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インタビュー:伊藤雄介(Amebreak)

「『TOKYO TRIBE』を作っていたとき、いろんなアーティストが一丸となって『HIP HOPを広めるんだ』みたいな空気だったんですよ。そこでの経験とかも踏まえて、日本人のHIP HOPが好きな人もそうでない人にも伝わるモノを作りたいな、って。今までもそういう意識はあったかもしれないけど、それよりも『US最先端のスキルだったりSWAGに追い付かなきゃ話にならない。HIP HOPは世界のモンだ』っていう意識の方が強かった。でも、例えばベントレーだったりグリルだったり、そういったUSのカルチャー自体は俺の中にはそんなないし、でも、だからこそ日本人だから言えることもある。そういったことをやっていく方がカッコ良いんじゃないかな、って思うようになったんです」

 今年上半期のビッグ・ニュースのひとつと言えば、やはりZeebraが新レーベル:GRAND MASTERを立ち上げたことが挙げられると思うが、同レーベル第一弾アーティストとして、アルバムを一足早くリリースしたのがEGOだ。
 
 実際にEGOが第一弾アーティストとしてサインしたという話を訊いたとき、筆者が率直に感じたのは、まずZeebra自身がEGOの作品のファンだというのは筆者も知っていたことだし、EGOがロジカルにUSラップを理解し、自身のスタイルに活かしている部分からもZeebraとの相性の良さは明らかだ。だが一方で、既に3枚もアルバムを自主レーベルからリリースし、自身のスタイルも確立しているラッパーを「育てる」という意味では、新レーベル第一弾として相応しいのか、半信半疑な部分もあった。「ISLAND」は、そういった筆者(リスナー)の疑問に答えるという意味でも申し分ない仕上がりだ。彼が短くないキャリアで培ってきたフロウアーとしての魅力を損なうことなく、着実なスケールアップを果たしていると思うし、楽曲自体の“強度”は過去の彼の作品を凌いでいる(一方で、「もっと斬新な仕掛けが聴きたい!」という思いもなきにしもあらずだが、それに対しては下記のインタビューで語られていることだし、次作以降の“楽しみ”に取っておこうと思う)。
 
 今回のインタビューでは、EGO自身が今作に賭けた思いについてはもちろんのこと、レーベル主宰者:Zeebraにも同席頂き、改めてEGOというラッパーの魅力を掘り下げてみた!
 
 
■映画『TOKYO TRIBE』が先日公開されたけど、あの映画でEGO君はどんな役割を担っている?
「高円寺JACKっていうチームのボス役で出させてもらって、それは普通にEGOという役名で出てます。それと、役者のラップ指導もやらせてもらった感じですね」
 
■具体的に“ラップ指導”というのはどういうことをやったの?
「まず、脚本があって、そこには監督が書いたラップが載ってたんですけど、それを基に僕とSIMON君で作り直して。脚本を理解した上で、アルバム一枚分くらいの新しい“セリフ”を書き替えたんです。で、それを役者さんに渡して一緒に練習したり、教えたりして」
 
■実際に役者としても出演してて、2PACやICE CUBEなどの例を出すまでもなく、ラッパーの人で俳優業に憧れを持っている人は少なくないと思うんだけど、EGO君は実際に出てみてどう感じた?
「めちゃくちゃ楽しかったし、監督に『お前は(役者)出来る』って言われました。才能という部分では、自分にとっては音楽より演技の方があるのかな、って。今後もチャレンジしていきたいし、それこそオーディションとかも落ち着いたら受けに行ってみたい」
 
■結構明確に、役者へのヴィジョンが生まれてきたんだね。
「目の前で、ド素人だったYOUNG DAIS君が主役をやってのけたのを見させられたっていうのもあるかもしれないです。DAIS君は、“役者”になってましたね。現場で観てて、鳥肌立った瞬間もあったし」
 
■映画出演で得た経験は、ラッパーとしてどういう風にフィードバックされると思う?
「MVでの演技とかは、映画に出たことで一歩成長したと思います。あと、“映り”的な部分だけじゃなくて、曲作り--レコーディングもある意味演技だと思ってるんです。例えば、スゲェクラブ・チューンとか超楽しい曲を作るときに感情移入をどうするか、っていうのは演技に近い。そういった部分でも一歩成長できたかな、って」
 
