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キング・ギドラ「空からの力」 20th ANNIVERSARY SPECIAL (PART 3:インタビュー後編)

インタビュー:伊藤雄介(Amebreak)

「『空からの力』というタイトル自体が、俺らを凌駕する力のことで、それは自然とか太陽だったり、俺らの生活に必要なモノで、そういったモノを意識させようとしてたというか。『人間っていうのはこれぐらいちっぽけなんだぞ』ってことを、根底では伝えたかったんだと思う。95年を振り返ると、1月に阪神大震災、3月に地下鉄サリン事件があって、日本が大きく揺れた年だったから、そこでこういうアルバムが出たっていうのは、リスナーにとっても何か意味があったんじゃないかな、とも思うな」 -- Kダブシャイン

 
【PART 1】
【PART 2】
【PART 3】
【PART 4】

 
 
CHAPTER 3:POWER FROM THE SKY
 
■いよいよ本題、「空からの力」制作期の話に入りますが、その前にRHYMESTER“口から出まかせ feat. キング・ギドラ & SOUL SCREAM”での客演と、「THE BEST OF JAPANESE HIP HOP VOL.2」に収録された“未確認飛行物体接近中”(SAGA OF K.G.名義)がありますね。どっちが先に出来たんですか?
Zeebra「“未確認〜”の方が後じゃない?だって、“口から出まかせ”で『キング・ギドラ本邦初公開』って言ってるし。今でも覚えてるんだけど、『THE BEST OF JAPANESE HIP HOP VOL.2』に入ってるDJ BEAT“FREE WAY feat. SOUL SCREAM”は、最初俺が誘われてたんだけど、俺は“未確認〜”をやることが決まってたから、俺がHAB I SCREAM(SOUL SCREAM)に振ったんだよ。で、それは“口から出まかせ”の音源が上がったぐらいのタイミングだった」
 
■デモを撒いていたときに反応した関係者のひとりが宇多丸氏で、それが“口から出まかせ”での起用に繋がっていくワケですよね。“口から出まかせ”のエピソードはありますか?
Kダブシャイン「……なんか呼ばれて、言われてやったぐらいかな」 
 
■スゲェ淡白(笑)。
Zeebra「当時まだRHYMESTERのメンバーだったDR. LOOPER(現・LR STEREO)の家に集まって、“口から出まかせ”のデモを作ったんだけど、そのとき回しっぱなしで撮ってたヴィデオ映像があるんだよ。カメラに向かっておもむろにMVゴッコとかし始めたりしてて……ヤバイよ(笑)。で、そのときにみんな(ギドラ以外の面々)が初めてコッタ君に会ったんだよね」
Kダブシャイン「俺はまだオークランドにいて、東京ではヒデがプロモーション活動してた時期が半年ぐらいあるんだ。だから、俺がRHYMESTERとかと知り合うのは後の方だったんだよね」
 
Zeebra「そのときにコッタ君が来て、みんなが『へー、Kダブってこんな人なんだ!』って衝撃を受けたって、宇多丸が言ってたよ、このキャラに(笑)。キッチンが喫煙所だったんだけど、そこでE.G.G.MANとかに『Kダブって面白いんだね』って言われたのを覚えてる(笑)」
 
■最初は曲で聴けるような“堅い”イメージだったのが、フタを開けてみたら“こっちゃん”だったっていう(笑)。
Kダブシャイン「俺は自覚ないけどね」
 
■当時のギドラのイケイケな感じで、“口から出まかせ”でも「俺らが他のヤツらを食ってやる」ぐらいの意識だったんですか?
Zeebra「まあ、良い意味でそうだったよね。でも、全員そう思ってたんじゃない?」
Kダブシャイン「そういう(競争)意識は俺らふたりの間にだってあるから。でも、“口から出まかせ”はポッセ・カットだと思ってたから、敵意は全然なかったよ」
Zeebra「そうだね。それよりも、『俺らのヴァースが取り敢えず“製品”になるから日本中のヤツが聴ける』って思ったな」
Kダブシャイン「俺は、『俺たちを最初に出したことで、RHYMESTERは上手いトコ持ってったな』って、斜に構えて見てた。コレで『キング・ギドラを発掘したのは俺たちだ』って言えるからねー(笑)」
 
