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ラッパー15人が語る歌詞の書き方証言集『ラップのことば』が4月2日に発売。Amebreak独占でDABOのインタビューを一部公開!

文:伊藤雄介(Amebreak)

TITLE:ラップのことば
LABEL:P-VINE BOOKS
PRICE:2,500円
RELEASE DATE:4月2日

 「ラッパーは一体どのようにして歌詞を書いているのか?」。ラップ・リスナーにとってはあまりに基本的であるが故に普段あまり考えることのない問いかもしれないが、敢えてそんな根本的なテーマを扱ったのが、4月2日に発売される単行本『ラップのことば」だ。ライター/編集者の猪又孝氏(DO THE MONKEY)が編集を務めたこの本、普段Amebreakに掲載されるインタビューを楽しみにして頂いている方にこそ是非読んで頂きたい一冊だ。その理由は、以下の登場アーティストのリストを見て頂ければ分かって頂けることだろう。

ANARCHY/いとうせいこう(□□□)/宇多丸(RHYMESTER)/K DUB SHINE/COMA-CHI/サイプレス上野(サイプレス上野とロベルト吉野)/SEEDA/SEAMO/Zeebra/DABO/童子-T/般若/PES(RIP SLYME)/BOSE(スチャダラパー)/Mummy-D(RHYMESTER)(五十音順)

 と、言った感じに、ヴェテランから若手、ハードコアからポップ・フィールドで活躍する人まで、ラップを生業としている15人の証言がたっぷり収録されている。その内容は、ラップを書き始めるに至った経緯や、日頃のラップの書き方やこだわり(それこそリリックを書くノートやペンといった細かいことまで言及している人もいる)、ラッパーとして表現していく上で避けられない葛藤や悩みなど、普段読めそうで読めない内容が詰まっている。

 実は筆者も上記アーティストの中から般若/Zeebra/K DUB SHINEの3氏を取材/執筆させて頂いたのだが、それこそ中には筆者がライター業を始めた10年近く前から取材している対象のアーティストもいるにも関わらず、リリース・タイミングの作品を主題に置いたインタビューではなかなか訊くことの出来なかったエピソードを多数伺うことが出来た(恐らく他のインタビュアーの方々も同じ感想を持っているだろう)。掲載アーティストのファンはもちろんだが、これからラッパーを志そうとしている人/現役のMCにも参考になる部分は多いと思うので、是非ご一読をオススメする。

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 そして、なんとAmebreakエクスクルーシヴで、『ラップのことば』に収録されているDABOのインタビューの一部を掲載!(※インタビュアーはAmebreakでもおなじみ、川口真紀さん。インタビュー中の表記などは元の原稿のまま)

※本インタビューはP-VINE BOOKSから特別な許可を得て掲載させて頂いております。ブログやウェブサイトなどへの転載は一切禁止させて頂きます。


ー ダボさんのリリックはデビュー当初から一貫して“粋”でウィットに富んでますよね。
 いえいえ(笑)。

ー ラップを始めた頃から“粋であること”というのは意識していたのですか?
 そうねー。ヒップホップの「かっこいいだろ!」っていう誇示の仕方に俺はすげぇインテリジェンスを感じたのね。ヒップホップ好きになる前はバンドを聴いてたんだけど、バンドって「クソッタレー!」みたいな曲はいくらでもあるじゃない。けどヒップホップは言葉でやり込めていく感じがすげぇかっこいいなと思って。身体がデカかろうがちっちゃかろうが、学校の成績が良かろうが悪かろうが、ハンサムだろうがブサイクだろうが、スキルがあるヤツがクールでイケてるっていうのがすげぇいいなと思ったし、スポーツマンシップじゃないけど、あくまでスキルで勝負っていう美意識みたいのが超かっこいいと思った。だからラップをするからにはかっこいいと思われることをやりたいし、そうじゃないとラッパーじゃないんじゃないか、と俺は思う。だからといって思いの丈をストレートに耳に届きやすくラップするアーティストを大袈裟に非難するわけじゃないけど、俺がかっこいいと思うのはそういうものではないとずっと思ってきたし、だからこそ、うまいこと言ってやろうとか、ひねりを効かせて後からちょっとだけヒント出したら「そんなこと言ってたの?」って言われるようなリリックじゃないと意味ないっていうのは、最初の一文字目を書いた時から思ってたね。