■『TOKYO TRIBE』の撮影は去年やっていたと思うんだけど、GRAND MASTERに誘われたのはどの辺りのタイミングだった?
「『TOKYO TRIBE』の撮影も終わった、だいぶ後ですね。GRAND MASTERから初めて話をもらったのは去年の12月です。いきなりTwitterでDMもらって、『ちょっと話さない?』みたいな感じで。そんなの初めてだったし、ジブさんも何回かクラブで会ったことあるぐらいで、全然仲良くはなかったんですよ。だから、『なんだろ、フリースタイルでもするのかな?』ぐらいな感じで行ったんですけど(笑)、行ったらそういう話で」
 
■じゃあ、EGO君的にはまったく予想外だったんだ。
「しかも、そのタイミングで俺、Twitterで結構生意気なこと言ってて。『HIP HOPは先輩に媚びて成り上がるモンじゃねぇから勘違いすんな』みたいなこと呟いてて(笑)。それは連絡をもらう前だったんですけど。で、会いに行って最初は世間話してたんですけど、俺がトイレから帰って来たら、『実は、レーベルを立ち上げるから、そこに是非入ってほしい』っていう話をされて、具体的な方向性を訊いてその話を持ち帰って、って感じでしたね。そのときはすごい嬉しかったけど、周りで進行してたプロジェクトがあったから、自分だけの問題じゃなかった。周りに納得してもらう必要もあったし、自分自身もよく考えて、何ヶ月もかけて結論を出しました」
 


 
■さっき言ってた「先輩に媚びて成り上がるモンじゃねぇ」っていうのは、“I Have A Dream”のリリックでも実際に言ってるよね。その後では「なら自分の手でどうにかしろ/来た道を憎まず尊敬しろ」って言ってて、今回のGRAND MASTER入りもEGO君がこれまでやってきたことがなかったら実現しなかったことだよね。これまでに、自主レーベル:BREAK THE SILENCEから3枚もアルバムを出してきてる。
「正直、これからもインディペンデントでやっていけると思っていたし、上に誰かボスがいて、そこに従うっていうのは本当に無理な性格なんですよ。でも、実際にジブさんたちと何ヶ月も話していく内に『あ、コレはそういうことじゃないな』というのが分かってきた」
 
■レーベル加入が「誰かの“下”に付く」ということではないと思った?
「それもそうだし、ジブさんも『EGOにはこういうことをやってほしい』とかそういうことじゃなく、『EGOのやってきたことが好きだから、それのサポートをしたい』という感じだった。それって、普通のメジャー・レーベルとの契約とかとは違うじゃないですか」
 
■EGO君と契約する際、ジブさんはどういうことを考えていたのか教えて下さい。
Zeebra「『レーベルを立ち上げよう』と思って、誰に声をかけようかと考えて真っ先に浮かんだのがEGOだった。レーベルを作ったことによってグッと輝かせられるような人として、まずEGOが浮かんだ。俺がよくやってるUST:WZBRとか、俺が勝手に選曲とか決めてたけど、出来るだけニュートラルな視点で選んでいるつもりで、その中でもEGOの曲は、そういったラジオ・プレイにスゲェ向いてるんだ。まず、一聴して何言ってるか分かるラップっていうのがスゲェ大切で。分かりづらいが故にカッコ良いっていうのもラップの魅力だし否定することじゃないんだけど、ラジオでいろんな曲が流れてる中で比べて聴くってなると、その部分はすごい大切なんだ。それプラス、洋邦織り交ぜてかけるときの相性の良さもあって、俺もUSTでかけやすかった。その結果、去年やったUSTでは再生回数が一位だったんだよね。だから、取り敢えず俺が好きなのは間違いないし、ある程度俯瞰した視点でもそうなったから、彼はイケるんじゃないか、って思ったんだよね」
 
■ポップかどうかとは違う意味でラジオ・フレンドリーだと感じたんですね。
Zeebra「そういうこと。それでいてラップも“今”のスタイルだし、そういうラップはもっと広く知られた方がいいと思ったんだ」
 
■最初にEGO君に会ったときのことは覚えていますか?
Zeebra「SIMONが最初出て来たとき、『スゲェ上手いヤツが出て来た。コレは新しい時代が始まるんだな』って衝撃を受けたんだ。あの辺ぐらいから、それまでは上下関係とか派閥含めガチガチだったHIP HOPシーンに、次の世代がスキルでこじ開けてきた、という印象があって、そのSIMONに紹介されたのがEGOだったんだ。そのときに1stアルバム『EGOLOGY』をもらったんだよね。SIMONをその当時の次世代とすると、そのまたちょっと次の世代に当たるのがEGOで、その中でもピカイチだな、っていうのは1stアルバムの頃から思ってた」
 