■そして、この2曲を経て、95年末に「空からの力」がドロップされるワケですね。そもそもどんな経緯でP-VINEから出すことになったんですか?
Zeebra「FILE RECORDSからも誘われてたんだよ。“口から出まかせ”を出した後にギドラをやろうよ、って話になってて」
 
■FILE RECORDSは、当時最も精力的に日本語ラップ作品を出していたレーベルだったのに、結局FILEからはリリースしなかったんですね。
Zeebra「出すつもりではいたんだけど、そのタイミングで当時はまだ和モノを手掛けていなかったP-VINEが手を上げてきたんだ。俺らからしたらP-VINEは、P-FUNKとかSTAXとか、ブラック・ミュージック作品の再発をしてた由緒正しいレーベルだと思ってた」
Kダブシャイン「そんなP-VINE初の日本人アーティストの音源を作るって話だったから、そっちの方が(レーベル内の)プライオリティも高くなるだろう、って思ったんだよね」
 
Zeebra「FILEには既にいっぱいアーティストがいたからね。当時も言ってたんだけど、HIP HOPレーベルがFILE RECORDSだけしかないっていうのも、シーンにとっては健康的じゃないな、って話になってたっていうのもある」
 
■はー、そんなことまで考えてたのか!
Kダブシャイン「だって、最初はメジャー・ディールを狙ってたぐらいだし。あと、当時P-VINEのオフィスが代々木八幡にあって家から近かったから、毎日会社に行ってレーベルのヤツがサボってないかケツ叩ける、っていうのもあったな(笑)」
Zeebra「実際、毎日行ってたもん。それで担当A&Rは2〜3ヶ月で髪の毛真っ白になってたし」
 
■さぞかし迷惑だっただろうな……(笑)。アメリカでも、ディールが決まりかけていたんでしっけ?
Kダブシャイン「DEF AMERICAN(RICK RUBIN主宰レーベル)とIMMORTAL RECORDS(KORNやINCUBUS、FUNKDOOBIESTや、OST『JUDGEMENT NIGHT』のリリースで知られるEPIC傘下のレーベル)に、話が出来るA&Rの知り合いがいて」
Zeebra「だけど、その話があった段階ではP-VINEでやるかやらないか、ぐらいの話をしていたと思う。状況的には、日本でもリリース出来ちゃいそうな感じになっているときに向こうからも話があったから、『US経由でリリースするより日本でやった方が話が早い』って思ったんだよね」
 
■アルバムのレコーディング期間はどれくらいだったんですか?
Kダブシャイン「2週間ぐらいだと思う」
Zeebra「ヘタしたらそんなにかかってないかもよ」
Kダブシャイン「高井戸と新宿御苑のBAZOOKA STUDIOで録ったね」
 
■レコーディングしていたときの雰囲気はどんな感じだったんですか?
Kダブシャイン「ココで大事なのは、オアがレコーディングにほとんど来てなかったってことで(笑)」
DJ OASIS「うん、2〜3日ぐらいしか行かなかったね。スクラッチ入れと流し込みで行ったぐらい。俺はその頃結婚してたんだけど、まだ『音楽でカネを稼ぐ』なんて出来ない時期だったから、現実的に考えたら俺には無理なのかな?って思って」
Zeebra「『お金にならないことを仕事って言われても困る』っていう、オアのカミさんのスタンスがあったってことでしょ?」
DJ OASIS「それだったら、ってことで俺は嫁を取った」
Zeebra「だけど、既にアルバム作り始めてたから、最低限の作業をやるために2〜3日だけ来たんだよ」
 
■でも、オアさんは当時“脱退”まではしてないですよね?ジャケにも写ってるし。
DJ OASIS「そこまではしてなかったんだけどねー」
Kダブシャイン「“欠席”が長かったっていう(笑)。学校来なくなった同級生みたいな感じだよ。で、たまたまKEN-BOが近くにいて、凄くサポートしてくれてたからライヴDJを彼に頼んだんだ」
 
