱみんなそう思ってるってことなんですよ」
 
■え、「ヤンハスは良い匂いする」ってこと?
「違う違う(笑)。1ヴァース目の『良い匂いする女の子が好き』っていう男子がやっぱ圧倒的に多いんですよ。だから、女の子にはやっぱ常に良い匂いしててほしいですね」
 
 
04. “I'm Single feat. TOMO”(Pro. by ZOT on the WAVE)
■“Smell Good”で「いい匂いの女が好き」って言ってる一方、この曲では独身宣言をしてるね。
「去年の6月ぐらいにリリックを書いて、これがアルバムの中で一番最初に書いた曲なんです。だから、『別にわざとそうしてるわけじゃない が彼女はもう2年いない』って言ってるけど、今はもう3年いないですね。単純に、失恋をしてこの曲で書いてるようなことを思ったんだけど、しばらく経って曲に出来る心境になったんです」
 
■「皆に言われる理想が高い」ってラップしてるけど。
「それはみんなに言われるっすね。それこそSHINGO★西成さんからも『選びすぎや』って言われるんですよ(笑)」
 
■HASTLEが女性と付き合う上で、一番譲れないモノは何?
「うーん……裏切らない、ウソ付かない人かなー……リアルな感じだけど(笑)」
 
■曲にしたぐらいだから、最後の恋愛はHASTLEの中で大きいモノだった?
「いや、そういうワケじゃないんですけど。前作でも“History”で歌っているのが最後の彼女で、それは付き合ってみたけど、すれ違ってきて感覚も違うっぽいって気づいてきて、別れた感じですね」
 
■この曲を作ったことで、何をアピールしたいの?「俺は独身だから彼女募集してます」ってこと?
「俺はシングルだし、彼女いないから、まあいろんな女の子と……超遊んでるワケじゃないですけど、そういう遊び方が出来るじゃないですか。今はシングルだからそれが許されるワケだけど、こんな俺でもちゃんと人を好きになることもあるし、当時はスゲェ凹んで心に溜めてたことだから、言いたいな、って。あと、この曲で言いたいのは、フィーチャリングでTOMOっているじゃないですか。HIP HOPシーンではあまり知られてない人だけど、KEN-U君周りの下町のヤツなんです。“JAIL”って曲があって、BIG BLAZE WILDERSがA-THUGのヴァースとミックスしたヴァージョンがあって、それで知ったんです。HIP HOPシーンで補正なしでここまでバッチリ歌える人っていないじゃないですか。パーソナルな内容だからフィールしたらやってほしいって感じで頼んだら、彼も俺と同じシングルでバッチリやってくれました」
 
■この曲含め、今作では数曲トラックを提供しているZOT on the WAVEは?
「彼は最近だとKOWICHIの“BOYFRIEND #2”を手がけたプロデューサーなんですけど、『宇都宮にイケてるビート・メイカーがいる』ってKOWICHIに紹介されたんです。最近の、DJ MUSTARDみたいなビートを意識したトラックを作ってて、センスが良いんですよね。これからもっと出て来そうなプロデューサーですね」
 
 
05. “Ballin' Like BIG-T feat. DJ TY-KOH, 十影 & SEEDA”(Pro. by DJ KENN)
06. “Memories with Teru”(Pro. by StarBwoyWorks)

■“Ballin' Like BIG-T”と、次の“Memories with Teru”でも、昨年1月に亡くなったBIG-T(LUCK-END)について歌ってて、彼との交流の深さが窺えるけど、彼はHASTLEから見てどんな人だった?
「同い年の仲間/友達で、“Memories with Teru”でも言ってるけど、LUCK-ENDと初めて知り合ったとき、俺はまだ無名でヤツらはアルバムを全国流通してて名前も広まってたから、俺より二歩も三歩も先行ってた。いろんな刺激をもらって、アルバムの作り方も教えてくれたし、タメだけど色々お世話になったし、尊敬してて、借りがあると思ってるし、テルに対してロイヤリティ(忠誠心)があるんです」
 
■“Memories with Teru”は、HASTLEがBIG-Tとどういう付き合いがあったか歌われてるけど、“Ballin' Like BIG-T”は、所謂トリビュート・ソングとはちょっと位置付けの違う曲だよね。
「テルのことを悲しむ曲だけじゃなくて、テルはビギーや2PACみたいなビッグマンだったと思うから、テルについての歌で盛り上がれるクラブ・バンガーを作りたいな、と思ったんです。“BALLIN'”と“HUSTLIN'”と“SMOKIN'”っていう三つのテーマで、テルについてのエピソードを交えたヴァースをトカちゃん(十影)とSEEDA君に歌ってもらって、TY-KOHにも入ってもらったんです」
 