■“I Have A Dream”の1stヴァースでは、EGO君と日本語ラップの繋がりについて歌っているけど、ここで歌われている通り、ファースト・インパクトはDRAGON ASH“GRATEFUL DAYS”であり、ジブさんだった?
「アレだったと思います。もっと遡れば、最初に聴いた日本語ラップはEAST END x YURIとかだったかもしれないですけど、HIP HOPというモノを意識したのは“GRATEFUL DAYS”でした。まだ中学生でしたね。中1~2ぐらいのときに、先生とモメてバスケを辞めて、そこからHIP HOPファンになっていって、ジブさんの『BASED ON A TRUE STORY』で思いっきりHIP HOPに入っていったんです。それも改めて伝えたかったから“I Have A Dream”でそのことを歌ったんですよね」
 
■それこそジブさんが思わず目を細めたというYOUNG HASTLEの“My Idol”みたいな曲もあって、改めてあの時期にジブさんが成し遂げた功績が振り返られるタイミングになってきてると思うんだけど、EGO君にとってもジブさんはデカイ存在?
「“教科書”だったし、今までも日本でラップ・スターっていっぱいいたと思うけど、Zeebraを超えた存在はまだいないと思う。自分のスタイルはジブさんと全然違うと思うんですけど、フロウがカッコ良くて、リリックに芯が通ってるっていうのは、Zeebraっていう土台があるからだし、その土台が自分の中にもあったから、アメリカに行って黒人の中でラップしてても、その部分は変わらなかった。そういう意味では相当な“土台”になってるんだと思います」
 
■そういったリスペクトがあった上で、今回GRAND MASTERで初のアルバム「ISLAND」をリリースしたわけだけど、トラック・メイカーのクレジット上ではこれまでの作品でも絡んだことがある人が大部分だよね。そういった意味では、新天地でガラッとイメージを変えてきたというより、これまでのEGO像をよりスケールアップしようと試みている印象があるんだけど。
「基本的に、自分はいろんな曲を作るんですけど、相変わらず自分が思っていることしか書けないから、その部分は変えようがないんですよね。今作が前作と違う部分としては、『日本語のHIP HOPをやってみたい』というのがあって。『TOKYO TRIBE』を作っていたとき、いろんなアーティストが一丸となって『HIP HOPを広めるんだ』みたいな空気だったんですよ。そこでの経験とかも踏まえて、日本人のHIP HOPが好きな人もそうでない人にも伝わるモノを作りたいな、って。今までもそういう意識はあったかもしれないけど、それよりも『US最先端のスキルだったりSWAGに追い付かなきゃ話にならない。HIP HOPは世界のモンだ』っていう意識の方が強かった。でも、例えばベントレーだったりグリルだったり、そういったUSのカルチャー自体は俺の中にはそんなないし、でも、だからこそ日本人だから言えることもある。そういったことをやっていく方がカッコ良いんじゃないかな、って思うようになったんです」
Zeebra「ある意味、ギドラを始めたときの俺らの衝動と同じ。最初は日本語ラップとかどうでもよかったけど、HIP HOPを日本語でやっていく以上、日本のヤツらがファンにならないといけない、って考えてMICROPHONE PAGERやRHYMESTERをチェックしていったんだよね。で、『さんピンCAMP』の頃に『みんなで一丸となって盛り上げていこう』みたいな空気になったし、そのときに『俺もその中にいるひとりのラッパーだけじゃなく、コレを引っ張っていきたい』と思っていったんだ。それで視野が拡がって『より“外”の人にも手が届くような歌詞を書きたい』と思ったし」
 
■これまでは、全部ひとりでCDリリースまでやってたわけだけど、こうしてジブさん含め多くのスタッフがいる環境で制作して感じたことは?
「う~ん……」
Zeebra「意外と普通だった、とか(笑)」
 