■今このアルバムを若いリスナーが聴いたらどう思うのかは、僕には分からないですが、やはり「空からの力」は、今聴いても“教科書”になり得る作品だ、と聴き返して改めて感じました。ジブさんは、ソロ活動を始めた頃、自分のラップが“教科書”として機能することを意識していたと思うのですが、「空からの力」に関してはそういう意識で作っていたんですか?
Zeebra「韻の踏み方に関しては、『コレが一番正しい日本語ラップのあり方だ』っていうのは自負していたよね」
 
■それ故に、ライミングに対してものすごくコンシャスなリリックが多いんですね。
Kダブシャイン「あと、サッカーMC的なテーマだったりコンシャスな曲だったり、全体像としてHIP HOP作品の押さえるべき要素を押さえていたから、そういう意味では“教科書”というより“試金石”みたいなモノになればいいな、って思ってたね」
 
■今思うとちょっと意外なのは、90〜95年ぐらいの間に、USラップはコンシャス的な内容からハードコアなモノにトレンドが変わっていきましたよね。「空からの力」は95年のアルバムですが、社会的/コンシャスな要素が強く押し出された曲も入っていて、それって当時のUSラップの状況を踏まえると、やや“時代遅れ”という解釈も出来る。
Kダブシャイン「確かに、ちょっと遅いんだよね。でも、俺の中ではこういう内容のアルバムを取り敢えず出しとかないと次に進めない、っていうのがあったんだ」
 
■一枚目だったし、押さえとくべき要素は全部入れようとしたということですよね、意図的に。
Zeebra「日本のHIP HOPの歴史上、こういう内容の作品がないといけない、とも思ってた、例えそれが数年遅かったとしても」
 
■当時、“アブストラクト”“SF的”と評されることもあったと記憶しているのですが、その辺りに対する意識はどれぐらいありましたか?
Kダブシャイン「まあ、そういうモノが元々好きだったしね」
  
■でも、一方で“リアリティ・ラップ”的なモノも好きなワケじゃないですか。
Kダブシャイン「俺の場合は、ULTRAMAGNETIC MC'Sに感化されていた気がするね。イルに知的な感じというか」
Zeebra「要は、メタファー(比喩)だよね。94〜95年の頃は、確かにNASやビギーが台頭してきた時代だけど、それと当時にJERU THE DAMAJAとかBOOT CAMP CLIKとかもいたし、ストリート/拝金主義/ギャングスタ的なHIP HOPと、そのちょっと前の時代からあったメッセージ色の強いラップが混在していた時代だよね」
Kダブシャイン「あと、P・ファンクとかEARTH, WIND & FIREもSF的だったじゃん?その辺は、俺らの共通言語としてずっとあったんだよね」
 
■ブラック・ミュージックとして考えても、そういうSF的な要素がしっくりハマったと。
Kダブシャイン「そう、それにキング・ギドラってグループ名も付けてたし」
Zeebra「俺らは当時、HIP HOP=現代のファンクだって思ってたしね。だから、実際デモ・テープの頃はサンプリングネタもファンクが多かった」
 
■ラップ・デュオは洋邦問わず、それぞれのキャラの立たせ方というのが重要になってきますよね。ギドラも例外でなく、コッタさん/ジブさん共に違う色を持ったMCなわけですが -- 今話した“SF的”な話にも繋がるんですが、例えばジブさんのリリックはマンガのキャラクター的/スーパースター的で、コッタさんはライム・サイエンティストといった趣だと思うんです。『鉄腕アトム』で言うと、ジブさんがアトムなのに対して、コッタさんはお茶の水博士というか(笑)。更にHIP HOP的な喩えで言うと、RAKIMが持っていた側面をふたりで分け合っていたような感じにも聴こえます。
Zeebra「あー、RAKIMが出してくる“ワード感”をコッタ君が担ってて、フロウ/デリヴァリー感を俺が担ってたってことでしょ?それはあるかもしれない」
 