■ヴァース毎にBIG-Tの違う要素が歌われてるワケだね。“Ballin' Like BIG-T”にトラックを提供してるDJ KENNは先日の「CONCRETE GREEN」で一気に日本で名を挙げたよね。
「A-THUGとKENN君が9月に出すアルバムで一曲俺が参加してるんです。去年の10月ぐらいにBIG BLAZEのスタジオにいたらA-THUGが来て『2ヴァース目やってくれ』って頼まれて急遽作った曲で、それがKENN君のビートで、その流れで実現した感じですね」
 
■フィーチャリングに十影とSEEDAを起用した理由は?
「テルにゆかりのある人っていうのがまず大前提で、LUCK-ENDからはもちろんひとりは入れたかったし、今だったらトカちゃんかな、って。SEEDA君は、テルとTY-KOHが引き合わせてくれたんです。テルはずっとSEEDA君と仲良くて、SEEDA君も俺のことをテルから結構訊いてたっぽいんですよね。初めてSEEDA君と会ったのは去年の秋ぐらいで、そのときも『テル君にいろいろ話訊いてたよ』って言ってくれて、そういうこともあったからTY-KOH経由でお願いして実現した感じですね」
 
 
07. “E.I.M.P”(Pro. by ZOT on the WAVE)
■この曲も凄いね……自分のポケットの中身についての曲という、ミクロな視点の極みだね(笑)。でも、それこそ“V-NECK T”もそうだったけど、何でもないようなトピックを何か凄そうに見せるというのはHASTLEの得意とするところだと思うし、すごいHIP HOP的だとも思うんだ。でも、それにしても「ポケットの中」か、と……(笑)。
「去年の夏ぐらいに、スクワッドのギネやん(GUINNESS)と代々木公園で散歩してチルしてたんですよね。そのときにポケットが超パンパンで、歩きながら『全部入ってるわ!』って思って、そのときに『曲にしよう』って思いつきましたね」
 
■カバンは持たない派なんだね。
「あんまり持ちたくないんですよね」
 
■「ゴムはC.E.O.オススメ」とか、本当にうるさいですね。(C.E.O.=CEO KAZU)
「ファミマに売ってる、ドット&リングっていうゴムがあって『コレ良いよ!』って紹介されたことがあって(笑)。CEOにシャウトアウトしたいタイミングだったんで、入れたフレーズですね」
 
■しかし、情報量の多い曲だな……ポケットの中身についてだけの曲なのに。でも、2ndヴァースは全部iPhone内のデータの内訳について、っていう(笑)。
「右ポケットはiPhoneしか入ってないけど、その中はヤバイよ、っていう。この曲とかは、正に“オレ節”炸裂、って感じの曲ですね」
 
■ていうか、ボンクラですよ、相当……。
「結構達成感があるっすね。フフ」
 
 
08. “Colors”(Pro. by Yuto.com)
■この曲では、いろんな色と絡めてリリックを構成していってるけど。
「この曲のオチで言ってる『オレは色弱でもバチバチ』っていうことを何かの曲で言いたいって前から思ってて」
 
■色弱なんだ?
「そうなんですよ。微妙な色同士が分かりづらい」
 
■「白と薄いピンク分からない」ってラップしてるね。
「生まれつき微妙な色が分からなくて。で、色弱だけどちゃんとバチバチにやってるよ、っていうのは前から言いたいと思ってたんです」
 
■“バチバチ”っていうのは?
「ファッションが。色合せがバチバチってことです。スニーカーとキャップとTシャツの色をちゃんと合わせるとか。で、どういう曲でこのオチを使おうかと思ったら“Colors”のコンセプトが閃いて、書き始めてみたらスルスル書けた」
 
■一番好きな色は?
「一番好きな色は別にないかな。色にも旬とか流行りがあるから、そのタイミングによっても変わると思います。どんな色でも似合うと思ってるし」
 
 
09. “My Idol”(Pro. by UZK)
■HASTLEがジブさんの大ファンだということはHASTLEのファンなら結構知ってる情報だと思うし、ジブさんに捧げた曲を作ったのも納得なんだけど……この曲、凄くよく出来てるよね。
「あ、マジすか?」
 
■だって、各ヴァースが時系列になってて、それぞれの時期に応じたジブさんの曲のラインを引用してたり、凄いリリカル。何ならアルバム中最もリリカルな曲なんだけど、それが他人に捧げた曲っていうのも面白い(笑)。
「あ、そういう風に思うすか?」
 
■でも、確かに自分のNo.1アイドルに捧げる曲だったら手は抜けないよな、とも思う。
「俺的には、この曲だけ気負って『ミスれねぇ』みたいな感じでやったワケじゃないんですよね。この曲が出来たきっかけは、TY-KOHとメシ食ってるときに『HASTLEも誰か人のことを歌った曲をやった方がいいんじゃない?』って言われて」
 
