インタビュー
DABO
話題のシングル/リード曲を多数連発した後にリリースされたニュー・アルバム「HI-FIVE」も好調なDABO。だが、その裏にはキャリアを重ねたヴェテランだからこその悩みや葛藤も少なからずあったようだ。今作の完成度の高さにはどんな秘密があるのか?そんなところをこのインタビューから読み取ってもらえれば幸いだ。
インタビュー:伊藤雄介(Amebreak)
DATE:10/11/17
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「“原点回帰”は便利な言葉だけど、俺は今回に関してはそれを使っていいと思ってるんだ。俺はDEF JAM JAPANと契約したときに意識的にラップの仕方やトラックの選び方をリニューアルして、一旦シンプルにしたんだけど、今回はその2010年ヴァージョンっていう感じ。今回も、改めてメジャーで出してるんだし、『じゃあどういう風にやる?』っていうことをもう一度考え直したんだ」
HIP HOPアーティストは、そのキャリアを重ねていく上で、いつかは自身のスタンスを問い直す時期が来ると思うが、DABOにとっては正にそれが今作「HI-FIVE」のタイミングだった。その再確認の作業は、これまで多作家として知られた彼を(オリジナル)アルバムのリリースから4年も遠ざからせることとなった。だが、その期間が無駄なものでなかったことは、これまでのDABOの作品と比べて格段に風通しの良くなった「HI-FIVE」の全13曲を聴けば明らかだろう。彼は、例えば「フロア・バンガーになり得る日本語ラップとは?」「HIP HOPの純度を落とすことなく如何にポップ層にアピールするか?」など、日本語ラップにとって普遍的な命題を今作に掲げた一方、「DABOにしか作り得ない表現/視点とは?」という、アーティストとして彼が向き合わなければいけない課題をこれまで以上に大きなものとして設定している。そして、かなりの部分でそれは成果として表われていると思う(し、そんな部分を、先日放送されたTOKYO FMの特番『WANTED』でMummy-Dが高く評価したのだろう)。
各曲の細かい話については、既に彼がまとめ、リスナーのアルバム購入意欲を煽ったブログ内(リンクは後述)での全曲解説に譲るとして、今回のインタビューは、もう少し大枠の話を中心に訊くこととなった。
■「B.M.W VOL.1」から数えて3年以上、前作「THE FORCE」から数えると4年もソロ・アルバムが出てなかったわけですよね。この4年間はDABOさんにとってどんな4年間でしたか?
「……スタンス探しみたいな。考えたら時間かかったよね、4年だから。でも、これからサヴァイヴしていくために、それくらい意識改革が自分の中で必要だと思ってたからね。だから、『これくらいだと大差ねぇかな』っていう探りで4年くらいかかったって感じかな」
■そのスタンス探しは具体的にいつ頃から?
「インターネット(を始めてから)だね。『THE FORCE』を出した前の年にMABOの『デラコスタ』が出てるんだけど、その制作で初めてMacを買ったんだ。だから、ネットに触れ始めてまだ5年くらい。ネット始めたと同時にmixiも始めたから、俺のネット元年とSNS元年はほぼ同時」
■インターネット上で何かを見てスタンス探しを始めたということですか?
「mixiに限らず、ブログやTwitterも並行してやってるけど、元々はそういうところでラップ/曲にしないことを吐き出してたんだ。『作品と俺の文章で芦田大介=リアルな自分になるんだよ』っていうスタンスで、要は音源を補う形で始めたわけ。やっぱハードコア・エンターテインメントっていう、自分の中のHIP HOPに対するポリシー/美学があったけど、HIP HOPなジョークとかが通じない人には、やれ“凄く怖い人”みたいに思われることが多いから、『俺だってこんなこと考えるよ』っていう補足として(ネットを)始めたわけ。そこは凄いターニング・ポイントなんだよね。ニトロで初めてネットに触れたのはMACKA-CHINなんだけど、彼もネットに触れるようになって滅茶苦茶変わったんだ。彼の奥にあったものがブワッと出て来た感じというか、それ以前とそれ以後はまったく違うワケよ。それまでの彼はかなりアウトドアな人間で、『家になんかいられねぇよ』ぐらいな感じだったんだけど、ネット以降は彼の奥に秘めてたナード性がトラック・メイクと一緒に出て来て、素の自分に近づいていく感覚みたいのを俺は間近で見てた。俺もインターネットを始めてそうなった部分があるのかもしれない」
■ネットを通じて、ファンやそれこそヘイターとの距離も変わってくるし、アーティストとしての自分をそれ以前より客観視するようにもなったんじゃないですか?
「そうだね。家族のこととかニトロのことを書いたりした、ブログで特に人気のある記事を見てるとすごい思うところがあって、コメント欄見て勉強になったことがすごくあった。『こういうことを曲にしてもいいんだ』とか『むしろこういう曲は俺の今の立場だったら作らなくていいのかも』とか、自分の中でのヴィジョンが変わってきたんだよね」
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