ー ダボさんにそういった〝ラップ美学〟を教えたアーティストは誰なんでしょう。
 んー。誰だろうね。好きなアーティストは腐るほどいるし、そもそも聴いてきたアーティスト全員から影響受けてるかもしれないけど……(中略)……そんな中でもこの辺はいいなって思いだしたのが、クラッシュ・ポッセだったり、ライムスターだったり。だからクラッシュ・ポッセ、ライムスター、スチャダラ、この辺が見本になってたのかな。この3組を雛型に、さらに歯がゆいところを調整していこうって感じだったね。

ー クラッシュ・ポッセとライムスターは具体的にどんなところに惹かれたんですか?
 ムロくん(クラッシュ・ポッセに在籍)はアーバンでしょ。東京のスマートなBボーイって感じだし、それこそあの人がダサい恰好してるところなんて見たことないし、あんなファッショニストはいないし。当時はみんなニューヨーク馬鹿だったけど、その中のキングだから、そういうカルチャー的な面でも尊敬してるし、ラップもスムースじゃない? 当時珍しかったんだよね、スムースにラップする人って。「なんとかなんとかなんとかでー、なんとかなんとかなんとかだー」みたいなラップがほとんどだったから。ライミングがうまいなってよりは、ラッピングがうまいなと思ってた。ライムスターは歌詞がすごかったし、(キング)ギドラが出てくるまでは、歌詞に関してはライムスが一番教科書に近いと思ってたね。

ー 実際に初めて歌詞を書いたのっていつ頃ですか?
 スチャダラとかを聴いてすぐ。高1かな。

ー 初めて書いた歌詞って覚えてます?
 うんとねー。「デタント」っていう洋服屋わかる? 当時数少ないBボーイ服が買える店で、情報も一番早かった店だったの。店の雰囲気も好きだったし、しょっちゅう行ってて。それで「デタント」を讃える歌みたいなのを書いた。「デタント」に行って買い物しようぜっていう歌(笑)。

ー お店の人に聴かせました?
 いやいや、聴かせないよー。3年間くらいは〝鏡台ラッパー〟だったから。
(中略)

ー それから数年後にはメジャー・デビューされるわけですが……そんなダボさんのリリックの最大の特徴はやっぱり“引用”だと思うのですが。
 それはね、向こうのヒップホップから学んだことですよ。「まるで○○」みたいなリリックって、日本の人は昔はあんまやってなかったんだよね。だから俺がラップをやるからには、それは絶対にやろうと思ってたことのひとつ。「Like ○○」でオチつけるんでしょってのは向こうのヒップホップ聴いてわかってたし、それこそ(ビッグ・ダディ・)ケインとかひたすら人の名前出したりするじゃない。それって基本中の基本らしいぜってのはわかってたから。

ー なんで日本の人はやってなかったんでしょうね。
 ね。ちゃんとやり始めたのってギドラが最初じゃない? ほーら、やられちゃったって思ったもん。

ー 「PINKY 〜だから、その手を離して〜 feat.TYLER」の《リサ曰く スクラブス エリカ曰く タイローン》とか、「徒然草」の《バイバイデカくて小さいBad Boy 牛肉2パックがサグの代償》(共に01年発表の1stアルバム『PLATINUM TONGUE』収録)なんかは個人的に特に印象に残ってます。
 引用は俺とリスナーを繋げるんですよ。《リサ曰く スクラブス》って言ったら「ダボ、TLCのこと言ってるんだ」って喜びを感じられる人もいるでしょ。「牛肉ってビーフのことか!」とかさ。

