[LIVE REPORT] |
DATE : 2008/02/06 |
KOHEI JAPAN、昨年末の意欲的なバンド・ライヴの模様をレポート
文:伊藤雄介(Amebreak)
日本のヒップホップにおいて、これまでになかった形で「大人の」アルバムを作り出す事に成功したKOHEI JAPANは、もしかしたらどんなに勢いのある若手MCよりもシーンに希望の火を灯している存在なのかも知れない。彼のキャリアにとっても大きな転機となった筈の「FAMILY」に関連する、2007年の充実した活動の締め括りとなったのが、昨年12月14日に渋谷のセルリアンタワー東急ホテル内にあるJZ BRATで行なわれたワンマン・ライヴだ。
JZ BRATという、ヒップホップ・リスナーには少々縁遠い印象を与えるこの会場は、通常はジャズを中心とした生演奏が流れるラウンジ/ダイニング・クラブである。そんな場所をライヴ会場に選んだKOHEI JAPAN。この日のライヴは、ギター/ベース/キーボード/ドラムという編成のバンドの演奏に乗せてパフォームするというものだった。「FAMILY」というアルバムの質感や歌詞面でのアプローチを考えると至極納得がいく試みである。
納得がいく一方で、このシチュエーションでラップをしているKOHEI氏の姿に、違和感とは言わないまでも、少し不思議な感触を得た自分がいる。と、言うのも、KOHEI JAPANというラッパーは、パーティ・ラップ的スタイルを貫くMELLOW YELLOWとしての活動や、ストイックな1MC/1DJ編成のソロ・ライヴからも明らかなように、 物凄くヒップホップの基本的なメソッドに忠実な「MC」である。なので、彼の本来持つスタイルが、言わば過去にパフォームしてきたライヴと真逆の環境でどのように映るのか?という点に筆者は興味があった。
やはりというか、いくら今回のアルバムで幅広い支持を得たとは言え、生バンドに加えて観客は全員テーブル席で着席しているという光景は、KOHEI氏にとってもかなり異例なものだったのだろう。普段は飄々とした語り口で巧みに場をコントロールしていく曲間のMCもどこかたどたどしく、普段のライヴを知っているだけにこちらが不安になってしまう(笑)。
だが、やはり「FAMILY」収録曲は生バンドとの相性が良い。出演していたミュージシャン達も明らかに腕利き揃いで、KOHEI氏のバック・トラックに徹しながらも、随所にテクニカルな演奏を交えてくる。JZ BRATという会場を考慮した、しっとりしたアレンジを予想していたが、総じてファンキーな演奏だったと思う。KOHEI氏も、最後まで曲間MCの緊張感が和らぐ事はなかったようだが(笑)、パフォーマンスは徐々に自身のペースを取り戻していたように感じられた。今後、ライヴ活動をどのような形で展開していくのかは分からないが、日本語ラップの面白さを非ラップ・ファンに伝える一手段として、是非この構成でのライヴ形態を成熟させていってほしいものだ。
※追記:ちなみに、筆者が観たライヴは2部構成の中のファースト・ステージだったのだが(これもまた、HIPHOPのライヴでは余りない構成だ)、セカンド・ステージでのKOHEI氏のパフィーマンスがいつもの「飄々とした」空気感を取り戻し、次作への期待を煽ったと聞いている。
![日本を代表するHIPHOPサイト! Amebreak[アメブレイク]](/common/img/siteTitle.png)