■RAKIMが持つダンディさだったり、ストリート寄りの人にも受ける分かりやすいカッコ良さはジブさんが担っていて、知性的な部分はコッタさんが担っていたというか。
Kダブシャイン「RAKIMはもちろん影響として大きいんだけど、ヒデはKRS-ONEが好きで、俺はCHUCK Dが好きだったから、そこで線引きされる部分もあったね」
Zeebra「そうだね。俺はとにかく“ファンキー”なモノが好きだったんだ。KRS-ONEとCHUCK Dで比べたら、KRS-ONEの方がファンキーでしょ?そのカラーの違いだろうな」
 
■その立ち位置の違いは、自然と出て来たんですか?それとも、「俺はこういうキャラだから、そっちはこういうキャラで」という感じに、示し合わせていった?
Kダブシャイン「自然じゃないかな?多分コレが、元々のヒデとコッタな感じなんだよ」
Zeebra「元々、俺はピョンピョンしてたタイプだし、コッタ君は……高校生ぐらいの頃はもっと軽快だった気がするけど(笑)」
 
■いろんなラップ・デュオについて考えると、例えば声の高低とか、フロウの違いとかでキャラ分けをしている人たちは多くても、リリックの世界観は案外近かったりするじゃないですか。でも、ギドラの場合は意外とバラバラですよね。
Kダブシャイン「でも、ATCQのQ-TIPとPHIFEはバラバラじゃない?」
 
■あー……確かに、そういう意味ではギドラはATCQ的かもしれない。例えば“空からの力”にしても、同じテーマについてラップしててもそのアプローチは全然違うと思うんですよ。
Zeebra「FLAVOR FLAVとCHUCK Dみたいなことじゃないのかな?俺は、俺らがもしPUBLIC ENEMYだとしたら『ラップが上手いFLAVOR FLAVになろう』みたいなところはちょっとあった。RUN DMCとかはさ、RUNがグイグイ行く感じなのに対して、DMCは後ろでバシッと構えてる感じだったよね。で、俺らがRUN DMCゴッコとかしてたときも、コッタ君はDMCで、俺はRUNのマネをしてたんだよ(笑)」
 
■その時点から立ち位置が決まってたんですね(笑)。あと、改めて「空からの力」を聴いて感じたのですが、このアルバムのリリックって、色々な意味で“リアライゼーション”が核にあると思ったんです。「自分たちが思う正当なHIP HOPとはどういうモノか」ということを気づかせようとしていたり、都会に住む若者からの視点で社会にどうコミットするべきかを示唆していたり、色々な意味で「気づかせる」ということがキーになっていると思うんです。
Zeebra「それこそCHUCK Dが『HIP HOPは黒人たちのCNNだ』って言ってたけど、そういう意識は俺らも本当に思ってたから、ストリートの側から見える現状を伝えることがHIP HOPの使命だと思ってたよね」
Kダブシャイン「『空からの力』というタイトル自体が、俺らを凌駕する力のことで、それは自然とか太陽だったり、俺らの生活に必要なモノで、そういったモノを意識させようとしてたというか。『人間っていうのはこれぐらいちっぽけなんだぞ』ってことを、根底では伝えたかったんだと思う。95年を振り返ると、1月に阪神大震災、3月に地下鉄サリン事件があって、日本が大きく揺れた年だったから、そこでこういうアルバムが出たっていうのは、リスナーにとっても何か意味があったんじゃないかな、とも思うな」
 
■世相というものはどこまで意識してましたか?
Kダブシャイン「それなりに意識はしてたけど、そういった事件がアルバムの出た年に起こるとまでは思ってなかった。俺らが出す前とかは、『日本語のラップでメッセージ?そんなの受け入れられるの?』なんてことをよく言われてたんだけど、震災やサリン事件があって『これからはオレらのようなことを言う人たちが必要とされるんだろうな』って予感はしてた」 
 

「俺は、コッタ君のラップを聴いて『日本語でラップするというのは、こういうことか』って思って、その後にヒデのラップを聴いて自分もラップ書くようになったから、ふたりの影響から自分もラップを始めてるんだ。だから、『空からの力』は俺にとっても“教科書”だし、“教科書”の“目次”になっているような内容だったりする。韻に関してはもちろんのこと、気の利いた言い回しをするとか、そういうところも学んだ“テキスト”だね」-- DJ OASIS