ー 逆にヒップホップを知らない人には、なかなかわかんないと思うんですが。
 やっぱヒップホップのリリックだしさ、その曲がどう間違ってオリコン1位になっても、こういう引用をすることでヒップホップのニュアンスが出るでしょ。っていうのは今考えたんだけど(笑)。けど「ライカ・タモ(リ)さん」みたいな日本人みんながわかるような引用も好きよ。それくらい間口を広げるのも好きだし、ヒップホップ好きにしかわからないような引用も好き。こういのも力加減によるんだけど、やり過ぎちゃうと「こんなことも知ってるんだよー」みたいな感じでイヤらしくなっちゃうし、ないならないで寂しいし、だから俺はどうしても入れちゃうよね。それはやっぱりアメリカのラップがそうだから。超教科書通りだから、俺は。アメリカのラップの再現はできるっていうところでプラマイゼロだと思うし、そっから日本人のクリエイションで勝負でしょって思うから。向こうのヤツができてこっちでできないことはひとつもない方がいいと思うし。
(中略)

ー ダボさんの代表曲であり、メジャー・デビュー曲である「拍手喝采」(『PLATINUM TONGUE』収録)のリリックが生まれた背景は?
 これはね、わかりやすくしようと思って作った。俺、メジャー行く前はアングラ・ヘッズで、インディーで出すんだったらアングラ趣味丸出しなものでもいいと思ったけど、メジャーではこんな(アングラ趣味丸出しの)ものは売れるわけないじゃんって思ってたの。それでフロウひとつから、音の選び方から、全部リニューアルした。モコモコしてるんじゃなくてパーン!ってくるようなトラックの上でオーソドックスにラップ乗っけようって思ってた。その方がわかりやすいじゃん。なんかわかんないけどめでたい感じするじゃん(笑)。リリックもこの曲は間口広いよ。引用も(桂)三枝師匠(《いらっしゃ~い!!》)だもん。他の曲では縦横無尽にヒップホップの喩えを出してるけど、この曲は超わかりやすいよね。ちゃんとそういうことも考えて作ってたんだなー。偉いね、俺(笑)。
(中略)

ー (歌詞は)家では書かないんですか?
 スタジオに着いて、半分しかリリック書いてないから、今から半分書いちゃうねって言いながら、本当は1行目から書いてるっていうのが基本的なパターン(笑)。バインダーに紙を挟んでぺンで書くのが基本スタイルだけど、最近は移動中にiPhone のメモ機能に書いたり、事務所でMac で書くこともある。マミーD はPCで書くの嫌いって言うんだよね。迷った軌跡がわかんないから。これじゃないってグチャグチャってやったのが残ってた方が、後からあんなのもあったってわかりやすいからいいって言うんだけど、俺は紙で書いた時もiPhone で書いた時も、ここはちょっと違うなと思ったら消しちゃうし、(紙で書いた場合)できたものはスタジオに置いてきちゃう。これからまだまだラップすると思うし、だから曲を作るたびに(過去に思いついた歌詞は)忘れちゃえって思うんですよ。またそのうち出てくるだろうから。

ー フロウと言葉はどちらを先に考えるんですか?
 ほぼ同時。入口だけちょっと(言葉を)考えるけど、後はそれにフロウを合わせて、さらに言葉合わせて、っていうのの繰り返しなんだと思う。けど俺は基本フロウ重視のタイプで。言葉マニアでもあると思うけど、何文字踏んだマニアとかでは全然なくて、あんまり韻に縛られ過ぎないようにはしてる。ラップだけど、歌を歌ってる人と気持ちはあんまり変わらないと思っていて、口演奏家みたいなところがとてもあるんですよ。だからやっぱり韻というよりは、フロウの方が重要だと思っていて。ただ、どっちか片方だけってのは絶対なくて、フロウを滑らかにするには滑らかになる韻を見つけないといけないし、ここ何文字で踏めるけど、そうするとフロウ的にいけないみたいな時はその言葉を外すし、しっくりフロウが流れる中で最良の言葉を引っ張ってくるっていうやり方だね。それくらいフロウの方が俺は大切かな。
(後略)