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三島

インタビュー:伊藤雄介(Amebreak)

「 俺は、音楽以外でも全てのアーティストで“毒”を持ってないヤツはつまらないと思ってて。亡くなった人でもいまだに愛されてる人たちって、“毒”を感じる人が多いんですよね。現在でも、カリスマと呼ばれてる人たちにはそれがあると思うし。その人の持ってる毒で、その人を観てる人たちを毒牙にかけるわけですよ。その毒が抜け切らないから、そういう人たちが亡くなった後もその毒にヤラれ続ける」

 2013年にリリースされた1stアルバム「ナリモノイリ」は、遅咲きのデビュー・アルバムだったとは言え、収録曲“銀舎利”が大きな話題を呼び、また、“潮フェッショナル”なる別名に相応しい下ネタ・ラップの数々で人気を獲得してきたMC:三島。約1年半の時を経て昨年末にリリースされたニュー・アルバムは、「金と女と大東京」というタイトル通りのリリックが詰め込まれた一枚となったが、その明快さ故に、彼が持っているラッパーとしての資質の確かさが、前作以上により顕わとなった一枚と言えるかもしれない。シリアス・トークも程々にかましつつ、ファンの期待を裏切らない下ネタの数々も痛快な全曲解説をお送りしよう。
 
 
■前作「ナリモノイリ」で得た反響やリリース後の変化、前作の反省点などについて、程よく下ネタを絡めてお願いします。
「前作の反省点としては、クラブでかけられるような曲が少なかったかな、っていうのが一番ありますね。良い意味でBGM的 --聴き流せるような曲がなくて、一曲入魂すぎたんですよね。だから、今作に関しては全曲ではないけど、何曲かクラブでかけられるような曲を散りばめとこうかな、と意識しました。“銀舎利”をきっかけに俺を聴き始めた人にとっては、今回のアルバムはもしかしたらちょっと『え?』って感じる人もいるかもしれないですけど。今作では羽振りの良さをちょっと見せたりしてるから、俺にはいつまでも貧乏な暮らしの目線で歌ってほしいって思ってるリスナーは少なからずいるんだろうな、って。そういうリスナーを如何に裏切らないで、違うことを歌っていくかっていうことを、なんとなく考えながら作りました。“下”の方に関しては、相変わらずパンツ履くヒマがないですね(笑)」
 
■でも、今履いてるでしょ。
「でも、既にコンドーム着けてきてますよ。だから、ションベン行く前にどっかでセックスしないと(笑)」
 
■(笑)そういえば、別名である「潮フェッショナル」を今作から外しているけど、その理由は?
「今回のアルバムでも“ROLEX MUSIC”っていう曲とかあるんですけど、あわよくばロレックスとかにスポンサー付いてほしいと思ってるのに、“潮フェッショナル”とか名乗ってたら絶対ダメだろ、って(笑)。まあ、俺のa.k.a.が“潮フェッショナル”だってことは、みんなある程度知ってると思うんで、別に表記しないでもいいかな、って。エロいことだけ歌うアルバムのときとかあったら、逆に“潮フェッショナル”のみの名義でやるかもしれないですね。でも、Twitterとかで検索しづらくなったんで、#三島とかハッシュタグ付けてもらいたいですね。『ローマ字表記にしようかな?』とか考えたんですけどね」
 
■MISHIMA……それはなんかイヤだな(笑)。
「それはちょっとないだろ、と。でも、『SPA!』に載った後、『俺も潮フェッショナルだ』とか自称する輩が出てきたり、2ちゃんのコテハンにそういう名前のヤツがいるらしく、勝手に使われるのもなー、みたいな気持ちもありますね。潮フェッショナルを名乗りたいんであれば、一回のれん分けするために、テストとかしてちゃんと認定する企画を近い内にやりたいな、と」
 
■“●●流潮フェッショナル”とか。
「いろんな形があってもいいんですけど、取り敢えずボスは俺で」
 
■ボス……クルーみたいだな。
「で、絶対的に必要な条件としては『大卒以上』であればいいかな、って」
 
■あぁ……え?学歴(笑)?
「俺の下にインテリをいっぱい付けて、ブレーンになってもらいたくて(笑)」
 
■出だしからしょうもない発言満載で最高ですね。今作はそんなしょうもないことばっか歌ってるアルバムじゃないんだけど(笑)。1stアルバムが2013年まで出なかったことに関しては、「良いビートが集まらなかった」と説明してたけど、今回は比較的早めなペースで新作が出たというのは、良いビートが前より早く集まってきたから?
「それは大きいですね。あと、俺ぐらいのクラスだと、年イチでアルバム出しとかないと食えないっすね。かと言って別に生活に困ったからというワケでもないですけど、ビートが集まってるんだったらそれを眠らせないで、フレッシュな間に出したいと思ったんですよね」
 
