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「Mr. “ALL BAD” JORDAN」/OMSB

LABEL :

SUMMIT/SMMT-19

PRICE :

2,400円

RELEASE DATE :

10月26日
TITLE :

Mr. “ALL BAD” JORDAN

ARTIST :
OMSB

TRACK LIST :

01.“One Man Slang Band”
02.“Fix Talk”
03.“No Big Deal (F Zero)”
04.“Hmm…”
05.“Wussup (Skit)”
06.“Fuck That Fake Policia”
07.“HULK”
08.“Joke”
09.“Rapper Ain't Cool”
10.“I Turned into a Nervous Wreck. (Skit)”
11.“FOG”
12.“Maison Naruse”
13.“Hoodless”
14.“Against Gangsta”
15.“Perfect Vision”
16.“Hustle 2112”

REVIEW

 SIMI LABでの作品は当然のことながら、Soundcloudへの作品の発表や、フリー・ダウンロードで投下されたトラック集「KITAJIMA “36” SUBLAW」など、数多くの作品をリリースしてきたOMSB。
 
 彼が待望のソロ・アルバム「Mr.“ALL BAD” JORDAN」をリリースするが、そのジャケットは、睨みつけるわけではないが、笑顔のような友好的でもない表情でこちらを見つめるポートレート。そしてアルバムも、彼の「OMSB」というアーティスト・ネームはこの言葉の頭文字をとったということを表明する“ONE MAN SLANG BAND”からスタートするように、当然のことながら、OMSBのソロ作ということを強烈に明示している。

 シーンを彼流に制することを高らかに宣言する“FIX TALK”、フラストレーションと希望を同時に叩き付けるような“NO BIG DEAL (F ZERO)”のような、アーティストとしてのOMSBを明示するモノ(そしてこの2曲に代表される血流量の高いラップ・スタイルも、SIMI LAB作品ではあまり見られなかったので非常に印象的だ)、シーンに対する違和感を明示する“RAPPER AIN'T COOL feat. JUMA”など、「アーティストとしてのOMSB」と言う部分も作品の中ではもちろん強い。
 
 それに加え、DyyPRIDEと共に「肌色は何を指す」というリリックに象徴される、OMSBやDyyPRIDEのような存在と、“日本”というモノの関係性を体験に基づいて描く“FUCK THAT FAKE POLICEIA feat. DyyPRIDE”、彼の思考や視点を形にする“JOKE”、彼の生活を形にした“MAISON NARUSE”、彼自身の歴史をブルージーなフックと共に形作る“HOODLESS”、ペシミスティックな感情で彩られた“PERFECT VISION feat. MARIA & DOMU YORK”など……その通り、この作品では抽象的なテーマよりも、「彼自身に纏わること」に多くのリリックが割かれ、よりOMSBという人間が露わになっていく。
 
 トラックに関しても、「PRODUCED by OMSB & WAH NAH MICHEAL」との表記があるように、彼自身が全てを手がけている。現状の資料では曲毎にOMSBとWAH NAH MICHEALのどちらの名義で手がけているのかの表記はないので、OMSBとWAH NAH MICHEALではどのような棲み分けがされているのかは明らかではないが、どの曲もまったく似ないアプローチと、SIMI LABなどで提示したビートよりも更に広がりと構築力の高さを聴かせるビートには、彼の創造力の豊かさを強く感じさせる。
 
 どうしても聴く前にはQNの脱退劇などへの言及はあるのかなど、そういったセンセーショナルな部分も期待してしまったが、聴き終わった後には、刺激的で良質の音楽を提示するSIMI LABの頭領としての意地のようなモノ、そして、アーティストとして息の長い存在になっていくことをしっかりと感じさせる作品だと感じさせられた。同時期に発売される同じくSIMI LABクルーのDJ ZAI「CAPITAL Z」(これも素敵な作品だった)と共に、SIMI LABの今後にも、否応なく期待させられる一枚だ。

高木“JET”晋一郎