■それは、自分押しが強すぎるとTY-KOHも思ってたから(笑)?
「いや、そこの真意は分からないんですけど、最近そういう流れも来てるじゃないですか。“OG BOBBY JOHNSON”とかそうだし、ちょっと種類は違うけど“JUNJI TAKADA”とか。で、更にTY-KOHから『その人は絶対HIP HOPアーティストがいいよ』って言われて『そうしたら自分はジブさんしかいないっすね』ってなって作ったんですけど、思いが強すぎて5ヴァースになっちゃったっていう」
 
■5ヴァース(笑)。
「で、書いてみたら結構スルスル書けて。時系列で書くっていうのは結構得意なんですよ。起承転結を考えて書くっていうのは昔から意識してたし、分かりやすく伝わるように書くのが好きだし、ジブさんもそういう感じじゃないですか?それを聴いて本当に育ってきてるから」
 
■そういうところもジブさんマナー、と。
「それは分かる人には伝わると思います。本当に、俺のジブさんへの正直な気持ちです」
 
■もう、完全にラヴ・ソングだよね。
宣伝担当豊嶋氏「Zeebraに聴かせたんだけど、相当目を細めてましたよ(笑)。『こんなことされたら、ねえ……』って。あと、HASTLEの場合は、高校球児時代に『BEATS TO THE RHYME』を聴いてた男が、アルバムを何枚も出すまでになったというストーリーもあるしね」
 
■HASTLEは、ジブさんのどういったところに憧れる?
「単純に、カッコ良い。パッと見てもカッコ良いじゃないですか。それこそOLLIE誌の表紙で初めて知って、ファッションからして普通じゃない、リアルなところにまず惹かれて、それでCD聴いたら曲もカッコ良くて。俺の好み的にドンピシャだった」
 
■敢えて一曲、ジブさんの曲を選ぶとしたら?
「あー、それはじっくり選ばないと出来ないですね(笑)。でもやっぱ1st『THE RHYME ANIMAL』の曲かな……“I'M STILL NO.1”も好きだけど、やっぱ“未来への鍵”かなー」
 
■「いつか曲やんのが夢 実現したら泣くよ嬉しくて」ってラップしてて、確かに今のところ共演はないんだよね。でも、今となってはそう遠い話じゃないよね?例えば、今後GRAND MASTERに誘われたとしたらどうする?
「うーん、立ち上げ時に誘われたらまだ分からなかったけど、今後誘われるのはなんかイヤかなー。俺がもっと若くて、出始めの頃だったらすごい嬉しいし乗っかると思うけど、ここまでひとりでやってきたワケだから、今入ってもそこまで意味がないかな、って。今までの自分の動きを否定することになるというか、それは一番良い選択肢じゃないかな、って」
 
■そういう形でジブさんに近づくんじゃなく、自立したラッパーとして最終的に並べれば、という思いがあるんだね。
「下に入っちゃうと、超えられないって思ったから、“WORKOUT”のリミックスで般若さんとSHINGO★西成さんとやったときも、ちゃんとオファー出してしっかりやり取りして作ったし。だから、今後もなるべくそういう感じの動きでやっていきたいですね。インディペンデントで、対等な位置で音楽作れる感じでやりたいな、って」
 
 
10. “K-Town Sunday feat. KOWICHI”
■“Squad”とテーマ的には近い曲だと思うんだけど、K-Town=川崎が第二の地元みたいになってるよね。
「そうそう。俺は東京出身で、今も東京に住んでるけど、多摩川の近くに住んでるから、渡っちゃえばすぐ川崎。TY-KOHにも『HASTLEは東京の人間だけど、“オフィシャル”だね』って言ってくれるし、川崎は本当に好きっすね。イケてるヤツがいっぱいいるし、住めば都じゃないけど、毎日のように川崎に行ってるから、良いところも見えてくるじゃないですか」
 
■またこの曲も身内ネタな、人名がいっぱい出て来る曲だね。
「母の日の日曜日に、こういう出来事が本当にあって。その日の朝に俺とかTY-KOHがたまたま早起きしてて、『メシ食おう』ってなってチャリで多摩川沿い走ってたら、超天気良くて気持よくて。で、着いたら『BBQやろう』って話になって、やったら超楽しくて。で、その次の日ぐらいには全ヴァース書けちゃいましたね。“K-Town Sunday”って曲名だけど、俺は東京の人間だから、川崎のKOWICHIにフックを頼んだって感じです」
 
■前々からDJ TY-KOHに関して思うのは、すごくイケてるDJなんだけど、ことリリースとかの仕事になるとスローな人で、でもことBBQみたいな遊びになるとマジで動きが早い、っていう(笑)。
「そうなんですよね。でも、本当にそれがライフスタイルなんです。TY-KOHとかは多分、中学ぐらいからそういう感じだから。TY-KOHがいつも言うのは『オンナはセックスだけでいい。セックス以外のことは全部男と一緒にやりたい』っていう」
 