 
CHAPTER 4:THE AFTERMATH
 
■「空からの力」が95年末にリリースされた後、どんな手応えを感じてましたか?
Kダブシャイン「リリース直後に渋谷のHMVへ見に行ったんだけど、店のチャートで1位になってて、地元で1位になって嬉しいな、って思った」
  
■「空からの力」リリース前後では、例えばライヴの盛り上がりなどで変化はありましたか?
Zeebra「アルバムが出る前、95年中盤頃からライヴは結構盛り上がってた。当時、日本のHIP HOP的に一番のメディアが『Fine』だったんだけど、そこでひたすらギドラの名前が載ってたから、客はどこ行っても入れ食い状態だった。キング・ギドラのライヴが始まったらステージの前に客が押し寄せるみたいな。あ、でもアルバムが出た後の方は更に『入れ食い感』がヤバかったかもな」
Kダブシャイン「外タレの前座とかやることも増えて、洋楽好きなヤツらもオレらのことを認めざるを得ないような空気になってた」
 
■当時は、HIP HOPリスナーの中にも徹底的に日本語ラップを嫌っていたり、所謂ブラパン的な女子も多かったですからねー。
Zeebra「その辺りのヤツらは一回完全に一掃したからね。完全にアイツらを取り込んだ」
Kダブシャイン「黒人も『ギドラが良い』って言い始めたんだよね。基地とかで呼び屋やってたようなヤツらもオレらのことを認めるようになった」
 
■「空からの力」リリース後、96年の春にミニ・アルバム「影」がリリースされ、7月には『さんピンCAMP』に出演しますが、程なくして活動休止状態というか、ソロ/別ユニットの活動に移行していきますよね。活動休止直前のグループはどんな状態だったんですか?
Zeebra「その段階では、もう俺らはシーンの一員になってるワケで、シーンに入ったら他にもいろんな人と知り合う。その中でコッタ君はDJ KENSEIやDJ MASTERKEY、宇多丸と仲良くなっていって」
Kダブシャイン「で、ヒデはMummy-Dと仲良くなったし」
 
■シーン内にそれぞれ別の友達が出来てきたんですね。
Zeebra「そうそう。その辺りでツルむ相手が変わってきたんだろうね」
 
■お笑い芸人が売れた後みたいですね(笑)。それによってグループ内の均衡が保たれなくなった?
Kダブシャイン「あの段階では、俺もソロでやっていくって意識に切り替わってたし、オアも抜けちゃってたからね」
Zeebra「あの段階では、コッタ君の方が先にソロのディールが決まってたしね」
 
■この時点で、「いつの日かまた一緒にやるだろう」という気持ちはあった?
Kダブシャイン「『解散しよう』って言ったことは一度もないんだ。まあ、『一旦離れよう』と決めたぐらいだから、いつも一緒にいたいとは思ってなかった時期だったとは思うけど(笑)」
 
■「活動休止しよう」って話はしたんですか?
Zeebra「一番最後にライヴやったよね?R?HALLでやったライヴで『コレで最後だね』って話してたし、ライヴ中のMCでも確かそう言った」
Kダブシャイン「でも、ギドラは解散するには惜しい存在だと思ってたから、タイミングが来たらまたやりたいと思ってた。やっぱり、ソロとは違う味が出せるし、ふたりの声が重なったときの化学反応は、オレらにしかない組み合わせだという自覚があったから、『もう二度とやらない』とは思わなかった」
 
