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「5O」/5lack x Olive Oil

LABEL :

高田音楽制作事務所 x OILWORKS Rec./5O-001

PRICE :

2,000円

RELEASE DATE :

1月23日
TITLE :

5O

ARTIST :
5lack x Olive Oil

TRACK LIST :

01. INTRO WASSUP
02. 愛しの福岡
03. その場を後にするのには訳がある feat. 仙人掌
04. NEXT WORLD IS
05. 儀式 feat. ISSUGI
06. 鼓動
07. I LIKEDARK CHOKOL
08. 早朝の戦士
09. DRIVE ON MY LIFE
10. HUSSHSARD/50
11. AMADEVIL

REVIEW

 5lack a.k.a. 娯楽(S.l.a.c.k.)と Olive Oilによるタッグ・アルバム「5O」。このサイトの読者にとっては、このふたりは説明不要であるだろうし、このふたりがタッグを組むことの重要性は分かってもらえるだろうから、その部分については余計なご託は並べない。
 
 筆者がこのアルバムから強く感じたのは、「離れる」というモチーフだった。アルバム自体、読み方として「ご/おー」。それは「GO」という単語にも通じるだろうし、“早朝の戦士”で吐き出される「たまにゃいいよな旅に出て/今の自分を忘れて逃げるのも」というリリック、「さよならMY CITY/さよならMY HOME/ここが墓じゃ終われねえ」と呟き吐き捨てるように紡がれる、タイトルからして離別がモチーフとなる“その場を後にするのには訳がある”に代表される楽曲から、そういった部分を感じさせる。
 
 思えば、彼がよくインタビューなどで話してきた“ノリ”や“適当”という言葉。確かに「MY SPACE」といった作品では、純粋な創作欲の発露という意味でも、その言葉は相応しかったが、彼が大きな注目を集め、「シーンの中心」に押し込められそうになったとき、その“ノリ”といった言葉は、それに対する防御策であっただろうし、今作での「離れる」というモチーフは、実際に彼が東京ではなくOlive Oilの地元である福岡でほぼ全編が制作されたという環境の変化もあるだろうが、よりそういった“シーン”や“日本語ラップ村”という部分からの離脱欲求を感じさせられる。
 
 具体的な制作手法の提示はないので、トラックに関してはどの程度の割合でイメージを組み合わせていったのかは定かではないが、ブレイクビーツを貴重としながら、エキゾチックで抽象的な音像は、「トロピカル・ダンディ」の頃の細野晴臣のような、カラフルで夢幻的ながら、どこか寂しさと、ここではないどこかを希求するような、ときめくと同時に不安にさせるような音を形作る。そういった音の風情と、前述したような5lackのラップの世界観は、彼らと我々を、次の段階へ導くような、“離脱”を要求しているような感覚を覚える。彼らの見据える先にある音楽は、この「5O」からどのように広がり、どのような色をつけていくのか、想像力を刺激してやまない充実の作品だ。

高木“JET”晋一郎