■女性に失礼な気もしないでもないけど、まあいいや……。
「で、そのTY-KOHのライフスタイルのノリに魅せられて、俺もスクワッドで毎日遊んでるんです。だから、正に『Lazy But Talented』って感じかな。自分でも『仕事よりもとにかく遊びたい』って言ってるし」
 
■でも、川崎に引っ越したいとまでは思わないんだね。
「まあ、そこはやっぱ、俺は東京だから、そこは譲れないっすね。川崎のみんなが好きだし、愛と尊敬を込めてこの曲を作りましたね」
 
 
 
■というわけで、全曲解説して頂いたけど、自分的には手応えはどう?
「バッチリですね。本当に、うるさくてオレ節の出てる、良い感じの仕上がりのアルバムになったと思います。とにかく売れてほしいし、みんなに聴いてほしいかな」
 
■しかし、全10曲中、BIG-Tとジブさんに捧げた曲を除くと、ほぼ自分のことについて歌ってる曲ばっかだね……どれだけ自己愛が強いんだ、と(笑)。ここまで“自分押し”なのも凄いな、って。
「でも、今まで通りというか、1stも2ndもこういう感じだったし、そこに特別な思いや意識はないんですよね。でも、今まで通りなんだけど、“オレ節”に磨きがかかったから、更にそういう風に聴こえてると思うんですよね。確かに自分でも思いますよ、『オレのことしか言ってねぇな』って。でも、自然にそれが出るってことは『まだこの路線でもいいのかな』って。だけど、次ぐらいからは自分に関係ない、ストーリーテリング的な曲とかも作ってみていいかな、と思ってますね」
 
■今作を作る前にどこかのレーベルと契約してリリースする、というプランもあったとさっき語ってくれたけど、こうして3枚アルバムを自分でリリースして、今後についてはどう考えてる?
「やっぱり2015年も一枚出したいと思ってて。ただ、来年出すアルバムに関しては、業界がどういう感じになってるか分からないし、USでもMACKLEMORE & RYAN LEWISとかみたいにインディペンデントな流れが来てると思うから、今の時点ではディールとかにはそこまでこだわってないかな。そのときに一番合ったやり方で出来たらいいな、と思ってます」
 
■そういえば、今作ではあまり“筋肉推し”は強くないよね。
「あー、確かに」
 
■最近の筋肉状況は?
「最低、週3ぐらいでトレーニングしてるんですけど、制作とか忙しくてそこまでバッチリ出来てるワケじゃないです。制作終わったから、ちょっと遊びたくなるじゃないですか。それであまり行けてなかったけど、やっぱり夏だから、そこは最低限、海に行く前までに仕上げようかな、と。まあ、今更そこまで筋肉について歌わなくても今回はいいかな、って感じでしたね。でも、『GYM TIME THE DVD』を出したいなと思ってて」
 
■え、それは『ビリーズ・ブートキャンプ』的な(笑)?
「俺がやってる筋トレを紹介して、『コレをやれば俺みたいになれる』みたいな感じでやろうかな、って」
 
■筋肉ネタの曲から発展して、そのものズバリなモノが今後出るのか……。
「その考えがあったから、今作ではあまり推さなかったのかもしれないです。まあ、ファンが筋肉ネタをもっと欲しがってるのも分かりますけど、もうちょっと待っててほしいですね」
 

EVENT INFO
今週土曜の8月23日(土)@渋谷THE GAMEで開催の『PUMP UP 100』は、YOUNG HASTLEとJAZEE MINORのWリリース・パーティ!YOUNG HASTLE曰く「オフィシャル・リリパで客演陣全員呼んだロング・セット・ライヴとなる」とのことなので、「RETURN OF THE HASTLE」にヤラれてるヘッズは参加マストですぞ!
 
PUMP UP 100
日時:8月23日(土)23:00開場
場所:渋谷THE GAME
料金:2,000円(1D)/w/FLYER 1,500円(1D)
RELEASE LIVE:JAZEE MINOR/YOUNG HASTLE
DJ:LEGENDオブ伝説 a.k.a. サイプレス上野/熊井吾郎/Q-BANG/TATSUKI/RATZ
SOUND:BURNER
LIVE:YOUNG FREEZ/KNELL/DIZZY DOESWELL/SWING-B/CAZINO/十影

 
 

Pickup Disc

TITLE : RETURN OF THE HASTLE
ARTIST : YOUNG HASTLE
LABEL : STEAL THE CASH RECORDS
PRICE : 2,376円
RELEASE DATE : 7月23日