■今作「金と女と大東京」は、前作以上にコンセプトが明確だと思うし、アルバム・タイトルも内容を明快且つ絶妙に表わしてると思ったんだけど。このタイトルのコンセプトに沿って曲を作っていった?
「いや、まったく逆なんですよね。全曲作った後に、アルバム・タイトルを考えたんで。流通会社にデモを納品する日の朝まで決まってなくて、『何にしようかな?』って考えながら一曲目から聴き直したんですよ。そうしたら、カネのことやオンナのこと、東京のことについての曲が多いな、って思ったんで、それを全部繋げたタイトルにしちゃおう、と。思いつきで付けちゃったタイトルなんで、どんな風に思われるかちょっと心配だったんですけど、意外と反響は良かったですね。今の自分の状況や、今言えることをスルスルっと書いていったら、そういう内容の曲が多かったってだけなんですよね」
 


 
01. “成り上がり”(Pro. by MONBEE)
「アルバム一曲目なんで、単純に派手な感じがいいな、って思ったのと、今の生活の現状をもっと明確に表現したかったんですよ。だから、かなり具体的に今乗ってる車とかお袋にロレックス買ってあげた話とかを書いて。でも、コレは決して自慢話ということではなくて。『今、音楽は儲からない』みたいな風潮があるじゃないですか。でも、これからラップをやりたいと思ってる連中に、そんな話しか入ってこないようだったら、HIP HOPに未来はないんじゃないか?って思ったんっすよ。俺は世代的にジブさんとかの派手な暮らしに憧れて始めたクチなんで、みんなして『カネねぇよ』みたいなこと言っちゃうのはちょっと違うのかな、って。本当に貧乏だったらそれでもいいんですよ。“銀舎利”作った時期なんて、本当にカネなんかなかったし。でも、敢えてカネのない人に目線を合わせるのは俺のスタイルではないな、って。俺は、ある程度の暮らしが出来る様になったから、それをそのまま伝えたかった。俺ぐらいの、まだ日本語ラップ好き全員から知られてるワケではないぐらいの立ち位置のヤツが、『本気で頑張ってればこんぐらいの生活は出来る』ってことを素直に伝えることは、(これからラップを志す若者たちの)目標にしやすいと思ったんですよね」
 
■ということは、「ナリモノイリ」は結構売れたんだね。
「まあまあっすけどね。やっぱ手売りがデカイっすね。俺が若いヤツらに言いたいのは、『売れるリリックを書け』とかじゃなくて、『売るつもりで常に頑張れ』ってことなんですよ。バックパックの中に常にアルバムを詰め込んで、居酒屋に行くときでも遊びに行くときでも、そこで出会った人に売るつもりでアピールしまくれ、と。そして、どうプロモーションしたら売れるかということを考えてほしいんだけど、そういうことを怠ってるヤツが少なくないと思うんですよね。自主でやってる場合は、何枚でも手売り出来るワケじゃないですか。例えば手売りで1,000枚売って、500枚はショップで売れて、それプラス配信やライヴのギャラを合わせれば、3〜400万円ぐらいにはなりますよね。贅沢は出来ないけど、サラリーマンみたいに朝に目覚まし時計で起きないで人並みの生活が出来るぞ、って。『音楽で食っていきたい!』と思ってるんだったら、まずは手売りレヴェルで頑張らないといけないよ、って」
 
 
02. “Don't Stop Party”(Pro. by DJ GATTEM)
「さっきも言いましたけど、『クラブでかけやすい曲を作ろうかな』って思ったときに、このビートをGATTEMが作ってきたんですよね。それこそこういう曲は前作にはなかったモノですよね。内容に関しては、特に深い意味はないんですけど、俺が普段クラブにいるときの状況を打ち出したというか」
 