■意外と“ノリだった”とか(笑)?
「そこは安心したっすね(笑)」
 
■でも、“Ninja”で一緒にジブさんと曲をやってて、一緒にスタジオに入ったんだと思うけど、間近で作業していて感じたことは?
「ジブさんの録り方の“秘密”みたいのはちょっと見ちゃいましたね(笑)。メインのヴォーカルをいくつかジブさん流に重ねていって『コレでZeebraになったでしょ?』って言われて『マジか』って。俺はメインの部分は一本で録ってたんで」
Zeebra「ウチらでやろうという話になった時点で、半分くらい制作は終わってたから、最後の半分くらいはちょこちょこ話をしながら『こういう風にやってみれば?』っていうことは話したね。(既に出来ていた曲も)後でリリックをちょっと変えたりしてたよね?」
「この機会に注目が集まると思ってたし、超マニアックなことは前作『A KID FROM TOKYO』でやって満足してたから、さっき言ったようにHIP HOP好きからそうでない人も分かるような内容にしようと思いましたね」
 
■“I Have A Dream”も、“I Have A Dream”というキング牧師の有名なフレーズから連想していくフックの構成になっているけど、コレもHIP HOP的だけど、ちょっと考えれば分かるぐらいの塩梅に留めてるな、って思ったんだよね。
「『A KID FROM TOKYO』までは『まず自分のため』に作ってたんです。で、『ISLAND』では人のことや立場を考えて作ったんです。で、そういった曲は特にGRAND MASTERに入ってから出来ていったと思いますね」
 
■“Time Is Now”の1stヴァースで「HIPHOP is back homie 日本 is back homie」って言ってるよね。ラッパー視点でどういったところから日本のHIP HOPが盛り上がってきてると感じてる?
「世界的に見ても、ラッパーがエンターテインメントの最先端であると思うし、日本でもそうなるべき、というのが大前提で思ってることです。実際に『TOKYO TRIBE』やGRAND MASTERだったりとか、いろんなムーヴメントがあってアーティストもいっぱいいる中で、『HIP HOPのアーティスト、カッコ良いでしょ?』ってあからさまに思うんですよ。映画を撮ってるときも、役者の人たちがHIP HOPアーティストをリスペクトしてるっていうのは分かったし、それぐらいのモノを持ってる人がいっぱいいるような状態で、“爆発”するのは目に見えてる。それに加え『HIPHOP is back homie』って言ってるのは、言ったことって結構現実になることがあるから、敢えて言っちゃおう、と。自分へのプレッシャーにもなるし」
 
■この曲でEGO君が「振り返っても俺にはなかったけど才能」とまで言い切ってるのが結構驚きで。EGO君は、確かにUSで言う“multi syllables”(多音節)なライムを多用したりするような、分かりやすい意味でスキルを押し出すラッパーというより、フロウや情感を押し出す能力や、そのベースにあるリズム感に長けている人という印象が僕の中ではあって、そういう意味でも才能がある人だと思うんだけど。
「あー、それは自分の中では結構違ってて、例えば音程とかフロウも、まったく分かってないでやってたし、自分がラップ好きだから、自分の中でのダメなところに向き合って、一個一個潰していった結果だと思うんです。例えばJIGG君(OYWM)とかそうだったんですけど『お前、ここがダメだよ』っていうことを要所で指摘してくれる人が表われて、その都度向き合ってきたって感じなんです」
 
■才能がないという自覚があるからこそ、今のようなEGO君のラップに進化していったんだ。
Zeebra「“天才”と“秀才”で言ったら“秀才”ってこと?」
「うーん、そうかもしれないです」
 
■努力型、ってことか。
Zeebra「EGOのラップの上手さに関して俺がどう感じてるかっていうと、USのフロウを上手く日本語に落とし込めてるという部分に尽きる。いろんなラッパーが日本にいて、それぞれの形でみんな上手いし、他の国にないオリジナルなフロウをするっていうのも素晴らしいことだと思うけど、USにあるラップの形を完全に日本語に落とし込むやり方っていうのは、俺もずっとそういう意識で来たから、そういった部分は俺と近いと思うんだよね」
 
■EGO君は、基本的なラップのスタイルが“クール”だから、そのスタイルの後ろにある“努力”が作品上で見え難いタイプのラッパーだと思うんだ。
「例えばLIL WAYNEの新曲でヤバイ曲があったとしたら、YouTubeでリリック付きの動画を探して、思いっきりガチでカラオケしたりしますよ。『何としてもこのタイミングをモノにしてやる』って。そのときの本気度とか異常だと思います(笑)。そういう風に“才能”とは違う部分でやってきてたからこそ、『教える』のは得意なのかもしれないです。実際、『TOKYO TRIBE』でもそれが出来たし」
 