■例えばLEADERS OF THE NEW SCHOOLとかは、BUSTA RHYMESのキャラが立ち過ぎちゃって、それによってメンバー間のエゴの衝突が起きたのが解散の大きな原因だと言われています。そのような「エゴ問題」はなかった?
Kダブシャイン「実際オレらもそういうのはあったと思うけど、さっき話したように最初から『ソロでもやれるようにしておこう』って言ってたから、いきなりひとりになっても困るっていうことがなかった」
Zeebra「エゴはあったかもしれないけど、そこにカネの問題はなかったよね」
Kダブシャイン「そうだね。俺らはカネでモメたことはない」
Zeebra「だから、俺らはある意味、ソロ作品で自分たちのエゴを出し切れば、いつでもギドラをまたやれるって意識があったんだと思う」
Kダブシャイン「俺らはある程度は理解し合ってるから、確執が出来るとこまでモメないんだよ。モメる前に空気を読んでちょっと距離を置いたり、何かあったら一気に距離が縮まったりする。それは、グループ組む前から友達だったっていうのが大きいかもね。『空からの力』から『最終兵器』(02年)の間にも、それぞれのソロ曲で客演したりして、“ギドラ・ブランド”は常に残すようにはしてたんだよ。ソロ・アルバムも2〜3枚出したぐらいのタイミングで『最終兵器』があったから、そこでまた三位一体のことが出来るな、と思ったし」
Zeebra「『最終兵器』は本当にバッチリなタイミングだったと思う。世の中的にもそうだし、俺ら的にも良い意味でエゴが抜けてて、“キャラ立ち”という意味でも三人とも確立していたし」
 
■「空からの力」が果たした功績や残したモノは、自分たちでは何だったと思いますか?
Zeebra「自分にとっては、当時の自分の進化/成長していく様が見えちゃったりするから面白いな、って思う」
Kダブシャイン「自分にとっては、初期衝動を思い返させてくれる、鑑みるためには大切な作品だね。世の中にとってはどうだったのかは分からないというか、デカイこと言う感じになっちゃうな……僭越だけど、日本語でラップやるという人にとっての“雛形”としてこれからも存在していくのかな、って」
DJ OASIS「俺は、コッタ君のラップを聴いて『日本語でラップするというのは、こういうことか』って思って、その後にヒデのラップを聴いて自分もラップ書くようになったから、ふたりの影響から自分もラップを始めてるんだ。だから、『空からの力』は俺にとっても“教科書”だし、“教科書”の“目次”になっているような内容だったりする。韻に関してはもちろんのこと、気の利いた言い回しをするとか、そういうところも学んだ“テキスト”だね」
 
■確かに、そう考えるとギドラに最も近い継承者はオアさんということになるんですね。DJだったオアさんをラッパーにまでしてしまったんだから。
DJ OASIS「ふたりのライムを聴いてて『ウハッ!』ってヤラれたことで、俺も人を驚かせたいって願望が生まれてラップを書き始めるわけだからね。ラップのフォーマットとしてはすごい完成度が高いし、分かりやすい“教材”だよね」
 


 
 
INFO
「KGDR(ex.キングギドラ) スペシャル・トーク&サイン会: 名盤各務塾(特別編)」
日時:7月4日(土)15:30〜
場所:TOWER RECORDS渋谷店1Fイベントスペース
出演:KGDR(ex. キングギドラ)
司会進行:伊藤雄介(Amebreak)
http://tower.jp/store/event/2015/06/003019
 
 
『ワイルド・スタイル』『Nas/タイム・イズ・イルマティック」DVDリリース記念トーク・セッション
日時:7月5日(日)18:30開場/19:00開演
場所:HMV record shop 渋谷1Fイベントスペース
出演:KGDR(ex. キングギドラ)
http://www.hmv.co.jp/news/article/1506190003/
 
 
KGDR(ex.キングギドラ) 〜「空からの力」20th Anniversary〜 LIVE INFO
7月18日(土)『NAMIMONOGATARI 2015』 @ Zepp Nagoya
http://www.namimonogatari.com/
 
8月15日(土)『SUMMER BOMB produced by Zeebra』 @ Zepp DiverCity TOKYO
http://summer-bomb.com/
 
9月6日(日)『23rd Sunset Live 2015 -Love & Unity-』 @ 福岡県・芥屋海水浴場
http://www.sunsetlive-info.com
 
9月22日(日)『MUSIC TRIBE 2015』 @ 岡山県・岡山武道館
http://musictribe2015.info/

 
 

Pickup Disc

TITLE : 空からの力:20周年記念エディション
ARTIST : キング・ギドラ
LABEL : P-VINE
PRICE : 2,700円(通常盤)/3,240円(デラックス盤)
RELEASE DATE : 6月17日