■「IKB BEDが根城のKID」って言ってるけど、アルバムの中で一番池袋bedっぽくないトラックだと思って。
「ですよね(笑)。最初は“BED KID”って曲名にしようかな、ぐらい思ってたんですけど、一番bedっぽくないビートになっちゃったんで、自分がbedの住人であることを匂わせる程度の内容にしようと思って。俺はbed関係者じゃないので大きなお世話かもしれないですけど、新しい息吹をbedに吹き込みたかったというのがあるっすね。あと、俺は今作で出来る限りラップしてることにウソがないように書きましたけど、『bedでドンペリ開ける』っていうのはウソですね(笑)。開けたことがない(笑)。多分bedにはドンペリ自体がない(笑)」
 
 
03. “三島と言えば”(Pro. by NOBB DEEP)
■コレは……曲というかスキット的な感じだけど……。
「まあ、名曲だと思うすけどね、俺は」
 
■僕は、アルバムを聴いて一番呆れ笑いが出た……。
「(笑)漢君とか、だいぶ気に入ってましたよ」
 
■コレに関しては読者に聴いて判断してもらいましょう。
 
 
04. “DSMD”(Pro. by Saburo Beats)
■まあ、“三島と言えば”はこの曲のフリになってるわけだよね。
「『これぞ潮フェッショナル』というか、こういう曲で俺の右に出るヤツはいないだろ、っていう。本当のこと言うと、今作から“潮フェッショナル”の表記を取ったし、客演仕事でこういう曲を求められることが増えたから、こういう曲はナシでやろうかな、ってこともちょっと考えたんですよ。でも……そこまでリスナーを裏切らなくてもいいだろ、と(笑)」
 
■トレードマークだしね。
「そこはやっぱり、一曲だけだけど一撃必殺なモノを作ろう、と。“DSMD”というのは、“DON'T SLEEP MY DICK”の略ですね。『俺のディックは眠らない=パンツ履くヒマがない=俺のチ◯コが乾いてるのを見たことない』みたいなニュアンスですね」
 
■僕は取材前にリリックをもらうと、アルバムを聴きながら気になったリリックに赤線を引いていくんだけど、アルバム中この曲に一番赤線引いたわ(笑)。つまり、この曲がアルバムで一番リリカルな曲なのではないか、と(笑)。
「エロい曲だからこそ、比喩や言い回しを凝らないといけない、っていうのはありますね。エロいことをそのまま言っちゃうだけだと、寒いだけで終わっちゃいますからね。ネクスト・レヴェルに持っていくために……こう……高貴な、というか……徳の高い言い回しじゃないとダメかな、と(笑)」
 
■どこが高貴で徳が高いんだよ!「一晩で真っ赤燃え尽きるLIFE/セミの一生よりも短い/来世は私そんなタンポンになりたい」とか……。
「素晴らしいですよね」
 
■最低でしょ(笑)。
「そんな刹那的な生き方でもいいかな、と」
 
■「『アナル舐めてよ』って秋田生まれの女子に言ったらアナルを『アナルっこ』って言ったから可愛いな」とか、ほんとしょうもない……。
「コレも実話ですね。多分秋田女子あるあるなんじゃないですかねー?Twitterで秋田の女の子が『それ分かるー!』ってつぶやいてましたからね」
 
■最近仕入れた下ネタについても訊いておこうかな。
「最近?ん〜、後ろに女の子乗せてバイクで走ってたんですけど、女の子が『寒い』って言うから『じゃあ俺のチ◯コ触って暖をと っとけ』って。チ◯コって暖かいじゃないですか。それで女の子も『分かった!』って触り始めたんですけど、信号待ちで止まってたらちょうどその横が交番で、お巡りさんがスゲェ勢いで走って来て、『お前ら何やっとるんだー!』って怒られましたね(笑)」
 
■クマムシもビックリのあったかいエピソードだね。「信号待ちでチ◯コ勃ち」というライムを無駄に思いついてしまったので、今後使ってやって下さい。
「使いましょう(笑)。あと、西日がめっちゃ射し込んできたときに潮吹かせたら、虹が出来たことがありましたね(笑)。がははっはー!」
 