■先行で配信され、MVも発表された“isogashii”は、一聴しただけだとキュートな曲に聴こえるけど、内容は、「夜の現場」で20代後半以降になってもい続けるEGO君のような立場の人間の悲哀も表れてるし、僕も学生時代の友人とかに会うとすごく感じることで、「歳取って以前ほど夜遊び出来なくなったなー」、と感じていたタイミングだけに共感したんだけど。
「この曲は、もちろん『夜の人間』が『昼の人間』に言ってる部分もあるんですけど、最終的に言いたいことは『楽しめ』っていうことで。日本には“社会人”って言葉がありますけど、英語で訳しようと思っても“社会人”に当たる言葉がないんですよ。『大人だからこうしなきゃいけない/大人だからこうししちゃダメ』みたいなのが日本にはいっぱいあるし、そのせいで幸せに生きれてない大人が多いし、自分でいれる大人が少ない。そういったことは子供たちから改めて学んでほしいし、俺も学んだ。別にサラリーマンでも全然いいと思うんですけど、『目の輝きを忘れずに生きようよ』っていうことを言いたかったんです。俺にはまだ子供とかはいないけど、でもやっぱりジブさんとか見ると……」
 
■僕も今同じこと思った(笑)。
「子供を4人育ててますからね(笑)」
 
■“Frenemy”や“Bonnie And Clyde”で信頼について反対の視点でそれぞれの曲で歌い、“Island”では日本に生まれた歓びを歌う一方、“To The World”では日本以外の他の国で過ごす楽しさについて歌っていたり、二面的な価値観が表われているけど、この辺りは意図的?
「正に『陰と陽』で、ジブさんが『BASED ON A TRUE STORY』のライヴ・ヴィデオのインタビューで『世の中は“陰と陽”で出来るんだ』って話してたんですよね。そのインタビューが俺の中ですごく印象に残ってて、自分の中で全てにおいての判断基準になってるんです。だから、その辺の曲は正に意識してた部分ですね」
 
■僕は特に後半の流れが好きなんだけど、“Back To The Future”で過去への後悔を告白しつつ、「過去は消せないが でももしその未来に帰れたら過去だって変えられるかな」と、未来への決心も感じさせるよね。で、それに続く“Last Train”を聴くと、EGO君が見据えている未来は遠いものではなく、今すぐ目前としようとしているもので、切迫感すら感じさせる。この辺りの心情については?
「あー、でも“Back To The Future”は確かに自分の話なんですけど、“Last Train”は完全に他人に向けてるんです。“Last Train”は『今がラスト・チャンスだから“最終電車”に乗れよ』って意味なんですけど、それは夢を追いかけるってことだけじゃなくて、大好きな女の子がいて告白しようとしてる人へ向けてたり、他人が対象なんです」
 
■なるほど。僕はそういった描写の裏側にはEGO君の今の思いも込められてるのかな?って思ったんだ。EGO君自身は、これだけサイクルの早いラップ・ゲームにおいて「今後の自分」について考えたり、“焦り”を感じたりすることはあるのかな?って。
「それはどっかであるんじゃないですかね。人間、ある程度苦しくないと頑張れないと思うし、それがないと言ったらウソになる。だけど、その上でやっぱり『楽しむ』っていう方が大事だと思いますけどね」
 
■EGO君は、現行シーンにおいては例えばAKLOやISH-ONEのように、USラップへの理解度が高い上で日本語ラップを実践している人だけど、今作でUSラップが影響を与えた部分はある?
「今回は、USのアーティストからの影響はほとんど受けてないのかもしれないですね。制作時、それこそUSラップはほとんど聴いてなかったぐらいでしたね。今回、自分で作った曲が自分の中で好きで、そればっか聴いてた(笑)。前作は、それこそMEEK MILLとかRICK ROSSとか、そういったところからの影響が強かったと思いますけど。もちろん、USのラップを聴く機会がゼロだったワケではなかったから、『そこに負けないラップしちゃうよ』って意識で作ってる部分はあったけど、まずは内容で考えてましたね」
 