 
05. “FUCK YOU”(Pro. by Yuto.com)
■“成り上がり”の解説で話してくれたことにも繋がる内容だと思うけど、アルバム中一番辛辣な曲だよね。
「そうですね。ラッパーがこの曲を聴いたら、すごいイヤな気持ちになるか、すごい共感するかのどっちかだと思うんです。この曲を聴いてイヤな気持ちになったヤツは、『ちょっと考えた方がいいよ』って。『音楽をやるのはカネ(目的)じゃねぇから』って言う人はいると思うし、そう言うカッコ良さも分かるけど、それはカネ持ってから言わないと説得力がないですよ。今の矢沢永吉が『俺にとって音楽はカネのためにやってるワケじゃねぇ』って言うんだったら『そうだろうな』って思えますけど。それぞれのHIP HOP論はあると思いますけど、『カネを稼ぎたい』という思いはラッパーという生物にとって大事なことなんじゃないかな、って思うんです。カネもなくてCDも売れてないヤツが、『俺がラップしてるのはカネのためじゃねぇ』って言い出したら、『じゃあお前は、そもそもカネになる音楽を作れるのか?』って言いたいですよ。そうじゃなければ、売れない自分への言い訳にしか聞こえない。セルアウトはダサいと思うけど、良い曲だったら売れますよ。良い曲じゃないから、そいつの曲は売れてないんですよ。まあ、良い曲を作れても、プロモーションをしっかりやらないといけないですけどね」
 
■曲の結論としては「毒がないヤツは結局ダメ/毒がないヤツは結局消えてくだけ」とも言ってるよね。
「 俺は、音楽以外でも全てのアーティストで“毒”を持ってないヤツはつまらないと思ってて。亡くなった人でもいまだに愛されてる人たちって、“毒”を感じる人が多いんですよね。現在でも、カリスマと呼ばれてる人たちにはそれがあると思うし。その人の持ってる毒で、その人を観てる人たちを毒牙にかけるわけですよ。その毒が抜け切らないから、そういう人たちが亡くなった後もその毒にヤラれ続ける。HIP HOPで言うと、般若君とかTHA BLUE HERBとかには毒があると思うし、カッコ良いと思う。愛のことを歌うにしても、直球なモノより少し毒が入ってる方が俺は好きなんですよね」
 
 
06. “PITFALL feat. MC漢”(Pro. by Saburo Beats)
「ビートをもらった時点で、東京のドロドロした感じのことを歌いたいな、って思って。リリックは数十分でスルスルっと書けましたね。で、そういう内容のことを歌わせたらこの人の右に出る人はいないだろ、ってことで漢君に話を振りました」
 
■「また今日も路地裏で銃声が響く」って、どこの話かと思ったけど……。
「まあ、でも、新宿とかやっぱそういうの多いじゃないですか。ちょっと前に池袋で発砲事件があったときに書いたんですよね」
 
■三島君は鎖グループと交流が深いよね。ライヴDJのGATTEM君が鎖と契約してるというのもあるだろうけど。
「友好関係だと思いますし、最近、9sari/BLACK SWANに頼まれた客演仕事が多かったんですよね。実は、今回のアルバムを漢君が結構気に入ってくれてるんですよね。結構ヘビロテしてくれたらしくて、それは俺の中にあるヘッズ心が疼いて嬉しかったですね」
 
 
07. “きっと未来は僕らの手の中 feat. KING 104 from RGF”(Pro. by Saburo Beats)
■タイトルはTHE BLUE HEARTSからインスパイアされたんだと思うけど。
「コレは、アルバムの中で一番イナタいトラックだと思うんですよ。この曲は、どちらかと言うとbedに来てるようなお客に向けて作ったんですよね。で、あのクラブに来てるファンがテンション上がるような客演って誰かな?って思ったときにKING 104が思いついて。内容に関しては、イナタいヴァージョンの“成り上がり”って感じですね。『この程度でふんぞり返っててもダメだと思ってるから、俺はまだ追う側の人間だ』ということをもっと掘り下げたというか」
 
■KING 104君のヴァースもかなり良いよね。彼はWDsoundsだったりbed周辺 --そういったラインのラップが好きな人にとってはお馴染みのMCだと思うけど。
「彼のことはDJ ONE-LAWに紹介してもらったんです。俺は、“リリシスト”と呼ばれるようなラッパーが好きなんすよ。リリックの内容で勝負してる人が好きで、そういう意味で彼は非常にリリシストなんですよね。特に、彼がスイッチ入った瞬間に書くリリックは詩的。彼は結構本を読む人なんで、その影響もあるんだと思います。文学的な言い回しが上手いんですよね」
 
 
08. “ROLEX MUSIC”(Pro. by Saburo Beats)
「単純に、ロレックスをゲットしたんですよね」
 
■“成り上がり”でも触れられてるよね。
「ゲットして思ったのは、『コレが売れる理由が分かったわ』と。やっぱ素晴らしい時計だというのを痛感したんですよ。一言では言い表わせなかったから曲にしたというのもあって、この良さを伝えたかったんですよね(笑)。RICK ROSSの“MAYBACH MUSIC”みたいな」
 
■持って初めて分かる魅力というか。
「今日もしてるんですけど、アンチ・ロレックスみたいな人って結構いるじゃないですか。そういう考えもあっていいと思うんです、それぞれの趣味だし。でも、ラッパーは分かりやすいカネの使い方をしないといけないな、と思ってて。ラッパーは“リーダー”であるべきだと思うし、上に立つ者は下の者がパッと分かるステータスのモノを見せ付けないといけないっていう、俺なりの持論があるんすよ。俺なりの、ですよ?例えば、車乗るんだったらベンツとか、分かりやすいじゃないですか。実際高いんだけど、聞いたことないブランドの時計とかは、ラッパーっぽくないな、って思ってるんですよね。それこそラッパーは、成金でコテコテな感じで上等だと思ってるんで。そういうHIP HOPを目指してない人もいっぱいいるだろうけど、ラップで食っていって、派手に生活したいという思想があるなら、分かりやすいカネの使い方をしなくちゃって思ってるんですよ」
 
■USラップで言うと、90年代中〜後半の、ビギーやJAY-Zがやっていたような、ゲスい成金趣味みたいのに近い考えだよね。今の時代、そういう打ち出し方をしてるのは逆に新鮮だね。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』とか、すごい好きそう……。
「ディカプリオのヤツですよね?メッチャ良かったですねー。スゲェ裸のオンナとか出て来るから、何回もエレクトしましたよ。ああいう考え、好きですよ。でも、“ゼニカネ論”でも言ってるんですけど、カネをゲットしたら、テメェのためだけじゃなくて、プラス・アルファで親孝行だったり身の回りや社会のためになることにも使わないと、カネなんか持ってても何も意味がないと思ってますね」
 
09. “SEA OF THE LOVE”(Pro. by SAI BEATZ)
「コレは、体張って笑われに行った感じですね。はい」
 
■あ、やっぱそういう意識なんだね。
「体張って笑われに行きつつ、モテたいってだけです」
 
■メイク・ラヴ的なことを歌ってるとは言え、よりピュアな男女の恋愛について歌ってる曲だね。
「この気持ちがなかったワケじゃないんですけど、今までそれを曲に落とし込もうと思ったことがなかったんすよ。ビートを聴いたとき、『俺はこういうビートでは書けねぇよ……』って思ったんですけど、1stアルバムでやらなかったようなことをチャレンジして、良い意味で裏切った方がいいかな?と思って。エンジニアのNOBB DEEPからは『気色悪い』としか言われなかったですね」
 
■まあ、正直、こんなに説得力を感じないラヴ・ソングは初めてだと僕も思いました……。でも、狙って作ったということが分かって少し安心したわ。
「流石にこの曲はライヴで出来ないでしょうね、笑っちゃって(笑)」
 
■「かすかに震える小さな手を握る/大丈夫 今世界で一番君のそばに/俺がいるから怖いものは何もない」……。
「一番頼りにならないヤツだと思いますけどね(笑)。でも、実は今回のアルバムで一番好きなフレーズは、この曲中の『濡れている 君の声』っていうとこなんですよね。非常に文学的というか、喘ぎ声を『濡れている』と喩えた俺の詩的感覚は大したモンだなあ、と(笑)」
 

 
10. “ゼニカネ論”(Pro. by MONBEE)
「アルバム全体で、カネのことを散りばめてきたと思うんですけど、『カネカネうるせぇなー』って思ってるヤツらに対して、何で俺がそう言ってるのかという理由/根拠をこの曲で説明してるんです。この曲はMVにもしましたけど、アルバムを買う前にこの曲を聴いとけば、一聴したときからの説得力が増していくのかな、って。最初にオチの部分を見せたというか」
 