■これまでの歌詞の書き方からちょっとフォーカスを変えて作ってみた結果、一番作って達成感を感じた曲は?
「全部達成感あるし、アルバムの中でも半分くらいはシングルとしてハマりが良い曲があると思うけど、やっぱり“Back To The Future”かな。精神的/内面的な葛藤が自分の中であって、夢も追いかけてきたけど、自分が辿って来た道が許せない自分がいた。でも、そういったモノから抜けられたんですよね。だからこそ、今の自分から過去の自分に教えたかったんです。間違ったことや酷いこともしてきたから後悔がないと言えばウソになるけど、全部意味があったことだと思うし、未来が変えられれば過去も変えられると思うんです。そういった、自分の精神的な部分がバッと晴れた気がしたんです」
 
■“I Have A Dream”でも、「毎日誰かに切れてたけどな/本当は自分に切れてたからだ」ってラップしてるけど、そういったマインドの整理が付いた?
「そこも正にそういうことですね。そういった考えから抜けられたと思います」
 
■では、そういった心情の変化も踏まえて、EGO君自身は自分の“未来”についてどう考えている?これまでの僕の中でのEGO君のイメージって、良い意味でストイックな“ラップ一本”の人だったんだ。とにかくラップが好きで、それを反映させた作品を出し続けることを目標に据えていたというか。でも、映画に出たり活動の範囲が拡がった部分で変わってきた部分があるのかな?って。
「うん、拡げて、リッチになりたい。そんなにリッチになりたいワケじゃないけど、ある程度リッチに(笑)」
Zeebra「余裕は欲しいよな、やっぱり」
 
■ジブさんはEGO君の今後に関してはどんなことを望みますか?
Zeebra「あくまでレーベル側からの意見だけど、今回はレーベル立ち上げだったりEGO君自身のリリース・タイミングとか色々あった上で、アルバムに向けてのプロセスをしっかり一個ずつ踏めなかったから、今度は最初からしっかりやってみたいな、って」
「あー、それはありますね」
Zeebra「今回のアルバムで、一定の認知は上がると思うから、そこからEGOというアーティストに注目していくプロセスっていうのが大事なんだ。だから、ツアーも色々やろうって話をしてるし、GRAND MASTER自体も色々動いていくから、そこから拡がる感じのところに行って、EGOの次のプロジェクトに繋げられたらな、って。先々を見据えて一歩一歩プロセスを作っていきたいな、って思ってる。R-RATEDみたいな既存のレーベルに入るんだったら話は早いんだけど、ゼロの状態から始まってるワケだから」
 
■BAD BOY RECORDSの最初みたいな感じですよね。CRAIG MACKとビギーがデビューした頃の。
Zeebra「そうそう。まずやってみないとEGOもウチらの感じを掴めないと思うし、EGOも同じだと思うから、『まずは取り敢えずやってみよう』って感じで今回のアルバムをやってみたんだ。でも、次からは『EGOが何をやりたいか』ということを踏まえて、それを具現化するためのアイディアをみんなで言い合ってやってみたいね」
「俺も同じですね。イチからGRAND MASTERとして作ってみたい」
 
 

 
EVENT INFO
アルバムをリリースしたばかりのEGOのアルバム・リリース・パーティが、9月12日(金)に表参道ATLANTISで開催!パーティは、夕方からの1部と深夜スタートのアフター・パーティの2部構成で、GRAND MASTER主宰:Zeebraはもちろんのこと、同レーベル所属の2WIN(T-PABLOW & YZERR)やSHOW GUNも出演!もちろん、デイ・タイムの第一部は未成年の方の入場もOKです!
 
EVENT INFO
EGO - ISLAND RELEASE PARTY

日時:9月12日(金)19:00開場(第1部)/24:00開場(第2部)
場所:表参道ATLANTIS
料金:第1部 2,000円(1D)/第2部(AFTER PARTY)男性 3,000円(1D) 女性 1,500円(1D)
出演(第1部):EGO/Zeebra/2WIN(T-PABLOW & YZERR)/SHOW GUN/DJ NUCKEY 他
DJ(第2部):DIRTYKRATES a.k.a. Zeebra/YANATAKE/TSUBASA (THE BOYZ)/REIKA/Mah/YOSSY 他
LIVE PAINT(第2部):NOVOL
DANCER(第2部):ALESHA/Yurie/Rosa/pearl/RUM 他

 
 

Pickup Disc

TITLE : ISLAND
ARTIST : EGO
LABEL : GRAND MASTER
PRICE : 2,800円
RELEASE DATE : 9月3日