■2ndヴァースで「震災を経験しどん底を見てきた/なのに金がなくて付けられなかった示しが」ってラップしてるけど、福島県・南相馬出身の三島君は、震災を経験したことによってカネに対する価値観の変化があった?
「ありましたね。震災でみんなが困ってたときに、もっといろいろなことをやって助けたかった。物資を運んだり、炊き出しを手伝ったり結構したんですけど、単純にカネがなくてそれがもっと出来なかった。物資をどこかからもらったとしても、それを運ぶときのガソリン代や高速道路代は自分で出さないといけないし。あと、本当に困ったときって、人間はカネをもらうのが一番ありがたいんですよ。震災を通して、『カネってやっぱ自分のためだけに使うモンじゃないな』っていう気持ちになったんですよね。それまではそんな他人の面倒を見れるカネもなければ、考える余裕もなかった」
 
■三島君が今作でラップしてるカネについての話で、誤解されるべきでない点としては、三島君は決してカネを稼ぐこと=私利私欲のため「だけ」に使うと考えているわけではないということだよね。
「別にマザー・テレサになりたいワケではないんですけど、自分がラッパーとしての一定の生活をしつつ、もう少し社会貢献がしたいんですよ。今、何をどうしてるなんていちいち言わないですけど。世の中にはすごい金持ちはいっぱいいると思うけど、金持ちだから偉いなんて俺は思わないし。そのカネをその人がどう使ってるか、だと思うんですよ。極端な話、ヤクザがスゲェ悪いことしてゲットしたカネをどこかに寄付したとしたら、回り回ってそれが良いカネになってたりする、っていう考え方も出来るじゃないですか。一方で、真っ当な仕事で稼いでたとしても、毎晩遊び回るようなカネの使い方は、上手じゃないな、と思う。ソイツが楽しいんならそれでいいのかもしれないけど、ソイツが楽しいだけっていうカネの使い方は、俺は好きじゃない」
 
 
11. “憂国(BONUS TRACK)”(Pro. by Yuto.com)
■ボーナス・トラックだけど、アルバム中最もポリティカルな曲だね。
「初回盤のボーナス・トラックだけど、完全に本心ですね」
 
■とすると、結構、一般的には右寄りというか保守寄りと呼ばれる思想なんだね。
「まあ、三島ですからね(笑)。まあ、アーティストなんて左向きの方が良いに決まってるんですよ。それは『カネより愛』って言った方が良いに決まってるのと同じで。この曲に関しては、聴く人の意見が真っ二つに分かれると思うんです。『アルバムは良かったけど、この曲だけは大嫌いだ』ってツイートを見た一方、『この曲が一番良かった』って言う人もいる。俺は戦争を肯定するつもりなんてサラサラないし、『平和であることに越したことはない』って曲でも言ってる。でも、左翼的な考えを持ってる人って、『戦争反対=戦争への備えもしない』っていう考えの人が多いと思うんですよね。街中で理不尽なケンカを売られることがあるように、国単位で理不尽なケンカを吹っかけてくる国もある。そのときにある程度の備えをしてないと、ビックリするだけで何も対応できないと思うんですよね。敵からしたら憲法9条なんてなんとも思ってないわけですし。こういうことを言うことで、俺のファンが減ったりする可能性があることも分かっていますけど、自分の本心は恐れずに言いたい。そういう考えを持ってる人間だって分かった上で、リスナーには付いてきてほしい」
 
 
 
■「金と女と大東京」という3ワードは、三島君のラップを構成する要素なわけだよね。この3つの要素以外で、今後チャレンジしてみたいテーマは?
「それは、リリックがどうこうというのではなく、ラウンジっぽいHIP HOPをやってみたいんですよね」
 
■例えば、nujabes的なビートでラップするとか?
「あー、そうっすね」
 
■……そんなビートで何をラップするの(笑)?
「それはビートを聴いてみないと分からないですけど(笑)。バーみたいな空間でラップしてみたいんですよね。そういうところを突き詰めていくと、BLUE NOTEで演るとか。あと、自分は現実的なことをラップするタイプだから、抽象的な掴みどころのない内容のラップをするのが得意じゃないんですよね。だから、そういったことを挑戦していきたいという願望もありますね」
 
 

Pickup Disc

TITLE : 金と女と大東京
ARTIST : 三島
LABEL : TAG MERCY ENTERTAINMENT
PRICE : 2,376円
RELEASE DATE : 2014年12月10日